夜の静寂にクールなジャズ・2
ジャズに定型の編成は無い。ソロからデュオからテンテットまで、1人から10人、それ以上はスモールバンドからビッグバンド。そんな中、組合せと相性の妙、音の違いと個性をダイレクトに感じることが出来る編成が「デュオ」だと思っている。「デュオ」は2人構成。演奏ユニットとしては最小の人数構成になる。
デュオには様々な楽器の組合せがある。特にジャズは「定石」というものが無く、デュオの楽器の組合せには、ほぼ世の中の西洋楽器と呼ばれるもの全てが採用されているのではないか。いろいろ、デュオ盤を探索し聴き進めて行くと、時に「こんな楽器の組合せがあるんや」と感心するものに出会うことがある。
Ron Carter & Richard Galliano『An Evening With』(写真左)。バンドネオンの巨星とジャズ・ベースのレジェンドのデュオ。バンドネオンは、主にタンゴで用いられる楽器。形状はアコーディオンに似ているが、鍵盤はピアノのような形ではなく、ボタン型で、これが蛇腹を挟んで両側についている。実に変わった楽器である。
このバンドネオンの第一人者が「リシャール・ガリアーノ」。ジャズやクラシック系ミュージシャンとの交流も多く、今回はバンドネオンでジャズに参戦である。そして、選んだ編成が「デュオ」。パートナーとして選んだ楽器は「ベース」。存命のジャズ・ベースのレジェンドの中でのファースト・コールは「ロン・カーター」。
バンドネオンとベースの組合せでジャズの「デュオ」をやる。どうなるのか、まずは不安が先に立つ。バンドネオンはバンドネオン、ベースはベース、音はそれぞれ我を張って、演奏自体はバラバラになりはしないか。しかし、この盤を聴き始めると、それは全くの杞憂に終わる。ベースにビートを委ね、バンドネオンの音がしみじみ。流麗かつダイナミック、印象的なユニゾン&ハーモニー。
特筆すべきは、ガリアーノの「ジャズ感覚」。タンゴのイメージが強いバンドネオンの音色で完璧なジャズのアドリブ・フレーズを弾きまくるのだ。これは聴いていて圧巻。その後ろに「バッキングの達人」ロン・カーターが控えて、演奏の底とビートをガッチリと支える。この異色の組合せは「大成功」。お互いを惹き立て、お互いを補い合う。素晴らしいデュオ演奏である。
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