デジョネットの”New Directions”
ECMレコード・カタログの1100番台(#1101-1199)の当ブログでの記事化のコンプリートを目指している。1000番台については、全くの現代音楽志向(ECMのアイヒャーはこれが好きみたい)の即興演奏のアルバムについては記事化を控えたが、その他のアルバムについては記事化が完了している。そして、次は1100番台。これが結構、記事化が進んでいない。
Jack DeJohnette『New Directions』(写真左)。1978年6月の録音。ECMの1128番。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, p), John Abercrombie (g, el-mandolin), Lester Bowie (tp), Eddie Gómez (b)。屈指のポリリズミックなドラマー、ジャック・デジョネットがリーダー。基本はピアノレス、ギターとトランペットがフロントと変則カルテット編成。曲によって、デジョネットがピアノを弾いている。
デジョネットの「一見交わりそうにない、強力で異なる個性を持ったキャラクターを一堂に会する」というアイデアのもと、集められたメンバーらしい。デジョネットのドラム、ゴメスのベースという、メインストリーム志向の純ジャズなリズム隊に、アート・アンサンブル・オブ・シカゴから、トランペットのレスター・ボウイ、欧州ジャズ志向のソリッドでストレートで、プログレッシヴなギターのジョン・アバークロンビーと、確かに一見どころか、こんなチャンスでもないと未来永劫交わることの無いメンバーである。
ディジョネットの空間的かつシャープなポリリズミックなドラミング、ジョン・アバークロンビーの浮遊感溢れる捻れギター、そしてエディ・ゴメスの堅実なベース。この3人が創り出すECMらしい透明感のあるサウンドがベースとなって、そこにフリー・ジャズ界の奇才レスター・ボウイが加わる。独特の緊張感と実験精神の下、そしてスピリチュアルでモーダルな即興演奏が展開されている。そして、時折、静寂とカオスが織りなす緊張感が顔を出す。
アバークロンビーのアタック感を消した、浮遊感のあるギター&エレクトリック・マンドリンが、アルバム全体にスピリチュアルなトーンを与え、アヴァンギャルドなボウイのトランペットが、ハーフバルブを駆使した歪んだ音、うなり声のようなグロウ・トーン、叫び声のようなハイノートなどを多用して、そのスピリチュアルなトーンを増幅する。そして、デジョネットとゴメスの変幻自在、硬軟自在、緩急自在なリズム&ビートが、フロントの二人をがっちりサポートしている。
ECMの洗練された欧州的なニュー・ジャズの音世界と、米国ブラック・ジャズの生々しいダイナミズムとの完璧な融合がここにある。緻密な4ビートや美しいモーダル・ジャズ(伝統)、フリー・インプロビゼーション(前衛)、そしてエレクトリック・ギターやマンドリンを取り入れたクロスオーバーなアプローチ(フュージョン)が、1枚のアルバムの中に違和感なく同居している。1970年代ジャズの名盤の一枚。
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