フュージョン・ボーカルの好盤
フュージョン・ジャズは、不思議とボーカル盤が少ない。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルのCTIレコードですら、夫婦デュオのジャキー&ロイ、キャシー・マッコード、そして、このパティ・オースティンくらいである。フュージョン・ジャズのブームの裏では、ロックの世界ではAORブームがあって、こちらはアダルトな雰囲気のボーカル・ロックがメイン。フュージョン・ジャズはAORとの競合を避けたのかもしれない。
Patti Austin『Havana Candy』(写真左)。1977年8月の録音。CTIの5006番。パティ・オースティンとして、1976年のデビュー盤『End Of A Rainbow』に続くセカンド・リーダー盤。ちなみにパーソネルは下記の通り。フュージョン・ジャズ畑の名うての名手達が名を連ねている。加えて、プロデューサーは、ディブ・グルーシン、グルーシンはアレンジも担当して、八面六臂の活躍。
Patti Austin (vo), Dave Grusin (el-p, ac-p, syn, arr, cond)), Richard Tee (ac-piano :2, 6, 7), Eric Gale (el-g :1–7), Hugh McCracken (el-g :1, 4, 5), Steve Khan (el-g :1, 5), Will Lee (el-b :1, 4, 5), Francisco Centeno (el-b :2), Anthony Jackson (el-b :3), Frank Gravis (el-b :7), Steve Jordan (ds :1–7), Ralph MacDonald (perc :1, 5, 7, congas :4), Dave Valentin (fl, timbales :4)。ここにストリングスとバック・コーラス隊がつく。
ソフト&メロウで都会的でソウルフルなエレ・ジャズをベースに、トロピカルな要素やキャッチーなフュージョン・サウンドを交えた、クロスオーバー&フュージョンのボーカル・アルバム。ジャズ・フュージョンのプロデューサーコンビ、デイヴ・グルーシン&ラリー・ローゼンによる洗練されたNYサウンドと、パティの抜群の歌唱力・ソングライティング能力が融合した、クロスオーバー&フュージョン・ボーカルの好盤である。
聴けば判るのだが、このクロスオーバー&フュージョン志向のボーカル・アルバムであるが、根っこはしっかりとジャズにおいているのが判る。当時、裏ではやっていたAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック=ソフト・ロック)とは、リズム&ビートの質が違う。あくまでもジャジー。そして、パティのボーカルも明らかに、根っこは「ジャズ・ボーカル」で、そういう意味で聴き応えがある内容になっている。
パティ・オースティン(Patti Austin)は、1950年生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身のR&B、ジャズ、ポップス歌手・ソングライター。圧倒的な歌唱力と表現力を持ち、シンガーソングライターとしての才能も持ち合わせ(この盤の収録されている全8曲のうち7曲をパティ自身が手がけている)、ジャンルを網羅する実力派ディーヴァとして長年音楽界の第一線で活躍している。未だ現役である。
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