2026年2月14日 (土曜日)

”ベースで旋律を弾く” 難しさ

ベースで旋律(メロディ)を弾くには、高音域(主に7フレット以降)を活用し、ハンマリング、スライド、チョーキングといった装飾技術を用いて、滑らかに「歌う」ように表現するのがコツとのことだが、ジャズにおいて、この「ベースで旋律を弾く」に長けたベーシストは数少ない。

Ron Carter『A Song for You』(写真左)。1978年6月の録音。マイルストーン・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b, piccolo-b, arr), Leon Pendarvis (p, track 1), Kenny Barron (p, tracks 2–6), Jay Berliner (g), Jack DeJohnette (ds), Ralph MacDonald (perc)。

ジャズ・ベーシストのレジェンド、ロン・カーターのリーダー作。この盤では、ロンの「ベースで旋律を弾く」テクニックが前面に押し出された、ロンのベースに焦点を合わせたリーダー作。先に言っておくが、この盤の評価、賛否両論だと思う。僕は、ベースで旋律を弾くのは「アリ」だと思っている。特に、ベースの革命児、ジャコ・パストリアスが出現してからは、別に違和感が無い。

しかし、この盤は、ジャコの出現前、ハードバップ時代からのレジェンド・ベーシストの「ベースで旋律を弾く」チャレンジである。というか、チャレンジ手前で止まっているように思う。それを踏まえてのアルバムの内容のご紹介になる。まず、米国のジャズ・ベーシストは、おしなべて「ベースで旋律を弾く」のは苦手。ロンも例外では無い。
 

Ron-cartera-song-for-you  

 
欧州系のベーシストは、クラシックのベース経験が少なからずあるんで、ピッチが合う、テンポが的確、と、ベースという「楽器」を弾く基本が出来ている。基本が出来ている上で「ベースで旋律を弾く」ので鑑賞に耐える。しかし、米国系のベーシストは、まず、ピッチが合っていないことが多く、テンポも遅れがちで雑になる。これが一番の問題点になる。

で、このロンのリーダー作であるが、当時のロンのベースの弱点である「ピッチが合っていない」が、まだ完全に改善されていない。少し、フラットしていて、このピッチが少し外れているのも「味」と、まとめているみたいだが、ちょっと聴いていて気持ちが悪い。テンポは辛うじてキープされているので、テクニック的には、ちょっと「惜しい」ロンの弾きっぷりである。

ただ、演奏自体のアレンジは良好。ベースが「旋律を弾く」ということを大前提としたアレンジは良い。特に、ベースで旋律を弾く、そのもののアレンジはとても良好で、さすがロン・カーターといったところ。タイトル曲のレオン・ラッセルの名曲、カーペンターズのカヴァーで有名な「A Song for You」などは実に良い感じでまとまっている。

ちょっと乱暴な希望なんだが、このロンのアレンジで、この盤のベースを、欧州系のベーシストでやって欲しいな、と。例えば、ペデルセンとか、ムラーツとか、でもどちらも逝去してしまっているので、彼らの後を継ぐ現役ベーシストでやって欲しいなあ、と。「ベースで旋律を弾く」の評価を大きく前進させる成果になる、と思っているんですが・・・。
 
 

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2026年2月13日 (金曜日)

ロンの技術を愛でるトリオ盤

Ron Carter『Third Plane』(写真)。1977年7月13日、米国サンフランシスコでの録音。マイルストーン・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Herbie Hancock (p), Tony Williams (ds)。1970年代後半、アコースティック・純ジャズへの回帰として人気を博したV.S.O.Pクインテットのリズム・セクション(ピアノ・トリオ)の好盤である。

この盤を見ると、聴く前は、大多数のジャズ者の方が「ハービー・ハンコック」のピアノに着目するのだが、もともと、ハービーはトリオ演奏が、あまり得意では無い。冒頭のタイトル曲「Third Plane」のテーマ部から、アドリブ部の前半までは、とにかくぎこちない弾きっぷり。もともと、カリプソっぽいポップな曲はハービーは馴染まないみたいで、ちょっとユーモラスでキャッチーなテーマ部はぎこちない。

それでも、曲の途中から調子を掴んだのか、少し滑らかにアドリブを展開し始めて、2曲目以降は、安定のモーダルなピアノを弾き続けていく。音の重ね方、フレーズの展開のパターンなどは、ハービーの個性がしっかりと出ていて良好。しかし、フロントに立ってのソロはちょっと地味かなあ。良いテクニック、良いフレーズを展開しているんですが、音の跳ね方、響き方がちょっと内向的なところで損をしている。
 

Ron-carterthird-plane

 
一方、リーダーのロンは、この頃のロンの最大の問題点だった「ピッチ」がまあまあ合っていて、安心して聴き進めることができる。電気的なアタッチメントは付けているみたいで、フレーズの伸びの部分が「ブヨーン、ブヨーン」とちょっと気持ち悪いが、ピッチがそこそこ合っているので、鑑賞には耐える。この盤では「ピチカート技法」が冴えていて、ロンはアコベを弾かせたら、屈指のベーシストだということを再認識させてくれる。

このトリオ盤でのトニーのドラムは温和しい。いつもはバンバン叩きまくってフロントを鼓舞しまくるのだが、この盤では神妙にモーダルなリズム&ビートを刻んでいる。意外と抑制されたトニーのドラミングの方が、静かな凄みがあって、僕は気に入っている。温和しめではあるが、要所要所では、しっかりとリズム&ビートを締めて、演奏全体に有効な推進力を供給する。

いわゆる、マイルスの1960年代黄金のクインテットのリズム・セクション、リーダーでベースのロン・カーター、ピアノのハービー・ハンコック、ドラムのトニー・ウィリアムスでのピアノ・トリオ演奏である。リーダーがロンであるがゆえ、このトリオ盤は、まずは、ピアノ・トリオにおけるロンのアコースティック・ベース(アコベ)の技術とセンスを堪能する盤である。
 
 

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2026年2月12日 (木曜日)

ナットのエレなハードバップです

ファンキー・トランペットの元気印「ナット・アダレイ」のCTI盤である。CTI盤なんで、ソフト&メロウなフュージョン盤かと思うんだが、録音年は1968年。フュージョン・ジャズの時代より前の、クロスオーバー・ジャズの初期。で、出てくる音は、エレクトリックなバックを従えたコンテンポラリーな純ジャズ。

Nat Adderley『Calling Out Loud』(写真)。1968年11, 12月の録音。CTIレーベル盤。ちなみにパーソネルは、Nat Adderley (cornet), Paul Ingraham (French horn), Seldon Powell, Jerome Richardson, Jerry Dodgion, Richard Henderson (sax), Hubert Laws (fl, piccolo), Don MacCourt (bassoon), George Marge (cl, English horn, sax), Romeo Penque (b-cl), Joe Zawinul (el-p), Ron Carter (b), Leo Morris (ds)。

冒頭の「Biafra」から曲想は、思慮深さとダイナミック差を兼ね備えたハードバップ。バックの演奏がエレクトリック志向。ソフト&メロウなんて無し。イージーリスニング志向なところも無し。

エレクトリックなハードバップな雰囲気が、1960年代後半のクロスオーバー・ジャズの影響をモロ受けた「コンテンポラリーな純ジャズ」的雰囲気を増幅している。このハードバップ・ライクな演奏の雰囲気は、ナット・アダレイのコルネットのパフォーマンスに拠るところが大きい。
 

Nat-adderleycalling-out-loud

 
そして、このハードバップ・ライクな演奏を「コンテンポラリー」な雰囲気を付加しているのが、ジョー・ザヴィヌルのエレクトリック・ピアノ(エレピ)。このザヴィヌルのファンクネス溢れるエレピが、コンテンポラリーな雰囲気を色濃くし、プログレッシヴなファンクネスを付加する。この盤をユニークな存在にしているのは、ザヴィヌルのエレピである。

エレクトリックな雰囲気と言えば、ナットもエレクトリックのコルネットを吹いていて、これが、ザヴィヌルのエレピと絡んで、とてもプログレッシヴな雰囲気を醸し出している。このエレクトリックな雰囲気が、ファンキーを飛び越えて、ソウルフルな雰囲気に昇華している部分など、聴き心地満点。

ビル・フィッシャーの管楽器のアレンジも、プログレッシヴでコンテンポラリーなエレクトリック・ハードバップに、ちょっと柔らかなイージーリスニング志向を付加している様で、なかなか良い雰囲気で効果的。

CTI盤というのが良く無いのか、ほとんど話題に上らないアルバムだが、内容的には、上質のコンテンポラリーでプログレッシヴで、エレクトリック・ハードバップな演奏がなかなかの内容。捨てておくには勿体ない秀作である。
 
 

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2026年2月11日 (水曜日)

ケリーの個性を盤一枚で感じる

昔から、ジャズ・ピアノは、僕の一番得意な楽器。今、レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」を楽しんでいる。ジャズ・ピアノ盤の名盤・好盤の類がズラリ記事に並んでいて、今の耳で、このジャズ・ピアノの名盤・好盤を聴き直すのは、以外と楽しい作業である。

Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。1959年2月19日と3月10日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。セクステット編成が2月19日、ピアノ・トリオ編成が3月10日の録音になる。

セクステット編成での2月19日の録音「Kelly Blue」「Keep It Moving」は、Wynton Kelly (p), Nat Adderley (cor), Bobby Jaspar (fl), Benny Golson (ts), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

トリオ編成での3月10日の録音「Softly, as in a Morning Sunrise」「On Green Dolphin Street」「Willow Weep for Me」「Keep It Moving」「Old Clothes」は、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

さて、ウィントン・ケリーは、健康優良児的に、ポジティブにスイングするピアノが特徴。コロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。これは、この盤のトリオ編成の演奏で良く判る。この盤のトリオ演奏でのケリーのピアノは絶好調。ケリーのメイン楽器としてのピアノの個性が手に取るように判る。
 

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一方、ウィントン・ケリーは伴奏上手でも有名で、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、フロント管をサポートする上で、ボーカルをサポートする上で、効果的に響くのだろう。その「伴奏上手のケリー」は、この盤のセクステット編成の演奏で、じっくり聞けば良く判る。

冒頭のタイトル曲「Kelly Blue」のセクステット演奏の前奏部分が、フロント3管のユニゾン&ハーモニーが、ファンキーだが、どこかダルで、どこか間延びした、ちょっと古い響きがするので、ちょっと聴き始めは戸惑うが、次の有名スタンダード曲「Softly, as in a Morning Sunrise」がトリオ演奏なので、ケリーのピアノが前面に出てくるのでホッとする。後は「On Green Dolphin Street」から「Willow Weep for Me」では、ケリーのスタンダード曲の解釈を感じ取る事ができる。

この盤は、ケリーのピアノを愛でるという切り口では、トリオ編成の演奏をメインに聴くべくアルバムだと思う。伴奏上手なケリーも聴くべき個性だとは思うが、この「伴奏上手」を聴き取るには、ある程度のレベルのステレオ装置が必要となって、気軽にという訳にいかず、なかなか判り難い個性である。

この盤、リヴァーサイドの中でも「ポップでキャッチャーな内容のファンキー・ジャズ盤」として、ジャズ者初心者向けのアルバムとして、よくそのタイトル名が上がる盤。しかし、ファンキー・ジャズとして聴くより、ケリーのピアノの個性がとても良く判る「ウィントン・ケリー入門盤」の一枚だろう。
 
 

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2026年2月10日 (火曜日)

1950年代ジャマルのトリオ演奏

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」。日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというものだが、有名な名盤からちょっとマニアックな好盤から、ジャズ・ピアノの個性という切り口でチョイスし紹介している、好感の持てる企画記事である。

『Ahmad Jamal At The Pershing: But Not for Me』(写真左)。1958年1月16日、シカゴの「Pershing Hotel」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Israel Crosby (b), Vernel Fournier (ds)。シカゴ在住メンバーで固めた、ラウンジ風ハードバップ・ジャズなピアノ・トリオのライヴ・パフォーマンスの記録。

ジャス・ピアノの代表的名盤といえば、このアルバムは必ず出てくる。ハードバップ時代のトリオ演奏におけるピアノの代表的個性のひとつ。ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1950年代は、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。
 

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そんな1950年代ジャマルの小粋なピアノが満載。ライヴ録音なので、適度な緊張感あって、ラウンジ風のピアノ・トリオではあるが(実際、ホテルのラウンジでの録音)、タッチに力強さもあり、音を厳選する中で、印象的なアドリブ・フレーズを小粋に弾き進めている。とても趣味の良い、聴き心地の良いピアノ。端正で崩れが無いので「面白く無い」という向きもあるが、テクニックのレベルも高く、これも、ジャズ・ピアノの代表的な個性のひとつだろう。

今の耳で、じっくり聴き進めてみると、ジャマルのトリオは、ビ・バップのピアノ・トリオのパフォーマンスを下敷きに、弾く音を限りなく厳選し、左手のブロックコードをシンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入れている様に聴こえる。ベースとドラムがリズム・キープに徹しているところも「ビ・バップ」基調だし、少なくとも、このトリオには「インタープレイ」という概念は無い。

上質の、内容のある、ラウンジ風ハードバップ・ジャズなピアノ・トリオだろう。この1950年代ジャマルの、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードを、マイルスは評価した。ジャマルのピアノを伴奏に、トランペットを吹けば、トラペットのフレーズがとりわけ映えるだろう。ジャマルを勧誘したマイルスの気持ちが良く判る。
 
 

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2026年2月 9日 (月曜日)

フュージョン・ジャズ前夜の音

CTIレーベルのアルバムには、プロデュースの方向性として、純ジャス、メインストリーム・ジャズの要素をしっかり弾き継ぐ方向性と、クラシックの要素を取り入れて、イージーリスニング志向とする方向性と、大きく分けてこの2つの方向性があったと理解している。そして、ジョージ・ベンソンは「前者」の範疇に入る。

『Benson & Farrell』(写真左)。1976年1月と3月の録音。ちなみにパーソネルは、George Benson (g), Joe Farrell (fl,ss), Don Grolnick (el-p), Sonny Bravo (ac-p), Eric Gale, Steve Khan (g), Will Lee, Gary King (b), Andy Newmark (ds), Nicky Marrero (perc), Jose Madera (congas), David Matthews (arr, cond)。

フュージョン・ジャズ名盤『Breezin'』前夜、ジョージ・ベンソンのフュージョン・ジャズへの移行を捉えた好盤である。前作の『Good King Bad』で、R&B志向のクロスオーバー・ジャズを確立したベンソンが、「ベンソンが考えるフュージョン・ジャズ」への移行を図っていることが良く判る内容になっていて、フュージョン・ジャズ者には、実に興味深い内容になっている。
 

Benson-farrell
 

フロントのベンソンのギターとファレルのソプラノ・サックスは、そのソロ・パフォーマンスは「純ジャズ」の香りがプンプンする。そして、バックの伴奏が、どこかソフト&メロウな雰囲気漂う、テクニック志向を抑えた、聴き手に訴求する、聴き心地優先のフュージョン・ジャズの演奏スタイルが確立している。

この「純ジャズ」志向のフロントと、「フュージョン・ジャズ」志向のバックとの融合がこの盤の聴きどころ。フュージョン・ジャズは「甘い、緩い、安易」なんて揶揄されていたが、この盤を聴くと判るが、そんな評価はとんでもない。テクニックも優秀、フロント・ソロは硬派でシビア、バックの演奏も高度で聴き心地が良い。これが、フュージョン・ジャズのひとつの「プロトタイプ」であると思っている。

ただ、リリース当時は、賛否両論だったと聞く。確かに、それまでのジャズ盤とは雰囲気が異なる。つまり、「ソフト&メロウな雰囲気漂う、テクニック志向を抑えた、聴き手に訴求する、聴き心地優先の音志向」が、それまでない音世界だったので、旧来のジャズを良しとする向きには「違和感満載」だったのだろう。しかし、今の耳には違和感は無い。フュージョン志向コンテンポラリーなジャズと評価しても良い、硬派でジャズに真摯な内容の「隠れ好盤」だと思う。
 
 

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2026年2月 8日 (日曜日)

R&B志向のジャズ・ファンク

当バーチャル音楽喫茶「松和」では、純ジャズのみならず、クロスオーバー&フュージョン・ジャズもしっかり押さえていて、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの名盤、好盤もこのブログで、いろいろご紹介してきた。

で、である。このところは「CTIレーベル盤」祭り。『ALLTIME COLLECTION』と題した再発シリーズが始まり、やっとCTIレーベルのカタログをほぼ網羅したCD復刻がなされた。それに合わせてレコード・コレクターズ誌でも特集が組まれ、クロスオーバー&フュージョン・ジャズもお気に入りの当ブログでは、絶対に無視出来ない。

George Benson『Good King Bad』(写真左)。1975年7, 10, 12月の録音。1976年、CTIレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。クロスオーバー&フュージョン畑の強者が勢揃い。アレンジは、デヴィッド・マシューズ、指揮はボブ・ジェームス。

George Benson (g, vo), Eric Gale (g), Don Grolnick (clavinet), Bobby Lyle, Roland Hanna, Ronnie Foster (key), Gary King (b), Andy Newmark, teve Gadd, Dennis Davis (ds), Sue Evans (perc), David Friedman (vib), Joe Farrell, Romeo Penque, David Tofani (fl), David Sanborn (as), Michael Brecker, Frank Vicari (ts), Ronnie Cuber (bs), Fred Wesley (tb), Randy Brecker (tp)。
 

George-bensongood-king-bad

 
ソウル・ジャズを越えて、アーバンで洒落たR&B志向のジャズ・ファンクにシフトした、黒いジョージ・ベンソンである。ダンスフロアにさらに合致した、踊れるクロスオーバー・ジャズ。モータウンからのR&Bのグルーヴを見事にジャズに取り込んで、モータウン・クロスオーバー・ジャズとでも名付けても良い様な、上質なR&B志向のジャズ・ファンクがこの盤に溢れている。

ソウルフル&ファンクネスを前面に押し出した音作りになっているので、ベンソンはこれまでの様に、テクニックを前面に押し出した「弾きまくり」のベンソンではなく、R&B志向のグルーヴに心地良く乗った、余裕のあるファンネス溢れる「弾きまくり」のベンソンがこの盤にいる。

ソフト&メロウなフュージョン・ジャズにシフトする直前の、唄って弾きまくるギタリストにシフトする直前の、上質なR&B志向のジャズ・ファンクを確立した感のあるジョージ・ベンソン。ソウル・ジャズを推し進めて、R&B志向のクロスオーバー・ジャズを確立したジョージ・ベンソン。魅力あるアルバムに仕上がっていると思う。好盤です。
 
 

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2026年2月 7日 (土曜日)

”Deodato/Airto”の不思議

1970年代のクロスオーバー/フュージョン・ジャズの有名レーベル「CTI」。1967年、プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)によって創設されたジャズ・レーベル。テイラーは、このCTIレーベルで、ジャズの再びの大衆化を試み、クロスオーバー/フュージョン・ジャズのブームを牽引した。A&Mレコード内に創設された時の正式名称は「Creed Taylor Issue」で、独立後は「Creed Taylor Incorporated」。いずれも、単語の頭文字をとって「CTI」。

『Deodato/Airto In Concert』(写真左)。 1973年4月20日、マジソン・スクエア・ガーデンの「Felt Forum」での録音。デオダートとアイアートのライヴ・パフォーマンスのカップリング盤。パーソネルは、以下の通り。デオダートのパートと、アイアートのパートで分かれる。

デオダートのパート「Do It Again」「Spirit of Summer」「Tropea」のパーソネルは、Eumir Deodato (key), John Tropea (g), Burt Collins, Joe Shepley (tp), Joe Temperley (bs), Garnett Brown (tb), John Giulino (b), Rick Marotta (ds), Rubens Bassini, Gilmore Degap (perc)。

アイアートのパートParana」「Branches」のパーソネルは、Airto Moreira (perc, vo), David Amaro (g), Hugo Fattorusso (p), Flora Purim (vo)。

ここでは、まずはオリジナル・アルバム、いわゆるLP時代の収録曲に限って語りたいのだが、まず、なぜ、こういうカップリング盤を出したのか、理解に苦しむ。デオダートはデオダート、アイアートはアイアートで、フルアルバムでライブ盤を出しても良かったと思うんだが。
 

Deodatoairto-in-concert
 

ただ、デオダートのパートはパートで、アイアートのパートはパートで、それなりに充実した内容のライヴ・パフォーマンスを発揮している。それぞれの音作りの個性がシッカリ出ていて、どちらも、約20分程度の短いライヴ・パフォーマンスになるが、聴いて楽しめる内容にはなっている。

冒頭の「Do It Again」を聴けば、デオダートの特徴的なブラスの重ね方、心地よい個性的なファズのかかったエレキ・ギター。金太郎飴的なストリングス。どう聴いたって、これはデオダートという演奏で、これはこれで楽しい。2曲目の 「Spirit of Summer」もスローでセンチメンタルな演奏とはいえ、あちらこちらに、デオダート節が炸裂している。

3曲目「Parana」では、アイアートのバンド演奏に代わる。この「Parana」は、ワールド・ミュージック志向のクロスオーバー・ジャズで、アイアートの音の個性がハッキリと出ている。このワールド・ミュージック志向という音作りは、この頃はまだ目新しくてこなれていないが、後に、ジャズの定番の音作りの一つとして定着するもの。アイアートは、その先駆け的な音をここで表現している。

続く、LPのB面にあたる、CDでは4曲目の「Toropea」は、デオダートのバンド演奏に戻る。ジョン・トロペイのギターをフィーチャーしたファンクネス芳しい曲で、トロペイのギターが十分に堪能出来る。切れ味の良いブラス/セクションをバックに、トロペイはバリバリ弾きまくる。

ラストの「Branches」は、やはり、ワールド・ミュージック志向の演奏だが、ちょっと不思議な曲で、パーカッション・ソロから始まり、アイアートとフローラのデュオで終わるという、基本はアイアートのパーカッションの個性をメインに据えた演奏だが、ちょっと中途半端かな、と。だが、アイアートの音の個性ははっきり判る。

それぞれ白熱のライヴ・パフォーマンスなので、聴き応えはある。しかし、これだけ白熱したパフォーマンスである。デオダート、アイアートそれぞれ、最低、LP一枚レベルのフルアルバムにして欲しかった。デオダートのパートだけは後に『Deodato – Live At Felt Forum - The 2001 Concert』のタイトルで出ているみたいだが、「Toropea」が見当たらないのは何故だろう。しかも「Skycraper」だけ、アイアートとの共演。何から何まで、不思議な内容のアルバムではある。
 
 

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2026年2月 6日 (金曜日)

CTIのエレなソウル・ジャズ

CTIレーベルのカタログを見つつ、該当のアルバムの有無をチェックしている。A&M 3000シリーズから、CTI 1000シリーズまでの約30枚については、魅力的なイージーリスニング志向の硬派なクロスオーバー・ジャズのアルバムが目白押しで、意外と聴き応えのあるアルバムが沢山ある。

Fats Theus『Black Out』(写真左)。1970年7月16, 22日の録音。CT 1005番。ちなみにパーソネルは、Fats Theus (ts), Grant Green (g), Clarence Palmer, Hilton Felton (org), Chuck Rainey, Jimmy Lewis (b), Idris Muhammad (ds), Eddie Moore (saw)。幻のサックス奏者の1人、ファッツ・テウスが、名ギタリストのグラント・グリーンとのフロントを張った、ゴキゲンなソウル・ジャズ盤。CTI初期のレアな1枚。

リーダーの幻のサックス奏者の1人、ファッツ・テウスが、名ギタリストのグラント・グリーンとのフロントを張った、ゴキゲンなソウル・ファッツ・テウスは米国ルイジアナ出身。最初のキャリアは、プレストン・ラブのバンドに在籍。次に、オルガン奏者のビリー・ラーキンのバンドに参加。その後、ジミー・マクグリフのバンドに加入し、名の知れた存在になって、この本作は、そのジミー・マクグリフ・バンド在籍中に出したリーダー作。
 

Fats-theusblack-out

 
CTIレーベルのアルバムの中では珍しい、ブラス・セクションは、弦オーケストラがいないスモールコンボでの演奏。さらに録音はルディ・ヴァン・ゲルダー。1960年代のよき時代のソウル・ジャズという雰囲気がプンプンする。CTI盤とは言え初期の盤、ソフト&メロウな雰囲気はなく、音としては、クロスオーバーなエレクトリック・ソウル・ジャズといった雰囲気濃厚。

テウスのテナーが、何かアタッチメントを付けているのであろう、エレクトリックでウォームでファンクなテナーを聴かせる。そして、グラント・グリーンが、パキパキで硬質な音質を少しラウンドさせウォームな響きに変えて、テウスとグリーンのフロント2人で、ライトでウォームでメインストリームな「エレクトリック・ソウル・ジャズ」な演奏を聴かせてくれる。

ジャズ・ファンクとまではいかないまでも、この「エレクトリック・ソウル・ジャズ」のライトでちょっとユルユルのグルーヴはこの盤ならではのもの。聴き進めていくうちに「癖になる」。ソウル・ジャズとクロスオーバー・ジャズの融合。殆ど、無名のサックス奏者のリーダー作ですが、適度にユルユルなファンキー・グルーヴが芳しい好盤だと思います。
 
 

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2026年2月 5日 (木曜日)

ブルックリン派のドラミング

お気に入り盤で、結構、昔から聴いているのに、なかなか、当ブログで記事化されなかった盤が結構あることに気がついた。あれ〜、という感じなんだが、このブログ、ホームページ時代から数えると、27年間、運営しているのに、全く迂闊なことであった。今年は、そういう「記事化お蔵入り」盤をしっかり記事化しているのを目標のひとつにしている。

Ralph Peterson Quintet『V』(写真左)。1988年4月19-20日の録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Peterson (ds), Terence Blanchard (tp), Steve Wilson (as, ss), Geri Allen (p), Phil Bowler (b)。当時のブルックリン派の代表的ドラマー、ラルフ・ピーターソンの初リーダー作である。

冒頭の「Enemy Within」を聴くと、当時、リアルタイムでジャズを聴いていたアドバンテージが発揮されて、ああこの音はブルックリン派の音やな、と懐かしくなる。従来の4ビートやバップの枠組みに捉われず、ロック、ポップス、電子音楽、現代音楽を融合させた、冷徹かつエモーショナルなサウンドが特徴。ジャズの最大の特徴である「即興性と非類似性」を徹底的に追求したジャズの演奏トレンドである。
 

Ralph-peterson-quintetv
 

演奏力が素晴らしい。変則拍子、変則コードチェンジ、モード、ややフリーな展開で、徹底的に「即興性と非類似性」を追求する。ブルックリン派の正反対のアプローチをしたのが、ウィントン・マルサリスが主宰する「新伝承派」で、これは、60年代のモード・ジャズが一番最高のジャズと定義して、この60年代モード・ジャズを徹底的にシェイプアップして即興性と非類似性」を追求する集団だったが、その真逆を行くのが、ブルックリン派だった。

そんなブルックリン派の代表的な音作り、音の展開がこの盤に詰まっている。特に、トランペットのテレンス・ブランチャードと、ピアノのジェリ・アレンのパフォーマンスが図抜けている。そして、そんなフロントのパフォーマンスを支え、導き、鼓舞するラルフ・ピーターソンのドラミングが、全編に渡って映えに映えている。切れ味良く、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミングは聴いていてスカッとする。

ブルックリン派の音の特性を把握して、それに適合したドラミングをするのは、結構、テクニック的に高いものが要求されるのだが、ピーターソンは何事も無い様に、疾走感溢れる、切れ味の良い、迫力あるドラムを叩きまくる。この盤だけ取ってみれば、ブルックリン派ジャズの特性を抑えた、ブルックリン派の良いところを体感出来る好盤だと思う。
 
 

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