ピーターソンのソロ名盤を再聴
ピーターソンと言えば、トリオでの演奏で有名なのだが、、この晩は、1人でピアノを弾いた貴重なアルバム。ピーターソンのピアノの真髄が良く判る内容となっていて、先日、ご紹介した『My Favorite Instrument』(1968年)よりも、僕は内容が濃くて、奥が深いと評価している、ソロ・ピアノ盤である。聴けば判るが、このソロ・ピアノ盤では、ピーターソンのピアノ・テクニックがどれだけ優れているかが、良く判る内容になっている。
Oscar Peterson『Tracks』(写真左)。1970年11月10–13日、西ドイツのハンス・ゲオルク・ブルナー=シュヴェア(HGBS)のプライベートスタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p) のみ。オスカー・ピーターソンのソロ・ピアノ盤。スタンダードを強靭で自在なテクニックで引き倒した圧巻の一作。
ストライド・ピアノ。跳躍する左手。2曲目『Basin Street Blues』や、4曲目の『Dancing on the Ceiling』では、左手で低音と和音を交互にポンポンと激しく跳ねるように弾く、昔ながらの楽しい「ストライド奏法」を披露して、これが見事。このストライド・ピアノは、一聴してすぐに「ピーターソン」と判る位、個性的で、このストライド・ピアノを聴くと、ああ、ピーターソンはこれでないと、となぜか安心する。
圧巻のブロックコード。1曲目の『Give Me the Simple Life』では、両手の指をたっぷり使って分厚い和音を鳴らす「ブロックコード」という技が使われており、まるでピアノ1台がビッグバンド(大人数の楽団)になったかのような迫力。このブロックコード、他に有名なピアニストとして、レッド・ガーランドが挙げられるが、迫力と力感という点で、ピーターソンに追従出来るピアニストはいない。
超高速の弾き回し。7曲目の『A Little Jazz Exercise』は彼が作った曲なんですが、タイトルを直訳すると「ちょっとしたジャズエクササイズ」。その名の通りピアノの練習曲(エチュード)のようですが、信じられないほどの超高速スピードで指が動き回る、アルバム一番のハイライトです。これを聞けば、ピーターソンは、アート・テイタムを目標として、それを凌駕することを目指した、ということが十分に理解出来る。
このアルバムは、彼のトレードマークである「聴いている人をハッピーにする明るいスウィング感」が、1人きりの演奏でもまったく薄れずに爆発しているところが最大の魅力。音の強弱、硬軟、緩急を完全にコントロールして、歌心も満点なことも、このソロ・ピアノ・アルバムの優れたところ。ソロ・ピアノ盤として、あまりタイトル名が挙がらない、不思議な盤ではあるが、内容はピカイチ。ソロ・ピアノ盤の名盤としても良い、内容のあるアルバムだと僕は思う。
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