ハバードの ”CTIのコンピ盤”です
ジャズ・トランペットの雄、フレディ・ハバードのコンピレーション・アルバムである。ハバードがコロムビア・レコードへ移籍した後にリリースされたCTI時代(1971年〜1973年録音)の未発表テイク集(レア・トラック集)であり、CTIレーベルからリリースされた彼の最後のアルバムである。確かに、アルバムを全編、聴き通すと、曲毎に志向と内容がバラバラで、どの演奏もレベルは高いが、アルバム全体の統一感はない。
Freddie Hubbard『Polar AC』(写真左)。1971年9月 (#1), 1972年4月 (#2–3), 1972年10月 (#4-5) の録音。CTIの6056番。ちなみにパーソネルは、以下の通り。Freddie Hubbard (tp), Junior Cook (ts), Hubert Laws (fl), George Cables (p, tracks 2 & 5), George Benson (g), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds, track 1), Lenny White (ds, tracks 2 & 5), Billy Cobham (ds, track 4), Airto Moreir(perc, tracks 2 & 3)。そして、バックにストリングスとブラス・セクションが入る。
ハバードのトランペットについては、狂ったようにテクニックを駆使して吹きまくる曲もあれば(#1:Polar AC)、抑制の美を全面を押し出した、ストリングスに乗った、イージーリスニング志向のソフト&メロウな吹奏もあれば(#2:People Make The World Go Round, #3:Betcha by Golly, Wow)、スローにアップテンポに、メインストリーム志向のモーダルな吹奏を繰り広げる曲もある(#4:Naturally, #5:Naturally)。
1曲目「Polar AC」はアルバム『First Light』のセッションから生まれた、シダー・ウォルトン作曲のナンバー。ロン・カーターのベースとジャック・デジョネットのタイトなドラムの絡みが絶品。2曲目「People Make the World Go Round」と3曲目「Betcha by Golly, Wow」は、スタイリスティックスのカヴァー。1972年4月の同一日録音。どちらの演奏もボブ・ジェームスによるストリングス・アレンジが特徴。
4曲目「Naturally」は、アルバム『Sky Dive』のセッションから、ビリー・コブハムがドラムで参加したナット・アダレイの曲。ラストの5曲目「Son of Sky Dive」は、アルバム『Keep Your Soul Together』のセッション音源で、カルテット+αの編成による熱気溢れる、メイン師とリーム志向のテンション高い長尺ナンバー。タイトルから類推できるが、名盤『Sky Dive』のタイトル曲の別展開・続編的なテイク。
こうやって、このコンピ・アルバムを聴き通すと、いかにハバードのトラペットのテクニックが圧倒的に高くて、様々なニュアンスの吹奏を完璧に吹き通すことが出来る、希有で不世出のジャズ・トランペッターであることが窺い知れる。逆に、統一感のある個性的なトランペットとはちょっと違う訳で、これが長所と出たり、短所と出たり。ハバードが如何に固定した評価がし難いトランペッターであることを実感する。でも、このコンピ・アルバム、内容としては悪く無い。初心者向けハバード入門盤の一枚として良い感じである。
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