ピアノ・トリオの代表的名盤 114
伊ジャズの至宝ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィが、サイドメンがマーク・ジョンソンのベースにポール・モチアンのドラムスという、時期は異なるがビル・エヴァンス・トリオのサイド・メンだったメンバーだった二人を従えてのピアノ・トリオの素晴らしいライヴ音源である。
Enrico Pieranunzi, Marc Johnson & Paul Motian『The Copenhagen Concert』(写真左)。1996年12月2日、コペンハーゲン・ジャズハウスでのライヴ録音。2022年のリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Marc Johnson (b), Paul Motian (ds)。
冒頭、モチアン作の「Abacus」から、濃密なインタープレイが始まる。ビル・エヴァンス・トリオのサイド・メンだったメンバーだったベースとドラムスでのトリオのインタープレイ。どこか、エンリコのピアノは、ビル・エヴァンスのプレイを彷彿とさせるが、聞き進めていくと、フレーズの組み立て、音の重ね方、音の響き、それらは全く違う。
エンリコの旋律の響きは「欧州的」。クラシックに根ざした、硬質で端正なユニゾン&ハーモニーが実に欧州的。耽美的ではあるが、決して、抒情的に流されない、端正で破綻の無い、キッチリかっちりしたインプロビゼーションがピエンリコのピアノの一番の個性。
耽美的でリリカルでメロディアスなところは「エヴァンス派」。しかし、硬質で端正なユニゾン&ハーモニーが実に欧州的ところがエンリコのオリジナル。
このライヴ・パフォーマンス、トリオのメンバー3名とも絶好調。特にエンリコ絶好調。絶妙なテンポ・チェンジ、美旋律の極みの白熱のソロ、リリカルで耽美的なフレーズの連発、鋭い即興、エンリコの個性全開、オリジナリティー全開である。スタンダード曲の解釈も個性的で素晴らしい。
サイドメンも絶好調。伸び伸びとした鋼の様なベースを展開するジョンソンが凄く魅力的。さすが、ビル・エバンスの最後のベーシスト。エバンス派エンリコとの相性は抜群。柔軟なソロを展開するジョンソンが躍動する。
そして、ポール・モチアンのドラムが最高。さすが、レギュラーなビル・エバンス・トリオ最初のドラマー。微妙な間を意識したモダンで粋なドラミングは、ポール・モチアンならではのもの。唯一無二なドラミングは聴きこたえ抜群。
エバンス派のエンリコの面目躍如。欧州的な硬質で端正なユニゾン&ハーモニーで、耽美的にリリカルに、バップなピアノを弾きまくる。そして、エヴァンスのパートナーであった、マーク・ジョンソンとポール・モチアンと最高のインタープレイを展開する。21世紀のピアノ・トリオの傑作の一枚である。
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