CTIビッグバンドの傑作盤です。
CTI Recordsの創設者であるクリード・テイラーによるプロデュース作。当時最先端だったシンセサイザーの未来的な響きと、大編成の生ブラス/ストリングスが見事に融合した、1970年代後半の「クロスオーバー/フュージョン」志向のビッグバンド・サウンドの傑作である。CTIレーベルらしいサウンド・カラーが芳しい。
David Matthews『Dune』(写真左)。1977年6月の録音。CTIの5005番。邦題「砂の惑星」。ピアニスト/アレンジゃー、デヴィッド・マシューズのアルバム。ちなみにパーソネルは以下の通り。パーソネルをつぶさに見渡すと、当時のクロスオーバー&フュージョン・ジャズ畑で活躍していた、名うてのジャズマンたちが勢揃い。錚々たるメンバー構成。
David Matthews (key, arr), Cliff Carter (syn), David Sanborn (as), Grover Washington, Jr.(ss,ts), Lew Del Gatto (oboe, cl), Dave Tofani (fl, piccolo), Hiram Bullock, Eric Gale (g), Randy Brecker, Jon Faddis, Lew Soloff, John Gatchell, Burt Collins, Jim Bossy, Joe Shepley (tp, flh), Wayne Andre, Tom "Bones" Malone, Sam Burtis, Gerald Chamberlain, Dave Taylor (tb), Mark Egan, Gary King (b), Steve Gadd, Andy Newmark (ds), Sue Evans, Gordon Gottlieb (perc), Googie Coppola (vo)。
フランク・ハーバートのSF小説『デューン 砂の惑星』の世界観をモチーフにして制作された「企画盤」。アナログ盤のA面(トラック1〜4)は、小説のキャラクターや舞台をテーマにした組曲風の構成。
Part I: Arrakis:
砂の惑星「アザキス(アラキス)」をテーマにした楽曲。
Part II: Sandworms:
砂漠に生息する巨大な砂虫を表現した、本作屈指の名曲。
Part III: Song Of The Bene Gesserit:
謎の女性結社「ベネ・ゲセリット」をイメージした曲。
Part IV: Muad'Dib:
主人公ポール・アトレイデスの称号「ムアディブ」の名を冠した曲。
B面(トラック5〜8)は、映画『スター・ウォーズ』のメインテーマや、デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」といったSFに関連する映画音楽やポップスのカバーで構成されている。
Space Oddity:
ボウイの名曲を女性ボーカルをフィーチャーしてカバー。
Silent Running:
1972年のSF映画『サイレント・ランニング』のテーマ。
Princess Leia's Theme:
スター・ウォーズの「レイア姫のテーマ」のカバー。
Main Theme From Star Wars:
ドラムブレイクから始まるディスコ調ジャズ・カバー。
振り返ると、なかなかの内容の組曲であり、当時の映画音楽かのカヴァーで締められていて、マシューズのアレンジの才能が溢れんばかり。クロスオーバー&フュージョン志向のビッグバンドの演奏としても、かなり充実した内容になっている。それも、そのはずで、参加ミュージシャンがふるっている。しかし、この当時のクロスオーバー&フュージョン・ジャズ畑で活躍していた、名うてのジャズマンたちを統率し、合同演奏にフィットさせたマシューズの指揮も素晴らしい。
特にB面(トラック5〜8)については、ディスコ・ファンクとクロスオーバーの融合、スティーヴ・ガッドらによる「極上のドラム・ブレイク」、先進的なシンセサイザーの導入が特徴的で、クロスオーバー&フュージョン志向のジャズ・ファンクとしても、その出来は秀逸。
このアルバムは当時「曰く付き」で、「砂の惑星」の原作者のフランク・ハーバートから正規の許諾を取らずに『Dune』の名称と世界観を使ってリリースした為、のちに著作権侵害の訴訟が勃発。これによりアルバムは回収、一時期は廃盤(プレス禁止)状態になったそう。その影響か、今でも、音楽のサブスク・サイトでは聴くことができないようだ(YouTubeで、フルアルバム、聴くことができるみたい)。
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