デューク・エリントンの極東組曲
新年明けましておめでとうございます。さて、今年最初のジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの記事は「デューク・エリントン」。エリントンは生涯を通じて「組曲」という形式で多くの傑作を世に送り出している。代表的な作品だけで20作以上の組曲があり、どれもが傑作である。ということで、そろそろ、このエリントンの「組曲」をおさらいする時期にきたかな、ということで、まずはこの一枚である。
Duke Ellington『Far East Suite』(写真左)。邦題は「極東組曲」。1966年12月19–21日の録音。ちなみにパーソネルは、以下の通り。いわゆる「デューク・エリントン楽団」である。
Duke Ellington (p), Mercer Ellington, Herbie Jones (tp, flh), William "Cat" Anderson, Cootie Williams (tp), Lawrence Brown, Buster Cooper (tb), Chuck Connors (b-tb), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Jimmy Hamilton (ts, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), John Lamb (b), Rufus Jones (ds)。
この「極東組曲」というタイトルと、収録曲「Ad Lib on Nippon」に惹かれて、まだジャズ者初心者3年生くらいの頃に、この盤を聴いている。商魂丸出しのオリエンタル・ムードは皆無、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していないので、まず、どこが「極東組曲」なのか、と訳が判らなくなったのを覚えている。
そもそも「Far East Suite(極東組曲)」というタイトルがおかしくて、極東の国を対象とした曲は、我が国が対象の「Ad Lib on Nippon」だけ。収録曲の対象国を見ていくと、タイトルは「近東組曲」とした方が座りが良い。そもそもこの組曲、1963年に行った世界ツアーに触発されたもので、ダマスカス、アンマン、ラマラ、カブールなどを訪問し、その国々の印象を曲のイメージに落とし込んだもの。だから、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していない。
どの曲も、エリントン・ミュージックの粋を集めた、素晴らしい演奏ばかり。彼が「楽器」と考えている彼のオーケストうの能力や個性、ソロイストたちのもつ力量を最大限に活かし、エリントン・カラー、エリントン・サウンズで染め上げている。エリントンの組曲の中でも、トップクラスの内容を誇る。そして、この組曲の特徴は、それぞれの曲に、ソリスト、オーケストラの特定のメンバーのパフォーマンスがフィーチャーされている。
「Tourist Point of View」は、ゴンサルヴェスのテナー、
「Bluebird of Delhi (Mynah)」は、ハミルトンのクラリネット、
「Isfahan」は、ホッジスのアルト、
「Mount Harissa」は、ゴンサルヴェスのテナーとエリントンのピアノ、
「Blue Pepper」 は、 ホッジスのアルトとアンダーソンのトランペット、
「Agra」は、カーニーのバリサク、
「Amad」は、ブラウンのトロンボーン
「Ad Lib on Nippon」は、エリントンのピアノとハミルトンのクラリネット
日本を訪れた印象をまとめた曲「Ad Lib on Nippon」は、1964年来日時の日本の印象をエリントン・ミュージックに落とし込んだ名曲。4つのパートからなっており、11分を超える1つの組曲のような構成となっている。じっくり聴いていると、どうも、古き日本と現代の日本との交錯をエリントン・ミュージックで表現しているのかな、と解釈している。
ともあれ、僕はこの『Far East Suite(極東組曲)』で、エリントン・ミュージックの凄さを初めて理解した。今でも、エリントン・ミュージックの印象をリセットしたい時は、このアルバムを聴く。聴く度に、新しい発見があり、新しい驚きがある、僕にとって「化け物」みたいなアルバムである。
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