4管フロントのユニークな好盤
よくまあ、こんな4管フロントのセプテットを考えついたものだと思う。4管フロントなので、4管のユニゾン&ハーモニーやテーマ部のアレンジや、アドリブ・ソロの順番など、単純に即興演奏がメインのインタープレイとは全く違う悩ましさがある。特に、4管フロントのアンサンブルのアレンジが絶対に鍵を握る。でないと聴けたもんじゃ無い。
Jon Eardley『The Jon Eardley Seven』(写真左)。1956年1月13日の録音。プレスティッジの7033番。ちなみにパーソネルは、Jon Eardley (tp), Milt Gold (tb), Phil Woods (as), Zoot Sims (ts), George Syran (p), Teddy Kotick (b), Nick Stabulas (ds)。珍しいフロント4管のセプテット編成(7人編成)。
リズム隊のメンバーは上に他では見かけない名前ばかり。しかし、個性は薄いが上手くて、このアルバムのフロント4管のバックで、良好なリズム&ビートを供給して、リズム隊の任をしっかり果たしている。
アルバム全体に、軽快で爽快、それでいて綿密で小粋な「ジャズを聴かせる」雰囲気が漂っている。リーダーのジョン・アードレイとテナーのズート・シムズは、ジェリー・マリガン・セクステットのレギュラー・メンバーとして活動していたという背景もあってだろう、西海岸風クール・ジャズの質感をしっかり受け継いでいる。これが、このアルバムに独特の雰囲気を与えている。
冒頭の「Leap Year」。ピアニストのジョージ・サイランが書き下ろした軽快なナンバー。4管アンサンブルが印象に残る哀愁系ハードバップ。4管による調和の取れた爽やかなテーマから、各人の流れるようなソロへと引き継がれる展開。厚みがありつつ、端正で品の良い爽やかな西海岸ジャズ風のアレンジと、小粋でしなやかなスイング感が実に良い。
フロント4管に、白人アルトの名手ウッズや、味のあるテナーのズートが参加しているところが注目ポイント。リーダーのアードレイのトランペットも奥ゆかしくも端正で良好。ゴールドのトロンボーンは、中低音域をカバーして、高音域のアードレイや、鋭く突き抜けるウッズを下から包み込むように支えるクッションの役割を果たしている。
つまりは、フロント4管それぞれの力量豊かな吹奏とアンサンブル、そして、それを支える考え抜かれたアレンジがこの盤の優れたところ。
西海岸ジャズ的な軽快で爽快でお洒落な「聴かせる」アレンジと、東海岸ジャズ的な力強いハードバップなアンサンブルが効果的にミックスした、ユニークな内容の好盤である。
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