ジョーダンの ”Flight to Japan”
デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。バップ・ピアノの名手であり、名作曲家出会ったが、デビュー以来、NYの時代は不遇の時代。とにかく売れない。1960年代半ばにはニューヨークでタクシー運転手をしていた時期もあった。しかし、973年北欧のスティープルチェイスに移籍、欧州での「ハードバップ・リバイバル」の流行に乗って、ジョーダンは人気ピアニストに。
Duke Jordan『Flight to Japan』(写真左)。1976年9月25日、東京の「Victor Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Wilbur Little (b), Roy Haynes (ds)。東京・吉祥寺にあるクラブ「サムタイム」に出演した後、翌日の深夜2時にスタジオ入りし、夜明けまでにレコーディングを終了したという逸話の残る、ピアノ・トリオの佳作。
ジョーダンのピアノは明らかに「哀愁」が漂う。ジャズってマイナー・キーが多用されるのだから、誰が弾いたって「哀愁」が漂うでしょうが、と思われるのだが、これが違う。ジョーダンのピアノだけが突出して「哀愁」が漂うのだ。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。
この盤、ジョーダンのオリジナル曲がほとんど。さすが、ジャズの名作曲家の一人。良い曲ばかりで、自作曲であるが故、アドリブ展開なんかも、スムーズで魅力的なフレーズをバンバン叩き出している。しかし、6曲目の「I Can't Get Started」だけがスタンダード曲なのだが、この演奏が、このトリオ盤の中で白眉の出来。さすが、バップ・ピアニストの第一人者の一人、スタンダード曲の解釈については、一目置くところがある。
曲目をみると「Love Hotel」や「The Bullet(Shinkansen)」なんていう曲もあって、思わず苦笑するが、曲としては良い曲、良い演奏だからまあいいか(笑)。「Lullaby of the Orient」は、日本滞在中に作ったジョーダンのオリジナルで、クミコという若い女性ファンの為に書かれたそう。「Stone Wall Blues」では、冒頭、当時、国鉄の車内放送のジングル「汽笛一声新橋を」から始まるユニークなアレンジ。
1970年代に、スティープルチェイス・レーベルに残したリーダー作は良好盤ばかりで駄盤が無い。スティープル・チェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターがデューク・ジョーダンの才能を高く評価していたこと、そして、なにより、双方の相性が相当良かったのだろう。この『Flight to Japan』もその例に漏れない。高レベルを維持したジョーダンの佳作。
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