ラックナーの『Last Decade』
朝の冷え込みがずっと続いている。今日は朝から日差しがあったので、気温はそこそこ上がったが、日差しの無い曇天だと気温が上がらない。一週間ほど前まで、半袖で過ごしていたのになあ。これだけいきなり気温が下がると、体がついていかない。外へ出て、散歩するのもちょっと控えている今日この頃。
こういう気候の時は家にいて、少し暖房をつけた暖かい部屋でジャズを聴くのが良い。部屋の中で熱いコーヒーをすすりながらジャズを聴く。それも静的で耽美的でリリカルなニュー・ジャズだ。それに限る。静的で耽美的でリリカルなニュー・ジャズとくれば「ECMレーベル」のジャズ盤だろう(なんかこればっかりやなあ・笑)。
Benjamin Lackner『Last Decade』(写真左)。2021年9月6〜8日、フランスでの録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Benjamin Lackner (p), Mathias Eick (tp, voice), Jerome Regard (b), Manu Katche (ds)。師匠のブラッド・メルドーも称賛する、作曲とピアノの両方でその才能を発揮しているベンジャミン・ラックナーのリーダー作。
ラックナーのピアノは透明度が高く耽美的でリリカル。エコーが効いた、漂うが如く流れるが如く、秋の黄昏時の穏やかに輝く黄金色の光の様な、ブリリアントで温かみのある音色。決して、弾きまくらない、印象的にフレーズをゆったりと流していく。いかにもECMレーベルらしいピアノの音。
そんなラックナーのピアノをバックに、ロマンティシズム溢れる、耽美的でリリカルでブリリアントなマティアス・アイクのトランペットが大活躍。バリエーション豊かで説得力のあるアイクのトランペットはこの盤での「聴きもの」のひとつ。ノルウェー出身のアイクの耽美的でリリカルなトランペットの音色も、いかにもECMレーベルらしい音。
マヌ・カッチェのドラムが変幻自在、硬軟自在、緩急自在。演奏の場面場面で、そこの相応しいリズム&ビートを叩き出す。決して全面には出てこない。それでも、この耽美的でリリカルで、クールな躍動感のあるドラミングは見事。ラックナーのピアノとアイクのトランペットに効果的に絡み、効果的に鼓舞する。
そして、ジェローム・ルガールのベースが、オーソドックスではあるが、堅実で魅了的な、しなり豊かで硬質なベースラインが、的確にリズム&ビートを刻む。ルガールのベースラインがあってこそ、ラックナーもアイクも安心して、モーダルなアドリブ・フレーズを、ゆったりとしたスピリチュアルなフレーズを弾き込み、吹き込むことが出来る。
ドイツ系アメリカ人のラックナーが奏でる、いかにも欧州ジャズらしい、いかにもECMレーベルらしい音世界。従来の欧州ジャズのピアノの音には無かった「ブリリアントで温かみのある」音色が耳に新しく響く。この盤にも、ボーダーレスな欧州ジャズを具現化する「現代のECMレーベルの音」が溢れている。
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