Date/Time


2026年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

« タレンタインの寄せ集めの傑作 | トップページ | パスのギター・トリオの秀作 »

2026年7月10日 (金曜日)

再びバップ・マイルス ”Relaxin’”

レコード・コレクターズ・2026年7月号は「マイルス・デイヴィス・アルバム/名演ランキング」。1950年代のアコースティック期から、ファンクやロックに接近したエレクトリック期、そして、奇跡のカムバック後、晩年に至るまでの長い活動期間に残されたアルバムと名演の数々をランキングしたもの。これに触発されて、僕の「マイルス盤のランキング」を記事にしてみようと思った。

Miles Davis『Relaxin'』(写真左)。1956年5月11日と10月26日の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。1950年代黄金のクインテット。現代絵画キュビズムを思わせる「横たわる女性画」が印象的なジャケット・デザイン。

冒頭1曲目から4曲目まで「If I Were a Bell」「You're My Everything」「I Could Write a Book」「Oleo」が、1956年10月26日の録音。5曲目から6曲目「It Could Happen to You」「Woody 'n' You」が、1956年5月11日の録音。ただ、この6曲の場合、録音日による演奏レベルの差は無い。プレスティッジの総帥プロデューサー、ワインストックは、そこは配慮していた様だ。

そういう配慮があってか、このアルバムの演奏には統一感がある。マイルスのトランペット吹奏は「ミュート」がメイン。それも、このアルバムの統一感に一役かっている。そして、このアルバムの特徴というか、ユニークな点は、このアルバムには、レコーディングでの会話が断片的に収録されており、プレスティッジのマラソン・セッションの臨場感が感じられるところ。

冒頭の「If I Were A Bell」では、マイルスの「かすれ声」から始まる。「先に演奏して、後から曲を教えるよ」。指を鳴らしてのカウントが格好良い。そして、次の「You're My Everything」では、これまた最初に打ち合わせのような会話が入り、続いてガーランドの美しいシングルトーンのイントロが始まるが、イントロの途中で、マイルスが口笛を吹いて演奏を中断し、ブロックコード中心のイントロに変更させる。このやりとりが、これまた臨場感を強く感じさせて実に良い雰囲気だ。
 

Miles_davis_relaxin_2 

 
ラストの「Woody 'N You」の演奏が終わった後の会話が面白い。プロデューサーかスタッフの誰かが「もう一回やろう」と言った声に対して、マイルスがすかさず苛立ち気味に「ホワイ?」と返す。一瞬走る緊張感。しかし、続いて、コルトレーンが一言。これはいったい・・・、緊張感を緩和させようとする機微なのか、脳天気なのか。「栓抜きどこ?」・・・・(笑)。 

収録曲6曲、演奏内容は申し分無い。冒頭「If I Were A Bell」は絶品。マイルスの調子も良い、アレンジも良い。キンコンカンコン、キンコンカンコン、とシングルトーンで有名な鐘の音を模した短いイントロから、マイルスのミュート・トランペットが滑り出すところは実にスリリング。コルトレーンのソロが音が大きすぎて、ちょっとうるさいけど(笑)。

親分マイルスは好調を維持。ハーマン・ミュートを使用した「ミュート・プレイ」はマイルスならでは。これが、この盤のマイルスの吹奏の大凡を占めるから堪らない。美しく男気溢れる魅惑的なペット・ソロを展開し、抑制の美を徹底的に追求する。マイルスならではの「ハードバップの音の美しさ」が溢れている。

ガーランドのピアノが絶好調である。バラード良し、ハイテンポの曲も良し。右手のシングルトーンは良く回るし、左のブロックコードの伴奏を入れるタイミングは絶妙で狂いが無い。マラソン・セッションから編集された4枚のアルバムの中で、この『Relaxin'』でのガーランドが一番良い。「You're My Everything」のイントロで、マイルスがガーランドに弾き分けさせる、このシングルトーンとブロックコードのニュアンスの違いなど、惚れ惚れする。

ガーランドのピアノが好調なので、ミッドテンポからハイテンポの曲が、実にノリの良い演奏になっていて、リズムセクションのチェンバースのベース、フィリージョーのドラムも、うきうきと弾むように、活き活きと軽やかにビートを刻んでいる。

マラソン・セッションから編集された4枚のアルバムの中で、この『Relaxin'』は2番目に好きなアルバム。ハードバップ期のマイルスの傑作の一枚である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
★ AORの風に吹かれて 

『AirPlay』(ロマンチック) 1980

★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
 記事をアップ。

★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
 の記事をアップ。
 
Matsuwa_billboard
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

« タレンタインの寄せ集めの傑作 | トップページ | パスのギター・トリオの秀作 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« タレンタインの寄せ集めの傑作 | トップページ | パスのギター・トリオの秀作 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー