2024年9月22日 (日曜日)

『Live Under the Sky ’83』

伝説的ジャズ・フェスティヴァル「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」の1983年でのライヴ・パフォーマンスの記録。ソニー・ロリンズのピアノレス、ギター入りカルテットの演奏で、ギターにパット・メセニーが参加。アルフォンソ・ジョンソンがエレベで、ドラムにポリリズムの名手、デジョネットが参入。

Sonny Rollins『Live Under the Sky '83』(写真左)。1983年7月31日、東京・読売ランド「Open Theatre East」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Pat Metheny (g, g-synth), Alphonso Johnson (el-b), Jack DeJohnette (ds)。

冒頭の22分の長尺演奏「Jack in the Box」の始まりから、聴衆は大盛り上がりのノリノリ状態。これが、1983年の日本のジャズの野外ライヴでのノリである。日本人もこの頃になると、野外ライヴで盛り上がり、ノリノリになっていて、このロリンズのライヴも、会場のとても良い雰囲気でのライヴ・パフォーマンスになっている。

ロリンズは吹きまくる。野外ライヴは「お祭り」。豪快にノリノリでシンプルに吹きまくる。これがロリンズの真骨頂。コードやモードなど、フリーやスピリチュアルなど関係なく、モダン・ジャズのテナーを吹きまくる。当時、ロリンズは53歳。天才ロリンズの心身共に充実した中堅の時代。「お祭り」向きに、豪快なテナーを吹きまくる。
 

Sonny-rollinslive-under-the-sky-83

 
バックの3人も、そんなロリンズに追従する。アルフォンソはエレベをブンブン言わせつつ、ファンキーなベースラインをこれでもか、と供給し、パット・メセニーは、いつになく、エモーショナルな「バップ」なギターを弾きまくる。ドラムのデジョネットに至っては、もうポリリズミックなドラムを叩きまくり、である。

続く「Coconut Bread」は、疾走感溢れるカリプソ・ナンバー。ロリンズお得意の陽気なカリプソ・ナンバー。これはもう演奏メンバーも皆、ノリノリ。特に、メセニーがギターシンセを熱くエモーショナルに弾きまくっている。こんなに熱いバップ・フレーズを弾きまくるメセニーは珍しい。会場のとても良い雰囲気が、メセニーにそんな熱いギター・シンセを弾かせたのだろう。

ラストは「Moritat (aka. Mack the Knife)」は、ジャズフェスならではの大サービス。あのロリンズの大名盤「サキソフォン・コロッサス」の中の有名曲。しかし、この「Moritat」では、お祭り仕様では無く、コンテンポラリーな純ジャズ仕様の、ガッツリ硬派なメインストリームな演奏を展開する。

メセニーのエレギはコンテンポラリーな創造性豊かなフレーズを聴かせてくれるし、デジネットのドラミングはポリリズムの極致。アルフォンソのエレベは硬派で正統派なソロ・パフォーマンスを聴かせてくれる。ロリンズはといえば....、あくまでマイペースのロリンズ節の連発(笑)。

もともとはブートレグの音源なので、音質はやや劣るが、鑑賞に耐える範囲にとどまっている。そんな音質を云々するよりは、このライヴ音源の演奏の熱気、会場の熱気の記録が素晴らしい。
 
 

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2023年4月24日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・25

ジャズ名盤と呼ばれるアルバムの中には、そのアルバムの制作された「背景」で、居抜きで高く評価される盤が幾つかある。

もともと、ジャズの歴史を振り返ると、ジャズに纏わるエピソード、特に「人」に関するエピソードはユニークなものばかり。芸術というものは「天才」と呼ばれる人達を中心に積み上げられると感じているのだが、この「天才」と呼ばれる人達に関しては、「人」に関するエピソードに事欠くことは無い。「天才」とは「変人、奇人」と紙一重何やなあ、と感心するばかり。

特に、ジャズについては、ジャズ・ジャイアント、ジャズ・レジェンドと呼ばれるジャズマンのエピソードは、ユニークかつ興味深いものばかり。超一流で伝説となったジャズマンほど、ユニークなエピソードが多い。恐らく、それだけ注目されていて、皆の記憶に残ったのだろうし、伝説として語り継がれてきたのだと思う。

しかし、「背景」の評価=「その演奏」の評価、とするのは、ちょっと違うとは思うので、やはり、ジャズは実際に自分の耳で聴いて、自分で判断するのが一番だろう、と思っている。背景は背景、エピソードはエピソードである。

Sonny Rollins『The Bridge』(写真左)。1962年1月30日、2月13–14日の録音。邦題『橋』。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Jim Hall (g), Bob Cranshaw (b), Ben Riley (ds), Harry "H.T." Saunders (ds, track 5 only)。基本は、ロリンズに、ギターのホール、ベースのクランショウ、ドラムのライリーのカルテット編成。何故か5曲目の「God Bless the Child」のみ、ドラムがサンダースに代わっている。

この盤には、モダン・ジャズの歴史や背景、事件を少しでも紐解いた人なら良く知っているエピソードがある。

ロリンズは、1950年代末には人気の絶頂にあった。が、コルトレーンの台頭により、ロリンズは自分のテナーの実力に疑問を感じる。ロリンズは自分の演奏を見つめ直すため、突如引退(実は2度目)。酒と煙草を絶ち、体と精神の鍛錬を怠らず、ウィリアムズバーグ橋にて、サックスの練習に明け暮れる。そして、1961年11月に突然活動を再開し、ほどなくRCAビクターと契約。1959年の夏から3年間の沈黙を経てリリースした復帰第1作が、この『The Bridge』。つまり「橋」である。
 

Sonny-rollins-the-bridge

 
僕はこのエピソードを、学生時代、FMレコパルの「レコパル・ライブコミック」で、石ノ森章太郎さんの書いた『橋』という一話完結の漫画で知った。このロリンズの2回目の「雲隠れ」は、その内容は如何にも当時の日本人好みで、僕もいたく感動した。もちろん、翌日、このロリンズの『橋』を買いにレコード屋へ走ったのは言うまでも無い(笑)。

この盤の感想は、当ブログの過去記事(2008年10月27日のブログ・左をクリック)をご一読いただくとして、今の耳で振り返ってみて、この盤は「ソニー・ロリンズが、ロリンズ自身をブランド化」に踏み切った盤だと感じている。

録音年1962年の当時、ジャズはハードバップの成熟の後、多様化の時代に入っていた。アーティスティック志向として「モード、フリー」、大衆音楽志向として「ファンキー、ソウル」。両極端な志向のジャズが「多様化の時代」の中で、入り乱れ始めていた。

恐らく、ロリンズは2回目の「雲隠れ」の中で、これから、ジャズマンとしてどの志向で勝負していこうか、をサックスの練習に明け暮れる中で考え続けたのでは無いか。そして、出した結論がこの『橋』で演奏されている音で、ロリンズは、実にロリンズらしく、ハードバップ時代のテクニックに磨きをかけたブロウで吹きまくっている。モードにもフリーにも、ファンキーにもソウルにも走らない、ロリンズの、良い意味で唯我独尊な、唯一無二なブロウのみで勝負している。

そんなところに、何故か、プリグレッシヴな、間を活かした枯れた味わいが芳しいジム・ホールのギターを入れたのかが「謎」なのだが、日本語Wikiには「ホールの1999年のインタビューによれば、ロリンズはピアノの和音よりもギターの和音の方が隙間があって触発されやすいと考え、サックス・ギター・ベース・ドラムのカルテットで制作することを決めたそうである」とある。

この『橋』というアルバムは「ロリンズ自身のブランド化」、つまり「ロリンズ・ジャズ」の立ち上げ宣言なアルバムと僕は理解している。このアルバム以降、ロリンズは、ジャズの演奏トレンドに染まること無く、孤高のロリンズ・ジャズを展開していく。それは、21世紀の現代にまで引き継がれていくのだ。
 
 

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2022年3月16日 (水曜日)

Brown and Roach 5 の最終盤 『at Basin Street』

最近、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown・愛称 : ブラウニー)関連のアルバムを聴き直している。当ブログでも、ブラウニー関連のアルバムのレビューについては、主要なリーダー作については、ほぼアップした、と思っていたら、幾つか「抜け」があったので、今回はそれを補填していきたい。

『Clifford Brown and Max Roach at Basin Street』(写真左)。1956年1月4日、2月16ー17日の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown (tp), Sonny Rollins (ts), Richie Powell (p, celesta), George Morrow (b), Max Roach (ds)。テナー・サックスが、旗揚げ盤の『Clifford Brown & Max Roach』から『Study in Brown』まで、ハロルド・ランドだったのだが、当盤ではソニー・ロリンズに交代している。

1956年6月26日に、ブラウニーは交通事故にて急死しているので、この盤は「Brown and Roach クインテット」での最終作となってしまっている。1956年3月22日には、同一メンバーで、ソニー・ロリンズ名義の『Sonny Rollins Plus 4』を録音しており、「Brown and Roach クインテット」へのロリンズの加入は正式に決まっていたのだろう。
 

At-basin-street

 
さすがに、ソニー・ロリンズの加入の効果は大きい。もともと、Brown and Roach クインテットは「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」がグループ・サウンドの個性なのだが、この個性がロリンズの加入で、より一層、確固たるものに、かつ、スリリングなものになっている。

ロリンズとしても、アレンジや奏法に工夫を凝らしたハードバップよりも、個々のジャズマンのパフォーマンスがメインのインタープレイが基本のバンド・サウンドの方が、自分の個性を発揮し易い。ブラウニーにしても、ロリンズにしても、ローチにしても、個々のジャズマンのパフォーマンスを尊重したインタープレイは願ったり叶ったりだったろうから、この『at Basin Street』の内容はとても充実している。

これほど、ブラウニーとロリンズがフロント・パートナーとしての相性が良いとは思わなかったので、ブラウニーの急死によって、この編成でのバンド活動が終了してしまったのは実に惜しいことであった。もともと、ブルーノート盤『バードランドの夜』で始まった「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」を、より具体化し、より洗練していった成果がこの盤に溢れている。
 
 

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2021年12月25日 (土曜日)

アビー・リンカーンの代表作 『That’s Him!』

改めて、リヴァーサイド・レーベルのカタログを眺めていると、なかなか他のレーベルでは聴けない、リヴァーサイド・レーベルならでは、のアルバムを結構あることが判る。リヴァーサイドの総帥プロデューサー、オリン・キープニュース、結構、良い仕事してます。

Abbey Lincoln『That's Him!』(写真左)。1957年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Abbey Lincoln (vo), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Wynton Kelly (p, (except "Don't Explain"), b, ("Don't Explain")), Paul Chambers (b, (except "Don't Explain"), Max Roach (ds)。当時、新進気鋭の女性ヴォーカリスト、アビー・リンカーンの2枚目のリーダー作。

まず、パーソネルが凄い。当時の「ビッグ・ネーム」なジャズマンばかり。よく集めましたねえ。リーダーのアビー・リンカーンが一番マイナーな存在なのが面白い。ちなみにアビー・リンカーンは1930年生まれ。この盤の録音時は27歳。まだまだ若手の駆け出しである。

3大女性ジャズ・ヴォーカリストと称される「サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ」のネクスト世代。ちょっとこぢんまりした印象は否めない。が、この盤では、堂々とガッツのあるヴォーカルを聴かせてくれる。この盤にも参加しているマックス・ローチのレコーディングに多数参加、ローチの強い政治色の影響を受け、後に結婚している(1970年に離婚)。
 

Thats-him_abbey-lincoln

 
アビー・リンカーンのヴォーカルは、力感溢れる、ストレートで豪快な唄いっぷり。唄いっぷりを聴いていると、ビリー・ホリディの影響を強く受けているのが良く判る。強い政治的思想を持った人で、彼女の歌には、そんな信念と情念を感じる。強い説得力を持ったアビー・リンカーンのボーカルは聴き応え満点。そんな彼女の唄いっぷりは、冒頭の有名曲「Strong Man」で、十分に確認出来る。

バックのスーパーなメンバーも当然、凄い音を連発。特に、ロリンズのテナー・サックスは、充実していて、大きい音で、大らかでダンディズム溢れる、力強いフレーズを連発。後に「夫君」となるマックス・ローチも、何時になく変幻自在なドラミングで、その高いテクニックを惜しみなく披露している。

ただ、この盤を聴いていて「偉いなあ」と思うのは、そんなスーパーなバック・メンバーだが、アビーのヴォーカルの邪魔は絶対にしない。逆にアビーを引き立てる役割を積極的に買って出ているようなのだ。ウィントン・ケリーのピアノも、変幻自在、硬軟自在なバッキングをしていて、こんなに歌伴上手なピアニストだったんだ、と改めて感心した次第。

実はこの盤には面白いエピソードがあって、ラストの「Don't Explain」の録音時、ベーシストのポール・チェンバースが泥酔状態に陥り、演奏不能状態になってしまった。誰がベースをやるのか、と思いきや、ピアノのウィントン・ケリーがベースを代理演奏している(よってバックにピアノはいない)。これが、ちょっと単調だが味のあるベースで、意外と「聴きもの」なのが、これまた面白い。
 
 
 
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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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2021年11月18日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・10

ジャズ名盤とは何か。僕が思うに、その盤を聴くことで、ジャズの歴史を感じることが出来、ジャズの個性を感じることが出来る。そして、そのリーダーの個性が手に取るように理解出来、サイドマンの演奏が優秀。加えて、ジャケット・デザインが秀逸であること。いわゆる「ジャズが音楽の総合芸術であること」を実感できる盤が「ジャズ名盤」だと思うのだ。

Sonny Rollins『Saxophone Colossus』(写真左)。1956年6月22日、Prestigeレーベルからのリリースだが、この盤はブルーノートと同じ「Van Gelder Studio」での録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Max Roach (ds)。リーダーのソニー・ロリンズのテナー・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成である。

まず、ジャケットを見て欲しい。青のモノトーンをバックに、テナー・サックスを吹くソニー・ロリンズの上半身のシルエット。そして、ジャケットの下に小粋なタイポグラフィー。ジャズのジャケットやなあ〜、と感心するし、盤の中の音が漏れ聴こえて来る様な秀逸なデザイン。良く見れば、凄くシンプルな、1つ間違えば陳腐に落ちるデザインなんですけどね〜。特にLPサイズは「映える」。やはり、名盤には優秀なジャケットが良く似合う。
 

Saxophone-colossus

 
内容的には申し分無い、非の打ち所の無いハードバップな演奏が詰まっている。出だしが、マックス・ローチのドラムソロ。大先輩にトップバッターをお願いするリーダー・ロリンズの謙譲心。それはともかく、全編に渡って、リーダー・ロリンズのテナーの、イマージネーション溢れるパフォーマンスが群を抜いている。ダンディズム溢れる大らかで創造的なアドリブは聴き応え満点。

サイドマンでは、フラナガンのピアノが素晴らしい。もともとはバップなピアノをバリバリ弾くタイプのピアニストなんだが、ロリンズのテナーの個性を十分に理解して、歌伴の如く、小粋で味のあるバッキングに徹しているところニクい。全編に渡って、ロリンズの「歌伴」に徹したフラナガンのピアノが聴き終えた後、ロリンズのテナーの次に印象にしっかり残っている。

そして、ラストの「Blue 7」に、ジャズのアーティスティックな面を垣間見る。ブルーな雰囲気を持つ、モダンでクールなブルース。ファンクネスは抑制され、観念的、かつ哲学的な響きが不思議な感覚。結構複雑な展開の楽曲だが、それぞれの楽器の即興演奏は見事。即興演奏であるが故、演奏上の小さなハプニングが記録されているが、それまでもがこの演奏の良いスパイスに響くから面白い。このラストの1曲が実にジャズらしいのだ。|
 
 
 
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2021年3月27日 (土曜日)

ブルーノートのロリンズの傑作盤

ソニ−・ロリンズは、僕のジャズ・テナーの最初の「お気に入り」だった。正統派のテナーで、骨太なブロウ、大らかでダイナミックな展開、イマージネーション溢れるアドリブ・フレーズ。そしてなにより「判り易い」。初めて手にしたロリンズのリーダー作は『Saxophone Colossus』。いわゆる「サキコロ」なんだが、冒頭の「St. Thomas」一発でヤラれた。

ロリンズの初期の傑作としては、どのジャズ盤紹介本も、この「サキコロ」か「ウェイ・アウト・ウエスト」でほぼ統一されておりいるんだが、ブルーノート・レーベルに残したリーダー作の方が、ロリンズの「真のインプロヴァイザー」としての姿を的確に捉えている。ロリンズのジャズ・テナーの個性と特徴を如実に捉えているのだ。

Sonny Rollins『Newk's Time』(写真左)。1957年9月22日の録音。ブルーノートの4001番。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts). Wynton Kelly (p), Doug Watkins (b), Philly Joe Jones (ds)。ロリンズのテナー1管のワン・ホーン・カルテット編成。そう、テナーの個性と特徴を的確に愛でるには、この「ワン・ホーン・カルテット」編成が一番適している。

 
Newks-time

 
ブルーノートのロリンズの中で、僕はこの盤が一番、ロリンズのジャズ・テナーの個性と特徴をよく捉えていると思っている。まず、ロリンズのアドリブが凄い。骨太な音で重戦車の如く、豪快にダイナミックにテナーを吹き上げ、テクニックは確か、さらに、歌心溢れるテーマの吹き回し。どれをとっても、この盤でのロリンズは「超特級」品である。

バックのリズム・セクションも、その「ロリンズのジャズ・テナーの個性と特徴」を効果的に引き出すのに一役買っている。まず、ウィントン・ケリーの健康優良児的なファンキー・ピアノが、ロリンズをポジティヴに振る舞わせている。ダグ・ワトキンスの思いっ切り骨太なアコベが、ロリンズのアドリブのビートをしっかり支える。そして、フィリージョーのドラムがロリンズを効果的に鼓舞している。

恐らく、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの存在も見逃せないだろう。良きリズム・セクションを与えられ、この盤でロリンズは、当時最高のインプロヴァイザーの力を最大限に発揮している。ワンタイムではあるが、このワン・ホーン・カルテットの出来は最高。恐らく、演奏していたメンバーも皆、相当、気持ち良く演奏出来たのでは無いだろうか。もっと評価されて然るべき好盤である。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2016年6月21日 (火曜日)

ロリンズはロリンズ『Road Shows, Volume 3』

ジャズ盤を聴くのが趣味なので、サックスのリーダー盤もよく聴く。新盤旧盤含めて、かなりの種類のサックスを聴いてきたが、このライブ盤を聴くと、やっぱり、サックスはこの人やなあ、と感動するのだ。

Sonny Rollins『Road Shows, Volume 3』(写真左)。2001年から2012年の間、全6カ所、6曲のライブ・パフォーマンスを厳選している。詳細は以下の通り。結構バラエティーに富んライブ会場である。

#1: recorded November 11, 2001 at Saitama City Culture Center,
   Saitama, Japan
#2: recorded May 15, 2006 at Halle aux Grains, Toulouse, France
#3: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France
#4: recorded September 19, 2009 at Blanche M. TouhillPerforming
     Arts Center, St Louis, MO
#5: recorded August 11, 2007 at Le Chapiteau, Marciac, France
#6: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France

そして、選曲が以下の通り。これがまた、バラエティーに富んでいて、スタンダードあり、新曲あり、自作曲あり。

1. Biji
2. Someday I'll Find You
3. Patanjali
4. Solo Sonny
5. Why Was I Born?
6. Don't Stop The Carnival
 

Road_shaw_vol3

 
このライブ盤でのロリンズは、どこから聴いても「ロリンズ」なのだ。1曲目「Biji」の最初のサックスの「ブリッ」という音だけで、もう「これはロリンズだ」と判ってしまう。これって凄い。出てくるサックスの音が、完璧な「ロリンズ音」なのだ。

そして、その「吹きっぷり」。とにかく朗々と豪快。パワフルできめ細やか。そして、そのスタミナたるや、もはや「驚異」である。2001年で71歳、2012年で82歳。この6曲のパフォーマンスを聴いて、これが70歳から80歳のおじいちゃんなのか、とつくづく驚いてしまう。なんて「テナー・タイタン」なんや〜。

このライブ集を聴いて思うのは、やっぱり「ロリンズはロリンズ」、そして、やっぱり「テナーはロリンズ」。最近でも優れた若手サックス奏者はいる。それだけ聴けば、このサックスが先端やなあ、なんて思ったりするが、そこにこのロリンズのライブ音源をぶつけると、やっぱり、まだまだ「テナーはロリンズ」だということに落ち着く。それほど、ロリンズのテナーは素晴らしい。

ロリンズのライブ・パフォーマンスと言えば「カデンツァ」の存在だが、このロリンズの「カデンツァ」は好調であればあるほど、現れ出でる。この収録された6曲のほとんどで「カデンツァ」が要所要所で炸裂している。テネシーワルツだとか、おおスザンナだとか、出てくる出てくる、楽しい「カデンツァ」。

やっぱりロリンズはロリンズ。良いですね。なかなかの好ライブ集だと思います。ロリンズ者意外にも、ジャズ中級者以上のジャズ者の皆さんに一度は聴いて貰いたい、ロリンズのパフォーマンスです。このロリンズのパフォーマンスに、ジャズのトレンド、奏法の流行は全く関係無し。まさに潔く個性的な「生きたレジェンド」。

 
 

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2016年3月30日 (水曜日)

80年代のロリンズを表した好盤

ソニー・ロリンズの聴き直しを再開している。1980年代半ば、ジャズ界は、ウィントン・マルサリスを中心とする「新伝承派」が、純ジャズ復古の大号令をかけて、ネオ・ハードバップ、ネオ・モーダルな演奏を繰り広げつつあった時代。

しかし、我らがロリンズは、そんなジャズ界のトレンドなど「何処吹く風」。今から振り返ると、この1980年代半ば、という時代は、ロリンズにとっては、揺るぎの無いロリンズだけの「永遠のスタイル」を確固たるものにした時代ではなかったか、と思っている。

1987年のロリンズと言えば、Sonny Rollins『Dancing in the Dark』(写真左)。1987年9月の録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Jerome Harris (el-b, g), Marvin "Smitty" Smith (ds)。ドラムに、マーヴィン・スミッティ・スミスが座る。

冒頭の「Just Once」のロリンズのテナーを聴くだけで「ああ、ロリンズってええなあ」と心から思ってしまう。フュージョンっぽい、聴き心地の良いポップなバックを従えて、ロリンズは鼻歌を歌うように、大らかにテナーを吹き上げる。しみじみと聴き入ってしまう。

続いて、転がる様に元気で明るいロリンズのオリジナル「O.T.Y.O.G.」。ここでもロリンズは吹きまくる吹きまくる。なんて体力なんだ。3曲目のバラード「Promise」での、ジェローム・ハリスのエレベのソロを聴くと、エレベでのジャズもありやなあ、と思い返す。純ジャズにエレベは合わないのでは無い。エレベにはエレベなりの弾き方があるんやなあ、と感じ入る。
 

Dancing_in_the_dark1

 
そして、やって来ました十八番のカリプソ。4曲目「Duke Of Iron」はご機嫌で陽気なカリプソ・ジャズ大会。やはり、ロリンズのカリプソは良い。陽気で大らかでダイナミックなカリプソ・ジャズ。ロリンズの面目躍如である。

グループ・サウンドとしては、やはりマーヴィン・スミッティ・スミスのドラミングに新しい雰囲気を感じる。ロリンズの傍らでフロントをとるクリフトン・アンダーソンのトロンボーンが効いている。決して、音的にロリンズのテナーの邪魔をしない、ロリンズのテナーに寄り添う様なユニゾン&ハーモニーは絶品。

マーク・ソスキンのピアノは控えめだが、趣味の良いフレーズでロリンズのテナーにアクセントを付ける。ロリンズのテナーを惹き立てせるピアノ。ピアノ嫌いのロリンズが敢えて採用したソスキンのピアノ。このアルバムのソスキンのピアノを聴けば、その理由が良く判る。

アルバムを通して、大らかで明るくて元気なロリンズのテナーが印象的な好盤です。ジャズ盤の紹介本でも、ロリンズ盤の紹介本でも、あまりクローズアップされないアルバムなんですが、どうしてどうして、グループ・サウンドとしても充実していて、1980年代のロリンズを良く表した好盤だと思います。

 
 

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2016年3月26日 (土曜日)

圧倒的に吹きまくるロリンズ

ロリンズの全アルバムの聴き直しを再開した。1986年のライブ盤からの再開。ジャズ界は「純ジャズ復古」のムーブメントの真っ只中を進んでいたのだが、ロリンズは、最早そんなトレンドなどには左右されない。ロリンズはもう「ロリンズ節」としか言いようのない、ロリンズ独自のフレーズを吹きまくっている。

そんなロリンズ節吹きまくりのライブ盤がこれ。Sonny Rollins『G-Man』(写真左)。1986年8月16日、ニューヨークのソーガティズにある「Opus 40」でのコンサートでのライブ録音である。Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Bob Cranshaw (el-b), Marvin "Smitty" Smith (ds)。テナーとトロンボーンの2管フロントのクインテット構成である。

収録された曲は全てロリンズのオリジナル。スタンダード皆無のストイックな内容です。このライブ盤でのロリンズはとにかく吹きまくります。まず、冒頭のタイトル曲「G-Man」を聴き通してビックリ。約15分の長尺演奏なんですが、なんとロリンズのソロだけが延々と続きます。マンネリや繰り返しにならない創造性豊かなフレーズにもビックリですが、15分間、ソロを吹きまくる体力にもビックリです。

2曲目の「Kim」はロリンズお得意の大らかで朗々とした「ゴキゲン調」の演奏ですが、トロンボーンやピアノのソロが好調です。この日のロリンズ・バンドの好調さがこの2曲目の演奏を聴いていて良く判ります。そして、この「ゴキゲン調」をバックで煽り鼓舞するドラミングがこれまた見事。マーヴィン・スミッティ・スミスの面目躍如ですね。
 

Sonny_rollins_gmen

 
3曲目の「Don't Stop The Carnival」は、これまたロリンズお得意の「カリプソ調」の演奏。この演奏で、ボブ・クランショウのエレベの響きに耳を奪われます。前の1〜2曲目の演奏でも、このクランショウのエレベの響きの素晴らしさに気がつくのですが、この3曲目の演奏で、その「気づき」が「確信」に変わります。実はこのライブ盤でのクランショウのエレベは素晴らしい。アコベにひけをとらないエレベの響き。このレベルであれば、純ジャズにおいてエレベも「アリ」ですね。

ラストの「Tenor Madness」はハードバップ時代のロリンズの名曲ですが、バンド全体が一体となって、ソロ・フレーズを吹きまくり、弾きまくり、叩きまくります。この一体となった演奏野中で、ロリンズは限りなく自由なアドリブ・フレーズを吹きまくります。決してアブストラクトに、決してフリーキーにならないロリンズの自由なアドリブ。一瞬、コルトレーンの自由なアドリブを思い出しました。

実はこのライブ盤、録音状態はまあまあなレベルでそれだけが「玉に瑕」なのが実に惜しい。それでも、まずまず聴けるレベルではあるので、まずはロリンズ者(ロリンズ・ファン)の方々にはマスト・アイテムでしょう。これだけ圧倒的迫力を持って、全編吹きまくるロリンズは実に魅力的です。

 
 

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2015年3月11日 (水曜日)

ロリンズは豪快に吹きまくる

ブルーノート・レーベルのソニー・ロリンズの第2弾になる。『Sonny Rollins, Vol. 2』(写真左)。ブルーノートの1558番。1957年4月の録音。ちなみにパーソネルは、J.J. Johnson (tb), Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p), Thelonious Monk (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。

自作曲の2曲「Reflections」と「Misterioso」に限って、ピアノにセロニアス・モンクが座る。 それ以外は、ファンキー・ピアニスト、ホレス・シルバーが担当する。ホレス・シルバーとソニー・ロリンズって、ブルーノートならではの組合せ。ありそうで無い。相性はどうなんだろう。

よくよく見れば、ベースには、ポール・チェンバース、ドラムにアート・ブレイキ−。ソニー・ロリンズとベースのチェンバース、ドラムのブレイキーの組合せは、これまた珍しい。ブルーノートならではの組合せ。これもありそうで無い。特に、ロリンズとチェンバースの組合せは珍しいのではないか。

そんなブルーノート・レーベルならではのスペシャルなパーソネルの下、アルバムの中では「大ハードバップ大会」が繰り広げられている。時は1957年。ハードバップのトレンドがピークに差し掛かる時代。この『Sonny Rollins, Vol. 2』では、絵に描いた様なハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。
 

Sonny_rollins_vol2

 
冒頭の自作曲「Why Don't I?」から、ロリンズは飛ばしまくる。そうそう、ロリンズはこうでなくては。『Sonny Rollins, Vol. 1』のロリンズは、他のメンバーに遠慮していたのか、大変、お行儀の良いテナーで、なんだか歯がゆい感じがズッとする、ロリンズに冠してはちょっと不完全燃焼な盤だったが、この『Sonny Rollins, Vol. 2』は違う。

続く自作曲「Wail March」でもロリンズは豪快に吹きまくる。そして、3曲目がモンクの「Misterioso」。この難曲をロリンズはいともたやすく、豪快に吹き上げていく。これだけ豪快な「Misterioso」もなかなか無い。モンクの曲と言えば、続く4曲目の「Reflections」も良い。この2曲で、ロリンズのテナーのテクニックは確かなものであることを確信する。

こうやって、この『Sonny Rollins, Vol. 2』を聴いていると、意外とベースのチェンバース、ドラムのブレイキーとの相性が非常に良いことが判る。特に、ブレイキーはノリにノっていて、バッシバッシと大はしゃぎである(笑)。それでも、ブレイキーのリズム&ビートは揺らぎと破綻が無く、堅実かつ豪快に叩きまくる。これがロリンズの豪快なテナーにバッチリなのだ。

ちょっと意外感のある、大変お行儀の良い『Sonny Rollins, Vol. 1』に比べて、この『Sonny Rollins, Vol. 2』では、ロリンズの有るべき姿を確認することが出来る。初期の頃のロリンズを愛でるには『Sonny Rollins, Vol. 2』でしょう。やはり、ロリンズは豪快にブロウし、悠然とスイングするのが良い。

 
 

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