Frank Zappa ”Hot Rats”を聴く
日本と英国については、ジャズとロックの境界が曖昧。米国はジャズはジャズ、ロックはロックとハッキリしているが、日本と英国は違う。両国とも「プログレッシブ・ロック(略してプログレ)」に対して造詣が深い。
プログレは、ロックをベースに、ジャズ、クラシック、ラテン、など、異種ジャンルの音要素と即興演奏をも取り込んだアーティステックなロック。この「異種ジャンル」の音要素を取り込むところが、ジャズのクロスオーバー&フュージョン・ジャズのマナーと合致しているので、境界が曖昧になっている。
Frank Zappa『Hot Rats』(写真左)。1969年7-8月の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Zappa (g, octave bass, perc), Ian Underwood (p, org, fl, cl, sax), Captain Beefheart (vo), ), Max Bennett, Shuggie Otis (b), John Guerin, Paul Humphrey, Ron Selico (ds), Don "Sugarcane" Harris, Jean-Luc Ponty (vln), Lowell George (g)。フランク・ザッパ、2作目のソロ・アルバム。
フランク・ザッパ(1940-1993)は、米国のシンガーソングライター、ギタリスト、作曲家。ロック、ジャズ、クラシック、前衛音楽などを融合させた多種多様な音楽性で知られている。ザッパの音世界の軸足は「ロック」であり、そこにジャズ、クラシック、前衛音楽などを融合させた多種多様な音楽性を発揮している。そんなザッパの「多種多様な音楽性」が良く判るアルバムがこれである。
ロックをベースとして、ジャズ、クラシック、前衛音楽などを融合させた音世界なので、英国発祥の「プログレッシブ・ロック」を想起するが、このアルバムの音を聴くと、ロックをベースとしてはいるが、ジャズの様に即興演奏な展開が特徴で、クラシックの音要素が希薄。ギミック含めた芸術性を追求するのでは無く、8ビートと複雑なコードに乗ったインストルメンタルをメインとして、演奏力と即興な創造力を追求した、クロスオーバー&フュージョン・ジャズに通じる音世界である。但し、ファンクネスはほぼ無い。
面白いのは、ザッパは米国出身。ザッパの想像した、ザッパ。オリジナルな「クロスオーバー&フュージョン・ジャズ志向のロック・インスト」は、本国(米国)より、英国で高く評価され、全英9位の大ヒット。しかも、英国の音楽専門誌『メロディ・メイカー』の人気投票でアルバム・オブ・ザ・イヤーに選出されている。さすが、プログレ発祥の地、英国。ジャズとロックの境界が曖昧が故、プログレッシブ(進歩的・革新的)な音楽には敏感に正確に反応する。
クロスオーバー&フュージョン・ジャズには、ジャからのアプローチと、ロックからのアプローチ、双方向のアプローチがあって、どちらに「音志向の軸足」を置くことによって、テイスト、グルーヴは異なるが、異種ジャンルの音要素と融合した、8ビートと複雑なコードに乗ったインストルメンタルをメインとして、演奏力と即興な創造力を追求した、クロスオーバー&フュージョンであることに違いは無い。
こういう、ジャズとロックの境界が曖昧な、異種ジャンルの音要素と融合した、8ビートと複雑なコードに乗ったインストルメンタルをメインとして、演奏力と即興な創造力を追求した、クロスオーバー&フュージョンは、英国と日本に散在している。これは英国と日本の音楽環境の特殊性を表した「象徴的な音楽的成果」だと僕は考えている。
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