フロント2管がスイングする好盤
演奏全体の雰囲気、アンサンブルの出来などを総合すると、ちょっと熟れていない、荒さが残る演奏ではある。恐らく、急造のジャム・セッションだったのでは無いか。
ただし、演奏はエネルギッシュでチャレンジブルで熱気溢れるもの。荒削りではあるが、ストレート・アヘッドでスインギーなハードバップが展開されている。中間派のトロンボーン奏者、ベニー・グリーンがリーダー格なんで、ちょっと意外な内容ではあるが。
『Bennie Green With Art Farmer』(写真左)。1956年4月13日の録音。プレスティッジの7041番。ちなみにパーソネルは、Bennie Green (tb), Art Farmer (tp), Cliff Smalls (p), Addison Farmer (b), Philly Joe Jones (ds)。ベニー・グリーンのトロンボーンと、アート・ファーマーのトランペットがフロント2管のクインテット編成。
中間派は、ビ・バップの熱気とスイング時代のスインギーな演奏とが融合した、ゆったりとファンキーにスイングする演奏が旨なのだが、このアルバムは、ストレート・アヘッドなハードバップ。冒頭の「My Blue Heaven(私の青空)」でも、ベニー・グリーンのトロンボーンは、アグレッシヴでエネルギッシュな吹奏を展開する。ちょっと速いテンポの演奏なのだが、ハッピーで軽快なスウィング感はさすが「中間派」である。
太く艶のある音色で、外向的かつファンキーにスウィングするスタイルのベニー・グリーンのトロンボーンと、知的で叙情的、内省的で美しいメロディラインを紡ぐスタイルのアート・ファーマーのトランペットの「対照的な」個性のフロント2管のユニゾン&ハーモニー、そしてアンサンブルこそが、このアルバムでの一番の聴きどころ。
収録曲も、ブルース、スタンダード、バラードなどバランスの良い5曲で構成されており、ハードバップ中期の充実した演奏をいろいろな角度から楽しめる。
ソリストとしては、グリーンのトロンボーンが、速いテンポの曲も難なく吹き回すハード・バッパーな吹奏は見事。ファーマーは、溌剌としたブラスが輝く様な知的なトランペットを吹き上げる。スモールズのピアノも陰影には乏しいが、明るく元気に弾きまくっているのが印象的。アート・ファーマーの双子の兄弟のアディソンは堅実。ドラムのフィリージョーは演奏全体を鼓舞するように叩きまくり(笑)。
ジャケットが悩ましくて「もみの木とグリーン」。クリスマスの企画盤か、と勘違いするが、これ、リーダーが「Benny Green(緑)」だから、「グリーンだから緑の木にしよう」という、当時のジャズ界特有の非常に大雑把でユーモラスなアイデアから生まれたとのこと。まあ、プレスティッジだからな。良しとしよう(笑)。
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