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2026年1月10日 (土曜日)

伴奏上手のケリーを聴き直す・1

ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)は、リーダー作もさることながら、サイドマンで参加の盤もかなりの数がある。実は、ケリーは伴奏上手で有名で、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、フロント管をサポートする上で、ボーカルをサポートする上で、効果的に響くのだろう。

Paul Chambers『Go』(写真左)。1959年2月2, 3日、シカゴでの録音。Vee-Jayレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Chambers (b), Freddie Hubbard (tp), Cannonball Adderley (as), Wynton Kelly (p), Philly Joe Jones, Jimmy Cobb (ds)。当時のマイルス・バンドのリズム隊メンバーが集結した、素敵な内容のハードバップ盤。ベースのポール・チェンバースのリーダー作である。

この盤では、参加メンバー全員が好調。特に、アルト・サックスのマクリーンが絶好調というか、ほとんど「躁状態」で、マクリーン節をキュイキュイ吹きまくる。ハバードは、ハイテクニックで吹きまくるが、マクリーンの押されて、ちょっと温和しい。チェンバースのベースは、リーダーだけあって、ブンブン、良い音で鳴っている。フィリージョーのバップ・ドラミングは出力全開。皆、アッパラパーにハードバップをやりまくる。
 

Paul-chambersgo_20260110201101

 
ここでは、ウィントン・ケリーのピアノのパフォーマンスに注目する。どの曲をとってみても、ケリーのピアノは絶好調。マクリーンの「躁状態」アルト・サックスに煽られたのか、ここでのケリーは、躁状態の「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」を弾きまくる。どの曲でも、端正に淀みなく、ジャジーにブルージーにファンキーにスイングしまくる。

自分のリーダー作より、サイドマンの方が気楽だったのかもしれない。この『Go』でのケリーは、本当に伸び伸びとリラックスして弾いている。恐らく、一番「躁状態」に振れたケリーのパフォーマンスだと思う。それでも、ケリーのピアノの個性であった「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ」のニュアンスを、躁状態の演奏でありながら、しっかりと忍ばせているのだから恐れ入る。やはり、ケリーは、ジャズ・ピアニストとして、超一流であり、プロフェッショナルだった。

ウィントン・ケリーの伴奏上手。サイドマンに回った時のケリーのパフォーマンスは、ケリーのピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が映えに映える。しかも、フロントのバックに回れば、フロント楽器、ボーカルを最高に引き立てる。ケリー・マジックとでも形容して良い、ケリーのピアノのバッキング。その一端を、この『Go』の数々の演奏の中でしっかりと聴き取ることが出来る。
 
 

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