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2026年6月 6日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・324

ハンク・モブレーの、ブルーノートに残した最後のリーダー・セッションとして知られるジャズ盤。フロント2管に、リーダーのハンク・モブレーのテナー、そして、新進気鋭の若手ウッディ・ショウのトランペット。リズム・セクションに、モード・プレイの雄シダー・ウォルトンがピアノを担当している。ギター、ベース、ドラムは当時の中堅〜若手のジャズマン。セクステット編成である。

Hank Mobley『Thinking Of Home』(写真)。1970年7月31日、Van Gelder Studioでの録音。リリースは1980年。ブルーノートの4367番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Woody Shaw (tp), Cedar Walton (p), Eddie Diehl (g), Mickey Bass (b), Leroy Williams (ds)。1970年のブルーノートには珍しい、真摯実直、硬派ストレートアヘッドなポスト・バップなモード・ジャズ盤。

まず、モブレーのテナーは申し分ない。ストレートアヘッドな吹奏も、イージーリスニング志向のソフト&メロウな吹奏もどちらも水準以上。この盤でのモブレーは好調である。ウディ・ショウの瑞々しいトランペットやシダー・ウォルトンの堅実なピアノワークも優れたパフォーマンスで、モブレーのスモーキーで哀愁漂うサックスと見事に調和している。
 

Hank-mobleythinking-of-home

 
ギターの存在は、演奏全体がポスト・バップしすぎて大衆受けしないリスクを和らげる為に、イージーリスニング志向のギターを織り交ぜている様だ。演奏レベルとしては、ブルーノートの標準レベル以上をキープしている。1970年の録音ということを勘案すると、ブルーノートにおける「最後の価値あるハード・バップ・アルバムの一つ」と評価して良い内容の充実度である。

サイドマンとしては、やはり、ショウのトランペットが素晴らしい。ショウの放つエネルギッシュで瑞々しいソロは、モブレーの少しスモーキーで哀愁のあるサックスと最高のリリシズムを生み出している。ウォルトンのピアノも良い。モブレーの哀愁あるサックスや、ショウの鋭いトランペットの背後で、一切の無駄がない完璧なバッキングを聴かせる。知的なソロも素晴らしく、全体の音楽的な気品と統一感は、彼のピアノがコントロールしていると言っても過言ではない。

モブレーは15年間にわたりブルーノートの看板テナー・サックス奏者として活躍。本作はその最後を飾る隠れた名盤。録音後すぐに発売されず、1980年まで未発表だった為、当時のリアルタイムな評価こそ逃したものの、後年その完成度の高さから再評価が進んでいる逸品。とにかく、モブレーのテナーが好調で元気なのが良い。好盤である。
 
 

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