2025年12月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・311

最近、僕はこの人のギターがお気に入り。Pasquale Grasso(パスクァーレ・グラッソ)。イタリア出身で現在はニューヨークを拠点に活躍中。アート・テイタムやバド・パウエルの表現をギターで表現することに挑み、そのうえで、バップな即興演奏を深化させている。

Pasquale Grasso『Fervency』(写真左)。2025年3月リリース。ちなみにパーソネルは、Pasquale Grasso (g), Ari Roland (b), Keith Balla (ds)。グラッソのレギュラートリオともいえる編成でのリーダー作の第7作目。タイトルは「情熱」を意味する言葉。自作曲が2曲、残りは、ジャズ・スタンダード曲。

ジャズの先人たちをリスペクトしつつ、グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法で、先人達の名曲に新しい魅力を付加している。とにかく、グラッソのギター・テクニックには聴くたびに驚愕する。ギターの表現力を広げ、圧倒的なテクニックとイマジネーション豊かなフレージングで、グイグイと聴き手に迫る、グラッソの「バップ・ギター」。
 

Pasquale-grassofervency

 
硬軟自在、緩急自在、変幻自在な疾走感溢れるグラッソのギターが圧倒的。バド・パウエルの1958年のアルバム『Time Waits』収録の「Sub City」にはじまり、「Milestones」「Cherokee」「Lady Bird」「Bag's Groove」など、有名ジャズ・スタンダード曲がずらり。しかし、手垢の付いた、ありきたりの、「今までに良く聴いた」みたいな、有名ジャズ・スタンダード曲の演奏になっていない。

グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法がそうさせるのだろ、落ち着いてしっかりスピーカーの前で対峙していないと、何の曲なのか判らない位、ユニークなアレンジと弾きっぷり。その弾きっぷりは、ハードバップな、ビ・バップなギターである。速弾きによる疾走感と爽快感は筆舌に尽くしがたい。

彼のギターテクニックには「辣腕」という文字が相応しい。自作曲2曲の出来も良好。彼のギターには、まだまだ伸びしろがあり、表現の余白は広大。まるでピアノを弾いているか、の様に、ギターを弾きまくるグラッソ。リーダー作が通算7作もあるのに、我が国での認知度は低い。しかし、このグラッソのギターは聴きもの。ジャズ者の皆さんに、是非一度は聴いて貰いたい。そんな気持ちにさせる秀作である。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年11月24日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・310

リーダーのパーランとタレンタイン兄弟は、米国ペンシルベニア州ピッツバーグ出身の同郷で、ピッツバーグにいた時から共演を重ねた気心知れた仲。このパーラン盤でも、リラックスして息の合った内容の濃い演奏を繰り広げている。そこに、タッカーのベースとヘアウッドのドラムが、演奏のリズム&ビートしっかり支える。非常にバランスの取れた、柔軟性の高いクインテットである。

Horace Parlan Quintet『Speakin' My Piece』(写真左)。1960年7月14日の録音。ブルーノートの4043番。 ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Tommy Turrentine (tp), Stanley Turrentine (ts), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。フロント2管に「トミー&スタンリー」のタレンタイン兄弟を擁し、リズム・セクションに、パーラン・トリオを配したクインテット編成。

1960年、ハードバップが成熟した後期の録音。確かに、いかにもハードバップらしい、ハードバップの良いところを全部集めた、とにかく、音も響きもフレーズもなにもかもが、ハードバップらしい、ピアノのホレス・パーランがリーダーのクインテット盤。ホレス・パーランの規律あるピアノが、いかに「伴奏上手」に貢献しているかが良く判る内容になっている。
 

Horace-parlan-quintetspeakin-my-piece

 
まず、パーランの規律あるピアノのバッキングが耳に残る。パーランのピアノの個性「ロック・コード弾きでグイグイ押しまくる。短い連続フレーズを間を取りながら繋げる独特のアドリブ・フレーズ。右手のリズム・タッチのドライヴ感」が、フロント管を擁する編成でのバッキングに、好要素として反応するからだろう。パーランのピアノの個性は、フロント管のバッキングに最適なのだ。

そんなパーラン率いるピアノ・トリオのバッキングのもと、トミー・タレンタインのトランペット、スタンリー・タレンタインのテナーが躍動感溢れる、ファンキーなフレーズを吹きまくる吹きまくる。ユニゾン&ハーモニーは魅惑的な響きを撒き散らし、それぞれのソロは切れ味良く、溌剌として、ファンクネスを撒き散らす。どちらも、ソロに入るときの「ぶわーっ」という音圧が、いかにもハードバップという感じで「アガる」。

パーランの規律あるピアノの見事なバッキングと、異常なほど振り切れてるタレンタイン兄弟のフロント・パフォーマンス、そして、それを支えるタッカーとヘアウッドのリズム隊。聴きどころ満載のハードバップ盤。この盤にはジャジーな「黒さと煙」が漂って周りの風景が霞んでいるような、そんなファンクネス溢れるハードバップが詰まっている。ハードバップな名盤の1枚でしょう。
 
 

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2025年11月22日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・309

素晴らしい内容のピアノ・トリオ盤。詰まっている音は、当時最先端の「限りなくフリーに近いモーダルなジャズ」。完全フリー・ジャズでは無い。トリオ演奏のベースは、あくまで、ハードバップの延長線上に一番先にある決め事に則った、メインストリーム志向の純ジャズなピアノ・トリオのサウンド。

Gary Peacock Trio『Eastward』(写真左)。1970年2月4-5日、川口市民会館での録音。ちなみにパーソネルは、Gary Peacock (b), Masabumi Kikuchi (p), Hiroshi Murakami (ds)。純ジャズ・ベースの賢人、ゲイリー・ピーコックがリーダー、菊地雅章のピアノ、村上寛のドラムを従えた、ジャズ・ベースがリーダーのピアノ・トリオ盤。

ベーシストがリーダーのジャズ盤は、リーダーのベーシストが「こんなジャズをやりたい」という演奏スタイル、演奏内容を音として具現化していく、という制作方向性があるが、ここでは、リーダーのピーコックが、この「限りなくフリーに近いモーダルなジャズ」を所望したのであろう。そして、呼ばれたピアノが菊地雅章、ドラムが村上寛。そして、録音場所が埼玉県の「川口市民会館」。

東京へ静養しに来日していたピーコック。日本のレコード会社に見つかり、当時の若手の日本人ジャズマン二人と吹きこんだ初リーダー作。ピーコックとしても、降って湧いた様なレコーディング。それでも、菊地と村上の特性と個性を見抜いて、この若手二人に、上質の「限りなくフリーに近いモーダルなジャズ」をパフォーマンスさせる。偶発的なセッションだが、見事な内容のモード・ジャズを、初リーダー作をものにしている。
 

Gary-peacock-trioeastward

 
ベーシストがリーダーの盤の割には、ベース音のレベルが低めなのが気になるが、音量を上げると、しっかりとピーコックの自由奔放、変幻自在、硬軟自在、緩急自在な「限りなくフリーに近いモーダルな」ベース・パフォーマンスを聴き取ることができる。このピーコックのベースが醸し出すグルーヴが、実に硬派で先鋭的で自由度が高いグループ・サウンドを創り出していく。さすが「リーダー」のベースである。

そんなベースが好要素だったのだろう。菊地のピアノがいつになくメインストリーム志向していて、実に硬派な実に流麗なモーダルなピアノ・パフォーマンスを聴かせてくれる。菊地がここまで、メインストリーム志向でクールで流麗なモーダルなピアノを弾き回すとは思わなかった。十分、世界に通用するパフォーマンスである。

村上のドラムも大健闘。ピーコックの自由奔放なベースのリズム&ビートに柔軟に反応、追従して、菊地のピアノをサポートし鼓舞する。ピーコックとのインタープレイも見事。村上のドラムのリズム&ビートが、ピーコックと菊地の自由度をコントロールしている。ピーコックが自由奔放なアドリブ・パフォーマンスを安心して繰り広げられるのも、井上のドラムがあってこそ。

メンバーの自作曲だけで締められた選曲も良い。スタンダード曲だと、スタンダード曲の旋律と既成概念に縛られるところがあるが、モードが前提の自作曲なだけ、メンバーそれぞれが、自らのイマジネーションのおもむくまま、限りなく自由度の高いモーダルな演奏を展開出来る。しかし、1970年の我が国で、これだけ優れた内容のモーダルなピアノ・トリオ盤が創造されていたとは。今の耳で聴いても、十分に鑑賞に耐える。秀作です。
  

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2025年11月18日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・308

スチュ・ウィリアムソン(1933年5月14日 - 1991年10月1日)。米国のジャズ・トランペット奏者、バルブ・トロンボーン奏者。ジャズ・ピアニストのクロード・ウィリアムソンの弟。

スタン・ケントン楽団出身のトランぺッターであり、ウッディ・ハーマン、ビリー・メイ、チャーリー・バーネット、シェリー・マンらと共演。ウエストコースト・ジャズを代表するトランペッターの1人。1968年以降、薬物使用と健康問題により、彼は音楽界から姿を消した。

Stu Williamson『Stu Williamson Plays』(写真左)。1955年の録音。ベツレヘム・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Stu Williamson (tp), Charlie Mariano (as), Claude Williamson (p), Max Bennett (b), Stan Levey (ds)。

リーダーを務めたセッションは比較的少ないが、ウエストコースト・ジャズを代表するトランペッターの1人、スチュ・ウイリアムソンの初リーダー作。スチュのトランペットとマリアーノのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

そんなスチュ・ウィリアムソンの落ち着いた明るいトーンの素直で端正なトランペット。癖のない、破綻の無いトStu Williamson Discography: Vinyl, CDs, & More | Discogsランペットだが、音の質が良い。聴いていて心地良いのだ。荒削りでダイナミックな個性的なトランペットでは無いが、安心して聴ける、良質なトランペットである。ウエストコースト・ジャズらしい、そのテクニックの確かさも好感度良好。
 

Stu-williamsonstu-williamson-plays

 
そんなトランペットが、ジャズ・スタンダード曲で映える。特に、ウエストコースト・ジャズの良好なアレンジの下、「聴かせるジャズ」「聴いて心地の良いジャズ」にピッタリなのだ。「There Will Be Another You」の真っ正直なフレーズや「The Things We Did Last Summer」の素直でストレートな吹きっぷりを聴いていると、このシンプルさが、たまらなく良く聴こえてくる。

チャーリー・マリアーノのアルト・サックス、クロード・ウイリアムソンのピアノ、マックス・ベネットのベース、スタン・レヴィーのドラムと、ウエストコースト・ジャズの一流どころをズラリ取り揃えたバックも良い。さすが、ベツレヘム・レコードの感性と寒心することしきり。

マリアーノのアルト・サックスが、心地良い力強さで歌心満点のソロを聞かせてくれる。兄のクロード・ウイリアムソンが、ウエストコースト・ジャズ志向のバップ・ピアノで、スチュをサポートし鼓舞する。マックス・ベネットのベースは「堅実、安定」のベースで演奏の底を支え、スタン・レヴィーが「聴かせる」「聴いて心地良い」リズム&ビートを供給する。

温もりある音色で朗々と素直に吹き上げていくスチュ・ウイリアムソンのトランペット。そして、ウエストコースト・ジャズの「聴かせる」アルチザンが集結したアルト・サックス+リズム・セクション。ヘビー・ローテーションに耐える、いかにもウエストコースト・ジャズらしい好盤です。
 
 

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2025年11月15日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・307

デンマーク出身のジャズ・ベーシストの名手レジェンドといえば、ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセンの名前がいの一番に浮かぶ。惜しくも2005年4月に鬼籍に入ってしまったが、彼のベースは、ソリッドなブンブン唸る重低音ベース。ピッチもバッチリ合ったヴァーチュオーゾであった。

Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin『Synesthesia』(写真左)。2017年6月14-15日の録音。ちなみにパーソネルは、Thomas Fonnesbæk (b), Justin Kauflin (p)。デンマークの現代ジャズ・ベースの名手、トーマス・フォネスベックと、米国の中堅ピアニスト、ジャスティン・カウフリンによるデュオ盤。

トーマス・フォネスベックもデンマーク出身。ペデルセンの跡を継ぐ、中堅ベーシスト。今年48歳。ベース音がペデルセン直系。ソリッドなブンブン唸る重低音ベース。ペデルセンよりややライトで明るい音色。テクニックはペデルセン同様、相当に高い。

ジャスティン・カウフリンは、米国出身のピアニスト。今年39歳。11歳のとき、病により視力を失い、以降は盲目のピアニストとして活躍を続けている。端正で美しく鳴る、耽美的でリリカルな印象派ピアノ。優しい「ミシェル・ペトルチアーニ」なイメージ。米国出身ながら、音の傾向は「欧州」。
 

Thomas-fonnesbaek-justin-kauflinsynesthe

 
冒頭のタイトル曲「Synesthesia」から、デュオの2人は出力全開。ソリッドでブンブン胴鳴りを響かせながら、重低音のベースラインを弾きまくる。ピッチがバッチリ合っていて、聴いていて気持ちが良い。そして、そこに、欧州的響きの耽美的でリリカルな印象派ピアノが絡み追従する。このデュオ、面白いのは、ベースがリードして、ピアノが追従するイメージで、グイグイ引っ張る様なイメージのフォネスベックが恰好良い。

デュオ演奏として、ピアノとベースはもともと相性が良いが、このフェネスベックのベースとカウフリンのピアノの相性は相当に良い。これだけ、速いテンポでインタープレイを続けても、音がぶつかりそうになることも、音が単調になることも無い。

3曲目のスタンダード「It's All Right With Me」は美しいことこの上ない。ベースが前面出る時はカウフリンが、ピアノが前面に出る時にはフォネスベックが、極上の伴奏フレーズを叩き出す。インタープレイは硬軟自在、変幻自在、緩急自在に、心地良い一体感を醸し出す「絡み」は極上の美しさ。

しかし、凄まじいレベルのベースとピアノのデュオ。硬軟自在、変幻自在、緩急自在、テクニックのありったけを尽くして、そして、豊かな歌心を宿して、ベースもピアノも唄う様に、デュオ・パフォーマンスを繰り広げていく。このデュオ盤、現代のベースとピアノのデュオ盤の「名盤」として良い内容を誇っている。素晴らしいデュオ盤である。
 
 

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2025年11月10日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・306

このレーベルの一番の特色は、米国の東海岸と西海岸の両方にオフィスを構え、偏ること無く、双方のジャズマンのリーダー作をリリースしたこと。ハードバップ期の黒人中心の東海岸ジャズと、白人中心の西海岸ジャズを偏ること無くピックアップし、記録していった珍しいジャズ・レーベル。音作りも、東西混成のユニークなハードバップが散見されるところがこのレーベルの個性でもある。

Jimmy Knepper『A Swinging Introduction to Jimmy Knepper』(写真左)。1957年9月の録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Knepper (tb), Gene Roland (tp, vo), Gene Quill (as), Bill Evans (p), Teddy Kotick (b), Dannie Richmond (ds)。ミンガスのコンボで頭角を表したジャズ・トロンボーンの名手の二枚目のリーダー作。

白人らしい、あっけらかんとしたトロンボーンの響き。トロンボーン独特の「茫洋とした響き」を上手く活かして、印象的なフレーズを紡ぎ上げていく。こういうところ、ニッパーはとても上手い。「茫洋とした響き」のトロンボーンを印象的に聴かせるテクニック。それがこの盤の一番の「聴きどころ」。荒削りながら快活なソロには、思わず耳を傾ける。
 

Jimmy-kneppera-swinging-introduction-to-

 
サイドメンは、ビル・エバンス、ジーン・クイル、ジーン・ローランド、テデイ・コテック、ダニー・リッチモンド、と東西の一流どころがズラリ。バックのリズム・セクションがしっかりしているのも、この盤の良いところ。リズム・セクションがしっかりしていると、フロント管も吹きやすい。ニッパー、ローランド、クイルのフロント3管は、いずれも、リラックスして伸び伸びと吹きまくる。ローランドはボーカルまで披露している。

冒頭の「Love Letters」を聴けば、このアルバムの特徴が良く判る。メンバーは米国西海岸ジャズからがメイン。イントロは、ほど良くアレンジされ、西海岸ジャズらしい「聴かせるジャズ」かな、と思うんだが、アドリブ部に入ると、それぞれのメンバーが、個人のスキルを活かして、バリバリのソロを聴かせてくれる。このアドリブ・ソロの響きは、東海岸ジャズの雰囲気に近い。ビル・エヴァンスのピアノ・ソロなど、東海岸でのプレイそのもの。

このアルバムは、西海岸ジャズの良さと、東海岸ジャズの良さが、ハイブリッドに交わって、東西混成のハードバップ・ジャズが展開されている。良きアレンジと、熱いソロ・パフォーマンス。これは、ベツレヘム・レーベルならではの成果では無いか。僕はそう睨んでいる。
  
 

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2025年11月 6日 (木曜日)

ジャス喫茶で流したい・305

僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1978年。そして、その翌年、このアルバムを聴いた時、その時点での、その時代での日本のジャズは、世界のジャズに比肩するレベルにあることを初めて確信した。我が国の音楽は、西洋、欧州や米国の後塵を拝してきたイメージがあったが、ジャズは違う。そう感じさせてくれたアルバムがこれだった。

富樫雅彦 & 鈴木勲『陽光』(写真左)。1979年2月1-3日、東京での録音。ちなみにパーソネルは、富樫雅彦 (ds, perc, synth, solina), 鈴木勲( b, piccolo-b, cello, p, solina)。我が国の純ジャズ系ドラマーの鬼才レジェンド、富樫雅彦と、我が国のジャズ・ベーシストのレジェンド、鈴木勲とのデュオ盤。

富樫雅彦は本職はドラム、鈴木勲は本職はベース。ドラムとベースのデュオか。ちょっと地味な感じがして、聴いていて飽きなければ良いが、と思いつつ、レコードの針を落としたら、ほど無くピアノの音が滑り込んできたので、あれ、ドラムとベースのデュオじゃなかったか、とパーソネルを見ると、富樫がシンセサイザーを、鈴木がピアノとシンセサイザーを弾いていて、の多重録音。
 

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演奏の基本は、フリー〜スピリチュアル・ジャズ。フリーの部分は、米国東海岸の様な、激情に身を預けて、心の赴くまま、無勝手流に弾き散らすのでは無く、現代音楽のエッセンスを融合した、広がりと間を活かした即興演奏をベースとした、独特のフリー・ジャズ。演奏全体の透明度と間の静謐度の濃い演奏は、欧州のECMレコードに通じる、レベルの高いものだった。

理路整然としたフリーな演奏、その透明度の高さ、間の静謐度の高さは、和ジャズ独特の「侘び寂び」を基本とした、スピリチュアル・ジャズを表現している。リズム&ビートは即興をベースとしていて、この辺りは、ECMレコードの「ニュー・ジャズ」を展開を踏襲している様に感じるが、音の暖かさとカラフルさは、和ジャズ独特の「ニュー・ジャズ」である。

冒頭の「A Day Of The Sun」。シンセとピアノのイントロからサンバ・ビートに展開するスピリチュアル・ナンバー。このタイトル曲に代表される様に、この盤には、我が国独特のフリー〜スピリチュアル・ジャズが詰まっている。1979年度・スイング・ジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞受賞作品。この大賞受賞は納得。世界のジャズに比肩する、アーティスティックな、ニュー・ジャズ志向のフリー〜スピリチュアル・ジャズでした。和ジャズの名盤の1枚でしょう。
 
 

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2025年11月 2日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・304

プリズム(PRISM)は、和田アキラ(ギター)と渡辺建(ベース)を中心に1975年に結成された、クロスオーバー&フュージョン・バンド。今となっては、マイナーな存在に甘んじているが、結成当時は人気のバンド。インスト重視、高い演奏レベル、ロックをベースに、ジャズ、エスニカン・ミュージック、プログレッシブ・ロックなどを取り込んだ、ロックからアプローチしたクロスオーバー&フュージョン志向の音世界は、唯一無二な個性だった。

PRISM『SURPRISE』(写真左)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、和田アキラ (g), 佐山雅弘(p, key), 渡辺建 (b), 青山純(ds)。プリズムの、ライヴ盤含めて、デビュー以来、4枚目のアルバム。このアルバムから、ピアノ、キーボードに佐山雅弘、ドラムに青山純が参加している。プリズムの音がダイレクトに伝わってくる、プリズムのキャリア上、最高傑作の誉れ高い秀作である。

プリズムの音が特徴的。リズム&ビートの雰囲気を聴くとクロスオーバー&フュージョン・テイストなんだが、フロントのエレギの音はロック・テイスト。バックの演奏の雰囲気がイニシアチヴを取ると演奏全体の雰囲気はクロスオーバー&フュージョン志向になるが、フロントの和田のエレギがイニシアチヴを取り出すと、途端に演奏全体の雰囲気はロック志向になる。
 

Prismsurprise

 
そして、リズム&ビートが、確実に「和クロスオーバー&フュージョン」仕様。ロックからアプローチした、クロスオーバー&フュージョン・ジャズでありながら、米国のクロスオーバー&フュージョン・ジャズに特徴的な「ファンクネス」が感じられないスンナリ&スッキリした、乾いたオフ・ビートが特徴的。明らかに、プリズムは、日本仕様のクロスオーバー&フュージョン・ジャズ・バンドの代表的存在のひとつなのだ。

そんなリズム&ビートが醸し出す独特のグルーヴ感が堪らない。そんな独特のグルーヴに乗って、和田アキラのバカテク・ギターが疾走する、佐山雅弘のキーボードが飛翔する。和田のギターは当初通りロック・テイスト優先なんだが、佐山雅弘のキーボードはジャジーで、この佐山のジャズ志向のフレーズが、プリズムのクロスオーバー&フュージョン志向を色濃くしている。ロック志向の和田のギター、ジャズ志向の佐山のキーボード。この二者のインタープレイが、このアルバムの音世界を決定付けている。

このプリズムの圧倒的な演奏テクニックと整然としたバンド・アンサンブルは、明らかに日本のフュージョン・バンドの個性。このロックからアプローチしたクロスオーバー&フュージョン志向の音世界は、プリズム独特の音世界。ロック・インストの良いところと、クロスオーバー&フュージョン・インストの良いところを併せ持った音世界は、和ジャズの真骨頂。良いアルバムです。
 
 

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2025年10月29日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・303

スコット・ハミルトン(Scott Hamilton)。1954年9月12日生まれ。今年で71歳。米国ロードアイランド州出身。1976年にニューヨークに移り、1977年に初リーダー作『Scott Hamilton Is a Good Wind Who Is Blowing Us No Ill』(Concord Jazz)でメジャー・デビュー。ジャズ・サックスが、皆「コルトレーン」スタイルを踏襲する中、オーソドックスな吹奏スタイルを守り通し、現在では、オールド・スタイル・テナーのレジェンド。

Scott Hamilton『Looking Back』(写真左)。2024年1月14 -16日、スウェーデンでの録音。ちなみにパーソネルは、Scott Hamilton (ts), Jan Lundgren (p), Hans Backenroth (b), Kristian Leth (ds)。『Danish Ballads & More』『Classic』に続く、モダンジャズ全盛期にもかかわらずオーソドックスなスタイルを守り通す、硬派なテナー奏者、スコット・ハミルトンが、ヤン・ラングレン率いる「北欧ピアノ・トリオ」をバックにした好盤。

ヤン・ラングレン (スウェーデン), ハンス・バッケンルート (スウェーデン), クリスチャン・レト (デンマーク) の北欧のピアノ・トリオ、ヤン・ラングレン・トリオをバックに、スコット・ハミルトンが、朗々と悠然とテナー・サックスを吹き上げていく。これがまあ「絶品」なのだ。透明度の高い、耽美的でリリカルな、北欧ジャズのピアノ・トリオの音世界に、ハミルトンのテナーがバッチリ合う。
 

Scott-hamiltonlooking-back

 
ゆったりとした、朗々と吹き上げていくテナーだが、これ自体がテクニックの塊。フレーズの音に変な揺らぎが無く、ピッチがずれることはない。ロングトーンにも音の揺らぎが無い。これ、凄いテクニック。このテクニックに裏打ちされているからこそ、ハミルトンのバラード・プレイは映えに映えるのだ。加えて、音が心地良い塩梅に「太い」。マイルドだが芯の入った音は、歌心と説得力・訴求力抜群。加えて、スイング感、ドライブ感も抜群なのだから、申し分無い。

冒頭、あの有名ミュージカル映画・マイ・フェア・レディの挿入曲「I’ve Grown Accustomed to Her Face」から始まり、マイルスの演奏でも知られるレオ・ドリーブの歌曲「The Maids of Cadiz」続く、トミー・フラナガン作の隠れ名曲「Beyond the Bluebird」、スコット・ハミルトンの自作の佳曲「Big Tate」、そして、ホーギー・カーマイケルの名曲「Rockin’ Chair」と、ここまで聴き続けると、もう、ハミルトンのオールド・スタイル・テナーの魅力にどっぷりと填まっている。

今年71歳のハミルトン。オールド・スタイルのテナーは健在。というか、オールド・スタイルのテナーの魅力が増幅されている。選曲も良い、アレンジも良いのだろうが、バックに北欧の強力なピアノ・トリオを配した、というのも、ハミルトンのオールド・スタイルなテナーが映えに映える、大きな理由だろう。聴けば聴くほど、味わいが深くなる、現代のネオ・ハードバップの秀作である。
 
 

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2025年10月19日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・302

フランク・ロソリーノは、ケントン楽団、ライトハウス・オールスターズなどで活躍した実力派トロンボーン奏者。テクニック優秀、豪快で端正で破綻が無い。フレーズの歌心満点。そして、ロソリーノのソロは結構、自由度が高い。凄まじいテクニックで自由度の高いアドリブを繰り広げる。そんなロソリーノのソロが映え、個性が良く判る、ロソニーノのトロンボーンを知る上で、真っ先に聴きたいのがこのアルバムである。

Frank Rosolino『I Play Trombone』(写真左)。1956年5月、ハリウッドでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Frank Rosolino (tb), Sonny Clark (p), Wilfred Middlebrooks (b), Stan Levey (ds)。

西海岸を代表するジャズ・トロンボーンの名手、フランク・ロソリーノが、ソニー・クラーク(以降、ソニクラ)を含むトリオをリズム・セクションに従えた、ロソニーノのトロンボーン1管の、いわゆつ「ワン・ホーン・カルテット」。

それほど、この盤は、ロソニーノの個性と実力を知る上での重要作&代表作である。まず、トロンボーン1管のワンホーン・カルテットである。ワンホーンが「こけたら」終わりである。しかも、演奏難度の高いトロンボーンである。しかし、ロソニーノはそんなこと気にすること微塵も無いか如く、テクニック優秀、端正で破綻が無い、自由度が高い。凄まじいテクニックで自由度の高いパフォーマンスを繰り広げていく。圧巻である。
 

Frank-rosolinoi-play-trombone

 
収録曲については「I May Be Wrong (But I Think You're Wonderful)」「The Things We Did Last Summer」「Flamingo」のスタンダード曲3曲と、ソニー・ロリンズ作「Doxy」、ここまでのスタンダード4曲のロソニーノは、ミュートを活用したりの「抑制の美」。逆に、ロソリーノ作の「Frieda」「My Delux」、2作の自作曲のロソリーノは、パワフルに豪快に、凄まじいテクニックで自由度の高いアドリブ吹きまくる。

「My Delux」を除きテンポはミッドテンポ。これは「速いフレーズが不得手」というトロンボーンという楽器の性格上、仕方のないこと。それでも、トロンボーンとして驚くほど速くて正確な、そして、トロンボーンの音の特性を活かした、大らかでほのぼのした演奏は、ロソリーノならではのもの。

バックのリズム・セクションも聴きもの。西海岸における、ソニクラの「そこはかとなく芳しいシンプルなマイナー調」の、タッチは強くて深く、独特な打鍵のタイミング、そして、テクニックは端正という、ソニクラの伴奏上手な、サポート上手なグルーヴィーなピアノを堪能することが出来る。レヴィーのシャープなドラミング、ミルドブルックスの堅実ベースも良い出来。

ジャズ・トロンボーンと言えば、我が国は東海岸ジャズ偏重だったが故、J.J.ジョンソン、カーティス・フラー以上、な状態だったが、1980年代、西海岸ジャズの音源が、我が国でも紹介されるようになって、このフランク・ロソニーノのトロンボーンが’注目される様になった、と記憶する。特に、このベツレヘム・レーベルでのこのリーダー作がリイシューされて以降だろう。良いアルバムです。
 
 

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