ジャズ喫茶で流したい・328
ハードバップの名盤・好盤の宝庫としては、ブルーノートが有名だが、このプレスティッジ・レコードも意外とハードバップの名盤・好盤が沢山ある。
録音日の異なる演奏を平気でひとつのアルバムに収録する脳天気さが嫌われる最たる原因で、アルバムの枚数は多いが、どれもやっつけ、玉石混交としたカタログ、と評価されている。が、カタログ順にアルバムを聴き進めて行くと、そうでも無いことに気がつく。
Gene Ammons All Stars『The Happy Blues』(写真左)。April 23, 1956年4月23日の録音。プラスティッジの7039番。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Art Farmer (tp), Jackie McLean (as), Duke Jordan (p), Addison Farmer (b), Art Taylor (ds), Candido (congas)。リーダーのアモンズのテナー、ファーマーのトランペット、マクリーンのアルトが3管フロントのコンガ入りセプテット編成。
ソウルフルなブロウで「ボス・オブ・ザ・テナー」と称されたテナー・サックス奏者のアモンズが率いる「オールスターズ」名義の、スタジオ録音ではありながら、ジャズの醍醐味である熱気あふれるジャム・セッションの形式を採用しており、一一発勝負、一期一会のファンキーでブルージーな演奏が繰り広げられている。
リズム隊にキューバ出身のパーカッショニストである キャンディドのコンガが効いている。通常のハードバップ・セクステットにラテン・パーカッションの色彩が加わることで、従来、ジャズが持つブルージーな泥臭さが中和され、洗練された「跳ねるようなグルーヴ」が生まれている。これが、このアルバムに軽快なファンクネスを与えている。
その雰囲気は、冒頭のタイトル曲「Happy Blues」を聴けば判る。それぞれのソロの後ろで他の管楽器が即興的で心地よいリフを重ね、アルバムの陽気でリラックスした雰囲気を象徴する名演。暗さや重さが一切ない陽気で開放的なグルーヴが特徴。アモンズの骨太なテナーから、マクリーンのエッジの効いたアルト、ファーマーの端正なトランペットへと引き継がれるソロ・リレーに聴き惚れてしまう。
リーダーのアモンズがわが国で馴染みが薄いということ、そして、あのやっつけレーベルのプレスティッジのオールスター・ジャムセッションの録音なので内容が薄い、という聴かず嫌いが作用して、このアルバムは、わが国では、まず取りあげられることは無い。しかし、内容は良い。
プレスティッジの「ジャム・セッション・シリーズ」の第1弾として、事前のリハーサルをあえて行わないことで生まれるジャズ本来の生々しいエネルギーと、ミュージシャン同士の自発的なインタープレイの質の高さを良い形で捉えた好盤と言える。
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