イージーリスニング志向のケリー
さすがに、大手のレコード会社、ヴァーヴからのリリースである。メインのジャズ・バンドは、ケリー=ポルチェン=コブという、元マイルス・バンドの「名うて」のリズム・セクションに、アーバン、ジャジー、漆黒なギタリスト、ケニー・バレルが入るカルテット編成。しかし、そのバックに、こってりとストリングスが入り、砂糖菓子の様に甘いブラス・セクションが入る。明らかに、ジャズ・ファンを通り越して、一般向けのイージーリスニング志向である。
Wynton Kelly『Comin' In the Back Door』(写真左)。1963年5月&11月の録音。ヴァーヴ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g :tracks 1, 3–6 & 8–11), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。このメイン・バンドのバックに、ブラス・セクションとストリングスが付く。ストリングスのアレンジは、クラウス・オガーマン。
ただ、こってりストリングスと甘いブラス・セクションに我慢しながら、メインのカルテットの演奏だけに集中して耳を傾けると、意外と素性の良い、ハードバップな演奏が繰り広げられているのが判る。主役のウィントン・ケリーのピアノが端正で安定の弾き回しを見せる。そして、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、しっかりとメインにある。
バレルのアーバン・ジャジーなギターも、ポルチェン=コブのリズム隊も、良い味出している。バレルのギターは、ハッピー・スイングするケリーのピアノに呼応するように、バレルのギターは何時になくスインギー。職人芸である。ポルチェンのベースはしっかり音の底をガッチリ確保し、コブはストリングスとブラスをものともせず、しっかりとジャジーなリズム&ビートを供給する。
確かに、ケリーのピアノは、イージーリスニング志向を意識して、甘めのフレーズ、判り易いシンプル過ぎる弾き回しになっているところはあるが、端正で安定の「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」は健在。この破綻の無い、意外とジャジーな、メインのクインテットの演奏だけを取ってみれば、意外と良いハードバップな演奏になっている。
この盤、マルチ・トラックで保存されているのであれば、ストリングスとブラス・セクションの演奏を取り払って、カルテットだけの演奏だけで、リイシューして欲しいくらい。よって、この盤、ストリングスとブラス・セクションのお陰で、ながら聴きにはまずまずの内容の普通盤止まり。残念である。
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