ジャズ喫茶で流したい・325
コルトレーン時代のような4ビートのアヴァンギャルド・ジャズにとどまらず、ジーン・パーラが一部でエレクトリック・ベースを導入、ボサノヴァ調のリズムとファンキーなベースラインが融合し、後のスピリチュアルなジャズ・ファンクの先駆けとも言えるキャッチーなサウンドが興味深い。
Elvin Jones『Genesis』(写真左)。1971年2月12日、Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ での録音。ブルーノートの4369番。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Joe Farrell, Dave Liebman (ts, ss), Frank Foster (ts, fl, cl), Gene Perla (b)。エルヴィンの1970年代前半のマルチ・リード編成の幕開けを告げた、記念碑的なアルバム。
このところの十八番である「ピアノレス・クインテット」。ピアノ(コード楽器)を排除し、3人の強力なサックス奏者とベース、ドラムという編成を採用。これにより、独自の「空間的な広がり」と自由度の高いインプロが展開されている。ここにきて、マルチ・リードのフロント編成に落ち着いた模様。マルチ・リードのフロント管によって、コルトレーン色が一掃されるのだから、ジャズにおいて、演奏の編成も重要な要素なのが良く判る。
ハード・バップの力強さを残しつつ、70年代特有のスピリチュアル・ジャズやジャズ・ファンクの要素も内包した、当時として先駆的な「ポスト・バップ」な音世界。エルヴィンの複雑に絡み合うポリリズム(多重リズム)と激しいドラムロールが、バンド・パフォーマンスを極限までドライヴさせているのが印象的。ジーン・パーラのファンキーなベースワークも聴きどころ満載。
フランク・フォスター、デイヴ・リーブマン、ジョー・ファレルの3本テナーが基本の、重厚な3管フロントのブロウが強力だが、フォスターが持ち替えるアルト・フルート、アルト・クラリネット、ファレルとリーブマンのソプラノ・サックスが、色彩豊かなアンサンブルを生み出しているところも注目である。
この『Genesis』で「マルチ・リードによるピアノレス・クインテット」という独自のフォーマットを確立したエルヴィン。ここにきて、「コルトレーン・クァルテットの影」からの完全な自立を果たしたように感じる。エルヴィン印のポスト・バップの方向性の大本がこのアルバムにある。ここから、エルヴィンのポスト・バップの快進撃が始まる。
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