プレスティッジの ”中間派”盤
いわゆる「中間派」のサウンドである。「中間派」とは、スイング・ジャズとモダン・ジャズ(ビ・バップ)の間に位置する、わが国独自のジャズ音楽用語である。音楽性としては、激しいバップの難解さを避け、「スイング・ジャズ」のジャジーなスイング感とブルージー感を全面に押し出した、小粋で親しみ易いジャズの演奏スタイル。ハードバップ基調でありながら、スイング感が強調されている演奏スタイルとも言える。
Bennie Green『Blows His Horn』(写真左)。1955年6月10日、9月22日の録音。Prestigeの7052番。ちなみにパーソネルは、Bennie Green (tb, vo), Charlie Rouse (ts), Cliff Smalls (p), Paul Chambers (b), Osie Johnson (ds), Candido Camero (conga :tracks 1–4)。1955年6月10日の録音だけ、キャンディドのコンガが入る、トロンボーンのベニー・グリーンがリーダーで、チャーリー・ラウズとフロント2管のクインテット編成。
録音当時は、ビ・バップでのトロンボーンを牽引したJ.J.ジョンソンの影響が強いジャズ・トロンボーンの世界の中で、ベニー・グリーンのトロンボーンは、スインギーで余裕のあるブルース感覚が豊かな、いわゆる「中間派」のトロンボーン。チャーリー・ラウズのテナーとのフロント2管で、哀愁感溢れるファンキーなパフォーマンスを聴かせてくれる。
前半セッション(1955年6月10日録音 / トラック1〜4)は、ラテン調の軽快なリズムや、独特のエキゾチックなスウィング感が加わったキャッチーな演奏がメイン。キャンディドのコンガの参加が効いている。ベニー・グリーンの大らかで陽気なトロンボーンがコンガのリズムに良く乗っている。太くマイルドなトロンボーンの音色で吹き上げるバラードも絶品。トロンボーンのディープな低音と柔らかな中音域を駆使して唄い上げるソロも魅力的。
後半セッション(1955年9月22日録音 / トラック5〜9)は、純粋なクインテット(5人編成)によるストレートなハードバップ・ブルースを展開している。でもフレーズの取り回しはあくまで「中間派」。それでもスピード感溢れ、切れ味の良い演奏続きで、中間派侮り難し、である。この後半のセッションでは、力強い推進力のあるベースが目立つが、これは若き日のポール・チェンバースである。ベニー・グリーンのミュート・プレイも味わい深い。
このアルバムは、ベニー・グリーンのプレスティッジ・レコードにおける12インチLPとしての第1作目であり、「中間派」のユーモラスで温かみのあるスウィング感とモダンジャズの融合が好要素として反映された好盤です。こういう「中間派」のリーダー作を押さえていたなんて、プレスティッジもなかなか「侮り難し」である。
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