『Maiden Voyage』の聴き方
レコード・コレクターズ(レココレ)2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」を楽しんでいる。当ブログでは、「この曲を」を「このアルバムを」に拡大して、レココレに紹介されているアルバムを聴き直している。しかし、今回は「この一曲を」で、ハービー・ハンコックの「ピアノの個性の一つ」を聴き直している。
Herbie Hancock『Maiden Voyage』(写真左)。1965年3月15日の録音。ブルーノートの4195番。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p), Freddie Hubbard (tp), George Coleman (ts), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。邦題『処女航海』。マイルス・スクールで、直接、帝王マイルスの薫陶を受けた(ハバードは除く)若き精鋭達で構成されたクインテットの名演集。
この盤は、マイルスの薫陶を受けた若き精鋭達による「モード・ジャズ」の記録である。全ての曲がモード奏法で展開される。ハードバップの演奏とは全く雰囲気、響き、フレーズが全く異なる「モード奏法」が、聴いていてとてもよく判る。しかも、ハービー・ハンコックのピアノによる「モード奏法」が手に取るような内容になっているのだ。
実はこの盤、フロント2管のパフォーマンス、安全運転で化学反応は起きていない。しかし、面白いことに、フロント2管が安全運転な分、バックのリズム・セクションのバッキングの演奏の創造力は素晴らしい。安全運転なフロント・フレーズに相対する様な、創造的でバリエーションに富んだモーダルなフレーズの連発。特に、バッっキングに回った時のハンコックのピアノの創造性と革新性は素晴らしい。
そんな「バッキングに回ったハンコック」の凄みが噴出しているのが、冒頭のタイトル曲「Maiden Voyage(処女航海)」。バックのリズム・セクションの一角に陣取ったハンコックは凄まじい想像性と革新性に富んだモーダルなフレーズを叩き出している。フレーズの音の拡がりと間を活かした、創造的でバリエーションに富んだモーダルなフレーズの連発。この「Maiden Voyage」一曲で、ハンコックのピアノによる「モード奏法」が瞬時に理解出来る。
他のフロント管のモーダルな展開のバッキングに回った時のハンコックは、ハンコックならでは、の個性溢れるモーダルなフレーズを連発する、という不思議な傾向がある。そして、その好例の一つが、この盤の冒頭一曲目の「Maiden Voyage」である。ここで、改めて、この「Maiden Voyage」で判るのは、ハンコックのピアノによる「モード奏法」。ハンコックは多角的なピアニスト。他の個性の理解については、他のアルバムに求める必要がある。
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