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2026年5月17日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・322

テリエ・リピダルのパフォーマンスの個性濃厚な音世界が広がる。北欧の冷涼で霧がかった空気感を体現したような、独特のサスティーンの響きと浮遊感を持つクロスオーバー&フュージョン・ジャズ。ECMレーベルの音独特の深いエコーのかかったギターの響き。北欧流ポスト・エレ・マイルス的な内容。クロスオーバー&フュージョン志向のエレ・ジャズの名盤である。

Terje Rypdal『Waves』(写真左)。1977年9月、オスロの「Talent Studio」での録音。ECMの1110番。ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (el-g, syn, RMI keyboard computer), Palle Mikkelborg (tp, tack piano, RMI keyboard computer, ring modulator), Sveinung Hovensjø (6&4 string el-b), Jon Christensen (ds, perc)。ECMレーベルから発表した通算7枚目のスタジオ・アルバムである。

リピダルの音の美学がこのアルバムに結実している。ボリューム・ペダルを駆使したエコーの効いたギター・サウンドが実に幻想的に響き渡る。トランペットをはじめ様々な楽器を操るパレ・ミッケルボルグが参加が、リピダルの音世界に素晴らしい彩りを添えている。
 

Terje-rypdalwaves

 
ミッケルボルグが操るシンセサイザーや管楽器が重厚かつ幻想的なレイヤーを作り上げている。リング・モジュレーターをはじめとするエフェクターを駆使したエレクトリックな管楽器サウンドが、リピダルのギター・サウンドと共鳴して、幻想的な音世界を濃厚なものにしている。その音世界のボトムを支える、スヴェイヌン・ホヴェンショのうねる変則ベースラインの存在もこの盤のユニーク性に拍車をかける。

当時としては先進的だったアナログなリズムボックス(リズムマシン)のチープで高速なパターンが導入されているのが特徴的。そこに、ヨン・クリステンセンの生々しく繊細なドラムが絡み合うという、極めてユニークなポリリズム的アプローチが試みられている。これが今までのジャズっぽく無いリズム&ビートの正体。これも、リピダル独特の音世界をより幻想的にしている。

シンセサイザーによるアンビエント&ニューエイジ的な静寂と、ロックのダイナミズムをシームレスに融合させる独自のスタイルを確立させている。音の雰囲気は、ECMレーベルにおける「欧州プログレッシヴ・ロック」とでも形容しようか。ECMレーベルにはちょっとばかし似使わないジャズ・ロック&エレ・ジャズな音世界ではある。ECMの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーって、もしかしたら「プログレ・ファン」なのかもしれない(笑)。
 
 

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