プレスティッジの中間派の好盤
ビ・バップの「聴かせる部分」をピックアップし、スイング時代のメロディアス&スインギーな音作りを施しつつ、ハードバップのフォーマットに適応した、いわゆる「中間派」の音である。ハードバップ時代によくあった、先進的な奏法&スタイルを追求するのではなく、あくまで、聴いて楽しむジャズとしての、スインギーなスタイルを踏襲した、いわゆる「中間派」の音世界である。
James Moody and His Band『Wail Moody, Wail』(写真左)。1955年12月12日の録音。プレスティッジの7036番。ちなみにパーソネルは、James Moody (ts, as), Dave Burns (tp), William Shepherd (tb), Pee Wee Moore (bs), Jimmy Boyd (p), John Latham (b), Clarence Johnston (ds)。ビ・バップ時代から活躍していた、音楽志向的には「中間派」のジェームス・ムーディーのアルバムである。
ムーディーのサックス、バーンズのトランペット、シェパードのトロンボーン、ムーアのバリサクの4管フロントのセプテット(七人編成)。フロントに4本の管楽器を配した、ブラスの厚みのあるユニゾン&ハーモニーと、活気あふれるアンサンブルが特徴。ムーディがビ・バップの熱気をそのまま残しつつ、ハード・バップへと移り変わるタイミングでの、ムーディーの音作りの志向が確認出来る好盤である。
「ビ・バップの熱気をそのまま残しつつ」と表現されてはいるが、ビ・バップの演奏テクニック優先のアクロバティックな部分はそぎ落として、ビ・バップの前のジャズの演奏トレンドだった「スイング」の音作りを踏襲して、ハードバップの演奏フォーマットに適応した、ビ・バップのジャム・セッションの熱量と、スイングを踏襲した、ハードバップ対応な息の長いソロ・リレーを融合した、そんな感じがする音作りが実に雰囲気である。
ムーディーのサックスは、オールド・スタイルの吹奏。サックスの吹奏のお尻の部分に「ビブラート」がほんのりかかっている。大々的ではないが、ムーディーのサックスはオールド・スタイル。しかし、このオールド・スタイルのサックスが、ビ・バップの「聴かせる部分」をピックアップし、スイング時代のメロディアス&スインギーな音作りにピッタリなのだ。太く温かみのあるハッピーなスイング感が前面にでた、ムーディーのサックスは聴きものである。
ほどよくアレンジされた、4本の管楽器(4管フロント)による分厚くスインギーで華やかなアンサンブルがこの盤の聴きどころ。中間派ジャズの特徴である「スイング感」が半端ない。先進的なハードバップでは無いが、聴いて楽しい、モダン・ジャズとして、聴き応えのあるアルバムであることは間違い無い。とりわけ、バラード演奏での「歌心」は聴く耳に染みる。そして、演奏全体の雰囲気が「適度にリラックスして楽しげ」。何よりである。
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