2026年5月 4日 (月曜日)

69年のカウント・ベイシー楽団

1969年のカウント・ベイシー楽団の演奏である。ジャズ人気は曲がり角を迎え、演奏内容もフリー、スピリチュアル、クロスオーバー、そして、電気楽器での演奏が混ざって、混迷の度合いを深めつつある時代。そんな時代に、このアルバムは、ドイツのジャズ専門レーベルMPSレーベルの創設者ハンス・ゲオルク・ブルーナー=シュヴェアの強い要望により制作されたものとのこと。

Count Basie and His Orchestra『Basic Basie』(写真左)。1969年10月20日の録音。 MPSレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Oscar Brashear, Gene Coe, Sonny Cohn, Waymon Reed (tp), Frank Hooks, Grover Mitchell, Mel Wanzo (tb), Bill Hughes (b-tb), Marshal Royal, Bobby Plater (as), Eric Dixon, Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Charlie Fowlkes (bs), Freddie Green (g), Norman Keenan (b), Harold Jones (ds), Chico O'Farrill (arr)。

このアルバムは、ベイシー楽団の黄金時代を支えたスタープレイヤーたちが去った後、新たな布陣で「ベイシー・スタイル」の真髄であるシンプルかつ強力なスウィングを追求した作品となっている。1曲が約2〜3分と短くまとめられた12曲のスタンダード・ナンバーで構成されており、無駄を削ぎ落とした「機能美」とも言えるアンサンブルが特徴で、とても聴き易く、親しみ易い内容となっている。
 

Count-basie-and-his-orchestrabasic-basie  

 
タイトルの通り、ベイシー・スタイルの「基本(Basic)」に立ち返り、装飾を排した純粋なスウィングを追求しているところが良い。ベイシー楽団初心者にも判り易く、ベイシー楽団の個性と特徴が良く理解出来る内容になっている。しかも、それまでは、ピアニストとして前面に出ることを控えていたベイシー本人が、通常よりも長くピアノ・ソロを披露しているところもこのアルバムの大きな特徴である。

演奏を追って聴いていて、やはり、アレンジが良いのだろう。アフロ・キューバン・ジャズの大家チコ・オファリルが、ベイシー独特の「間」と「スウィング感」を完璧に理解したアレンジを施していて、これがこのアルバムの成功につながっている。それと、ドラマーの交代が良い効果を生んでいる。 長年連れ添ったソニー・ペインに代わり、より正確で抑制の効いたドラマー、ハロルド・ジョーンズが加入したことで、バンドに新たな規律が生まれ、軽快さを備える様になっている。

4曲目「Red Roses for a Blue Lady」、続く「Moonglow」、8曲目の「Sweet Lorraine」、9曲目「Ain't Misbehavin'」、11曲目「As Long as I Live」などでベイシーのピアノが堪能できる。1950年代の黄金期(ニュー・ベイシー時代)と1970年代以降のパブロ・レーベル期を繋ぐ「円熟味を増した隠れた傑作」として評価出来る好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月22日 (水曜日)

エリントン楽団の小作品集です

リラックスして聴けるビッグバンドの演奏の数々。ピアノをストレイホーンに全面的に任せている曲や、珍しい楽器(バスクラリネットやバイオリンなど)がソロをとる場面が多くあって、普段のエリントン楽団のビッグバンド・サウンドとは一味違う、「室内楽のような親密さ」を感じられるのが最大の特徴。

Duke Ellington『Blues in Orbit』(写真左)。1958年2月4, 12日、1959年2月25日、12月2, 3日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Billy Strayhorn (p), Ray Nance (tp, vln), Britt Woodman (tb), Jimmy Hamilton (cl, ts), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), Jimmy Woode (b), Jimmy Johnson, Sam Woodyard (ds) をはじめとする、デューク・エリントン楽団。

当時のエリントン楽団の充実ぶりを伝える重要作として高く評価すべきアルバムである。豪華なブルース・ナンバーがやっぱり良い。「Three J's Blues」は、3人の「J」から始まる奏者、ジミー・ハミルトン(クラリネット)、ジョン・サンダース(トロンボーン)、ジョニー・ホッジス(アルトサックス)のソロをフィーチャーした12小節ブルース。「C Jam Blues」は、エリントンの代表的なスタンダード曲。
 

Duke-ellingtonblues-in-orbit

 
このアルバムのタイトル曲は「Blues in Orbit」。非常にスローで重厚なブルース。夜の静寂を感じさせるような、深く落ち着いた演奏が、当時の「深夜のセッション」という録音環境を象徴している。アルバムの最後を飾る「Villes Ville Is the Place, Man」は、アップテンポでエネルギッシュな曲。ホッジスの伸びやかなサックスと、楽団全体のダイナミックなアンサンブルが最高に恰好良い。

エリントンの右腕、ビリー・ストレイホーンが作曲・編曲を手がけ、自らピアノも弾く、洗練されモダンな響きを持つ「Smada」。「Blues in Blueprint」は、低音のバスクラリネットが印象的な、不気味でミステリアスな雰囲気を持つブルース。エリントンとストレイホーンによる実験的な響きがユニーク。

ブルースを中心とした小作品集。当時、エリントンが取り組んでいた組曲形式の大作とは対照的な内容。プロデューサーのテオ・マセロによると、セッションは深夜0時に始まり、午前2時にはステーキの出前で休憩を挟むといった、非常にリラックスした環境で録音されたとのこと。「ルーズなジャム(即興)」志向の、当時のエリントン楽団としては珍しいスタジオ録音盤。バーチャル音楽喫茶「松和」のエリントンの愛聴盤の一枚である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年3月26日 (木曜日)

この盤にも”一本取られた感”満載

ランディ・ウエストン(Randy Weston)は、ニューヨーク出身のピアニスト。1926年生まれ、2018年9月、92歳で鬼籍に入っている。デューク・エリントンやセロニアス・モンクの影響を色濃く感じるタッチの強さと不思議なフレーズの飛び方。そして、作曲の才にもつながる美しいメロディーラインが個性の、硬派なバップ・ピアニストだった。

Randy Weston『Blue Moses』(写真左)。1972年3ー4月の録音。ちなみにパーソンネルは、Randy Weston (el-p), Freddie Hubbard (tp), Grover Washington, Jr. (ts), Hubert Laws (fl),David Horowitz (syn), Ron Carter, Vishnu Bill Wood (b), Billy Cobham (ds), Phil Kraus, Airto Moreira, Azzedin Weston (perc), Madame Meddah (vo), Don Sebesky (arr, cond)。ここに、重厚なブラス・セクションが加わる。

CTIレコード、ドン・セベスキーのアレンジ、クリード・テイラーのプロデュース、そして、ビッグバンド・サウンド。これは、もう甘々のゴージャスなビッグバンド仕様のフュージョンだろう、と高をくくっても仕方の無い組合せ。それが、である。冒頭の長尺の「Ifrane」を聴けば「あら、ビックリ」。硬派な正統派なエレクトロニック・ビッグサウンドが炸裂する。うへ〜とひれ伏してしまう(笑)。
 

Randy-westonblue-moses

 
まず、硬派なバップ・ピアニストだったウェストンのエレピが良い味を出している。コンテンポラリーなエレクトリック・ジャズな雰囲気を色濃くしているのは、このウェストンのエレピの音色。よく聴くと、確かに、バップなピアノのマナーで、エレピを弾き倒しているのが判る。さすがウェストン、エレピを弾く時も、自分の弾き方の個性を全く失っていない。

そして、ハバードがトランペットをド派手に吹きまくる。目立ちたがり屋の真骨頂(笑)。しかし、そんなハバードを凌駕する、ど迫力でドライブ感抜群、力感溢れる硬派で正統派なテナーを吹きまくるのが、グローヴァー・ワシントン・ジュニアその人。最初、聴いていて、誰だ、この凄いテナーを吹きまくるのは、と思ってパーソネルを見たら、ワシントン・ジュニア。あのフュージョン・テナーの第一人者のワシントン・ジュニア。やはり、素性確かなテナー・マンだったのだ。

どこか、全体にアフリカンな響きが漂う、正当派なビッグバンド仕様のクロスオーバー・コンテンポラリー・ジャズ。この盤は一年前、初めて聴いて「目から鱗」。わが国では相当マイナーな存在だが、恐らく、この盤、CTI盤だからだろう。昨日も書いたが、この盤も、1970年代の硬派なジャズ盤としても良い内容。ほんと、CTI盤って、時々、こういうことがあるから隅に置けない。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年3月 9日 (月曜日)

シフリン節満載のジャズ・オケ盤

ラロ・シフリンは、アルゼンチンの作曲家、ピアニスト、指揮者。1950年代からディジー・ガレスピーの音楽監督を務め、1960年代、ヴァーヴ・レコードでの豪快なホーン・アレンジは印象に残る。ただ。シフリンはジャズのフィールドよりは、映画音楽のフィールドでの成果の方が有名である。

Lalo Schifrin『Towering toccata』(写真左)。1976年10, 12月の録音。CTI 5003番。ちなみにパーソネルは、Lalo Schifrin (p, key, arr, cond), Burt Collins, John Frosk, John Gatchell (tp), Urbie Green (tb), Joe Farrell, Jeremy Steig (fl), Gerry Niewood (as), David Tofani, Lou Marini (ts, fl), Ronnie Cuber (bs), Clark Spangler (key), Eric Gale, John Tropea (g), Will Lee (b), Steve Gadd (ds)。

映画音楽の巨匠で知られるラロ・シフリン。この盤は、自身の作や有名曲のカバーを合わせた映画音楽のジャズ・オーケストラ化をメインに構成されている。アレンジは全曲ラロ・シフリンが担当。いわゆる「シフリン節」が随所に織り込まれていて、アルバムとしては統一感がある。
 

Lalo-schifrintowering-toccata

 
パーソネルを見渡せば判るが、ジャズ・オーケストラのメンバーは、それぞれCTIのハウス・ミュージシャン総動員といった面持ち。一流ミュージシャンばかりなので、当然、その演奏のレベルは高い。ジャズ・オーケストラのアルバムとして、イージーリスニング志向のものとしては良好である。

冒頭のタイトル曲「Towering toccata」は、バッハの「トッカータとフーガ・ニ短調」をディスコ・タッチのジャズ・ファンクにアレンジしていて「粋」。有名な原曲のフレーズのお陰もあるが、粋なジャズ・オケなアレンジで、イージーリスニング・ジャズとして良い感じな演奏になっている。

この冒頭の一曲の「ディスコ・フレイバー漂う、クールでヒップなジャズ・ファンク」な雰囲気をメインに、アルバム全編、なかなか「粋」な、シフリン節溢れる、ジャズ・オーケストラの演奏が詰まっている。ながら聴きに適したジャズ・オーケストラ作品として、僕は意外と愛聴している。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年1月17日 (土曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・3

ビル・エヴァンスのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、いよいよ、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーの中で、異色盤と呼ばれるものの記事に手を染めている。今日は3作目。ビル・エヴァンスの異色盤では最後の一枚になる。今回は、ジャズ・オーケストラとのコラボ。しかも、エレピ入りのジャズ・ロック志向盤。

Bill Evans『Living Time』(写真左)。1972年5月12–14日、NYでの録音。コロンビア・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Bill Evans (p, Fender Rhodes), Snooky Young, Ernie Royal, Richard Williams (tp, flh), Stanton Davis (p), Howard Johnson –(flh, tuba, b-cl), John Clark (french horn), Dave Bargeron (tuba), Jimmy Giuffre (ts, fl), Joe Henderson (ts), Sam Rivers (ts, fl, oboe), Sam Brown (b-g, el-g), Ted Saunders (el-p, clavinet), Webster Lewis (org, el-p), Eddie Gómez (ac-b), Ron Carter (el-b on 5,7), Stanley Clarke (el-b on 1,2,3), Herb Bushler (el-b on 4,6,8), Tony Williams, Marty Morell (ds), Marc Belair (perc),George Russell (arr, cond),。

ビル・エヴァンスのアコピとフェンダー・ローズが、フロントのソリストとして、そして、パーソネルを見渡せば、そうそうたるメンバーが集結したジャズ・オーケストラがバックに控える。そして、よくよく見れば、エレクトリック楽器の導入が目に付く。エレギ、エレベ、ローズ、エレピなど。そして、このバックのジャズ・オーケストラの演奏志向は「ジャズ・ロック」。
 

Bill-evansliving-time

 
最初に断っておくが、このアルバムのリーダーは「ビル・エヴァンス」。しかし、この盤のパフォーマンスとしては、ジョージ・ラッセルがアレンジ&指揮の「ジャズ・ロック」なジャズ・オーケストラの演奏に、ビル・エヴァンスのアコピとローズがそれに合わせている、という感じのパフォーマンスで、ビル・エヴァンスのパフォーマンスとしては、彼の個性は封印して、ジャズ・ロックのフロント楽器として、判り易く聴き易い、シンプルな演奏に終始している。

逆に、ラッセルのアレンジ&指揮のジャズ・ロック志向のジャズ・オーケストラのパフォーマンスが目立ちに目立つ。ダイナミックで壮大な8ビートなジャズ・ロックが、大人数のジャズ・オーケストラで演奏される。しかも、メンバーそれぞれが、力量確かな一流どころが顔を揃えているのだ、とにかく、シャープでダイナミックで迫力あるジャズ・ロック名オーケストラ・サウンドが展開される。

この盤のピアノは、なにも、ビル・エヴァンスで無くても成立するレベル。プロデューサーのヘレン・キーンが問題なのだろう。ビル・エヴァンスのリーダー作にしては、このアルバムの狙い、コンセプトが明瞭で無い。この盤、ビル・エヴァンスが、ビル・エヴァンスらしく、ピアノを弾いていないところが問題なんだろう。

ビル・エヴァンスのピアノの個性を楽しむには、ちょっと不足。ジャズ・オーケストラのジャズ・ロック志向の演奏としては、及第点の出来。作曲に課題が残る(全曲、ジョージ・ラッセルが作曲)。印象に残る曲が無い。演奏はそこそこ優れているが、曲自体がキャッチーではないところが惜しい。どうにも「隔靴掻痒」感の残る異色盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年1月 4日 (日曜日)

デューク・エリントンの極東組曲

新年明けましておめでとうございます。さて、今年最初のジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの記事は「デューク・エリントン」。エリントンは生涯を通じて「組曲」という形式で多くの傑作を世に送り出している。代表的な作品だけで20作以上の組曲があり、どれもが傑作である。ということで、そろそろ、このエリントンの「組曲」をおさらいする時期にきたかな、ということで、まずはこの一枚である。

Duke Ellington『Far East Suite』(写真左)。邦題は「極東組曲」。1966年12月19–21日の録音。ちなみにパーソネルは、以下の通り。いわゆる「デューク・エリントン楽団」である。

Duke Ellington (p), Mercer Ellington, Herbie Jones (tp, flh), William "Cat" Anderson, Cootie Williams (tp), Lawrence Brown, Buster Cooper (tb), Chuck Connors (b-tb), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Jimmy Hamilton (ts, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), John Lamb (b), Rufus Jones (ds)。

この「極東組曲」というタイトルと、収録曲「Ad Lib on Nippon」に惹かれて、まだジャズ者初心者3年生くらいの頃に、この盤を聴いている。商魂丸出しのオリエンタル・ムードは皆無、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していないので、まず、どこが「極東組曲」なのか、と訳が判らなくなったのを覚えている。

そもそも「Far East Suite(極東組曲)」というタイトルがおかしくて、極東の国を対象とした曲は、我が国が対象の「Ad Lib on Nippon」だけ。収録曲の対象国を見ていくと、タイトルは「近東組曲」とした方が座りが良い。そもそもこの組曲、1963年に行った世界ツアーに触発されたもので、ダマスカス、アンマン、ラマラ、カブールなどを訪問し、その国々の印象を曲のイメージに落とし込んだもの。だから、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していない。
 

Duke-ellingtonfar-east-suite

 
どの曲も、エリントン・ミュージックの粋を集めた、素晴らしい演奏ばかり。彼が「楽器」と考えている彼のオーケストうの能力や個性、ソロイストたちのもつ力量を最大限に活かし、エリントン・カラー、エリントン・サウンズで染め上げている。エリントンの組曲の中でも、トップクラスの内容を誇る。そして、この組曲の特徴は、それぞれの曲に、ソリスト、オーケストラの特定のメンバーのパフォーマンスがフィーチャーされている。

「Tourist Point of View」は、ゴンサルヴェスのテナー、
「Bluebird of Delhi (Mynah)」は、ハミルトンのクラリネット、
「Isfahan」は、ホッジスのアルト、
「Mount Harissa」は、ゴンサルヴェスのテナーとエリントンのピアノ、
「Blue Pepper」 は、 ホッジスのアルトとアンダーソンのトランペット、
「Agra」は、カーニーのバリサク、
「Amad」は、ブラウンのトロンボーン
「Ad Lib on Nippon」は、エリントンのピアノとハミルトンのクラリネット

日本を訪れた印象をまとめた曲「Ad Lib on Nippon」は、1964年来日時の日本の印象をエリントン・ミュージックに落とし込んだ名曲。4つのパートからなっており、11分を超える1つの組曲のような構成となっている。じっくり聴いていると、どうも、古き日本と現代の日本との交錯をエリントン・ミュージックで表現しているのかな、と解釈している。

ともあれ、僕はこの『Far East Suite(極東組曲)』で、エリントン・ミュージックの凄さを初めて理解した。今でも、エリントン・ミュージックの印象をリセットしたい時は、このアルバムを聴く。聴く度に、新しい発見があり、新しい驚きがある、僕にとって「化け物」みたいなアルバムである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年12月15日 (月曜日)

エリック・ミヤシロを認識する

エリック・ミヤシロは、1963年7月13日、米国のハワイ州生まれのトランペット(フリューゲルホルン)奏者。ミヤシロのトランペットの個性の一つ「ハイノート・ヒッター」としても知られる。また、ビッグバンドのEMバンドのリーダーでもある。2000年から2010年まで、リーダー作は5作。

Eric Miyashiro『Blue Horizon』(写真左)。2025年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、エリック・ミヤシロ (tp), 本田雅人 (as), 中川英二郎 (tb), 川村竜 (b), 山本真央樹, 川口千里 (ds), 中川就登 (p) 等。スペシャル・ゲストも数多く参加。エリック・ミヤシロの15年ぶり通算6作目となる作品。

エリック・ミヤシロの名は、ほとんど覚えがない。なんせ、聞けば15年ぶりのリーダー作。その前作「Skydance」についても、どうにも耳にした覚えが無い。バークリー音楽大学出身にて、ミヤシロのトランペットの素性は確かなもののはず。冒頭のタイトル曲「Blue Horizon」を聴いて、そのミヤシロのトランペットの素性は、やはり、確かなものと確信する。

基本はしっかりとしたビッグバンド・アレンジの演奏の数々。ホーン・セクションがエネルギッシュで迫力抜群、整然としたユニゾン&ハーモニー。規律が取れ、それぞれの参加メンバーの高い演奏レベルで、切れ味の良いパフォーマンス。
 

Eric-miyashiroblue-horizon

 
ほど良いテンションが、演奏全体を引き締め、爽快感を醸し出している。とにかく、迫力がある割に、聴き易いバンド・サウンド。冒頭「Blue Horizon」から、7曲目「Back Stage Pass」まで、全曲、エリック・ミヤシロの自作曲。ラストの「Spain」だけ、チック・コリアの名曲のカヴァー。

自作曲の曲&アレンジが良好なので、ビッグバンド志向のバンド・パフォーマンスが映えに映える。チックの「Spain」のカヴァーも、ホーン・セクションを前面に押し出したアレンジが良好で、ダイナミックな曲想にしっかりと応えている。

ホーン・セクションのダイナミズムとスピード感がメインの、ビッグバンド志向の音作りは、他にありそうで無いユニークな内容。演奏全体の印象は、コンテンポラリーな「フュージョン・ビッグバンド」な音作り。エリック・ヤシロ本人は「ジャズ・オーケストラ」という表現をしているらしい。

ホーン・セクションが主役の「フュージョン・ビッグバンド」な音世界は、聴いていて流麗、聴いていてダイナミック、適度に耳に刺激が心地良く、意外と「ながら聴き」に適した佳作である。気軽に聴いて良き「フュージョン・ビッグバンド」な音である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年11月 8日 (土曜日)

ベツレヘムの異色”ビッグバンド”

カタログを眺めていると、あれっ、と思うんだが、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかし、ビッグバンド・サウンドにも手を出しているのにはビックリした。ベツレヘムのビッグサウンドとはどんなものなのか。興味津々である。

『Art Blakey Big Band』(写真左)。1957年12月、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Ray Copeland, Bill Hardman, Idrees Sulieman, Donald Byrd (tp), Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Melba Liston (tb), Bill Graham, Sahib Shihab (as), Al Cohn, John Coltrane (ts), Bill Slapin (bs), Walter Bishop, Jr. (p), Wendell Marshall (b)。

端正な、お手本の様なビッグバンド・サウンド。パーソネルを見渡すと、ビッグネームがズラリ。リーダーでドラムのアート・ブレイキー。そして、トランペットにドナルド・バード、トロンボーンのジミー・クリーブランド、アルト・サックスにサヒブ・シハブ、テナーには、アル・コーンとジョン・コルトレーン、ピアノに、ウォルター・ビショップ・ジュニア、ベースにウエンデル・マーシャル。
 

Art-blakey-big-band

 
ビッグバンド・サウンドとして、この盤の面白いところは、「Tippin」と「Pristine」では、アート・ブレイキー率いるクインテット( Art Blakey (ds), feature a quintet of Donald Byrd (tp),, John Coltrane (ts), Walter Bishop Jr.(p), Wendell Marshall (b)) のパフォーマンスがフィーチャーされるアレンジで演奏されていること。これ、聴いていて意外と面白い。

急造のビッグバンドなので、パーマネントなビッグバンドの様な、突出した個性や特色があるという訳では無いが、ビッグネームのソロ・パフォーマンスについては、それぞれの個性をしっかり出して吹きまくるので、それはそれで楽しめる。ブレイキーのドラミングだって、メッセンジャーズでの「ナイアガラ・ロール」よろしく、ブレイキー独特の個性で叩きまくる。これが、また良い。

これだけ、ビッグネームが集まってのビッグバンド演奏である。もちろん、パーマネントなビッグバンドでは無い。このレコーディングの為に集められた急造ビッグバンドである。まとまらなくて当たり前なのだが、これがまあ、端正で迫力満点、テクニック極上のビッグバンド・サウンドに仕上がっているのだから、大したものである。プロデューサーのリー・クラフトと、リーダーのアート・ブレイキーの大手柄だろう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年10月31日 (金曜日)

BNのイージーリスニング盤です『Always Something There』

硬派な老舗ジャズ・レーベルのブルーノート。4200番台も後半になると、大衆受けする「売れる」盤だけを狙った、イージーリスニング志向のジャズ盤を制作する様になる。とにかく「聴き心地」優先、ジャズのアーティスティックな面を封印し、ポップ度を高める為に、ジャジーなリズム&ビートを活用し、ストリングスをオーバーダビングする。ほとんど、イージーリスニングなアルバムも制作していた。

Stanley Turrentine『Always Something There』(写真左)。1968年10月の録音。ブルーノートの4298番。ちなみにパーソネルは以下の通り。フレンチ・ホルン入り小ビッグバンド編成。ここに、ストリングスをオーバーダビングしている。ただし、波ー祖ネルを見渡すと、ジェローム・リチャードソン、サド&ハンク・ジョーンズ、ケニー・バレル、ハービー・ハンコック、メル・ルイス、ミッキー・ローカーなど、当時のメインストリーム系の一流ジャズマンが多く参加している。

Stanley Turrentine (ts), Burt Collins (flh), Jimmy Cleveland (tb), Jerry Dodgion (as, fl, cl), Jerome Richardson (ts, fl cl), Thad Jones (tp, arr), Kenny Burrell (g), Barry Galbraith (g, tracks 2, 10), Hank Jones (p, tracks 2, 3, 5-8, 10), Herbie Hancock (p, tracks 1, 4, 9), Bob Cranshaw (b), Mel Lewis (ds, tracks 1, 2, 4, 9 & 10), Mickey Roker (ds, tracks 3, 5-8), Dick Berg, Jim Buffington, Brooks Tillotson (French horn)。
 

Stanley-turrentinealways-something-there

 
しかし、冒頭の「(There's) Always Something There to Remind Me」から、あ〜遂に、ブルーノート・レーベルも、ここまで俗っぽくなってしまったか、と苦笑いする。軽快なブラスのユニゾン&ハーモニー、小洒落たポップなビッグバンド・サウンド、途中、ストリングスがオーバーダビングされて、もう、これは、ジャズなリズム&ビートをベースにした「イージーリスニング音楽」。

演奏自体は、当時のメインストリーム系の一流ジャズマンが多く参加しているんで、カッチリとまとまっているし、楽器の響きも良い。でも、いかんせんアレンジがポップで俗っぽい。アレンジは誰か、と確認したら、サド・ジョーンズ。意外。サドもこんな俗っぽいポップでライトなビッグバンド・アレンジをするんだ、と変に感心する。

レノン&マッカートニーの「Hey Jude」「The Fool on the Hill」、ドアーズの「Light My Fire」など、ロックのヒット曲のカヴァーが入っていたり、フィフス・ディメンションの「Stoned Soul Picnic」が入っていたり、とにかく、一般大衆の訴求する、大衆受け狙いのイージーリスニング盤である。ただし、オーバーダビングされたストリングス以外のジャズマンの演奏はしっかりしているので、聴き心地は良い。ながら聴きのジャズ盤としては良い内容かもしれない。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年10月10日 (金曜日)

クロスオーバーなビッグバンド

ジャケットの左上の小さな文字を見ると「Tosiyuki MIyama & New Hard Plays Chikara Ueda」とある。つまり、このアルバムは、日本を代表するビッグバンドである宮間利之&ニューハードが、作・編曲に 上田力氏を迎え、フュージョン・サウンドに挑戦した作品なのだ。僕としては、ジャズを本格的に聴き始めた頃の、懐かしいアルバムの1枚である。

宮間利之とニュー・ハード・オーケストラ『Big Stuff』(写真左)。1980年の作品。Electric Birdレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、ビッグバンドである「宮間利之とニューハード」に、清水靖晃(ts), 直居隆雄 (g), 山木秀夫 (ds), 神村英男 (cor), 納見義徳 (per) 等が参加。

ビッグバンド・サウンドのフュージョン化、などと、当時は評価されたが、今の耳で聴くと、クロスオーバー・ジャズ志向のコンテンポラリーなビッグバンド・サウンドだろうと思う。8ビートがメイン、電気楽器を前面に押し出した、エレ・ジャズ志向だが、ポップなロック風のグルーヴも見え隠れして、これ「クロスオーバー・ビッグバンドでしょ」と、聴いていて直感的に感じた。
 
冒頭「Samboogie」から、格好良く切れ味の良いギター・カッティングがカッ飛ぶ。熱気溢れるラテンなパーカッションが盛り上げるグルーヴ感の中、ニューハードのビッグバンド・サウンドが炸裂する。清水のテナーソロも躍動感溢れ、ダンディズム溢れる音色で魅了する。この冒頭の1曲だけで、この盤の雰囲気が決定付けられる。
 

Big-stuff

 
続くタイトル曲「Big Stuff」は、エレクトリックなビッグバンド・ブルース。小粋で映えるブレイクを重ねながら、ブルージーなベースラインが練り歩く。3曲目の「Sunset Vally」は、これぞ、ソフト&メロウな「フュージョン・ビッグバンド」な音世界。ダイナミックでパンチの効いたクロスオーバー・ビッグバンドなサウンドが魅力の「Mystery Cat」。

正統派ビッグバンドな響きの中、電気楽器が効果的に絡む「Walking Stone」。エレクトリックなビッグバンド・サウンドが効果的に響く、秀逸なサンバ・フュージョンな「Mas Quero Dancar (But Dancing)」。そして、魅力的な重厚ファンキー・ベースに、カッティング・ギターが絡む、バックにビッグバンド・サウンドが格好良く漂う「So Fine」。

ニューハードが放つ分厚く圧巻のビッグバンド・サウンドと、洗練されたクロスオーバー&フュージョン・サウンドの融合がバッチリ「はまった」、独特の、唯一無二の「クロスオーバー&フュージョン・ビッグバンド」の目眩く音世界。

DJ/クラブカルチャー・シーンで高く再評価されているアルバムの1枚で、当時の日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのレベルの高さが窺い知れる好盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

_Blue Noteの100枚 _ECMのアルバム45選 _この盤のドラムを聴け! _この盤のピアノを聴け! _こんなアルバムあったんや _ながら聴きのジャズも良い _クリスマスにピッタリの盤 _コンテンポラリーな純ジャズ _ジャケ買い「海外女性編」 _ジャズ・ギターの名演 洋楽編 _ジャズ喫茶で流したい _トランペットの隠れ名盤 _ビッグバンド・ジャズは楽し _ビートルズのカヴァー集 _ピアノ・トリオの代表的名盤 _フェンダー・ローズを愛でる _フュージョン・ジャズの優秀盤 _僕なりの超名盤研究 _和ジャズの優れもの _和フュージョンの優秀盤 _夜の静寂にクールなジャズ _音楽喫茶『松和』の昼下がり A&Mレーベル AOR Argo & Cadetレーベル Atlanticレーベル Bethlehemレーベル Blue Note 1500番台 Blue Note 4000番台 Blue Note 4100番台 Blue Note 4200番台 Blue Note 4300番台 Blue Note 4400番台 Blue Note 85100 シリーズ Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル DD・ブリッジウォーター ECMレーベル Electric Birdレーベル Enjaレーベル Jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル Savoyレーベル Smoke Sessions Records SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 アイク・ケベック アキコ・グレース アジムス アストラッド・ジルベルト アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラン・ホールズワース アリス・コルトレーン アル・ディ・メオラ アントニオ・サンチェス アンドリュー・ヒル アンドレ・プレヴィン アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーネット・コブ アーマッド・ジャマル アール・クルー アール・ハインズ アーロン・ゴールドバーグ アーロン・パークス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イリアーヌ・イリアス イリノイ・ジャケー インパルス!レコード ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウォルフガング・ムースピール ウディ・ショウ ウラ名盤 エグベルト・ジスモンチ エスビョルン・スヴェンソン エスペランサ・スポルディング エディ・ハリス エメット・コーエン エリック・アレキサンダー エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルヴィン・ジョーンズ エロール・ガーナー エンリコ・ピエラヌンツィ エンリコ・ラヴァ オスカー・ピーターソン オズ・ノイ オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カート・ローゼンウィンケル カーラ・ブレイ ガボール・ザボ キャノンボール・アダレイ キャンディ・ダルファー キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリス・ポッター クリフォード・ブラウン クルセイダーズ クレア・フィッシャー クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニーG ケニー・ギャレット ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン ゴンサロ・ルバルカバ ゴーゴー・ペンギン サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド・ジョーンズ サム・ヤヘル サム・リヴァース サンタナ サン・ラ・アーケストラ ザ・バンド シェリー・マン シダー・ウォルトン シャイ・マエストロ シャカタク ジェイ & カイ ジェイ・ジェイ・ジョンソン ジェフ・テイン・ワッツ ジェフ・ベック ジェラルド・クレイトン ジェリー・マリガン ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジミー・ヒース ジム・ホール ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルトサックス ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナーサックス ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・バリトン・サックス ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジュリアン・ラージ ジョエル・ロス ジョシュア・レッドマン ジョナサン・ブレイク ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・コルトレーン on Atlantic ジョン・コルトレーン on Prestige ジョン・スコフィールド ジョン・テイラー ジョン・マクラフリン ジョン・ルイス ジョン・レノン ジョーイ・デフランセスコ ジョージ・ケイブルス ジョージ・デューク ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・パス ジョー・ファレル ジョー・ヘンダーソン ジョー・ロヴァーノ ジーン・アモンズ スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーヴ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン ステイシー・ケント ステップス・アヘッド スナーキー・パピー スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セシル・テイラー セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・スティット ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タル・ファーロウ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャーリー・ヘイデン チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テッド・カーソン テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デオダート デクスター・ゴードン デニー・ザイトリン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デューク・ピアソン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マシューズ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ドン・チェリー ナット・アダレイ ニルス・ラン・ドーキー ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハワード・マギー ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック ハービー・マン ハーブ・アルパート ハーブ・エリス バディ・リッチ バド・シャンク バド・パウエル バリー・ハリス バーニー・ケッセル バーバラ・ディナーリン パット・マルティーノ パット・メセニー ヒューバート・ロウズ ビッグ・ジョン・パットン ビリー・コブハム ビリー・チャイルズ ビリー・テイラー ビル・エヴァンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビル・ブルーフォード ビートルズ ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・アップチャーチ フィル・ウッズ フォープレイ フランク・ウエス フランク・シナトラ フリー フリー・ジャズ フレディ・ローチ フレディー・ハバード ブッカー・アーヴィン ブッカー・リトル ブライアン・ブレイド ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルー・ミッチェル ブレッカー・ブラザーズ プログレッシブ・ロックの名盤 ヘレン・メリル ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・グリーン (p) ベニー・グリーン (tb) ベニー・ゴルソン ペッパー・アダムス ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボビー・ハンフリー ボブ・ジェームス ボブ・ブルックマイヤー ポップス ポール・サイモン ポール・デスモンド ポール・ブレイ ポール・マッカートニー マイク’・スターン マイケル・ブレッカー マイルス( ボックス盤) マイルス(その他) マイルス(アコ)改訂版 マイルス(アコ)旧版 マイルス(エレ)改訂版 マイルス(エレ)旧版 マックス・ローチ マッコイ・タイナー マハヴィシュヌ・オーケストラ マルグリュー・ミラー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・5 マンハッタン・ジャズ・オケ マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モンティ・アレキサンダー モード・ジャズ ヤン・ガルバレク ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ユッコ・ミラー ラテン・ジャズ ラムゼイ・ルイス ラリー・カールトン ラリー・コリエル ラリー・ヤング ラルフ・タウナー ランディ・ブレッカー ラーズ・ヤンソン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レイ・ブラウン レジェンドなロック盤 レス・マッキャン レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ロニー・リストン・スミス ロバート・グラスパー ロベン・フォード ロン・カーター ローランド・カーク ローランド・ハナ ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー ヴィンセント・ハーリング 上原ひろみ 北欧ジャズ 古澤良治郎 吉田拓郎 向井滋春 四人囃子 国府弘子 増尾好秋 大村憲司 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 日野皓正 書籍・雑誌 本多俊之 松岡直也 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 阿川泰子 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー