アフリカン・ルーツ志向のジャズ
フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを全面的に押し出して、そのまんまのジャズ・ピアノをずっとイチ押しで弾き続けているピアニストがいる。Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)、昔の名前は、Dollar Brand(ダラー・ブランド)である。ここでは、今の名前、Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)で統一する。
アブドゥーラ・イブラヒムは、1934年10月、南アフリカ連邦のケープタウン生まれ。63年にチューリッヒで、デューク・エリントンの目にとまる。65年に米国に渡り、68年にはイスラム教に改宗。セロニアス・モンクやエリントンの影響を受けつつ、独特な音世界を確立。フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノは聴いていて、ジャズの音の原風景を彷彿とさせてくれる。
Abdullah Ibrahim『Live at Montreux』(写真左)。Live 18 July 1980年7月18日、モントルー・ジャズ・フェスでのライヴ録音。エンヤ・レーベルのENJA3079番。ちなみにパーソネルは、Abdullah Ibrahim (p), Carlos Ward (as. fl), Craig Harris (tb), Alonzo Gardener (el-b), André Strobert (ds)。1980年モントルー・ジャズ・フェスティバルのメインステージで繰り広げられた、白熱のライブ・パフォーマンスの記録。
デューク・エリントンとセロニアス・モンクという二人のレジェンドに影響を受けているイブラヒム。このライヴ盤では、エリントン風の組曲ライクな演奏曲と、モンク志向のモーダルなピアノ、その二つを「フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチック」なパフォーマンスを繰り広げている。
フォーキーなイブラヒムの音の個性の根っ子は「アメリカン・ルーツ音楽」ではなく、「アフリカン・ルーツ音楽」。アメリカン・ルーツなゴスペル、ファンキー、フォーキーでは無く、アフリカンなワールド・ミュージック志向の、アフリカン・ネイティヴな音世界。この音世界が目眩く音絵巻の様な組曲風な楽曲にしっかりと反映されている。
この「アフリカン・ルーツ音楽」をベースに、アフリカンなワールド・ミュージック志向の、アフリカン・ネイティヴな音世界を展開しているのは、意外とこの「アブドゥーラ・イブラヒム」しか見当たらない。そのせいか、意外と「キワモノ」扱いされ、異端扱いされ、意外と評価が低い傾向にある。が、これも立派な「ジャズ」であり、ジャズの多様化の「一つの立派な成果」である。アフリカンなワールド・ミュージック志向の響きが芳しい。
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