ホランドの優れたベース・ソロ盤
楽器のソロ演奏を前提としたジャズも沢山ある。が、難度の高いのが弦楽器のソロ。特にコード弾きができない楽器、例えば「ウッドベース」などは、ジャズのソロ楽器としての扱いは難度が高い。特にリズム&コードの正確な維持が難しく、管楽器やピアノの様に、流麗な唄うが如くのメロディ演奏が、ベースの弾き方として難度が高い。
Dave Holland『Emerald Tears』(写真左)。1977年8月、オスロの「Talent Studio」での録音。ECMの1109番。ちなみにパーソネルは、David Holland (b) 一人だけ。英国出身のジャズ・ベーシストであるデイヴ・ホランドのウッドベースだけの完全ソロ・アルバムである。
多重録音を一切行わず、ベース1本のみで独自の空間表現や緻密な即興演奏を展開している。凄まじいほどのテクニックの優秀さ。ウッドベースの胴鳴り、弦鳴りが生々しい、素晴らしいピチカート。正確なビート感。アドリブ・フレーズの溢れんばかりの歌心。ウッドベースがこれだけの表現力を持っていることに、聴いていて、ただただ唖然とする。
全6曲。聴き始めると、ウッドベース一本のソロということを忘れてしまう。ソリッド名低音のうねりと持続音との対話。規則性のある即興と自由度溢れ限りなきフリーな即興との対比。弓で引くアルコ奏法の正確さと歌心。絶妙な「間」を活かしたメロディックなフレーズ展開。驚異的な速弾き(ダブルタイム)。由美でボディを叩くドラミング奏法。高音のハーモニクス。
クラシックに比肩する、ウッドベース演奏のレベルの高さに聴いていて「唖然」とする。何より、ホランドのウッドベースの素晴らしさは、ベースのピッチ(音程)がバッチリ合っていること。フレットレスのウッドベースは、ピッチを合わすのが難しい。しかし、ホランドのベースはピッチがバッチリ合っている。合っているからこそ、アルコ奏法、ドラミング奏法、驚異的な速弾き、高音のハーモニクスが映えに映えるのだ。
この盤、ウッドベースのジャズのソロ演奏として、屈指の名盤だと思う。ベースのソロ盤とは、聴く側として、非常に特殊なんだが、このホランド盤は一聴に値する。ジャズ喫茶でリクエストすると、周りが眉をひそめられたりするが、是非、自室で、それもまずまずのステレオ装置で聴いて欲しい。生々しい雨ウッドベースの音に思わず引き込まれること請け合いです。
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