« 2026年3月 | トップページ | 2026年5月 »

2026年4月の記事

2026年4月30日 (木曜日)

ソウルフルなアンドリュー・ヒル

メロディーの断片、落ち着きなく変化する音階、濃密な多色和音、予測不能なリズム。自由度の限りなく高いモードからややフリー。突出した個性で、1960年代前半、遅れてきた鬼才ピアニストとして、記憶に残るピアニスト、アンドリュー・ヒル。そんな鬼才ピアニストが、1960年代終盤、ブルーノートの4300番台では、大変貌を遂げていく。

Andrew Hill『Lift Every Voice』(写真左)。1969年5月16日、Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ,での録音。ブルーノートの4330番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Woody Shaw (tp), Carlos Garnett (ts), Richard Davis (b), Freddie Waits (ds)。ここに、7人のボーカル&コーラスが入る。

ゴスペル風混声コーラスを導入した鬼才ピアニストのソウル・ジャズ&ジャズ・ファンク。それも、完璧に筋が通ったソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクでは無い。ところどころ、我慢が出来なくなったのだろうか、ヒルのもともとのピアノの個性である、メロディーの断片、落ち着きなく変化する音階、濃密な多色和音、予測不能なリズム。自由度の限りなく高いモードからややフリーなピアノ、テナー、トランペットが出ては引っ込み、出ては引っ込む。

冒頭の「Hey Hey」で、ひっくり返る。アウト気味のテナーが出てきて、これは限りなくフリーなモーダルな展開かと思ったら、いきなり、ライトでゴスペルチックな混声コーラスが出てきてビックリ。これは、当時流行っていた「ライトなジャズ・ファンク」かと思ったら、またまたアウト気味のフリーキーなテナーが出てきて、モーダル&フリーなテナーを吹きまくり、そのうち、トランペットまで、同調したフレーズを吹きまくる。
 

Andrew-hilllift-every-voice

 
そして、ライトでゴスペルチックな混声コーラスがこれに絡む。バックで我関せずと、ヒルが、メロディーの断片、落ち着きなく変化する音階、濃密な多色和音、予測不能なリズム。自由度の限りなく高いモードからややフリーなピアノを悠然と弾きまくっていく。なんなんだ、この演奏は。

2曲目の「Lift Every Voice」に至って、これは従来のヒル・サウンドを踏襲したカルテット演奏、これは以前と変わらない、ヒル独特の「フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズ」を展開している。そこに、ライトでゴスペルチックな混声コーラスが絡んで、ソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクな雰囲気を醸し出す、そんなアレンジの仕掛けになっているのが判る。

しかし、これなら、ライトでゴスペルチックな混声コーラスは要らないんじゃ無いか、とも思うんだが、録音年は1969年。ソウルフルな要素、ジャズ・ファンクな要素は、当時の大手ジャズ・レーベルからすると、必須の「サウンド要素」だっただろう。そうじゃないとアルバムが売れないと思い込んでいたフシがある。この盤だって、ライトでゴスペルチックな混声コーラスを当てることで、ソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクな雰囲気を醸し出そうとしている。

しかし、メインストリームなジャズ、純ジャズ路線は不滅なんだから、ヒルのアルバムは、ヒルの個性のままで、制作〜リリースし続けても良かったのではないか。このライトでゴスペルチックな混声コーラスのお陰で、カルロス・ガーネットとテナー、ウッディ・ショウのトランペットの、アウト気味で限りなくフリーでモーダルな展開が心ゆくまで堪能出来ない。

このアルバム、しっかり聴くと、ヒルのカルテット演奏、ヒル独特の「フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズ」が素晴らしいだけに、このソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクな雰囲気を醸し出そうとするアレンジが残念である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月29日 (水曜日)

”新局面を迎える” 浅利史花です

プロ活動10周年を迎える浅利史花が、伝統的なオルガン・ジャズの系譜を受け継ぎながら、新たなステージへと踏み出した意欲作。これまでのキャリアを土台にしつつ、タイトルには、次の10年に向けて「新しいフェーズ(段階)」へ踏み出すという決意が込められている、とのこと。「伝統への敬意と、自分らしい新境地の融合」がテーマ。

Fumika Asari『Enter A New Phase』(写真左)。2026年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、浅利史花 (g), 長田信慶 (org), 柳沼佑育 (ds), ゲストに, 江澤茜 (as, : trk 4,6,8)。 日本のジャズギタリスト、浅利史花(あさり ふみか)のサード・アルバム。基本はギター・オルガン・ドラムの「OGDトリオ」スタイルで、一部楽曲にサックスが加わる。

今作の最大の特徴は、全編を通してオルガン・ジャズのスタイルを採用している点。伝統的で一番基本となる、ピアノ入りのギター・カルテットをメインにやってきたが、端正なバップスタイルの浅利のギターがあまりに綺麗過ぎて、伝統的なピアノ入りギター・カルテットでは、ジャズ・ギター独特のアーバンでジャジーでファンキーな雰囲気が立ち上がってこない。
 

Fumika-asarienter-a-new-phase  

 
そこで、このギター・オルガン・ドラムの「OGDトリオ」スタイルである。まず、オルガンが効いている。オルガンのファンキーでジャジーなグルーヴが、浅利のギターにファンクネスをふんわり塗して、浅利のギターがよりジャジーに響く。この「OGDトリオ」スタイルの採用が、浅利のギターに新たな魅力を付加した。そんな雰囲気がダイレクトに伝わる内容。

収録曲はスタンダード・カバー4曲+浅利オリシナル4曲の全8曲を収録。オリジナル曲は、当然、浅利のギターが映える曲で良い感じなんだが、やはり、スタンダード曲の「You Don't Know What Love Is」や「I'll Close My Eyes」の彼女独特の解釈とアレンジが現代的でグッド。決して、過去の成果に引き摺られていないところがグッド。

江澤茜のアルト・サックスのゲスト参加も効いている。演奏全体のファンキー度が上がって、浅利の端正で流麗なギターが浮き出てくる様な、不思議なアレンジ効果を生んでいる。オルガンとアルト・サックスの参加で、浅利のギターにファンクネスがふんわり被って、浅利のギターが正統派ジャジーなバップ・ギターにステップアップしている。3枚目のリーダー作。浅利のギターはその個性を確立した感がある。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月28日 (火曜日)

ウィルソンのラウンジ・ジャズ

この作品は、ピアニストであるジャック・ウィルソンがブルーノートに残した3枚目にして最後のリーダー作。純ジャズというよりも、当時のポップスのヒット曲を取り入れたラウンジ風・ポップ・ジャズに近い作風。全面的にストリングスがバックに入り、アレンジは聴き易さ優先。イージーリスニング志向が強烈な、ラウンジ・ジャズである。

Jack Wilson『Song For My Daughter』(写真左)。1968年9,12月 と 1969年4,6月、Liberty Studios, Los Angeles, CA, での録音。ブルーノートの4328番。ちなみにパーソネルは以下の通り。録音が4セッションに渡るので、パーソネルも複雑である。録音場所もロスアンゼルス。ルディ・バン・ゲルダーは関与していない。

Jack Wilson (p), Stan Levey (vib, shaker :tracks 1, 3 & 8), Victor Feldman (vib, timpani :tracks 2, 4 & 7), Tommy Vig (vib :track 10), John Gray (g, tracks 1, 3 & 8), Howard Roberts (g, tracks 2, 4, 7 & 10), Ray Brown (b :tracks 1, 3, 8 & 10), Ike Issacs (b :track 5 & 9), Andrew Simpkins (b :tracks 2, 4 & 7), Donald Bailey (ds :tracks 5, 9 & 10), Varney Barlow (ds :tracks 1, 3 & 8), Jimmie Smith (ds :tracks 2, 4 & 7), Billy Byers (arr, cond :tracks 1–4 & 6–9), ここにストリングスが入る。
 

Jack-wilsonsong-for-my-daughter

 
ブルーノートでのデビュー盤では「西海岸の明るい光の中、アーバンで爽快なジャズ」を演奏していて、2枚目のリーダー作では「ファンキー&ソウル・ジャズ」に転身し、遂には、この3枚目のリーダー作で「イージーリスニング志向のラウンジ風・ポップ・ジャズ」に転身する。いわゆる、売らんが為の「明らかに聴き手に迎合した、売れ筋を意識した、ライトで聴き易いジャズ」が、この盤を席巻している。

ジャック・ウィルソンのピアノは変わらない。ウィルソンのピアノ、しっかりセルフ・コントロールされたソウルフルな響きのファンキー&ソウルフルなピアノが聴けるのだが、アレンジが、確実に「イージーリスニング志向のラウンジ風・ポップ・ジャズ」に凝り固まっているので、このウィルソンのピアノがバックの演奏に埋もれてしまっている。

ただ、不思議なのは、ラストの「Soft Summer Rain」。硬派で上質なメインストリーム志向のファンキー&ソウル・ジャズが展開される。しかも、ストリングス無し。静的で耽美的な、クールでソウルフルなウィルソンのピアノが流麗。途中からテンポアップし、上質なファンキー&モーダルなピアノが疾走する。演奏のパーソネルは、Jack Wilson (p), Howard Roberts (g), Tommy Vig (vib), Ray Brown (b), Donald Bailey (ds)。この曲だけ、往年のブルーノート・ジャズの矜持が甦っている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月27日 (月曜日)

懐かしの融合盤『Hiroshima』

フュージョン・ジャズには、さすが「フュージョン(融合)」というだけあて、ジャズを取り巻く、周辺の別の音楽ジャンルと融合したり、全く予想もしない楽器を使用したり、ジャズの適用力の高さを最大限に活かして、様々な「フュージョン(融合)」にチャレンジした。しかし、そのチャレンジは、決して、全てが成功した訳ではない。成功した方が少なかったのでは無いか。

『Hiroshima』(写真左)。1979年の作品。フュージョン・バンド「ヒロシマ」のセルフタイトル・デビューアルバム。ちなみにパーソネルは以下の通り。プロデューサーは、ザ・クルセイダーズのウェイン・ヘンダーソン。

Dane Matsumura, Dean Cortez (b), Pat Murphy(congas), Danny Yamamoto (ds, perc), Dan Kuramoto, Jess Acuna, Johnny Mori, Teri Kusumoto (perc), Richard "Arms" Mathews (key, syn), June Okida Kuramoto (koto), Dan Kuramoto (sax, fl, japanese-fl), Vince Charles (steel drums, timbales), Johnny Mor (taiko), Dan Kuramoto, Jess Acuna, Richard "Arms" Mathews, Teri Kusumoto (vo)。
 

Hiroshima  

 
このアルバムは、ジャズ、R&B、ラテンのリズムに、琴や太鼓といった日本の伝統楽器を融合させた独特のサウンドが特徴で、リリースから3ヶ月で10万枚以上を売り上げるヒットを記録した、フュージョン・ジャズ盤の秀作である。和洋折衷の美しいアンサンブルが個性で、この和洋折衷のアンサンブルによるフュージョン・ジャズは、この「Hiroshima」しか無い。

「琴や太鼓といった日本の伝統楽器を融合」と聴くと、そして、この盤のジャケットを見ると、米国での「日本志向」=オリエンタル志向の趣味の悪いキワモノ・フュージョンを想起しそうだが、この盤は、フュージョン・ジャズのど真ん中で、しっかりアレンジされ、しっかりジャズしていて、決してキワモノ盤ではない。事や太鼓をむやみに多用していないところも良い。

クロスオーバー・ジャズはジャズとロックの融合がメインだったが、フュージョン・ジャズは、様々な、一部は節操の無い融合もあったりして、玉石混交としていた。この『Hiroshima』は、琴、太鼓、笛、という和楽器をフュージョン・ジャズに持ち込んだ唯一の成功例。アレンジが優れていて、キワモノ・フュージョンを、ギリ回避している。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月26日 (日曜日)

『Here’s Lee Morgan』再聴

2025年リマスターとのこと。確かに、楽器毎の解像度が上がり、楽器の音が生音に近い鮮度を保っている。そのお陰で、リー・モーガンのトランペットがとても魅力的に響いている。コンディションも良かったのだろう、モーガンのトランペットは絶好調。オープンにミュートにその妙技を存分に発揮している。

Lee Morgan『Here's Lee Morgan』(写真左)。1960年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Clifford Jordan (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。メンバーを見渡すと、この盤、絶対ええ音だしてるに決まってる、と確信する。ジャケットはちょっとレトロっぽくて平凡、これでちょっと損をしているが、内容は折り紙付き。

リマスターのお陰か、トランペットのブラスの響く音が、キラキラ輝くように耳に届いてくる。マウスピースと唇の間で漏れる音が聴こえてきそうなほど、生々しい。モーガンのミュート・トランペットを愛でることの出来る盤って、意外と少ないのだが、この盤ではモーガンのミュート・プレイをしっかりと確認出来る。
 

Heres_lee_morgan_2

 
それと、このリマスター盤では、クリフォード・ジョーダンのテナーが前面に出てきていて、ジョーダンのテナーの個性と特徴が露わになっている。少しフリーキーに、モーダルなフレーズをヴァイタルに吹きまくるジョーダン。ダンディズム溢れる雄々しきフレーズが魅力的。バラード・プレイも情感たっぷり。今までの音源では、この盤で、ジョーダンのテナーを気にしたことがなかったのだが、このリマスター盤で、大いに見なおした次第。

ケリーのピアノはクールに、ブレイキーのドラムは熱く、特に、モーガンとケリーとの絡みは相性抜群。ブレイキーの煽りもモーガンには心地良いと感じる様だ。ブレイキーが煽れば煽るだけ、モーガンは素敵なトランペットを吹き上げていく。そして、ベースのチェンバースは何時になく熱気溢れるベースラインを聴かせてくれる。こういうことが、この2025年リマスターでは、当たり前の様に聴くことが出来るのである。

この盤はモーガンのトランペットの魅力が最大限に発揮された傑作の一枚である。この2025年リマスターを聴いて、再認識した。この盤と『Expoobident』『The Young Lions』を僕は勝手にVee-Jay三部作と読んでいるが、いずれの盤でも、モーガンのトランペットは絶好調。『Expoobident』『The Young Lions』の最新リマスターを聴いてみたいものだ。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月25日 (土曜日)

ミッチェルのジャズ・ファンク盤

ブルーノートの4300番台のアルバムをカタログ順に聴き直しているのだが、1968年9月以降の録音のアルバム群になる。明らかに、4200番台以前の音作りとは異なる面が表面化していく4300番台。

1968年、ユナイテッド・アーティスツ・レコードは、ブルーノートを含む子会社レーベルとともにリバティと合併、アルフレッド・ライオン、リード・マイルスは引退、録音も西海岸のスタジオでの録音も多くなり、従来のブルーノート色は段階的に薄れていく。

Blue Mitchell『Bantu Village』(写真左)。1969年5月22–23日の録音。ブルーノートの4324番。ちなみにパーソネルは、以下の通り。モンク・ヒギンズによるアレンジを全面採用した、ブルー・ミッチェルのジャズ・ファンク盤である。

Blue Mitchell, Bobby Bryant (tp), Monk Higgins (p, perc, cond, arr), Buddy Collette (fl), Bill Green (fl, as), Plas Johnson (ts), Charlie Loper (tb), Freddy Robinson, Al Vescovo (g), Dee Ervin (p, perc), Bob West (b, tracks 2, 4 & 6), Wilton Felder (el-b, tracks 1, 3, 5 & 7), John Guerin (ds, tracks 2, 4 & 6), Paul Humphrey (ds, tracks 1, 3, 5 & 7), King Errisson (conga, tracks 1, 3, 5 & 7), Alan Estes (conga, tracks 2, 4 & 6)。
 

Blue-mitchellbantu-village

 
明らかに聴き手に迎合した、売れ筋を意識した、ライトで聴き易いジャズ・ファンク。聴き易さを優先したイージーリスニング志向の音作りなので、1969年の録音ながら、クロスオーバーを飛び越して、ソフト&メロウな雰囲気が、もうフュージョン・ジャズな雰囲気になっている。そう、フュージョン志向のソフト&メロウなジャズ・ファンクと形容して良い音作りである。

録音も従来のブルーノートの録音とはちょっと雰囲気が違う、聴き易さ優先の、後のフュージョン・ジャズの録音っぽくて、録音場所をみてみたら、ロサンゼルスのRPMスタジオでの録音だった。ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音ではない。4300番台のアルバムには、こういった西海岸での録音が、ちょくちょく出てくる様になる。

但し、楽器演奏のレベルの高さ、吹奏フレーズの切れ味などは、さすがはブルー・ミッチェルであり、さすがはブルーノートである。イージーリスニング志向、フュージョン志向のソフト&メロウなジャズ・ファンクとはいえ、演奏の質の高さは見事。ライトでソフト&メロウなアレンジで終始するが、途中でダレたり、飽きたりすることは無い。

明らかに、売れ筋を意識したアルバム作り。ここには、もう従来のブルーノートの矜持は無い。しかし、演奏内容の高さ、演奏の切れ味の良さなどは、従来のブルーノートらしさを保持しているところを感じて、このアルバムは、やはりブルーノートのアルバムなんだなあと、どこかほっとする自分がいたりする。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月24日 (金曜日)

ジャック・マクダフの代表作です

今まで、あまり指摘されてこなかったが、ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。というのも、あのジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスをハウス・オルガニストとして囲っていた時代があって、それに加えて、その経験とノウハウを基に、以降、ポスト「ジミー・スミス」なオルガニストをこぞって、デビューさせた実績がそれを物語っている。

Brother Jack McDuff『Down Home Style』(写真左)。1969年6月10日の録音。ブルーノートの4322番。ちなみにパーソネルは、Brother Jack McDuff (org), Jay Arnold (ts), Charlie Freeman (g), Sammy Creason (ds), Unknown (el-b), Unidentified large band (tracks 2, 3 & 6)。フロント管がテナー1管、エレベ入りのクインテット編成。

躍動感溢れるエレ・ファンクとソウルフルなブルースで占められたオルガン・ジャズ。ブラザー・ジャック・マクダフのオルガンが大活躍、彼のオルガンの個性と特徴が良く判る好盤である。全体的には、聴き易さ優先のイージーリスニング志向で、躍動感溢れるエレ・ファンクとは言え、リズム&ビートは軽快、ソウルフルなブルースとは言え、雰囲気は洗練されていて都会的。ジャック・マクダフのオルガンも癖のないライトでアーバンなジャズ・オルガンを披露する。
 

Brother-jack-mcduffdown-home-style  

 
冒頭の「The Vibrator」を聴けば、その雰囲気が良く判る。聴き易さ優先のイージーリスニング志向。それでいて、リズム&ビートは軽快なファンク・ビート、フレーズの醸し出す雰囲気は「洗練されていて都会的」。上質なエレ・ファンクである。そして、4曲目の「Theme from Electric Surfboard」などは上質なソウル・ジャズで、リズム&ビートは明らかにR&B志向、オフビートが強烈でない分、ソウルフルなジャズの要素が前面に押し出されて、ジャジーな雰囲気が増幅されている。

そして、全編に渡って、誰のプレイなのか判らないのだが、エレクトリック・ベースのパフォーマンスが半端ない。どの曲でも、単にビートの供給に留まらない、フロントにカウンターをかますフレーズ弾きや、エレ・ファンクのビートを増幅する強烈なオフビートのフレーズ弾きなど、このアルバムの演奏のファンク度とソウル度を何段階にも増幅している。このエレベ、いったい誰が弾いたんだろう。このエレベはただ者ではない。相当のエレベの名手だと僕は想像している。

オルガン・ジャズが得意なブルーノート・レーベルの面目躍如的なブラザー・ジャック・マクダフの好盤。録音も、オルガン・ジャズとして、ジミー・スミスのダイナミックかつ攻撃的な神的オルガンで鍛えられたであろう、素晴らしい録音手法で、マクダフのパフォーマンスを記録している。4300番台のオルガン・ジャズの名盤として良い内容である。
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月23日 (木曜日)

再ミントンハウスのクリスチャン

チャーリー・クリスチャンは1916年生まれ。ジャズ・ギターの開祖とされるレジェンド。1939年、ベニー・グッドマン楽団のメンバーに起用される。楽団で演奏活動を行う一方、ニューヨークで、次世代のジャズを担うであろうキーマン的ジャズマン達、ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンクらと出会い、ジャム・セッションを重ねる。

Charlie Christian & Dizzy Gillespie『Jazz Immortal: After Hours Monroe's Harlem Mintons - Live』(写真左)。1941年5月、ハーレムにあるミントンズ・プレイハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charley Christian (g), Dizzy Gillespie, Joe Guy (tp), Don Byas (ts), Kenny Kersey, Thelonious Monk (p), Nick Finton (b), Kenny Clarke (ds)。

1941年5月、ハーレムにあるミントンズ・プレイハウスで行われた「ビ・バップ誕生前夜」の必殺ライヴ音源。そんな、次世代のジャズを担うであろうキーマン的ジャズマン達と、ジャズ・ギターの開祖とされるレジェンド、チャーリー・クリスチャンとのジャム・セッションの記録である。録音したのは、アマチュアのジェリー・ニューマン。ダイレクト・カッティング方式の機械を持ち込んで収録したらしい。

2000年のリマスター音源を聴いているのだが、これが意外に良い。チャーリー・クリスチャンのギター・ソロもクリアーに録れていて、ガレスピーのトランペットや、ドン・バイアスのテナーのソロなど、躍動感の感じられる音で、なかなかに楽しめる。以前は、いかんせん、録音が悪いなあ、とヘビロテ盤とまではいかなかなったが、この音質であれば、ながら聴きにも十分耐える。
 

Charlie-christian-dizzy-gillespiejazz-im

 
チャ-リー・クリスチャンが、ジャズ界に残した功績は、それまでコード弾きでリズム楽器、若しくは伴奏楽器として、バッキング・オンリーだったギターという楽器を、脅威の一本弾きで、管楽器同様、フロント楽器として、ソロがとれる楽器へと進化させたこと。

そのフロント楽器としてのソロ・パフォーマンスがこのライヴ盤にしっかりと記録されていて、今の耳にも十分に訴求するテクニックの素晴らしさ、フレーズのユニークさである。このライヴ盤でのチャーリー・クリスチャンのギターを、現代のジャズ・シーンに持ち込んでも十分に通用する内容とテクニックの高さ。電光石火なクリスチャンの「カッ飛び」ソロは聴き応え十分。

ちなみに、このライヴ盤は、チャーリー・クリスチャンとディジー・ガレスピーとの双頭リーダー扱いになっているが、そもそも、チャーリー・クリスチャンは生涯、リーダー作を出していない。

わが国では、邦題「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」でリリースされているのでややこしいのだが、収録全9曲中、5曲までチャーリー・クリスチャン入りのジャム・セッションの記録になる。その5曲「Swing to Bop」「Stompin' at the Savoy」「Up on Teddy's Hill」「Guy's Got to Go」「Lips Flips」のパフォーマンスで、チャーリー・クリスチャンの弾くギターの特徴がはっきりと判る。

2000年のリマスター音源では、ジャズ者初心者の方々にもお勧め出来る音質になっていて、チャーリー・クリスチャンの「ジャズ・ギターの開祖」とされる所以が良く判る。今までは、ジャズ者中堅の方々からジャズ者ベテランの方々向け、としていたが、音質が改善された音源については、ジャズ者初心者の方々に是非、聴いて欲しいレベルのライヴ盤に昇格している。
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月22日 (水曜日)

エリントン楽団の小作品集です

リラックスして聴けるビッグバンドの演奏の数々。ピアノをストレイホーンに全面的に任せている曲や、珍しい楽器(バスクラリネットやバイオリンなど)がソロをとる場面が多くあって、普段のエリントン楽団のビッグバンド・サウンドとは一味違う、「室内楽のような親密さ」を感じられるのが最大の特徴。

Duke Ellington『Blues in Orbit』(写真左)。1958年2月4, 12日、1959年2月25日、12月2, 3日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Billy Strayhorn (p), Ray Nance (tp, vln), Britt Woodman (tb), Jimmy Hamilton (cl, ts), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), Jimmy Woode (b), Jimmy Johnson, Sam Woodyard (ds) をはじめとする、デューク・エリントン楽団。

当時のエリントン楽団の充実ぶりを伝える重要作として高く評価すべきアルバムである。豪華なブルース・ナンバーがやっぱり良い。「Three J's Blues」は、3人の「J」から始まる奏者、ジミー・ハミルトン(クラリネット)、ジョン・サンダース(トロンボーン)、ジョニー・ホッジス(アルトサックス)のソロをフィーチャーした12小節ブルース。「C Jam Blues」は、エリントンの代表的なスタンダード曲。
 

Duke-ellingtonblues-in-orbit

 
このアルバムのタイトル曲は「Blues in Orbit」。非常にスローで重厚なブルース。夜の静寂を感じさせるような、深く落ち着いた演奏が、当時の「深夜のセッション」という録音環境を象徴している。アルバムの最後を飾る「Villes Ville Is the Place, Man」は、アップテンポでエネルギッシュな曲。ホッジスの伸びやかなサックスと、楽団全体のダイナミックなアンサンブルが最高に恰好良い。

エリントンの右腕、ビリー・ストレイホーンが作曲・編曲を手がけ、自らピアノも弾く、洗練されモダンな響きを持つ「Smada」。「Blues in Blueprint」は、低音のバスクラリネットが印象的な、不気味でミステリアスな雰囲気を持つブルース。エリントンとストレイホーンによる実験的な響きがユニーク。

ブルースを中心とした小作品集。当時、エリントンが取り組んでいた組曲形式の大作とは対照的な内容。プロデューサーのテオ・マセロによると、セッションは深夜0時に始まり、午前2時にはステーキの出前で休憩を挟むといった、非常にリラックスした環境で録音されたとのこと。「ルーズなジャム(即興)」志向の、当時のエリントン楽団としては珍しいスタジオ録音盤。バーチャル音楽喫茶「松和」のエリントンの愛聴盤の一枚である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月21日 (火曜日)

”Virtuoso” =名手, の再聴です

最近、音楽のサブスク・サイトでも、クラシック・ジャズ、特に、ハードバップの名盤・好盤のリマスターがどんどん出てきている。もうウハウハである(笑)。今も昔もリマスターされるアルバムは、いつの時代にも代表作とされる名盤・好盤が中心。絵に描いた名盤をリマスターというよりは、どこかマニアックで、ジャズ者の心の吟線に触れる様な好盤のリマスターが進んでいる。好ましい限りである。

Joe Pass『Virtuoso』(写真左)。1973年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Pass (g)のみ。ジャズ・ギタリストの重鎮、ジョー・パスのソロ・パフォーマンスを記録したアルバム。タイトルの「Virtuoso」=名手、の通り、ジョー・パスの超絶技巧なテクニックと、溢れんばかりの歌心、個性溢れるアドリブ・フレーズの数々を心ゆくまで楽しめる名盤である。

改めて、今回の「2023年リマスター」盤を聴いたのだが、もともと録音の良かった盤ではあるが、リマスターにより、ギターの音がさらに豊かになり、コード弾きの和音の倍音の拡がりが聴き取り易くなっている様に感じる。タイトルの「Virtuoso」=名手、が更に実感となって感じられる、そんなリマスター盤になっている。
 

Joe-passvirtuoso  

 
ギターのソロは、一番悩ましいのが、正確な揺るぎの無いリズム&ビートの維持。ピアノのソロの様に、左手でリズム&ビート、右手でフレーズを同時に弾くということはギターは出来ない。ストローク&コード弾きでリズム&ビート、そして、一本弾きもしくはオクターヴ奏法でフレーズ、と別々に弾くしかない。体内のリズム&ビートを感じながらの旋律弾きとなるんで、これはもう才能の域である。

冒頭の「Night And Day」は、この盤の魅力的な内容を誇るオープナーな1曲。パスの考えるギター・ソロパフォーマンスにおけるテクニック、表現方法の全てがこの曲に詰まっている、そんな感じの「パスのギターの全て」が凝縮された様な演奏。5曲目の「How High The Moon」の超絶技巧なテクニック、正確無比なタイム感覚、想像的なバップ・フレーズ。続く「Cherokee」も凄まじいテクニックの嵐。速い一本弾きのフレーズの弾き回しには胸の空く思い。

リマスター効果が良く出ている。音の鮮度が良くなった分、曲毎の演奏の展開、披露するテクニックについては、曲が進むにつれ「マンネリ化」することなく、十分な鮮度を保ったまま、ソロ・パスーマンスは粛々と進んでいく。ジャズが斜陽化しつつある時代に、このソロ・パフォーマンス。今一度、ジョー・パスを深掘りする必要がありそうだ。
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!




 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月16日 (木曜日)

”Jazz Message #2” の再聴

内容は良いのに話題に上ることが少ない盤。よくある「あるある」はジャケット。ジャケット・デザインの意味するところが判らない盤は、なかなか人気が出ない。このモブレーのリーダー作が、その最たる例だろう(笑)。どうして、こういうジャケット・デザインになったのか、理解に苦しむ(笑)。サボイ・レーベルの謎である。

Hank Mobley『Jazz Message #2』(写真左)。1956年7月23日、11月7日の録音。Savoyレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。リーダーのハンク・モブレーのテナーと、ダグ・ワトキンスのベースは、2回のセッション共通。後は、総取っ替えである。

1曲目「Thad's Blues」,2曲目「Doug's Minor B' Ok」は、1956年1月7日の録音で、Hank Mobley (ts), Lee Morgan (tp), Hank Jones (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。

3曲目「B. for B.B.」4曲目「Blues Number Two」5曲目「Space Flight」は、1956年7月23日の録音で、Hank Mobley (ts), Donald Byrd (tp), Barry Harris (p), Doug Watkins (b), Kenny Clarke (ds)。
 

Hank-mobleyjazz-message-2  

 
サヴォイ・レーベルの録音なので、音がまずまず良い。1956年、ハード・バップ全盛に向かって、若きジャズ・ミュージシャン達が技を競い合った時期。ハードバップど真ん中な、躍動感溢れる、熱気ムンムンの演奏に思わず、聴き耳を立ててしまう。

若きモブレーの、まだ荒削りで野太い、それでいて歌心を感じさせるテナーは「これぞモダン・ジャズ」的な音で、聴いていて心が和みます。ワトキンスのベースは、太くて堅実。ブンブン鳴ってます。

1曲目「Thad's Blues」,2曲目「Doug's Minor B' Ok」では、リー・モーガンのトランペットが溌剌としてブリリアント。バリバリとテクニックよろしく、うるさいくらい元気に、トランペットを吹き上げていく。若きモブレーの、まだ荒削りで野太い、それでいて歌心を感じさせるテナーで、モーガンに追従する。

3曲目「B. for B.B.」4曲目「Blues Number Two」5曲目「Space Flight」でのトランペットは、ドナルド・バード。バードのトランペットも溌剌としてブリリアント。バリバリとテクニックよろしく、理知的に元気に、トランペットを吹き上げていく。バードの端正で理知的なトランペットは聴きもの。

ペットのモーガンやバードは、もうこの頃、既に、彼らそれぞれ特有の「クセ」が、ところどころに見え隠れして優秀。。ハード・バップの美味しいところが詰め込まれていて楽しい。リラックスして聴けます。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月15日 (水曜日)

ブルーノートのスピリチュアル

ブルーノートには珍しいスピリチュアル・ジャズ。フリー・ジャズには、造詣が深いところを見せていたブルーノートだが、コルトレーンが最初に打ち出した「スピリチュアル・ジャズ」については、後塵を拝した感があった。これは、ひとえに、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの引退が原因なんだろうと僕は思っている。

Eddie Gale『Black Rhythm Happening』(写真左)。1969年5月2日の録音。ブルーノートの4320番。ちなみにパーソネルは、Eddie Gale (tp), Roland Alexander (ss, fl), Jimmy Lyons (as), Russell Lyle (ts, fl), Jo Ann Gale Stevens (g, vo), Henry Pearson, Judah Samuel (b), Elvin Jones (ds), John Robinson (african-ds), Noble Gale Singers= Sylvia Bibbs, Charles Davis, Paula Nadine Larkin, William Norwood, Fulumi Prince, Carol Ann Robinson, Sondra Walston (chorus)。

フリー・ジャズとソウル、ゴスペル、アフリカ音楽の要素を融合させた、1960年代後半を象徴するスピリチュアル・ジャズの問題作。全8曲で構成されており、ヴォーカル・グループ「Noble Gale Singers」をフィーチャーした祝祭的で力強いサウンドが特徴。
 

Eddie-galeblack-rhythm-happening  
 

同じスピリチュアル・ジャズではあるが、前作の『Ghetto Music』では、2人のドラマーと2人のベーシストを起用した重厚で土着的なグルーヴが特徴だった。地を這うようなビートの力感がユニークで、儀式的・宗教的な「重み」が強く出ていた。

当作では、ポリリズミックな重量級ドラマー、エルヴィン・ジョーンズが参加、彼のポリリズミックでダイナミックなドラミングにより、疾走感と躍動感が増強され、より「ハプニング(出来事)」の名にふさわしい祝祭的な明るさと突発性が前面に出ている。

しかし、面白いのは、リーダーのゲイルのトランペットは、意外と「伝統的で新主流派」的な吹奏であり、リズム・セクションが紡ぎ出す、スピリチュアルなリズム&ビートに乗りきれない、素性の良さが浮き彫りになっている。

テナー以下、管楽器+ベース・ドラム+コーラス部隊が醸し出す、怪しげでフリーなリズム&ビートとは全く、反対の、普通にモーダルなトランペットがユニーク。逆に、このゲイルの伝統的なトランペットがあるから、このスピリチュアル・ジャズ志向のアルバムは、フリーに転落することなく、オーネット・コールマンの物真似に陥る事無く、ゲイルの個性的なスピリチュアル・ジャズの範疇に留めている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

 

2026年4月14日 (火曜日)

ECMらしいテナー・トリオの記録

やっと春らしくなった、というか、今年の春は暖かい、というか、暑い(笑)。でも、部屋の中の雰囲気は、明らかに「春」で、少し窓を開けて、春風を入れながら聴くジャズは格別なものがある。そして、そんな「春」の昼下がりの雰囲気に合うジャズのひとつに「ECMジャズ」がある。そのECMジャズをカタログ番号順に記事にしてきて、今、「ECM Records Discography 1101-1199番」を走っている。

Paul Motian Trio『Dance』(写真左)。1977年9月の録音。ECMの1108)番。ちなみにパーソネルは、Charles Brackeen (ss, ts), David Izenzon (b), Paul Motian (ds, perc)。ECMの録音とはいえ、トリオの3人は米国出身。このトリオについては、ピアノレスのテナー、ベース、ドラムスのトリオ編成。リーダーはドラマーのポール・モチアンという異色作。

ハードバップ時代からの職人芸ドラマーのポール・モチアンがリーダー、サックス奏者のチャールズ・ブラッキーンとベーシストのデヴィッド・アイゼンゾンが参加してした、ピアノレス・トリオの演奏である。加えて、サックスのブラッキーンとベースのアイゼンゾンは、米国出身のジャズマンではあるが、マイナーな存在。そんな一種危うい編成のトリオ演奏なのだが、さすがはECM、なかなか内容の整った演奏内容に感心する。
 

Paul-motian-triodance

 
内容的には、限りなくフリーに近いモーダルな演奏がメインで時々フリー。メロディー・フレーズは、フロント管のチャールズ・ブラッキーンのサックスに依存するしか無いのだが、これがまずまず健闘している。凄まじくモーダルに展開する訳ではないのだが、欧州ジャズ的なクールな熱の入った、まずまずモーダルなサックスは合格点。そこに、アイゼンゾンのベースが、やはりモーダルに絡み、モチアンのドラムが演奏全体のトーンと展開をコントロールしている。

ピアノレスのテナー・トリオなんだが、ダレたり単調になったりするところが無いのは立派。3者3様のパフォーマンスを基に、適度なテンションを張ったインタープレイを展開しているところが、即興演奏をジャズとしている、ECMレーベルの音。モーダルなアイゼンゾンのベースは意外と良い。モーダル時々フリーな演奏を見事にコントロールするモチアンのドラムはさすがである。

僕がこのピアノレス・テナー・トリオの演奏を知ったのは数年前。トリオの3人とも米国出身なのに、出てくる音は欧州のECMジャズの音。ECMレーベルの録音についての音作りの個性、限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音と、ECMの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの強烈なプロデュース力を再認識する。ECMらしい、ピアノレス・テナー・トリオの演奏の記録である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月13日 (月曜日)

ライトでポップなロニー・スミス

イージーリスニング志向のジャズ・オルガンの名手、ロニー・スミスが、トランペットのリー・モーガン、トロンボーンのジュリアン・プリースター、テナーサックスのベニー・モーピン、ギターのメルヴィン・スパークス、ドラムのイドリス・ムハンマドと組んだ、セクステット編成。

Lonnie Smith『Turning Point』(写真左)。1969年1月3日の録音。ブルーノートの4313番。ちなみにパーソネルは、Lonnie Smith (org), Lee Morgan (tp), Bennie Maupin (ts), Julian Priester (tb), Melvin Sparks (g), Idris Muhammad (ds)。ロニー・スミスのオルガンがメインの、ファンキー&ソウル・ジャズ志向のジャズ・ファンク。

とてもスッキリした内容のジャズ・ファンク。ファンキー&ソウル・ジャズの雰囲気濃厚なジャズ・ファンクは、緩やかでダンサフル。しかし。踊りまくるというグルーヴではない。イージーリスニング志向のライトでポップなジャズ・ファンクで、ながら聴きに最適なオルガン・ジャズでもある。
 

Lonnie-smithturning-point

 
ロニー・スミスのオルガンは、端正で明瞭。癖がなく、音は真っ直ぐに伸びる。テクニックはそこそこ、しかし、聴き心地は良好。そんなロニー・スミスのオルガンが、アレサ・フランクリンもカヴァーしたドン・コヴェイの「シー・ソー」、レノン=マッカートニーの「エリナー・リグビー」などのポップス曲をカヴァーする。良い雰囲気だ。

途中出てくるトランペットが只者では無い。誰だろうと聴き耳を立てたら、これはリー・モーガンでした。さすがのバイタルでブリリアントなトランペット。そして、切れ味良い、新主流派っぽいテナーが魅力のモウピンのテナー、ソウルフルでR&B志向のエレギが堪らない。このメンバーでのライトでポップなジャズ・ファンク。切れ味良く、輪郭の良いオルガン・ジャズを演出する。

抽象的なジャケット・デザインとは正反対の、正統派で硬派な、ライトでポップなオルガン・ジャズ。ファンキー&ソウル・ジャズ志向の音作りがクール。従来のオルガン・ジャズとはことなる、新しいタイプのオルガン・ジャズ。さすが、オルガン・ジャズに強いブルーノート・レーベルの成果である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

2026年4月12日 (日曜日)

”エラの歌唱力に舌を巻く” 盤

僕のジャズ・ヴォーカルの好みは偏っている。基本、旧来の伝統的なジャズ・ヴォーカルのマナー、こってこてのオールド・スタイルのフェイクやヴィブラートの入った歌唱が苦手。ストレートでポップな唄いっぷりが好みで、ヴォーカル盤はたまにしか聴かなかった、のだが、最近、何故か、ちょくちょく聴く様になった。歳を取ったせいだろうか(笑)。

Ella Fitzgerald『The Sunshine of Your Love』(写真左)。1968年10月、サンフランシスコのフェアモント・ホテル、ベネチアン・ルームでのライヴ録音。MPSレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ella Fitzgerald (vo), バックバンド=Tracks 1–6:Ernie Hecksher's Big Band、Track 7–12 Tommy Flanagan Trio、Tommy Flanagan (p), Frank DeLaRosa (b), Ed Thigpen (ds)。

収録曲の大部分は、1960年代後半の現代的なポップ・ソングのジャズ・カヴァー。女性ジャズ・シンガーの最古参の一人、レジェンドのエラ・フィッツジェラルドが、1960年代後半の現代的なポップ・ソングを唄う。旧来の伝統的なジャズ・ヴォーカルのマナーで唄うのかな、とあまり期待して無かったのだが、冒頭のレノン=マッカートニーの「Hey Jude」を聴いて、これは、と思わず引き込まれる。
 

Ella-fitzgeraldthe-sunshine-of-your-love  

 
続くタイトル曲が「The Sunshine Of Your Love」は、当時、人気のロック・グループ「クリーム」のヒット曲。ジャック・ブルースとエリック・クラプトンの作。これがまた、見事にジャズ・ボーカル曲に変身している。ベースがブルースという有利な点はあるにせよ、先の「Hey Jude」を含めて、マーティ・ペイチのアレンジが素晴らしい。

他の曲、バカラックの名曲や、ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンの歌唱でお馴染みの「This Girl's in Love With You」、映画音楽のスタンダード曲の「Watch What Happens」や「Give Me The Simple Life」など、ポップな曲を、エレは難なく、モダンに、ポップに、ロックに唄い上げる。エラの歌唱力に脱帽である。エラは、どんなポップ曲もスインギーなジャズ・ボーカルに変身させる。

実は、僕は高校時代、FMで、エラの「Hey Jude」と「The Sunshine Of Your Love」を聴いて、この2曲はエアチェックして愛聴していた。この2曲、どのアルバムに入っているんだろう、と思いながら、大学時代、例の秘密の喫茶店のママさんがこのライヴ盤を教えてくれた。それ以来、ジャズ・ヴォーカルが苦手な僕の愛聴盤の一枚になった。思い出深いエラのライヴ盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月11日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・320

フランク・シナトラとカウント・ベイシー楽団の共演ライヴ・アルバム。シナトラの歌唱力素晴らしさとカウントベイシーの演奏力の素晴らしさが、確実に「化学反応」を起こしている、見事な内容のジャズ・ボーカル盤である。シナトラにとって初のライブ・アルバムであり、その後、シナトラと最も強く結びつく楽曲の決定的な演奏が数多く収録されている。聴き応え抜群である。

Frank Sinatra『Sinatra At the Sands』(写真左)。1966年1月と2月、ラスベガスのザ・サンズ・ホテル&カジノのコパ・ルームでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Frank Sinatra (vo), Count Basie (p), Bill Miller (p), and The Count Basie Orchestra、そして、Quincy Jones (arr, cond)。

シナトラの歌唱が絶品。ダンディズム溢れる、魅力的でセクシーな中低音ボーカル。ポジティヴに語りかける様に、耳元で囁きかける様に、硬軟自在、緩急自在、変幻自在にシナトラはボーカルをコントロールする。そう、シナトラはボーカルを「支配」している。クールにジェントルにダイナミックに唄いまくる様は見事である。

冒頭「Come Fly with Me」から始まり「I've Got a Crush on You」「I've Got You Under My Skin」「The Shadow of Your Smile」「Street of Dreams」「One for My Baby」と続く熱唱に次ぐ熱唱。そして、7曲目「Fly Me to the Moon」。僕はこのシナトラの「Fly Me to the Moon」が大好き。何回何十回聴いても良い。シナトラのこの曲の歌唱が好きで、遂には曲自体までもが好きになってしまった。
 

Frank-sinatrasinatra-at-the-sands

 
バックを司るカウント・ベイシー楽団の演奏も素晴らしい。加えて、アレンジがクインシー・ジョーンズ(略して「Q」)。この「Q」のアレンジに乗って演奏するカウント・ベイシー楽団、アーバンで洒落て、良い意味でポップなビッグバンド・サウンドに変化していて、シナトラの歌唱を効果的にバッキングし、シナトラの歌唱の個性を映えに映えさせる。これだけ、フロントのボーカルにぴったりあったビッグバンドのバッキングも珍しい。

ライヴ録音としての臨場感も良い。聴き始めると、自宅のリスニング・ルームが、たちどころに、ラスベガスの「ザ・サンズ・ホテル&カジノのコパ・ルーム」に変わるような、そんな臨場感が心地良い。これぞ、ライヴ盤という雰囲気は、シナトラのボーカルとカウント・ベイシー楽団の演奏に思わず集中してしまうほどの臨場感。

シナトラのしゃべりをそのまま収録しているところが凄い。これがまた、長々しゃべってるんですが、シナトラはMCの名手で、観客は笑いっぱなし。シナトラは早口でペラペラまくしたてるんで、何を言っているか、ほとんど判らないんですが、観客の洒落た笑いと楽しそうな雰囲気がダイレクトに伝わってきて、思わず、こちらも口元を緩めながら聞いてしまう。

シナトラは、僕が小学五年生、親父のラジオをくすねて、NHK第一放送の『夜のしらべ』で、シナトラの歌唱を聴いて以来、ずっとお気に入りの男性ボーカルである。シナトラは、1998年5月に亡くなっているのだが、つまりは、僕は1970年代から亡くなるまで、シナトラをリアルタイムで聴いていたことになる。これは、実に光栄なことであった。この『Sinatra At the Sands』を聴く度に、そんなことをつらつらと思い出す。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月10日 (金曜日)

再聴 ”サンフランシスコのモンク”

最近、音楽のサブスク・サイトでも、クラシック・ジャズ、特に、ハードバップの名盤・好盤のリマスターがどんどん出てきている。聴いてみると、ほとんどが音質、音の分離、音の輪郭などが改善されていて、アルバムによっては、全く違ったイメージに感じてしまうリマスターもあるくらい。なので、ハードバップの名盤・好盤のリマスター盤が出たら、積極的に聴くことにしている。

Thelonious Monk『Thelonious Alone in San Francisco』(写真左)。1959年10月の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p) のみ。アルバム・タイトルどおり、ジャズ・ピアノの高僧、セロニアス・モンクのソロ・ピアノ集である。ジャケット・デザインもお洒落な「モンク名盤」の一枚。

同じリヴァーサイド・レコードから、先行してリリースされたソロ・アルバム『Thelonious Himself』があるのだが、凛とした雰囲気漂い、「寄らば切るぞ」というような、強いテンションを張った、清冽な雰囲気漂う孤高の世界だった。決して、初心者向けでは無い。しかし、このソロ盤が一番、モンクの個性と特徴を表していて、この盤を繰り返し聴くことが、モンクを理解する一番の近道だったように思う。
 

Monk_san_francisco_3

 
しかし、である。このソロ・アルバムのモンクは「聴きやすい」。モンクのユニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などが、凄く判り易くなっている。クラシック・ピアノをやっている人が理解しやすい、というか、西洋音楽の対極にある様なモンクのピアノが、このソロ盤では、西洋音楽の基本にかなり近づいている。これは、恐らく、モンクの意向だと思われるのだが、どういった心境の変化なのか。

僕はこのモンクのソロ盤を聴いて、モンクは普通のピアノも弾けるんだ、と驚いた。つまり、モンクはピアニストとしての基本をしっかり身につけていた、ということになる。それを前提にして、あのモンクのユニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などがあるのだと。

モンクは奇人・変人なピアニストでは無い。モンクは、スタンダードなピアニストであり、ピアノの基本がしっかりあって、その上で、ニークな音の飛び方、音の重ね方、フレーズの「間」などを実現する天才である。この盤は、モンクのピアニストとしての基本部分がしっかりしていることを教えてくれる、暖かくて、優しくて、ほのぼのとしていて、ジャズ者初心者に対しても、モンクのソロ・ピアノ入門盤として適している所以である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 9日 (木曜日)

”less is more” なステイシー盤

ステイシー・ケント(Stacey Kent)は、高い人気を誇る米国出身のジャズ・シンガー。繊細でキュートな歌声と、ボサノヴァやフレンチ・ポップなどを織り交ぜた、ならではの「クロスオーバー志向」の歌唱内容が個性。夫君はサックス奏者のジム・トムリンソン。ステイシーのアルバムのプロデューサーも務めている。

Stacey Kent『A Time For Love』(写真左)。2026年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Stacey Kent (vo), Jim Tomlinson (ts, ss, fl, cl, perc, back-vo, producer), Art Hirahara (p, key)。アート・ヒラハラのピアノとのデュオを基調としつつ、数曲で夫であるジム・トムリンソンのサックスやフルートが加わるシンプルな構成のボーカル盤。

エヴァーグリーンな楽曲の数々を取り上げた、収録曲のラインナップが魅力的。バーンスタインがミュージカル『オン・ザ・タウン』のために書いた「Lucky To Be Me」から始まり、映画『いそしぎ』のテーマ曲「The Shadow Of Your Smile」、フランス語で歌われるセルジュ・ゲンスブールの「La Javanaise」、バート・バカラック作曲の「Trains And Boats And Planes」など、聴いて「ああ、あの曲か」と判る位の、長く親しまれている楽曲がズラリ。
 

Stacey-kenta-time-for-love

 
ステイシーの低音域の温かな響きが心地良い。フレーズ取り回しや、絶妙な「間」が独特で、聴いていて、ああ、その唄声はステイシーやなあ、と確認できる。「La Javanaise」で見せる仏語での歌唱の美しさにちょっと嬉しい驚き。堂々として、確信を持った、繊細でキュートな唄声は、ジャズ・ボーカルの「ニュー・タイプ」の代表格の貫禄を感じる。

このアルバムで「これ一曲」を挙げて欲しいと請われたら、僕は、スティーヴィー・ワンダーの名曲「As」を推す。恐らく、今の若いジャズ者の方達は知らないかもしれないが、フュージョン時代、数々の名カヴァーを生んだスティービーの名曲。この曲の雰囲気をずばりキーボードで表現したヒラハラのキーボード・ワークに惚れ惚れ。ステイシーの歌唱も「名カヴァー」と称えたくなる、曲の個性と歌詞を踏まえた、素晴らしい歌唱。

このアルバムは、前作『Summer Me, Winter Me』に次ぐ名作として、評価されるべきボーカル好盤。現代のジャズ・ボーカルの最良のひとつとして、全てのジャズ者の方々にお勧めしたい「現代の女性ジャズ・ボーカルの優秀盤」の一枚。「Less is more(少ないほど、豊かである)」の形容がピッタリなボーカル盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 8日 (水曜日)

悪くは無い” CTIのハバード盤”

CTIレーベルからリリースされた、フレディ・ハバードのの5枚目のスタジオ録音盤である。パーソネルを見ると、純ジャズ畑はら、テナー・サックスのジュニア・クック、エレピでジョージ・ケイブルス、エレベでロン・カーターが参加。他のメンバーは、馴染みのない名前ばかりなので、恐らく、当時の腕利きスタジオ・ミュージシャンを調達したのではないだろうか。

Freddie Hubbard『Keep Your Soul Together』(写真左)。1973年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Junior Cook (ts), George Cables (el-p), Aurell Ray (g), Kent Brinkley (b), Ron Carter (el-b), Ralph Penland (ds), Juno Lewis (perc)。ジャケットがあまりに俗っぽくて敬遠したくなるが、この盤につまっているのは、意外と硬派なクロスオーバー・ジャズ。

この盤では、冒頭の「Brigitte」と2曲目「Keep Your Soul Together」で、抑制されたハバードのトランペットが聴ける。テクニック最高のハバード、そんなハバードが抑制されたトランペットを吹くとき、その時のハバードは「無敵」である。彼の持つ個性のひとつ「歌心」が、抑制されたトランペットの前面に押し出てくる。そして、彼の高いテクニックが、この「歌心」の為に発揮される。無敵である。
 

Freddie-hubbardkeep-your-soul-together  

 
しかし、3曲目の「Spirits of Trane」で、コルトレーンばりにバリバリ吹きまくるクックと、シーツ・オブ・サウンドよろしくエレピを弾きまくるケイブルスを目の当たりにしたハバードは、思わず「目立ちたがり」な面がグイグイ出てきて、高テクニックを最大限に発揮して、クックとケイブルスを撃沈するトランペットをペラペラと吹きまくり出す。こうなると、ハバードのトランペットは「耳に付く」。

ラストの「Destiny's Children」は、初期のエレ・マイルスをポップにファンキーに判り易くした様な演奏で、クロスオーバー志向のファンキーなイージーリスニング・ジャズといった面持ち。R&B志向のリズム&ビートは採用していないので、この演奏はあくまで「ファンキー・ジャズ」の域は出ていない。ハバードは、なぜか吹きまくっていて、ちょっとウザく、吹きすぎなのが惜しい。

内容的には、旧来からの純ジャズのファンにも、新しいクロスオーバー・ジャズのファンにも、両方に受ける様なアレンジとプロデュースがみえみえで、クックとケイブルスの好演、エレベのロンの頑張りがちょっと霞んでいるところが惜しいアルバムである。とにかく、良くも悪くも、ハバードのトランペットが「目立つ」アルバム。しかし、悪くはない。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 7日 (火曜日)

良好な発掘盤 ”Flight to Norway”

哀愁のバップ・ピアニスト、デューク・ジョーダン。1970年代、彼の復活作が『Flight to Denmark』。SteepleChaseレコードのジョーダンのリーダー作には、このヒット・アルバムのタイトルにあやかった「Flight to 〜」で始まるタイトルのアルバムが2枚かある。その一枚がこれ。

Duke Jordan『Flight to Norway』(写真左)。1978年11月10日、ノルウェー、ホヴィコッデンのアートセンターにてのライヴ録音。2003年、SteepleChaseレコードからのリリース。

ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Wilbur Little (b), Dannie Richmond (ds) 。2003年に突如リリースされた、デューク・ジョーダン・トリオの「良質な内容の蔵出し発掘ライヴ盤」である。

録音年から、25年経ってのリリースである。恐らく、演奏の内容は良いのだが、何か録音に問題があったんだろうな、と当たりをつけて聴き始める。なるほど、ドラムの音量が大きすぎたり、ベースの音量が小さすぎたり、お蔵入りライヴ音源の「あるある」の状態なんだけど、デューク・ジョーダンのパフォーマンスは良好。
 

Duke-jordanflight-to-norway

 
ジョーダンのピアノの個性である、フレーズ展開のセンスが抜群、メロディアスで、ハーモニーに富み、抑制と優雅さを兼ね備えたスウィング感が良好。基本はバップ・ピアノ。どの演奏も、疾走感溢れ、軽快にスイング、バップらしいメリハリの効いたもの。ピアノ・トリオ演奏のお手本の様なパフォーマンス。

演奏の内容については、やはり、スタンダード曲のアレンジと解釈が抜群に良い。5曲目の「I Should Care」。バップ・ピアノでありながら、どこか気品漂う、クールでジャジーな弾き回しが絶品。

ジョーダンのオリジナル曲も当然良い感じ。底抜けに明るく軽快な、冒頭の「Jealous Blues」。日本の新幹線にインスパイアされた、ジョーダンの4曲目「The Bullet」。10曲目「On Green Dolphin Street」は、僕の大好きなスタンダード曲なのだが、イントロの作りが実にお洒落。

ベースのリトルとドラムのリッチモンドは、反応の良い、玄人好みのリズム隊。ジョーダンのオンビートなフレーズに適応して、ジョーダンのピアノを支え、鼓舞する。録音バランスの問題はあるが、ジョーダン・トリオの良いところを捉えた、なかなかのピアノ・トリオ盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 6日 (月曜日)

ジョーダンの ”Flight to Japan”

デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。バップ・ピアノの名手であり、名作曲家出会ったが、デビュー以来、NYの時代は不遇の時代。とにかく売れない。1960年代半ばにはニューヨークでタクシー運転手をしていた時期もあった。しかし、973年北欧のスティープルチェイスに移籍、欧州での「ハードバップ・リバイバル」の流行に乗って、ジョーダンは人気ピアニストに。

Duke Jordan『Flight to Japan』(写真左)。1976年9月25日、東京の「Victor Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Wilbur Little (b), Roy Haynes (ds)。東京・吉祥寺にあるクラブ「サムタイム」に出演した後、翌日の深夜2時にスタジオ入りし、夜明けまでにレコーディングを終了したという逸話の残る、ピアノ・トリオの佳作。

ジョーダンのピアノは明らかに「哀愁」が漂う。ジャズってマイナー・キーが多用されるのだから、誰が弾いたって「哀愁」が漂うでしょうが、と思われるのだが、これが違う。ジョーダンのピアノだけが突出して「哀愁」が漂うのだ。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。
 

Duke-jordanflight-to-japan  

 
この盤、ジョーダンのオリジナル曲がほとんど。さすが、ジャズの名作曲家の一人。良い曲ばかりで、自作曲であるが故、アドリブ展開なんかも、スムーズで魅力的なフレーズをバンバン叩き出している。しかし、6曲目の「I Can't Get Started」だけがスタンダード曲なのだが、この演奏が、このトリオ盤の中で白眉の出来。さすが、バップ・ピアニストの第一人者の一人、スタンダード曲の解釈については、一目置くところがある。

曲目をみると「Love Hotel」や「The Bullet(Shinkansen)」なんていう曲もあって、思わず苦笑するが、曲としては良い曲、良い演奏だからまあいいか(笑)。「Lullaby of the Orient」は、日本滞在中に作ったジョーダンのオリジナルで、クミコという若い女性ファンの為に書かれたそう。「Stone Wall Blues」では、冒頭、当時、国鉄の車内放送のジングル「汽笛一声新橋を」から始まるユニークなアレンジ。

1970年代に、スティープルチェイス・レーベルに残したリーダー作は良好盤ばかりで駄盤が無い。スティープル・チェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターがデューク・ジョーダンの才能を高く評価していたこと、そして、なにより、双方の相性が相当良かったのだろう。この『Flight to Japan』もその例に漏れない。高レベルを維持したジョーダンの佳作。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 5日 (日曜日)

『Rainbow Seeker』の聴き方

レコード・コレクターズ(レココレ)2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」を楽しんでいる。当ブログでは、「この曲」を「この一枚」に拡大して、レココレに紹介されているアルバムを聴き直している。

特に、この記事は、純ジャズばかりでなく、和ジャズ、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの名盤・好盤にも言及しているところが良い。特に、クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、なかなか説得力のあるアルバムを選んでいるので、好感度良好である。

クロスオーバー&フュージョンの世界では、超絶技巧、テクニック優先、音の雰囲気優先なので、なかなかミュージシャン本人の個性まで及ぶことはなかなか無いんだが、それでも、中には、その人の演奏を30秒ほど聴いたら、それと判る、コッテコテの個性の持ち主は結構いたりする。

クルセイダーズのキーボード奏者ジョー・サンプルなんかは、コッテコテの個性の持ち主である。凄い時は、ピアノのフレーズ5秒ほど聴いただけで、なかなか判り難い時でも30秒ほど聴けば、そのフレーズを弾いているキーボーティストは「ジョー・サンプル」だと判るくらい、コッテコテの個性の持ち主である。

Joe Sample『Rainbow Seeker』(写真左)。1978年の作品。邦題『虹の楽園』。ちなみにパーソネルは以下の通り。なんだか、クロスオーバー&フュージョン畑の名うてのミュージシャンがズラリである。

Joe Sample (p, el-p, key), Robert Popwell (b), Stix Hooper (ds, perc), Ray Parker (g), Dean Parks (g), Billy Rogers (g), David T. Walker (g), Paulinho DaCosta (perc), Garnett Brown (tb), Ernie Watts (sax, fl, piccolo), Fred Jackson (sax), William Green (sax, fl, piccolo), Robert O. Bryant (tp), Jay Daversa (tp), Steven Madaio (tp) 等々。
 

Rainbow_seeker_2

 
ジョー・サンプルのキーボーディストとしての才能がギッシリ詰まった傑作盤である。響きの良い小粋なエレピと、明朗でリリカルなアコピが、そこはかとなくファンキーな香りを漂わせながら、キラキラ輝く様に乱舞している。フレーズの弾き回し方が実に個性的で、ジョー・サンプルにしか出せない音が満載である。

健康的で明朗な音で、アーバンな雰囲気色濃く、ファンクネスがクールにお洒落に織り込まれているところが個性的。速いフレーズが、コロコロと涼しく転がる様に弾き回していく様は、ジョー・サンプルならでは。

レココレの特集では「この曲」としてあがっている、4曲目の「Melodies Of Love」。確かに、この1曲にジョー・サンプルのキーボーティストの特徴が溢れている。

決して、目を見張るようなテクニックでは無いのだが、ちょっとファンキーな香りが芳しい、明朗でリリカルなアコピが凄い。テクニックでは二の次、音の響きと印象的な旋律でガッツリ聴かせるとでもいおうか、いかにも、ジョー・サンプルらしい美意識が、バッチリと表現されている。

コンポーザー&アレンジャーとしての魅力も満載。収録された曲はすべてオリジナル。収録された曲という曲はどれもが良い曲であり、良いアレンジが施されていて、印象的な、しかも判り易く親しみ旋律が満載。「良い曲やな〜」と思いながら聴き惚れていると、あっという間に収録曲全8曲が終わってしまう。

ジョー・サンプルの「この一枚」は、この『Rainbow Seeker』(虹の楽園)。クロスオーバー&フュージョンのキーボードでしょ、と甘く見るなかれ。上品で小粋、そこはかと無くファンキーの香り漂う、明朗で印象的な旋律が満載で、とにかく聴き易く、とにかく美しい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 4日 (土曜日)

ファンキー&硬派なヤングである

ラリー・ヤングのオルガン。オルガンによるモーダルなフレーズ、オルガンによる「シーツ・オブ・サウンド」、オルガンによるエモーショナルな展開、確かに「オルガンのコルトレーン」と呼ばれるのが、実に良く判る。

ジャズ・オルガンの基準、ジミー・スミスのオルガンとは全く異なる。つまり、それまでのジャズ・オルガンのスタンダード、ジミー・スミスの影響下に無い、当時として「新しいオルガンの響き」なのだ。

Larry Young『Heaven On Earth』(写真左)。1968年2月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Byard Lancaster (as), Herbert Morgan (ts), George Benson (g), Eddie Gladden (ds), Althea Young (vo)。ジャズ・オルガンの革命児、ラリー・ヤングのブルーノート第5弾目のリーダー作。

それまでのジャズ・オルガンのスタンダード、ジミー・スミスの影響下に無い、当時として「新しいオルガンの響き」のラリー・ヤング。このアルバムでは「憑きものが取れた様に」ファンキー・ジャズ路線のポップなアルバムに変身。冒頭曲など、しばらく、聴いていても、オルガンを弾いているのかが判らないくらいなのだ。

その冒頭曲「The Infant」から、ブーガルー色満載のファンキー・チューン炸裂。思わず、ルー・ドナルドソンのリーダー作かと思ったくらい。出てくるアルト・サックスが全く純ジャズっぽくないので、これはいったい誰のリーダー作だ。このオルガンは誰だ。という感じになる。
 

Larry-youngheaven-on-earth

 
この冒頭曲を聴き進めて行くと、かなり攻撃的な尖ったオルガン・ソロが出てくる。これはいままでのオルガニストに無い音で、ファンキー・チューンでこの尖り具合は無いだろう、ということで、やっと、このオルガンは、ラリー・ヤングだと気がつく次第。ファンキー・ジャズをやってる割に、かなり攻撃的で尖ったオルガンなので、これでは踊れないぞ、と思わず苦笑い(笑)。

ヤングのオルガンに続く、若きジョージ・ベンソンのギターも負けずに、攻撃的で尖っていて思わず苦笑い。それでも、ファンキー・ジャズよろしく、ファンキーなフレーズを叩き出してくるので、思わず吹き出してしまう。でも、ベンソンの演奏レベルは高い。ベンソンは真剣に攻撃的で尖ったファンキー・フレーズを集中して弾いている。

2曲目「The Cradle」に至っては、確かに曲想はファンキー・ジャズだが、ヤングのオルガンは、更に攻撃的に尖って、ストイックなフレーズを弾きまくる。もう、これはファンキー・ジャズの弾き回しでは無い。純ジャズの弾き回し。ダンサフルの蔭も形も無い(笑)。

ラリー・ヤングがファンキー・ジャズに身をやつしたと揶揄されがちな、この盤であるが、1曲目の前半のブーガルー色満載の部分だけ我慢すれば、あとは、ファンキー・ジャズのリズム&ビートとフレーズ展開に乗ってはいるが、そこに出てくるヤングの、ベンソンのパフォーマンスは純ジャズそのもの。

ファンキー・ジャズのリズム&ビートとフレーズ展開に乗った、硬派で尖ったメインストリーム・ジャズと捉えれば、この盤はなかなか面白い内容だということに気がつく。加えて、この盤のジャケット・デザインと、ラストのボーカル曲の存在が、この盤の評価を下げているんだろうな。まあ、これは仕方がない。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 3日 (金曜日)

キースにおいて、最も”困った”盤

キース・ジャレットを、単に「ジャズ・ピアニスト」とだけ捉えたら「怪我をする」。クラシック・ピアニストの顔もあるし、『Restoration Ruin』『Spirits』そして『No End』という「実験音楽サークル」(ジャズでもクラシックでもない)=「困ったちゃんなアルバム」に属する作品もある。しかし、これらを体験し、しっかり内容理解しないと、キース・ジャレットというジャズ・レジェンドとして偉大な1人を理解することは出来ない。

キースの初リーダー録音『Life Between the Exit Signs(邦題:人生二つの扉)』は、キース独特のボイシングで、キース独特の節回しが楽しめる曲と、フリー・インプロビゼーションをベースとした曲、ピアノとベースとドラムが対等な対話形式の曲などが、ごった煮になって、ひとつのアルバムに入っている。ジャズという範疇でやりたいことをやった、そんな感じのアルバムだった。

そして、セカンド・アルバムである。最初に断っておくが、この盤は「ジャズではない」。しかし、当時のキースのやりたかった音楽のひとつだったと思う。だから作った。このアトランティック・レコードの英断を称えるとともに、このアルバムがあったからこそ、ジャズの世界の中で、ピアニストのレジェンドの最高峰に位置する1人になったと言える。

Keith Jarrett『Restoration Ruin』(写真左)。1968年3月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (vo, g, harmonica, ss, recorder, p, org el-b, ds, tambourine, sistrum), Unidentified string quartet (tracks 1,3,5,9)。『Restoration Ruin』は、キース・ジャレットが複数の楽器(ピアノ、オルガン、ギター、ソプラノサックス、ハーモニカ、リコーダー、ベースギター、ドラム、タンバリン、シストラムなど)を演奏し、自作の歌詞を歌ったアルバム。
 

Keith-jarrettrestoration-ruin
 

ボーカルアルバムでありながら、キースはすべての楽器を演奏する。しかも、ジャズ・ボーカルなアルバムではない、フォーク・ロックなアルバムである。ボブ・ディランばりのイメージだが、いかんせん、はっきり言って「上手く無い」。特にボーカルは素人同然。アトランティックはよく、このアルバムをリリースした。まだまだ、キースが無名の時代だった頃の話だ。

楽器の演奏のレベルは及第点。でも、いかんせん、キャッチーなメロディーを持った楽曲が無い。フォーク・ソングとしては致命的な欠点。ボブ・ディランばりのフォーク・ロックなんて評価もよく目にするが、それはあまりに無責任な評価だろう。ボブ・ディランの足元にも及ばない。歌詞もちょっと和訳に挑戦してみたが、訳の判らないものばかり。

そもそも、このアルバムを、ジャズという音楽フィールドで評価するから無理があるし、的外れな賞賛に近い評価が散見されるのだ。はっきり言う。内容は良くない。フォーク・ロックとして評価しても及第点以下。この音源をアルバム化して世の中にリリースしたアトランティック・レコードの音に対する審美眼を疑わざるを得ない。

それでも、この盤は、である。キース・ジャレットという、ジャズ・ピアノのレジェンドの1人を評価するのには避けることの出来ない「大異色作」である。恐らく、当時、キースがやりたかった音楽の「大きな一つ」だったんだろう。だから、アルバム化を望んだ。そして、このアルバム以降、キースは、フォーク・ロックなアルバムを一切出していない。「やりたいこと」と「出来ること」がイコールで無いことを、このアルバムは証明している。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 2日 (木曜日)

英国録音のジャック・マクダフ

ブルノートの4300番台のアルバムを聴き直している。ブルーノートの4300番台は、録音年月として、1968年9月から1972年1月まで。ジャズがロックの台頭に押されて、大衆音楽の枠から追い出され始めた時代。

あくまで、メインストリームなジャズを守るところと、大衆音楽として聴衆に迎合した、ポップなクロスオーバー・ジャズが入り交じっている、聴いていて興味深いカタログである。まだ、当ブログで記事化していないアルバムも結構あるみたいで、組織的に粛々と聴き直している最中。

Brother Jack McDuff『To Seek A New Home』(写真左)。1970年3月23日、ロンドンでの録音。ブルーノートの4348番。ちなみにパーソネルは、以下の通り。ジャック・マクダフのオルガンがリーダー、ブラス・セクションにハープ入りという、大所帯の編成。動機は分からぬが、この盤はロンドン録音。英国のミュージシャンが中心になって、バックを務めている。

Brother Jack McDuff (org, p), Martin Drover, Terry Noonan, Bud Parks (tp), John Bennett, Adrian Drover (tb), David Statham, Willie Watson (French horn), Norman Leppard, Dick Morrissey, Jack Whitford, Dave Willis (reeds), Typhena Partridge (harp), J.J. Jackson (p, perc), Chris Parren (el-p), Terry Smith (g), Peter Chapman, Larry Steele (el-b), Trevor Armstrong, Phil Leaford (ds), Debrah Long, Jerry Long (vo)。
 

Brother-jack-mcduffto-seek-a-new-home

 
米国のジャズ・オルガン奏者であるジャック・マクダフが英国に渡り、ロンドンで現地のミュージシャンたちと共に録音した異色作。従来のソウル・ジャズの範疇を外れ、クロスオーバー志向のジャズ・ロックなサウンドをメインに、サイケデリックな要素や重厚なファンク・グルーヴを融合した、当時としては意外と挑戦的でポップなサウンド。

全体的な雰囲気は、ポップなジャズ・ファンク&ジャズ・ロック盤。英国録音ということもあるんだろうか、どこか「プログレッシヴ・ロック」な音の響きも混ざっている、不思議な雰囲気のオルガン・ジャズ盤である。マクダフのオルガンも、ジャズ・オルガン独特のファンクネスを薄めながら、ファンク&ロック・ビートに乗った、ポップなオルガンを弾きまくっている。

定番のドラム・ブレイク入り、ディック・モリシーのフルートが格好良い、強力なジャズ・ファンク・クラシックの「Hunk O' Funk」がやはり聴きもの。グルーヴ感満載で、テンション・マックスな演奏が格好良い「Yellow Wednesday」も良い感じ。タイトルの通り「神秘的な」、どこか静的サイケデリックな、独特の雰囲気を持った「Mystic John」も興味を引く内容。

この盤、CD化やリイシューが途絶えていて、なかなか聴くことが出来なかったが、最近、ネットで検索すると、LPから起こした音源でフルアルバムを聴くことが出来るみたい。便利な世の中になったものだ。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2026年4月 1日 (水曜日)

ガボール・ザボのCTI第2弾

ガボール・ザボは、1936年生まれのハンガリー出身のギタリスト。ジプシー特有のフィーリングのプレイが特徴。不思議な響きと不思議なフレーズを持ったギター。

従来のスタンダードな、ジャズ・ギターの音色がしないし、展開やフレーズも、従来のジャズ・ギターの伝統を全く引き継いでいない。ちょっとマイナーな響きが特徴。このマイナーな哀愁たっぷりなギターを捉えて「ジプシー・ギター」と形容する人もいる。

Gabor Szabo『Rambler』(写真左)。1973年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Gábor Szabó (g), Bob James (p, org, syn), Mike Wofford (el-p), Wolfgang Melz (b), Bobby Morin (ds), Unknown (perc)。

タイトル邦題「放浪者」をテーマに、ストーリー性を持たせた内容の企画盤。ボブ・ジェームスが「音楽スーパーバイザー」を担った、クロスオーバー志向のエレ・ジャズ。CTIレーベルにおけるグルーヴィーでメロウな、クロスオーバー志向のソウル・ジャズと形容してもよい、ユニークな内容のCTI盤。

欧州の、東欧のローカルな響きが耳新しい、哀愁感を強く帯びた、テクニック優秀なジャズ・ギターが相変わらず炸裂している、CTIレーベルでの第2弾である。
 
Gabor-szaborambler  
 
アルバム全体の雰囲気は、ポップで流麗な、ちょっと、イージーリスニング志向を意識した音作りになっている。フュージョンの様な「ソフト&メロウ」まではいかないまでも、メロウな雰囲気の静かな曲は、フュージョンの先駆けと言えるのではないか。

それでも、ザボのギターは、個性的な、国籍不明、ジャンル不明な、硬質でロックっぽい、ちょっと「ヘタウマ」なギターのままで、ただ、弾き紡ぐフレーズは、判り易く、チャッチーで明るい哀愁感をまとった、ポップなフレーズに変化している。これは明らかに、CTIの総帥プロデューサーのクリード・テイラーの志向ではないだろうか。

タイトでグルーヴィーなリズムセクションとザボ節のギターが絡み合うジャズ・ファンクな、冒頭のタイトル曲「Rambler」、ジプシー・ギターの神様、ジャンゴ・ラインハルトに捧げた「Reinhardt」を中心に、メロウな曲を効果的に挟んだ、メリハリのある収録曲の構成が意外と填まっている。

ポップ化が進んだガボール・ザボのクロスオーバー・サウンド。ここでも、ボブ・ジェームスのアレンジと、音楽スーパーバイザーとしての役割が好要素として効いている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から15年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« 2026年3月 | トップページ | 2026年5月 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー