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2026年1月の記事

2026年1月31日 (土曜日)

ジョージ・ベンソン ”白いうさぎ”

唄って弾きまくるレジェンド・ギタリスト、ジョージ・ベンソンの「異色盤」。ターニング・ポイントとなった「唄って弾きまくる」までの、初期の「弾きまくり」ベンソンは、R&B志向のソウルフル&ジャズファンクなパフォーマンスがメイン。しかし、このアルバムは、ベンソンのリーダー作の中では「異端」で、基本が「スパニッシュ・タッチ」。CTIサウンドを創り上げた天才アレンジャー、ドン・セベスキー色が強く出た「異色盤」。

George Benson『White Rabbit』(写真左)。1971年11月の録音。CTIからのリリース。ちなみにパーソネルは、George Benson (el-g), Earl Klugh (ac-g : 5), Jay Berliner (Spanish-g), Herbie Hancock (el-p), Ron Carter (el-b : 1, 3, ac-b :2, 4, 5), Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc, vo), Phil Kraus (vib, perc), Gloria Agostini (harp)。ここに、木管楽器とブラス・セクションが加わっている。

タイトル曲は、グレイス・スリックによるジェファーソン・エアプレインの名曲のカヴァー。「California Dreamin'」は、ママス&パパスのヒット曲のカヴァー。そこに、有名サウンド・トラックの「"Theme from Summer of '42(おもいでの夏)」があり、エイトル・ヴィラ=ロボスの「ブラキアナス・バシレイラス第2番」からのブラジルの古典曲「リトル・トレイン」のジャズ・アレンジ・バージョンなど、良好なアレンジでの優秀なカヴァーが目白押し。
 

George-bensonwhite-rabbit

 
これだけカヴァー曲が並ぶと、イージーリスニング志向のクロスオーバー・ジャズな内容か、と構えてしまうが、ベンソンのギター・パフォーマンスが、ジャズ・ファンクの様なダイナミズムは控えめだが、印象的で硬派なフレーズを弾きまくっていて、まずはベンソンのギターが堪能出来る、そして、次にカヴァー曲のアレンジの妙に感じ入る、という内容が、しっかり軸足が「ジャズ」に留まっているところが好印象。

バックを固めるメンバーも錚々たるもの。フェンダー・ローズの響きが懐かしいハービー・ハンコック、エレベとアコベの両刀遣いで、曲毎に雰囲気を変えるロン・カーター、クロスオーバーでポップな8ビートを叩きまくるビリー・コブハム、スパニッシュ・タッチなパーカッションが小粋なアイアート・モレイラといったリズム隊が、これまた、本人達にとって異色ではあるが、かなりのレベルで充実している。

オリジナル・ジャケットについては、南アフリカで撮影したポンド族の女性の写真が掲載されている。これも、CTIレーベルのジャケ志向からすると「異色」。しかし、このジャケットが、このアルバムの内容を表しているかの様で、ベンソン自身いわく、プロデューサーのクリード・テイラーがベンソンの写真をカバーに使わなかったことが「このアルバムの成功につながった要因だった」と認めている(笑)。そんなジャケのエピソードはともかく、この盤はクロスオーバー・ジャズの好盤である。
 
 

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2026年1月30日 (金曜日)

ブルフォード融合音楽のライヴ

1960年代〜70年代、ロックはライヴ盤が苦手だった様な印象がある。スタジオ録音は、スタジオ機材とスタジオワークの粋を尽くして、内容&テクニックの整ったアルバムを制作していたが、それをライヴで再現するのは、かなり難度が高かった様で、一部のバンドを除いて、基本的には、ライヴ盤の演奏は、スタジオ録音盤の演奏に比べて「ショぼい」印象が強かった。

しかし、1970年に差し掛かり、英国でプログレッシヴ・ロック(プログレ)の潮流が沸き起こり、キング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドとライヴ演奏力の確かさを備えたバンドが出てきた。それでも、クロスオーバー・ジャズのハイテクニックと即興演奏力の凄まじさを、なかなか凌駕することは出来なかった様に思う。

Bruford『Rock Goes To College』(写真左)。1979年3月7日、Oxford Polytechnicでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Bruford (ds, perc), Allan Holdsworth (g), Dave Stewart (key), Jeff Berlin (b), Annette Peacock (vo)。英国の BBC放送局による、番組向けのライヴ録音のアルバム化。

Rock Goes To College (RGTC) とは、英国BBCが、1978年9月22日から 1981年3月19日まで全45回放映されていたプログラムのタイトル名称。大学や工科大学の小さなホール(数千人程度を収容)にて行われた 40〜50分程度のライヴを収録・放映していたそうである。当ライヴ盤は、1979年3月7日英国オックスフォードのオックスフォード工科大学にて行われた「ブルーフォード」のライヴ・パフォーマンスを収録している。
 

Brufordrock-goes-to-college

 
しかし、このブルフォードのライヴ盤を聴いて、このバンドの演奏テクニックの凄さ、即興演奏力の高さには驚愕した。このブルフォードの演奏こそは、クロスオーバー・ジャズのハイテクニックと即興演奏力に比肩する、そう確信した。それもそのはず、このブルフォードの音は「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」で、演奏のベースは、明らかに、クロスオーバー・ジャズ+エレ・ジャズ志向なのだ。

ビル・ブルフォードのドラミングが、ライヴにおいて、更に凄まじさを増している。変拍子+ポリリズム、流麗な8ビートのクロスオーバーなフレーズに、最適なリズム&ビートを供給。存在感抜群。このライヴ盤の全編に渡って、この凄まじき「変拍子+ポリリズム」が、メロディアスで自由奔放に響き渡る。

そして、エレギのアラン・ホールズワースがこれまた凄まじい。クロスオーバー・ジャズギタリストの雄、ジョン・マクラフリンの比肩するテクニックの高さと歌心のある高速アドリブ・フレーズ。そして、ディヴ・スチュワートのキーボード・ワークのセンスの良さ。どう聴いても「ジャズ志向」。そしてそして、ベースのジェフ・ベルリンの重低音なプログレ志向ベースがユニーク。このバンドメンバーだからこその、演奏能力と演奏内容の高さ。

このブルフォードのライヴ・パフォーマンスを聴くにつけ、リーダーのビル・ブルフォードの音楽性の底には、確実に「ジャズ」があったんだなあ、と感じる。彼の「変拍子+ポリリズム+流麗な8ビートのクロスオーバーなグルーヴ」は、エレ・ジャズに最適だったと思われる。そして、かれは生涯、自らのドラミングが活きる「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」を主宰し続けるのだ。
 
 

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2026年1月29日 (木曜日)

ブルフォード融合音楽の傑作

英国ではジャズとロック、あるいはフュージョンとプログレッシブ・ロックの境界線が実にあいまいで、クロスオーバー・ジャズの時代には、ロック・ミュージシャンがジャズをやり、ジャズ・ミュージシャンがロックをやるケースが多かった。このビル・ブルフォードも、そんなミュージシャンの一人。

Bruford『Gradually Going Tornado』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Bill Bruford (ds), Dave Stewart (key, syn), John Clark (el-g), Jeff Berlin (b, vo)。ドラマーのビル・ブルフォードの3枚目のソロアルバム。クロスーバー・ジャズとプログレッシブ・ロック(プログレ)との融合音楽(フュージョン)である。

冒頭の「Age Of Information」から、2曲目「Gothic 17」を聴くと、まず「Age Of Information」のイントロ部は明らかにプログレ、シンセの使い方などもプログレ、しかし、即興部もある、インスト中心の演奏の流れは、エレクトリック・ジャズ、いわゆる、クロスオーバー・ジャズの響きが充満している。

このエレ・ジャズの雰囲気、どこかで聴いた様な、と思った瞬間、チック・コリアが主宰する「第2期リターン・トゥ・フォーエバー (RTF)」を想起した。テクニック的には、チック、ディメオラ、クラーク、ホワイトを擁する、第2期RTFの方が一枚上だが、プログレ度については、さすが英国出身、Brufordの方が一枚上。どちらも、基本的な音楽の志向はよく似ている。
 

Brufordgradually-going-tornado

 
Brufordについては、ドラマー&リーダーのブルフォードは有名だが、他の3人は馴染みがない。それでも、出てくる音は、ハイテクニックで流麗、力感溢れ、スピード感&重量感満載。こんなキーボーディストが、こんなベーシストは、こんなギタリストがいるんだ、と感心することしきり。第2期RTFと比肩する演奏力と構成力。我が国で、ほとんど無名だったのが不思議なくらい。

ブルフォードのドラミングが凄まじい。変拍子+ポリリズム、流麗な8ビートのクロスオーバーなフレーズに、最適なリズム&ビートを供給し、鼓舞し、フロント楽器のフレーズを映えさせる。この盤の全編に渡って、この凄まじき「変拍子+ポリリズム」が、メロディアスで自由奔放に響き渡る。

このブルフォードのドラミングを聴いていると、彼が、録音時、曲のパーツ毎にしか叩けない「Yes」から、即興演奏志向の「King Crimson」へ移籍したのも頷ける。そして、その「King Crimson」が休眠状態になったので、それでは、ということで、自分でバンドを立ち上げた、ということ、納得である。

一言で言うと「インテリジェンス溢れる、クロスーバー・ジャズとプログレとの融合音楽」。精巧に作られた楽曲構成、ダイナミックなエネルギーに満ち、テクニックは印象的。プログレとエレ・ジャズのいいところをしっかりとクロスオーバーさせた融合音楽。クロスオーバー志向のエレ・ジャズとして一級品。傑作である。
 
 

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2026年1月28日 (水曜日)

”アート・テイタム傑作集”です。

昨日「アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。今日は、その「アート・テイタム」。

Art Tatum『Solo Masterpieces Vol.1』(写真左)。1953年と1955年に録音されたソロピアノの音源集。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p) のみ。タイトル通り、ジャズ・ピアノの神様、アート・テイタムのソロ・パフォーマンス集。CDでの「Solo Masterpieces」(全8巻)シリーズの第一弾。

コンコード・ミュージック・グループのオリジナル・ジャズ・クラシックス・リマスター・シリーズの一環としてリリースされている。これらの曲はジョー・タランティーノによってリマスターされている。音にはまだ時折ヒス・ノイズが残ってはいるが、概ね、良好なリマスターで、モノラルであるがゆえ、ソロ・ピアノの音色、フレーズの音としては良い感じ。

とにかく聴いていてとても楽しい。驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。それが、アート・テイタムのソロ・ピアノの特徴。20世紀を代表するクラシックのピアニストのホロヴィッツや大指揮者トスカニーニがテイタムの演奏を聴きに訪れたことは有名な話。このアルバムを聴けば、その逸話も納得する。
 

Art-tatumsolo-masterpieces-vol1  

 

どの曲もテイタムの驚異的テクニックと歌心を感じることは出来るが、まず冒頭の「Moonglow」では、テンポの変化がテイタム独特でユニーク。遊び心あふれるタッチが随所に散りばめられて、こういうところが、エンタテインメント志向と解釈される所以。テイタムの弾きっぷりはワイルド。彼は左手の使い方も秀逸で、リズム&ビートの供給が素晴らしい。まさに伴奏を必要としない「ひとりバンド」状態。

続く「Love For Sale」では、テイタムは素晴らしいユーモアと遊び心で、エンタテインメント志向を継続、楽曲の持つフレーズの美しさを右手でしっかりと表現。この右手の表現が、これまたテイタムらしいもの。左手でリズム&ビートをキープしつつ、遊び心とシリアスな面の交歓が聴いていて楽しい。アドリブ・フレーズの即興の閃きの美しさも、テイタムならでは、のもの。

冒頭の2曲だけで、テイタムの個性と当時としての「先進性」が良く判る。僕は、この「Solo Masterpieces」については、LP時代の『Tatum Solo Masterpieces』(邦題「アート・テイタム傑作集」・写真左)で、テイタムを勉強させてもらった。

CDは全8巻もあるんで、手っ取り早くテイタムのソロ・パフォーマンスを堪能するには、このLP時代の『Tatum Solo Masterpieces』が最適かと思う。CDかサブスク音源でリイシューされないかなあ。LPからのダイレクト・コピーの音源でも良いんだけれど・・・。
 
 

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2026年1月27日 (火曜日)

エロール・ガーナーを再聴する

昔、僕がジャズを本格的に聴き始めた約50年前。ジャズ初心者向けのアルバムの紹介本や、紹介記事、紹介チラシに、なぜか必ず入っていたピアニスト、エロール・ガーナー(Erroll Garner)。僕は、当時、このエロール・ガーナーのリーダー作、それも何故か『Concert By The Sea』ばかりが紹介されていて、これも勉強とばかりに購入、意気込んで聴き始めたのだが、これが、なんとも良く判らない。戸惑った。

Erroll Garner『Contrasts』(写真左)。1954年7月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p), Wyatt Ruther (b), Fats Heard (ds)。エロール・ガーナーが1954年に発表したスタジオ録音のアルバムである。1988年のCDリイシュー時には「The Original Misty」というタイトルでリイシューされた。

ガーナーの個性は、スイング・ジャズを踏まえたピアノだったり、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノであったり、スライド・ピアノであったりする。つまりは、モダン・ジャズの基となった、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となった、ポップで大衆的なピアノの響きなのである。つまり、モダン・ジャズにおけるピアノとは、アプローチ、テクニック、響きが違う。そこが「戸惑い」の原因。

ガーナーの個性は、即興性というジャズの基本を踏まえつつ、テクニックは優秀、そして、曲の美しいフレーズを捉えて、歌心満点のピアノを弾きまくるという点。つまり、聴き手を十分に意識した、聴き手に「聴いて楽しませる」ことn主眼を置いた、ジャズ・ピアノの「エンタテインメント性」を表出した、最初のピアニストということになる。
 

Erroll-garnercontrasts 
 

例えば、アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。ガーナーは、逆に、テクニックの高さはあるが、それよりも歌心溢れるフレーズ、いわゆる、聴き手を意識したエンタテインメント性をウリにしたピアノであると言える。

そんなガーナーの個性がとても良く理解出来るアルバムがこの『Contrasts』。ガーナーはテクニックの高さを優先しないで、歌心を重視した弾きっぷりで、明らかにビ・バップとは違う切り口での弾き回し。スイング・スタイルのピアノは、この歌心だけを重視して、テクニックは二の次、あとはリズム楽器としての役割を追求するものだったので、ガーナーのピアノとは全く性質が違う。

ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が心ゆくまで感じる事ができる。「ビハインド・ザ・ビート」とは、左手でビートを刻み、右手のメロディーが、左手のビートから若干遅れて出てくる弾き方。弾き方というか、エロル・ガーナーの場合は、自然発生的にこの弾き方になっている。これが、このアルバムでは良く判る。

モダン・ジャズ期にテイタムのテクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「バド・パウエル」、歌心溢れるフレーズをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「ビル・エヴァンス」。そんな単純な解釈を僕はして、彼らのピアノを楽しんでいる。
 
 

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2026年1月26日 (月曜日)

オールド・スタイルなトリオ好盤

全曲、ジャズ・スタンダード曲で固められた、「オールド・スタイル」なピアノ・トリオで奏でられた、小粋なスタンダード曲集。全編、このピーターソン・オールド・スタイル・トリオでのダイナミックでスインギー、ハイテクニックで疾走感抜群なトリオ演奏。理路整然とした、ハードバップ’・スタイルの演奏で、聴いていて、安定感抜群。

Oscar Peterson『On the Town with the Oscar Peterson Trio』(写真左)。1958年7月1–5日、トロントのタウン・タバーンでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)。ドラムの代わりに、ハーブ・エリスのギターを入れた、当時、オスカー・ピーターソンお得意の「オールド・スタイル」なピアノ・トリオでのライヴ・パフォーマンス。

アレンジが良い。ピーターソンのそれぞれのジャズ・スタンダード曲の対する解釈が小粋で、スタンダード曲の持つ歌心を、ハイテクニックなオールド・スタイル・トリオが弾き進めていく。特に、ピーターソンのピアノが凄まじく、ライヴならではの所作なのだろう、もうオーヴァー・スイングといっても良い位、スイングしまくるピーターソンのピアノ。
 

Oscar-petersonon-the-town-with-the-oscar

 
このハイテクニックで、バリバリにスイングしまくるピアノに、堂々と相対するのが、エリスのギター。ピーターソンのピアノ捌きのスピードに応じて、緩急自在、硬軟自在、変幻自在にギターを弾きまくるエリス。このエリスのパフォーマンスも、このオールド・スタイル・トリオの聴きどころ。特に、ピーターソンのピアノとの絡みは、聴いていてゾクゾクする瞬間が沢山あって、楽しいことこの上無し。

そして、このピーターソンとエリスのパフォーマンスのリズム&ビートをしっかり支えるのが、レイ・ブラインのベース。ブラインのベースがあってこそ、ピーターソンとエリスのパフォーマンスが映えに映える、2人が安心して、カッ飛び演奏を繰り広げられる。音が大きく、ソリッドで、ブンブン胴鳴りするアコベは、このオールド・スタイル・トリオ演奏のベースをガッチリ支え鼓舞している。

この胸の空くような、オールド・スタイル・トリオのパフォーマンス。これまで、ほとんど陽の目を見ていないのが現状だろう。一般のジャズ者の方々でも、この盤の存在とその優れた内容を知る人は少ない。これは、ピーターソンにとっても不幸なことで、この盤、オールド・スタイル・トリオの好盤として、もっと評価されて然るべき盤だと僕は思う。とにかく、聴き終えた後、スカッと爽快感が心地良い好演である。
 
 

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2026年1月25日 (日曜日)

この ”My Fair Lady” 良しです

マイ・フェア・レディの楽曲のジャズ化としては、先行して、シェリー・マンのコンテンポラリー盤(ピアノは、アンドレ・プレヴィン)があって、この盤については、僕がジャズを本格的に聴き始めた、今を去ること、約50年前、ジャズ初心者向けの推薦盤だった。確かに、プレヴィンのアレンジが良く効いていて、ジャズ者初心者だった僕も、直ぐに入手して、しばらくの間、ヘビロテ盤だった記憶がある。

Oscar Peterson『Plays My Fair Lady』(写真左)。1958年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Gene Gammage (ds)。オスカー・ピーターソンがライフワークにしていた、ミュージカル曲集の第1弾。オスカー・ピーターソンならではのアレンジでブロードウェイ・ミュージカルの楽曲を上手くジャズ化している。

しかし、このオスカー・ピーターソンのマイ・フェア・レディの楽曲のジャズ化盤があるのを知ったのは、それから20余年後。21世紀に入ってからである。インターネット経由で、有名ジャズマンのディスコグラフィー一覧が入手しやすくなって、ピーターソンのディスコグラフィーを入手した時に、この盤の存在を知った。しかし、中古LPは見当たらず、CDリイシューもされてなく、聴きたくても聴けない状態が続いた。
 

Oscar-petersonplays-my-fair-lady

 
そして、いよいよCDリイシューされて、初めて聴いた訳だが、「あれ、シェリー・マン=プレヴィン盤より、内容が濃い」と思った。もともと、ジャズ・ピアノのヴァーチューゾのピーターソンである。ピーターソンのハイテクニックでドライブ感&スイング感抜群、歌心抜群のピアノを最大限に活かしたアレンジが素晴らしく、マイ・フェア・レディの楽曲を目眩くピーターソンのバリバリの弾きっぷりで、ハードバップ化していく。

ドライブ感&スイング感抜群なんで、ちょっと五月蠅く耳に付くかと思いきや、ピーターソンが弾き進めるフレーズが歌心抜群な分、全く気にならない、どころか、圧倒的なドライブ感&スイング感のお陰で、マイ・フェア・レディの楽曲の持つキュートさ、陽気さが全面に浮き出て、聴いていて、とても楽しく、そして、ピーターソンのピアノが映えに映えている。ジャズ・ピアノのトリオ盤としても、十分に優れた内容の演奏だと言える。

どうして、この盤、シェリー・マンのコンテンポラリー盤と同様、ジャズ初心者向けの推薦盤にならなかったのだろう。どうも、当時、我が国では、ピーターソンの人気はイマイチだったからなあ。でも、今の耳で聴いても、このピーターソンのマイ・フェア・レディ盤は優れている。シェリー・マンのコンテンポラリー盤と同等、若しくはそれ以上だろう。ちなみに、僕はどちらの盤も大好きだ。
 
 

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2026年1月24日 (土曜日)

ベンソンの初リーダー作です。

本作は記念すべきジョージ・ベンソンのファースト・アルバムである。ただ、内容的には、当時、ベンソンが所属していたジャック・マクダフのリーダー作の演奏内容とは変わらない。形式上は、ジャック・マクダフのカルテットにベンソンが客演した形だが、演奏内容としては、ベンソンが入ったジャック・マクダフ・クインテットの演奏内容と変わらない。

George Benson『The New Boss Guitar of George Benson』(写真左)。1964年5月の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、George Benson (g), 以下、The Brother Jack McDuff Quartet:Brother Jack McDuff (p, org), Red Holloway (ts), Ronnie Boykins (b), Montego Joe (ds: tracks 1–7), Joe Dukes (ds: track 8)。

ベンソンのファースト・アルバムだからといって、ベンソンが全面に押し出て、ベンソンのギターの個性や特徴が良く判る様な内容にはなっていない。どちらかといえば、マクダフのオルガンが目立っている。ただ、マクダフのオルガンがフロントで演奏しているバックで、ベンソンは、ウェスばりの、小粋で味のあるバッキング・ギターを弾きまくっている。若干21歳の若者らしからぬ、ホットな渋さ。
 

George-bensonthe-new-boss-guitar-of-geor
 

ただし、ベンソンのオリジナルが5曲、あるところが、ベンソンのリーダー作かな、とも思わせるところ(笑)。ベンソン作がが「Shadow Dancers」「The Sweet Alice Blues」「I Don't Know」「Just Another Sunday」「Rock-A-Bye」。そして、スタンダードが2曲で「Will You Still Be Mine」と「Easy Living」。CDリイシュー時のボートラの1曲が、マクダフ作の「My Three Sons」で、全8曲。このボートラはいらない(笑)。

しっかり、ベンソンのギターに耳を傾けてみれば、ベンソンのギターの個性が良く判る。ソウルフルなリフ&カッティング、ブルージーなソロ、シングルノートによるバリバリ弾きまくるところ、そして、よく聴いていると、時々、ウエスの十八番だった「オクターヴ奏法」も披露する。ウエスの正当な後継者とされたベンソン。その片鱗が、この初リーダー作にしっかり記憶されている。

当時、ベンソンのギターといえば「ウエスの真の後継者」だが、ウエスのギターより、ソウルフルで、フレーズに伸びがある。いわゆる、R&B志向のソウル・ジャズ一歩手前の、ベンソン流のソウルフルなギターを感じ取る事ができる。R&B志向から、やや手前のファンキー色の強いソウル・ジャズという感じかな。アーバンな雰囲気、ミッドナイトな雰囲気は、オルガン・ジャズとして好盤。ベンソンの伴奏上手を聴くことが出来る異色盤、といった位置づけの初リーダー作です。
 
 

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2026年1月23日 (金曜日)

ソウル志向のシルヴァー・ジャズ

このジャケをみたら、ほとんどの人が「ビビる」だろう。どう見ても、ジャズのアルバムのジャケとは思えない(笑)。この奇妙な恰好をして写っているのは、ホレス・シルヴァー本人。「THE UNITED STATES OF MIND」という思想に入れ込んでいた時期のシルヴァー本人。内容的には、決して「危ない」「怪しい」類の音楽では無いのでご安心を。

Horace Silver Quintet『That Healin' Feelin'』(写真左)。1970年4月8日と6月18日の録音。ブルーノートの4352番。サブタイトルが「The United States of Mind Phase 1」。当時、シルヴァーが入れ込んでいた思想の名称がサブタイトルにあるので、スピリチュアルな側面もあるのか、と警戒するが、これが全く無い(笑)。

それでも、後に『The United States of Mind』としてCDにまとめられた3部作アルバムの最初のもの。ファンキー・ジャズ一本槍のホレス・シルヴァーが、ソウル・ミュージックに一番接近したアルバムの一枚である。

ちなみにパーソネルは、4月8日の録音が、Horace Silver (p, el-p), Randy Brecker (tp, flh), George Coleman (ts), Bob Cranshaw (el-b), Mickey Roker (ds), Andy Bey (vo, 2-5)。6月18日の録音が、Horace Silver (p, el-p), Randy Brecker (tp, flh), Houston Person (ts), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds), Gail Nelson (vo, 6), Jackie Verdell (vo, 7–9)。
 

Horace-silver-quintetthat-healin-feelin

 
基本は、シルヴァー印のファンキー・ジャズ。しかし、この盤で「耳を引く」のが、シルヴァーのエレクトリック・ピアノ。シルヴァーの弾くエレピが凄く良い。シルヴァー印のファンキー・ジャズにピッタリのエレピの音、エレピの弾きっぷり。このシルヴァーの弾くエレピが、このアルバムの「キモ」になっている。

このアルバムでは、大々的にボーカルの導入に踏み切っている。3人のボーカリストが分担して、ボーカルを担当しているが、そうなると、このアルバムは「R&B」志向のソウル・ジャズになるのか、と思いきや、そうはならない。あくまで、ソウル・ミュージック志向の、シルヴァー印のファンキー・ジャズ。

大胆なボーカルの導入とエレピの導入で「ソウル・ミュージック志向」を実現している。演奏の基本は、その時その時のシルヴァー印のファンキー・ジャズ。それが証拠に、ソウル・ミュージック志向の割に、粘るファンクネスはライト。ライト仕様のソウル・ミュージック志向なのが、このアルバムの個性であり、シルヴァー印のファンキー・ジャズのバリエーションである。

へんちくりんな恰好をしてジャケに収まっているシルヴァーだが、このアルバムでの音は、ボーカルを抜けば、とても硬派でアーティスティックな、シルヴァー印のファンキー・ジャズである。モード・ジャズにも、ソウル・ジャズにも柔軟に適応し、自らのファンキー・ジャズに昇華させている。ジャケに惑わされずに手にすれば、1970年当時のシルヴァー印のファンキー・ジャズの最前線が体感できる。そんな好盤である。
 
 

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2026年1月22日 (木曜日)

”Night Train” 17年振りに記事化

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」。日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというものだが、有名な名盤からちょっとマニアックな好盤から、ジャズ・ピアノの個性という切り口でチョイスし紹介している、好感の持てる企画記事である。

Oscar Peterson Trio『Night Train』(写真左)。1962年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p) Ray Brown (b) Ed Thigpen (ds) という、1959年以来の不動のメンバー。いわゆる、オスカー・ピーターソンの黄金の「ザ・トリオ」である。当ブログでは、2009年10月28日にて「ピアノ・トリオの代表的名盤・2」としてご紹介済み。

ピーターソンのピアノの凄いところは、アート・テイタムやバド・パウエルに匹敵するテクニックの持ち主だが、不必要にテクニックを前面に押し出さないところ。必要な時は、テイタムばりに、バドばりに、ガンガン弾きまくるが、アルバム・コンセプトとして不要な場合は、絶対に弾き過ぎない。非常に分別がある、理知的な、コントロールされたピアノが特徴。
 

Night_train 
 

冒頭のタイトル曲「Night Train」を聴くだけでそれが判る。とても素敵なブルース曲だが、ミッドテンポのゆったり悠然とした、余裕タップリの弾きっぷり。排気量の大きなスポーツカーが、般道路をゆっくりと悠然と走っているような感じ。指捌きを聴けば、ピーターソンのピアノ・テクニックの高さが直ぐに判る。

そして、テイタムやバドにはちょっと希薄な「スイング感」が、ピーターソンのピアノには「てんこ盛り」。ジャジーでブルージーでちょっとファンキーなスイング&ドライブ感が素晴らしい。歴代のジャズ・ピアニストの中で、最高にスイング&ドライブするピアノ、だと断言したい。特に、この盤では、実に趣味良くクールにスイングしている。

これは、テイタムやバドには無い、ピーターソン独特の個性である。ハイテクニックでスインギーにドライブするピーターソンのピアノ。テイタムは「エンターテインメント」、バドは「ストイック」、そして、ピターソンは「スインギーなドライブ感」。ジャズ・ピアノの「ハイテクニック3人衆」。ピーターソンのピアノには「成熟」を感じる。
 
 

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2026年1月21日 (水曜日)

自らを整えるビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスは、彼のジャズ・ピアニストの歴史の中で、節目節目、だいたいがトリオのメンバーが入れ替わった時、恐らく自分を整え直す意味があるんだと思うのだが、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ(以降、フィリージョーと略)を自らのトリオに招いて、ビルのホームである、NYのライブハウス、ビレッジ・ヴァンガードのライヴに臨む習慣がある。

Bill Evans『Getting Sentimental』(写真左)。1978年1月15日、NYのビレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Michael Moore (b), Philly Joe Jones (ds)。録音当時は未リリース。実際にリリースされたのは2003年8月。マイルストーン・レーベルからのリリースであった。ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴの私家録音である。

長年、ベースの相棒だったエディ・ゴメスが辞めて、マーク・ジョンソンが加入するまでの時期のライヴ録音。ベースが、マイケル・ムーアというのが珍しい。そして、ファンタジー時代の後半、ドラムを務めたエリオット・ジグムンドもビルの下を離れた、その空席となっていたところに、ドラム担当として、フィリージョーが参加している。

このドラムのフィリージョー。ダイナミックでバッシバッシとバップなドラムを叩きまくるフィリージョーと、耽美的でリリカルな側面を持つビル・エヴァンスのピアノとは「アンマッチ」なのでは、と思うんですが、ビルは意外と元気溌剌に、バップなピアノを弾きまくっている。
 

Bill-evansgetting-sentimental

 
ビルが耽美的でリリカルなバップ・ピアノを奏で始めると、フィリージョーは、意外と繊細で細やかなバップ・ドラミングにチェンジしている。これが意外と見事で、ビルが楽しげに弾き進めているのも理解出来る。フィリージョーのドラミングとビルのピアノは意外と相性が良い、ということを再認識する。

ビルのピアノは相変わらずである。バップなダイナミックな弾き回しもあれば、耽美的でリリカルな弾き回しもある。いわゆる「お馴染み」のビルである。

逝去する2年半ほど前のライヴで、体調は既に悪かったはずだが、このビレバガでのライブ・パフォーマンスは、そんな健康上の障害があるなんて雰囲気は微塵も無い。右手もしっかり回っているし、なにより、このライヴ・パフォーマンスには、よれたり、ミスタッチがあったりという破綻が無い。

ムーアのベースは意外と検討していて、ビル・エヴァンス・トリオの歴代のベーシストと比較しても遜色はない。ビルのピアノの個性を良く理解して、ビルのピアノと対等のインタープレイを仕掛けている。アドリブ部のベースラインのイマージネーションも豊かで、ムーアのベースにとりたてての欠点は無い。大健闘のマイケル・ムーアである。

このライヴ・パフォーマンスの位置づけは、いわゆる、ビルの「浪人時代」、次のピアノ・トリオを立ち上げるまでのリハビリ時期のライヴ音源になる。細かいところにお構いなしのビルのパフォーマンスは清々しい。2年半後に鬼籍に入るとは思えない上質のパフォーマンス。私家録音でちょっと音は悪いが、ビルのピアノを愛でるのに不都合は無い。好ライヴ盤である。
 
 

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2026年1月20日 (火曜日)

Bud Powell ”Jazz Giant” 再聴

レコード・コレクターズ2026年2月号の特集に「この曲のピアノを聴け! ジャズ/フュージョン編」がある。この特集は、日本の演奏家も含めて、ジャズ/フュージョンを代表するピアノの名演をまとめて紹介するというもの。

ジャズ・ピアノの基本的な名盤については、当ブログについては、15〜20年前に記事化済みなので、ブログの右下の「カテゴリー」から、ジャズマン・グループの名前から入れば、読むことが出来るのだが、かなり前の記事なので、その名盤に対する、印象、聴き方も変わっていると思うので、今の耳で、もう一度、聴き直してみるのも一興と思い立った。

Bud Powell『Jazz Giant』(写真左)。1949年2月の録音と1950年2月の録音の2セッションを併せたアルバム。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p) をリーダーとして、1949年2月の録音は、Ray Brown (b), Max Roach (ds)、1950年2月の録音では、Curley Russell (b), Max Roach (ds) が参加している。

ジャズ・ピアノの個性は千差万別で、ピアニスト毎に個性が変わると言って良い。弾き方については、幾つかの切り口でグルーピングすることが出来て、ここでは「弾きっぷりのテクニック」について語りたい。

ジャズ・ピアノの弾きっぷりのテクニックの高さという点では、アート・テイタム、バド・パウエル、オスカー・ピーターソンがベストスリーだろう。
 

Jazz_giant_1

 
テクニックの高さの基準は、アート・テイタムで、テイタム志向の、クラシック・テクニックに匹敵するのが、バド・パウエル。スイング感+豊かなオフビートという、ジャズ・ピアノらしさの切り口では、オスカー・ピーターソン。

この『Jazz Giant』では、そんなバド・パウエルの弾きっぷり、個性如実に判るジャズ・ピアノの名盤の一枚。冒頭の「Tempus Fugue-it」を聴くだけで、アート・テイタムに匹敵するバドのハイ・テクニック、クラシック・ピアノに匹敵する、テクニックの正確さを聴き取ることが出来る。とにかく、凄まじい指回し、凄まじいブロックコードの打鍵である。

バド・パウエルの個性を愛でるに相応しいアルバムは多々あるが、この『Jazz Giant』が、バド・パウエル体験の入口に当たるアルバムだと僕は思う。ジャズ・ピアノを聴き極める上で、まず、このバド・パウエルをクリアする必要はある。

バド・パウエルは、モダン・ジャズ・ピアノの祖であり、ピアノ・トリオ・スタイルを確立させた、つまり「ピアノ+ベース+ドラム」の現代のピアノ・トリオ編成を定着させたピアニストだからである。

そのバド・パウエルをクリアする第一歩が、この『Jazz Giant』。まず、このアルバムを聴くことで、ジャズ・ピアノの最高水準はどの辺りなのか、確認することができる。そんなジャズ・ピアノの名盤の一枚である。
 
 

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2026年1月19日 (月曜日)

MJQとピーターソン・トリオ

J.A.T.P.のステージから、MJQとピーターソン・トリオの演奏を収録したオペラハウスでの1957年ライヴ録音。ヴァーヴ・レーベルからスプリット・アルバムとしてリリースされ、LP時代、A面が「Modern Jazz Quartet」、B面が「Oscar Peterson Trio」。僕がジャズを聴き始めた頃は、このスプリット・アルバムというところが胡散臭くて、手を出すことは無かった。

Modern Jazz Quartet and Oscar Peterson Trio『At The Opera House』(写真左)。1957年10月19日、シカゴのオペラハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)、以上【Modern Jazz Quartet (MJQ) 】、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b)、以上【Oscar Peterson Trio】。

2018年、CDリイシューされた時に手にした。まず、MJQの演奏から始まる。冒頭の「D&E Blues」は録音状態が悪く、これは「スカ」盤を掴んだか、と思ったが、演奏が進むにつれ、録音状態は良くなっていく。1957年録音としては中程度。それでも、MJQの演奏の内容はしっかりと把握出来る。続く、ピーターソン・トリオの演奏については、録音状態はまずまず良好。ピーターソン・トリオの迫力ある演奏が記録されている。
 

Modern-jazz-quartetandoscar-peterson-tri  

 
MJQの演奏はたった3曲だが、MJQのライヴ演奏の優れたところがしっかりと把握出来る。冒頭「D&E Blues」は、ホットな演奏。ハイテクニックでスインギーな、MJQらしいスピード感のある演奏。続く「Now's the Time」は、パーカー作のホットなビ・バップ曲なんだが、MJQはクールで静的なバップ曲にリアレンジして演奏してみせる。静的だがビートはビ・バップ。3曲目の「Round About Midnight」は、他にない独特なアレンジで聴かせに聴かせる。

ピーターソン・トリオの演奏は全5曲。この頃のトリオは、ドラムの代わりにハーブ・エリスが入った「クラシック・ピアノ・トリオ」。このピアノ=ギター=ベースのトリオ演奏が迫力満点。スイングしまくるピーターソンのピアノに、エリスのギターがガッチリ絡む。オーバー・スイング気味にスイングしまくるピーターソンとエリス。そして、その演奏のベースラインをガッチリ押さえるレイ・ブラウンのベース。このトリオのベストに近いパフォーマンスが楽しめる。

ジャズ者初心者の方々に是非とも、という盤では無いが、ジャズを聴き始めて、ジャズというものがなんとなく判った、ジャズ者中堅、ジャズを本格的に聴き始めて10年位、MJQの名盤、ピーターソンの名盤を複数枚聴いたあとで、このライヴ盤を聴くと、やっぱりジャズはライヴを聴かないと、そのジャズマンの真の実力は判らないな、ということを再認識すると思う。曲数は少ないが、MJQとピーターソン・トリオのライヴの実力の高さが良く判る好ライヴ盤である。
 
 

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2026年1月18日 (日曜日)

ベネット&エヴァンスの続編盤

伴奏上手でも名を馳せていたビル・エヴァンス。フロントがホーン楽器の伴奏を記録したアルバムはいろいろあるが、ボーカルのバックで演奏上手を披露したセッションは、男性ジャズ&ポップス歌手、トニー・ベネット(Tony Bennett)、そして、スウェーデンの女性歌手、モニカ・ゼタールンド(Monica Zetterlund)の2人とだけ。

Tony Bennett and Bill Evans『Together Again』(写真左)。1976年9月27–30日の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Bennett (vo), Bill Evans (p)。男性ジャズ・ボーカリストの代表格の1人、トニー・ベネットと、ジャズ・ピアニストのレジェンド、ビル・エヴァンスとのデュオ盤である。

1975年6月の録音の『Tony Bennett / Bill Evans Album』(2021年2月19日のブログ・左をクリック)の続編である。約1年3ヶ月後の「アゲイン盤」。アルバム全体の雰囲気は、『Tony Bennett / Bill Evans Album』と変わらない。気持ち良い伴奏を得て、朗々と気持ち良く唄うベネットと、そんな気持ちの良い伴奏を供給する、伴奏上手のエヴァンス。
 

Tony-bennett-and-bill-evanstogether-agai

 
ミッド・テンポのバラードからジャズ・スタンダード曲がメイン。影なく朗々とダンディズム溢れる唄いっぷりのベネットのバックで、耽美的なフレーズながら、意外とバップな覇気ある伴奏ピアノが浮き出てきて、なかなか良い雰囲気。それでいて、ベネットの熱唱を決して邪魔しないのだから、伴奏上手のエヴァンスの面目躍如である。

「You Must Believe in Spring」「A Child Is Born」「You Don't Know What Love Is」など、ビル・エヴァンスのお気に入り曲も選曲されていて、ビル・エヴァンスのピアノ歌伴との親密感溢れるベネットの歌唱が堪能出来る。朗々と唄い上げるベネット、そして、間奏で、耽美的なフレーズを回しながら、クールでバップな弾き回しを聴かせるビル・エヴァンス。この2人のレジェンドの熟練したパフォーマンスの共演は、やはり優れいている。

一枚目の共演盤『Tony Bennett / Bill Evans Album』と、この続編の『Together Again』のどちらが優れているか、という議論もあるが、どちらも、2人のレジェンドの個性と味のあるテクニックとが相乗効果を生んでいて、甲乙つけるのは「野暮」というものだろう。まあ、我が国では「続編盤」は「二番煎じ」と決めつけて、最初の盤より続編の方が、居抜きで評価をさげる傾向にあるので、まずは、自らの耳で聴いてみることが先決だろう。
 
 

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2026年1月17日 (土曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・3

ビル・エヴァンスのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、いよいよ、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーの中で、異色盤と呼ばれるものの記事に手を染めている。今日は3作目。ビル・エヴァンスの異色盤では最後の一枚になる。今回は、ジャズ・オーケストラとのコラボ。しかも、エレピ入りのジャズ・ロック志向盤。

Bill Evans『Living Time』(写真左)。1972年5月12–14日、NYでの録音。コロンビア・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Bill Evans (p, Fender Rhodes), Snooky Young, Ernie Royal, Richard Williams (tp, flh), Stanton Davis (p), Howard Johnson –(flh, tuba, b-cl), John Clark (french horn), Dave Bargeron (tuba), Jimmy Giuffre (ts, fl), Joe Henderson (ts), Sam Rivers (ts, fl, oboe), Sam Brown (b-g, el-g), Ted Saunders (el-p, clavinet), Webster Lewis (org, el-p), Eddie Gómez (ac-b), Ron Carter (el-b on 5,7), Stanley Clarke (el-b on 1,2,3), Herb Bushler (el-b on 4,6,8), Tony Williams, Marty Morell (ds), Marc Belair (perc),George Russell (arr, cond),。

ビル・エヴァンスのアコピとフェンダー・ローズが、フロントのソリストとして、そして、パーソネルを見渡せば、そうそうたるメンバーが集結したジャズ・オーケストラがバックに控える。そして、よくよく見れば、エレクトリック楽器の導入が目に付く。エレギ、エレベ、ローズ、エレピなど。そして、このバックのジャズ・オーケストラの演奏志向は「ジャズ・ロック」。
 

Bill-evansliving-time

 
最初に断っておくが、このアルバムのリーダーは「ビル・エヴァンス」。しかし、この盤のパフォーマンスとしては、ジョージ・ラッセルがアレンジ&指揮の「ジャズ・ロック」なジャズ・オーケストラの演奏に、ビル・エヴァンスのアコピとローズがそれに合わせている、という感じのパフォーマンスで、ビル・エヴァンスのパフォーマンスとしては、彼の個性は封印して、ジャズ・ロックのフロント楽器として、判り易く聴き易い、シンプルな演奏に終始している。

逆に、ラッセルのアレンジ&指揮のジャズ・ロック志向のジャズ・オーケストラのパフォーマンスが目立ちに目立つ。ダイナミックで壮大な8ビートなジャズ・ロックが、大人数のジャズ・オーケストラで演奏される。しかも、メンバーそれぞれが、力量確かな一流どころが顔を揃えているのだ、とにかく、シャープでダイナミックで迫力あるジャズ・ロック名オーケストラ・サウンドが展開される。

この盤のピアノは、なにも、ビル・エヴァンスで無くても成立するレベル。プロデューサーのヘレン・キーンが問題なのだろう。ビル・エヴァンスのリーダー作にしては、このアルバムの狙い、コンセプトが明瞭で無い。この盤、ビル・エヴァンスが、ビル・エヴァンスらしく、ピアノを弾いていないところが問題なんだろう。

ビル・エヴァンスのピアノの個性を楽しむには、ちょっと不足。ジャズ・オーケストラのジャズ・ロック志向の演奏としては、及第点の出来。作曲に課題が残る(全曲、ジョージ・ラッセルが作曲)。印象に残る曲が無い。演奏はそこそこ優れているが、曲自体がキャッチーではないところが惜しい。どうにも「隔靴掻痒」感の残る異色盤である。
 
 

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2026年1月16日 (金曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・2

ビル・エヴァンスのディスコグラフィーを順に確認していくと、「なんだ、このアルバムは」という異色盤、というか、ゲテモノ盤らしき「パチモン盤」に出くわす。それでも、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーをコンプリートしたいという「ビル・エヴァンス者」としては、避けては通れない。まずは、実際に自分の耳で聴いてみることが大事である。

『Bill Evans Plays the Theme from "The VIPs" and Other Great Songs』(写真左)。1963年5月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), そして、名称不明のオーケストラとコーラス、クラウス・オガーマンのアレンジ&指揮。意図的に商業的な目的の為に制作された、当時の映画やテレビのテーマ曲や人気のスタンダード曲をエヴァンス自身の解釈で演奏した企画盤である。

一言で言うと「イージーリスニング音楽」。どう聴いてもジャズではない。旋律楽器として、ビル・エヴァンスのピアノがフロント楽器の位置付けだが、ジャズでよくある「ピアノ・トリオ+オーケストラ」という、ジャズのバンドとオーケストラのコラボでは無く、豪華なストリングス・セクションと軽いパーカッションによる、よりコマーシャルでイージーリスニング的な編成での演奏である。

ストリングス・アレンジについては、なんとかオーケストラ・ジャズに留めたいという意図は感じられなくも無いが、あまりに甘く、あまりにムーディーな側面が強調されており、ジャジーな雰囲気は微塵も感じられないアレンジになってしまっている。
 

Bill-evans-plays-the-theme-from-22the-vi

 
収録曲は全12曲。メインは、1960年代半ばの映画のサウンドトラックやテレビ音楽から選ばれており、タイトル通り、ミクローシュ・ローザが作曲した1963年の映画『ザ・VIPズ』のタイトル・トラックを始めとして、リン・マレーの『ミスター・ノヴァク』やエルマー・バーンスタインの『ザ・ケアテイカーズ』のテーマ曲などが含まれている。

ジャズ・スタンダード曲も幾曲か収録されていて、「Days of Wine and Roses」や「On Green Dolphin Street」「Laura」では、ビル・エヴァンスの新しい解釈を聴くことが出来る。もっとも、この新解釈は、イージーリスニング志向のもので、ビル・エヴァンス独特の和音の活用よりも、シングルトーンの聴き易さを最優先した解釈ではある。

ビル・エヴァンスのピアノはそれなりに、その個性と実力を発揮した内容にはなっているが、いかんせん、アルバム全体の音志向としては、ジャズとしての音作りより、ポップスな親しみやすさを優先したアレンジになっているので、ジャズのアルバムとしては評価し難い。

ただし、イージーリスニング志向のピアノの弾き回しについては優れたものがあり、エヴァンスのピアノの応用力、適応力の高さを感じ取る事は出来る。とにかく、この盤、ビル・エヴァンスのディスコグラフィー上、最大の異色盤であることは間違い無い。
 
 

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2026年1月15日 (木曜日)

ビル・エヴァンズの異色盤・1

ビル・エヴァンスのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、いよいよ、ビル・エヴァンスのディスコグラフィーの中で、異色盤と呼ばれるものの記事に手を染める。今回は、ピアノが二台、ベース&ドラムの変則ピアノ・トリオ編成。当時、ニューホープのビル・エヴァンスと、もともとはヴァルブ・トロンボーンの名手、ボブ・ブルックマイヤーの双頭リーダー作になる。

Bob Brookmeyer & Bill Evans『The Ivory Hunters』(写真左)。1959年3月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Bob Brookmeyer (p), Bill Evans (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。副題「Double Barrelled Piano」。ジャズ・ピアニストの ボブ・ブルックマイヤーとビル・エヴァンスによるアルバム。

ボブ・ブルックマイヤーは主にトロンボーン奏者として知られており、時折ピアノも担当していたが、このアルバムは彼がピアノのみで演奏した唯一のアルバムになる。まず、ブルックマイヤーのピアノの腕前に感服する。ジャズ・ピアニストとして一流の腕。ビル・エヴァンスのピアノと堂々渡り合っているから立派。
 

Bob-brookmeyer-bill-evansthe-ivory-hunte

 
ステレオの右チャンネルでリーダーを務めるエヴァンスと、左チャンネルで伴奏を務めるブルックマイヤー、一応、そういう聴き分けになるが、この聴き分けはあまり重要では無い。なぜなら、2人とも一流のピアニスト。特徴も良く似ている。そんな2人が、対位法と即興演奏を弾き分けていく。2人のパフォーマンスは、ポジティヴであり、楽しげでもある。

これはもう、アレンジの勝利だろう。対位法の活用、即興演奏の交換、加えて、エヴァンスとブルックマイヤー、2人のピアノの個性と特徴が似通っているので、とりわけ、対位法の活用がはまっている。収録された楽曲は全てスタンダード曲というのも良い。ダブル・ピアノでの弾き分けについてのアレンジの妙が良く判る。ダブル・ピアノでのフロント楽器の役割が実にユニークに響く。

この盤、まず「ジャケット」で引いて、なかなか手にすることが出来ない。タイトルが「アイボリ−・ハンター(象牙ハンター)」だからか、象の鼻が真っ直ぐ上に伸びた写真に、耳の部分、左がブルックマイヤー、右がエヴァンス。なんかちょっと不気味なジャケットで、このジャケットのせいもあって、この盤は「エヴァンスの異色盤」「エヴァンスのげてもの盤」と揶揄されるのだろう。しかし、内容は意外としっかりしていて、鑑賞に十分耐える。
 
 

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2026年1月14日 (水曜日)

フラナガンとミッチェルのデュオ

端正&典雅でブルージーでダンディズム溢れるバップ・ピアノが個性のフラナガンと、ウエストコースト・ジャズを代表する筋金入り硬派な職人ベーシストのミッチェルとのデュオ・セッションの記録。ピアノとベース、フロントとバックの役割分担がやり易いデュオの組みあわせで、この2人のデュオは、ナチュラルにアレンジに頼ること無く、フロント、バック、ほど良く分担した、絶妙のデュオ演奏が繰り広げられている。

Tommy Flanagan & Red Mitchel『You're Me』(写真左)。1980年2月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Red Mitchell (b)。燻し銀な筋金入りバップ・ピアニストのトミー・フラナガンと、西海岸の硬派な職人ベーシストのレッド・ミッチェルによる「デュオ」アルバムである。

デュオ演奏なので、2人ともが主役。まず、フラナガンは遠慮無く、端正なタッチ、気品あるダイナミズムとダンディズムを併せ持ったバップ・ピアノをガンガンに弾きまくる。基本、ミッド・テンポからバラードの演奏がメインで、ガンガン弾きまくるとは言っても、うるさくはない。ベースのミッチェルのベースラインをよく聴いた、絶妙なアドリブ・フレーズがニクい。
 

Tommy-flanagan-red-mitchelyoure-me

 
ミッチェルのベースは、胴鳴りは少しライトだが、ピッチが合っていて、小気味の良い弾く様なビートは、聴いていて爽快。さすが、ウエストコースト・ジャズでの第一人者ベーシストである。その小気味良い爽やかベースは、フラナガンのバップ・フレーズに心地良く絡んで、演奏全体のぶるーじーさ、ジャジーさ、を増幅する。テクニックもかなりのレベル。ピアノのデュオで、ピアノのフレーズに負けていない。

演奏に必要なリズム&ビートは、フラナガンのピアノとミッチェルのベースで、しっかりと分担対応している。フロントとしてのフレーズも、フラナガンはピアノなんで当然として、ミッチェルのベースがしっかりとフロントのフレーズも担当している。ピッチの合ったベースだからこそ、なせる技。ミッチェルのはじき出すフロントのフレーズが意外とクリエイティヴでエモーショナルで聴き応えがある。

ミッチェルのベースがしっかりとジャジーなリズム&ビートを積極的に供給しているので、フラナガンのピアノの個性と、ミッチェルのベースの個性との相乗効果、化学反応を堪能するには、ドラムは不要。このデュオ盤は、ピアノとベースのデュオとしては秀逸な出来。実は、僕は5年前まで、このデュオ盤を聴いたことが無かった。そして、聴いてビックリ。こんなに優れて、聴いていて楽しいデュオ盤があったとは。それ以来の愛聴デュオ盤の一枚になっている。
 
 
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2026年1月13日 (火曜日)

伴奏上手のケリーを聴き直す・3

ウィントン・ケリーは「伴奏上手なピアニスト」という評価をよく目にするのだが、フロント管などの「楽器」のバックでの伴奏上手なケリーの「音の記録」は多々ある、しかし、ケリーの「伴奏上手」は、ボーカルのバックでこそ、最大限に発揮される、とされるのだが、このボーカルのバックに回った、伴奏上手のケリーの「音の記録」については、意外と数が少ない。

Dinah Washington『For Those in Love』(写真左)。1955年3月15–17日の録音。ちなみにパーソネルは、Dinah Washington (vo), Clark Terry (tp), Paul Quinichette (ts), Cecil Payne (bs), Jimmy Cleveland (tb), Wynton Kelly (p), Barry Galbraith (g), Keter Betts (b), Jimmy Cobb (ds)。ダイナ・ワシントンのボーカル盤。バックは、フロント4管、ギター、ピアノ・トリオのリズム・セクションのオクテット編成。

どの曲でも、ウィントン・ケリーのピアノが映える。ダイナの歌唱のバックでは、ダイナの歌唱を引き立てる、ダイナの歌唱に彩りを添えるようなフレーズを弾き回し、ソロになると、ケリーの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」を惜しげも無く披露する。
 

Dinah-washingtonfor-those-in-love

 
ケリーのハッピー・スウィングするピアノが、ダイナのボーカルのスウィング感と共鳴して、ダイナのボーカルを引き立て、スィング感を増幅する。ケリーの「そこはかとなく、マイナーな影を宿しながらの端正で流麗なピアノ」でのイントロは、ダイナの歌唱の雰囲気を的確にセットアップしている。

とりわけ、ダイナの歌唱のバックでは、ダイナの歌唱を引き立てる、ダイナの歌唱に彩りを添えるようなフレーズを弾き回しが見事で、これだけ「ハッピー・スウィングするピアノ」で、ダイナの歌唱に彩りを添えるような、寄り添うような弾き回しをするのだが、決して、ダイナの歌唱の邪魔になっていない、どころか、ダイナの歌唱に溶け込んで、ダイナの歌唱をハ映えに映えさせているところが、見事というか、これぞ「職人芸」である。

ボーカルのバックに回った、伴奏上手のケリーの「音の記録」については、意外と数が少ないのだが、まずは、このダイナ・ワシントンのバックでの、「伴奏上手」の面目躍如的パフォーマンスを聴くのが、まず「いの一番」だろう。特に、この『For Those in Love』でのケリーの「伴奏ピアノ」は絶品。リヴァーサイドから、本格的なリーダー作を出す3年も前のケリーのピアノなんだが、ケリーの個性と伴奏上手が確立していて見事である。
 
 

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2026年1月12日 (月曜日)

バップ・ピアニストの本領発揮

トミー・フラナガンは、数々の歴史的名盤の中で、結構な数、サイドマンとして参加しているので「名盤請負人」なんていう不思議な評価をされたりしている。その「名盤請負人」という評価のその真の理由を誰も深掘りしないのは不思議だった。フラガナンはプロ中のプロ、職人中の職人、どんなセッションでも、どんな曲でも、正解のピアノ・パフォーマンスを叩き出す、引き出しの多さを誇ったバップ・ピアニストであった。

Tommy Flanagan『The Magnificent Tommy Flanagan』(写真左)。1981年6月2–3日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), George Mraz (b), Al Foster (ds)。収録曲が全てスタンダード曲+ミュージシャンズ・チューンで占められた、フラガナンのバップ・ピアノがメインのトリオ演奏が収められた好盤である。

オリジナルのLPバージョンは全8曲。フラナガンのバップ・ピアノ全開。とにかく、バップなピアノを弾きまくる。ピアノ・トリオはピアノが主役。フラガナンはここぞとばかりに、端正で小粋なフレーズをバリバリ弾きまくる。このエネルギッシュでダンディズム溢れるバップ・ピアノこそが、フラガナンの真骨頂。ど迫力のアドリブ・フレーズの連発。
 

Tommy-flanaganthe-magnificent-tommy-flan

 
しかし、フラナガンは、スダンダード曲の魅力的な旋律を歌わせるのが上手い。主旋律のメロディーラインを右手でしっかり押さえつつ、その旋律を浮き上がらせる様な、左手のコンピングが絶妙で、そのアレンジの妙とテクニックがフラガナンは秀でている。「伴奏上手のフラナガン」というのは、こういうところから来ているのだろう。

バックでリズム&ビートを支える、ベースのムラーツとドラムのフォスターも素晴らしいパフォーマンスを繰り広げる。ピッチがしっかりあって、鋼の様にソリッドな弦のブンブン胴なりするベース音が素晴らしい。ドラムのフォスターのドラミングは、完璧なバップ・ドラミング。ポリリズミックに叩きまくる様は、バップ・ドラミングの完成形を聴くようである。

「いぶし銀な職人ピアニスト」や「名盤請負ピアニスト」なんていう訳の判らない形容をされたり、「伴奏上手なサイドマン・ピアニスト」と決めつけられたり、フラガナンのピアノの本質を外した、雰囲気優先の評価がされてきたフラガナンだが、この盤のパフォーマンスを聴いて判るように、フラガナンは筋金入りの「バップ・ピアニスト」。それも、モードとかファンキーに走らない、正真正銘ハードバップど真ん中のバップ・ピアニストである。
 
 

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2026年1月11日 (日曜日)

伴奏上手のケリーを聴き直す・2

伴奏上手なウィントン・ケリー。彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、フロント管を効果的にサポートし引き立て、メイン・ボーカルに効果的に寄り添い引き立てる。それが、とても良く判るサイドマン盤がこれ。

Miles Davis『Someday My Prince Will Come』(写真左)。1961年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) Hank Mobley (ts) John Coltrane (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds) 。マイルスが、その先進的な歩みをふと止めて、当時のジャズの演奏スタイルのど真ん中だった「ハード・バップ」メインで演奏したアルバムである。

マイルスのトランペット、モブレーのテナーの2管フロントに、ケリー=ポルチェン=コブのリズム・セクションがバックに付くクインテット編成。演奏のスタイルは「ハードバップ」がメイン。演奏内容は、バラード演奏をメインにミッド・テンポのリラックスしたクールな演奏がメイン。つまりは「ごまかしが利かない」演奏内容。そんな中で、ここでは、サイドマンで参加している、ウィントン・ケリーのピアノにだけ注目してみる。
 

Miles-davissomeday-my-prince-will-come

 
「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が個性のウィントン・ケリーが、そのハッピー・スウィンガーぶりを適度に抑制しつつ、そこはかとなく翳りを宿しつつ、そこはかとなくファンキーなソロを奏でる。ハッピー・スイングの「ハッピー」部分を適度に抑制し「クール」に置き換え、そこはかとなく「ハッピー」、マイナーな影を宿しつつ、クールにスイングするケリーの伴奏ピアノには惚れ惚れ。

ミッド・テンポな演奏に端正で正確、そこはかとなくハッピーでファンキーで、クールにスイングする。このケリーの「スイング感」が、マイルスのミッド・テンポで吹奏されるトランペットにバッチリ合っている。しかも、マイルスのバックに回って弾き回すクールなスイング感溢れるケリーのピアノは、マイルスのクールなトランペットを引き立て、映えに映えさせる。特に、ミュートで耽美的にリリカルにクールに吹き上げるマイルスのバックでの、ケリーの伴奏は絶品。

「ケリーはマッチみたいな奴だ。奴がいなきゃプレイに火が付かない」とマイルスが語っているのは有名なエピソードですが、この盤の演奏を聴いていると、そのマイルスの言葉に至極納得。この盤での「一ランク上をいくハードバップ演奏」を支えているのは、ケリーの「クールにスイングするバッキング」に因るところが大きいと思います。もちろん、マイルスのトランペットが一番恰好良くて、クールでヒップなんですけどね。マイルスとケリーの相性は抜群です。
 
 

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2026年1月10日 (土曜日)

伴奏上手のケリーを聴き直す・1

ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)は、リーダー作もさることながら、サイドマンで参加の盤もかなりの数がある。実は、ケリーは伴奏上手で有名で、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、フロント管をサポートする上で、ボーカルをサポートする上で、効果的に響くのだろう。

Paul Chambers『Go』(写真左)。1959年2月2, 3日、シカゴでの録音。Vee-Jayレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Chambers (b), Freddie Hubbard (tp), Cannonball Adderley (as), Wynton Kelly (p), Philly Joe Jones, Jimmy Cobb (ds)。当時のマイルス・バンドのリズム隊メンバーが集結した、素敵な内容のハードバップ盤。ベースのポール・チェンバースのリーダー作である。

この盤では、参加メンバー全員が好調。特に、アルト・サックスのマクリーンが絶好調というか、ほとんど「躁状態」で、マクリーン節をキュイキュイ吹きまくる。ハバードは、ハイテクニックで吹きまくるが、マクリーンの押されて、ちょっと温和しい。チェンバースのベースは、リーダーだけあって、ブンブン、良い音で鳴っている。フィリージョーのバップ・ドラミングは出力全開。皆、アッパラパーにハードバップをやりまくる。
 

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ここでは、ウィントン・ケリーのピアノのパフォーマンスに注目する。どの曲をとってみても、ケリーのピアノは絶好調。マクリーンの「躁状態」アルト・サックスに煽られたのか、ここでのケリーは、躁状態の「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」を弾きまくる。どの曲でも、端正に淀みなく、ジャジーにブルージーにファンキーにスイングしまくる。

自分のリーダー作より、サイドマンの方が気楽だったのかもしれない。この『Go』でのケリーは、本当に伸び伸びとリラックスして弾いている。恐らく、一番「躁状態」に振れたケリーのパフォーマンスだと思う。それでも、ケリーのピアノの個性であった「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ」のニュアンスを、躁状態の演奏でありながら、しっかりと忍ばせているのだから恐れ入る。やはり、ケリーは、ジャズ・ピアニストとして、超一流であり、プロフェッショナルだった。

ウィントン・ケリーの伴奏上手。サイドマンに回った時のケリーのパフォーマンスは、ケリーのピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が映えに映える。しかも、フロントのバックに回れば、フロント楽器、ボーカルを最高に引き立てる。ケリー・マジックとでも形容して良い、ケリーのピアノのバッキング。その一端を、この『Go』の数々の演奏の中でしっかりと聴き取ることが出来る。
 
 

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2026年1月 9日 (金曜日)

ケリー、最後のトリオ作品です。

ウィントン・ケリーは1971年4月12日、てんかん発作のためカナダのトロントで死亡した。39歳という早逝だった。1963年にマイルスの下を離れて以降、十分な仕事を見つけるのに苦労している。そして、最後のトリオは、チェンバースが亡くなる1969年まで活動を続けた。そして、その2年後の39歳の早逝である。

さて、翳りが足りないとは言え、ケリーのピアノの個性は明確に「ある」ので、リラックスして聴くには良いトリオ演奏。ながら聴きにも適している。ただ、ケリーのピアノの個性と特徴を体験するには、ちょっと物足りない、ケリーの最終作である。

Wynton Kelly『Last Trio Session』(写真左)。1968年8月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ウィントン・ケリーが1968年に録音し、 1988年にデルマーク・レーベルからリリースされたアルバム。タイトル通り、ケリーにとって、最後のピアノ・トリオでのリーダー作である。

ケリーのピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」から、マイナーな影が希薄になって、ミッド・テンポのご機嫌でハッピー・スインギーなピアノ・パフォーマンスに、ケリーは終始する。翳りのない「旨味」の薄いジャズ・ピアノとでも形容したら良いか。
 

Wynton-kellylast-trio-session

 
それでも、ケリーのピアノは、端正でハイテクニック、速いフレーズも破綻無く弾き進めている。それもそのはず、録音当時、ケリーは36歳。ジャズ・ピアニストとしては、若手の位置付けから、ベテランへと深化する入口に立った位の若さである。

その割には、ちょっと老成した様な、落ち着きとご機嫌さである。録音時は1968年。ジャズ人気が下降傾向が明らかになりつつある頃、一般万民向けのイージー・リスニング志向のトリオ演奏に迎合した結果だろうか。

ピアノ・トリオ演奏としては及第点レベル。とにかく、ハッピー・スインギーな演奏に終始していて、曲毎に陰影が不足している分、聴き進めるにつれ、ちょっと飽きてくる。イージー・リスニング志向を明快に打ち出しているのが、当時のヒット・ポップス曲のカヴァー。

ホセ・フェリシアーノの大ヒット作「Light My Fire」、そして、ビートルズの「Yesterday」。ケリーは端正な弾き回しで、イージーリスニング志向にピアノを弾き進める。

さて、これで、当ブログでの「ウィントン・ケリー」のリーダー作の紹介記事は打ち止めでございます。過去の記事は、ブログの右側列下「カテゴリー」(50音順)の「ウィントン・ケリー」をクリックしていただければ見ることができます。
 
 

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2026年1月 8日 (木曜日)

イージーリスニング志向のケリー

さすがに、大手のレコード会社、ヴァーヴからのリリースである。メインのジャズ・バンドは、ケリー=ポルチェン=コブという、元マイルス・バンドの「名うて」のリズム・セクションに、アーバン、ジャジー、漆黒なギタリスト、ケニー・バレルが入るカルテット編成。しかし、そのバックに、こってりとストリングスが入り、砂糖菓子の様に甘いブラス・セクションが入る。明らかに、ジャズ・ファンを通り越して、一般向けのイージーリスニング志向である。

Wynton Kelly『Comin' In the Back Door』(写真左)。1963年5月&11月の録音。ヴァーヴ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g :tracks 1, 3–6 & 8–11), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。このメイン・バンドのバックに、ブラス・セクションとストリングスが付く。ストリングスのアレンジは、クラウス・オガーマン。

ただ、こってりストリングスと甘いブラス・セクションに我慢しながら、メインのカルテットの演奏だけに集中して耳を傾けると、意外と素性の良い、ハードバップな演奏が繰り広げられているのが判る。主役のウィントン・ケリーのピアノが端正で安定の弾き回しを見せる。そして、彼のピアノの個性である「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」が、しっかりとメインにある。
 

Wynton-kellycomin-in-the-back-door

 
バレルのアーバン・ジャジーなギターも、ポルチェン=コブのリズム隊も、良い味出している。バレルのギターは、ハッピー・スイングするケリーのピアノに呼応するように、バレルのギターは何時になくスインギー。職人芸である。ポルチェンのベースはしっかり音の底をガッチリ確保し、コブはストリングスとブラスをものともせず、しっかりとジャジーなリズム&ビートを供給する。

確かに、ケリーのピアノは、イージーリスニング志向を意識して、甘めのフレーズ、判り易いシンプル過ぎる弾き回しになっているところはあるが、端正で安定の「そこはかとなく、マイナーな影を宿しつつ、表向きには、ご機嫌にハッピー・スウィングするピアノ」は健在。この破綻の無い、意外とジャジーな、メインのクインテットの演奏だけを取ってみれば、意外と良いハードバップな演奏になっている。

この盤、マルチ・トラックで保存されているのであれば、ストリングスとブラス・セクションの演奏を取り払って、カルテットだけの演奏だけで、リイシューして欲しいくらい。よって、この盤、ストリングスとブラス・セクションのお陰で、ながら聴きにはまずまずの内容の普通盤止まり。残念である。
 
 

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2026年1月 7日 (水曜日)

”My Funny Valentine” 再聴です

昨日、アコースティック・マイルスの最高峰『Four & More』をご紹介したが、もう一枚、『Four & More』と同じ、NYのフィルハーモニック・ホールでの同一日のライヴ音源がある。実は、『Four & More』と今回、ご紹介するライヴ盤の二枚を併せて、アコースティック・マイルスの最高峰としている。

Miles Davis『My Funny Valentine: Miles Davis in Concert』(写真左)。1964年2月12日のライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)。60年代伝説のクインテットの一歩手前。まだ、テナーがウェイン・ショーターでは無い。ここでのテナーは、ジョージ・コールマン。

『Four & More』が、モーダルなハードバップなマイルス【動】だとすれば、『My Funny Valentine』は、バラードやスローなブルース中心の、リリカル&耽美的なマイルス【静】。この2枚の同一日のライヴ音源は併せて聴いてこそ、アコースティック・マイルスにおける、マイルスのバップ・トランペットの最高のパフォーマンスを体験することが出来る。
 

My-funny-valentine-miles-davis-in-concer

 
クールでセンシティブで、限りなく自由度が高くモーダル、とにかく繊細で耽美的なマイルス・バンドのパフォーマンスである。特に、マイルスのトランペットの個性のひとつ、ミュート・トランペットで奏でるバラード・プレイは絶品。この静的な、リリカル&耽美的な表現こそが、他の一流トランペッターと一線を画する、マイルス・トランペットの面目躍如たるところ。

ハービー=ロン=トニーの60年代黄金のリズム・セクションも、マイルス・サウンドの意図を明確に理解していて、マイルスのトランペットを素晴らしいバッキングで盛り上げる。とりわけ、ハービーのモーダルなピアノが、このバラードやスローなブルース中心の演奏の中で映えに映える。ロン=トニーは、スローなリズム&ビートをイマージネーション豊かに供給する。

優しく緩やかなバラードやスローなブルース中心の収録曲の構成ではありながら、それでも、ちょっとハードボイルドでハードバップでモーダルな演奏は、アコースティック・マイルスの面目躍如。ここまで、クールでヒップなモーダルな演奏を成立されたら、もうアコースティックではやることがないのでは、とマイルスに感服してしまう。そんな素晴らしいライヴ盤である。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2026年1月 6日 (火曜日)

マイルスの ”Four & More” 再聴

このところ、マイルスについていろいろ考える機会があって、マイルスには、アコースティックの側面とエレクトリックの側面、と大きく分けて2つの側面があるが、アコースティック・マイルスの時代、アルバム・レベルでみて、ピークはどこだったんだろう、と、アコースティック・マイルスのアルバムを順に再聴をし始めた。

Miles Davis『Four & More』(写真左)。1964年2月12日のライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)。60年代伝説のクインテットの一歩手前。まだ、テナーがウェイン・ショーターでは無い。ここでのテナーは、ジョージ・コールマン。

僕はこのライヴ盤あたりが、アコースティック・マイルスのピークだったんじゃないかと睨んでいる。とにかく、マイルスのトランペットは「恰好良い」。テクニックも申し分無い、音の揺らぎや躊躇いは一切無い。エモーショナルでクールでヒップ。アドリブ・フレーズは、マイルスの個性全開、イマージネーション豊かで、ケレン味が無い。アコースティック時代のマイルスの吹奏として、最高レベルではないか、と感じている。
 

Fore_and_more_2

 
加えて、モード・ジャズに対する解釈が、明らかに「マイルス独自の、マイルス流のモード・ジャズ」が完成している。マイルス流のモード奏法が確立していて、自信に満ち満ちた、マイルス流のモーダルな展開が素晴らしい。ビ・バップ時代からアコースティック・ジャズを追求してきたマイルス。ハードバップからモードと奏法のトレンドが変遷する中で、先頭を切って走ってきたマイルス。この盤には、そんなマイルスのアコースティック・ジャズとしての最高到達点が記録されている。

マイルス・ジャズを完全理解していた、ハービー=ロン=トニーの60年代黄金のリズム・セクションに恵まれたことも大きい。このの60年代黄金のリズム・セクションは、マイルスを引きに引き立て、マイルスのトランペットを映えに映えさせる。マイルスにとって、最高のリズム・セクション。ちなみに、コールマンは、以前、マイルスの下にいたコルトレーンの代わり。それも、マイルス・ジャズを邪魔しないコルトレーン。

このマイルスが音楽監督も兼ねた、マイルス・バンドでのマイルスのパフォーマンスが、一番、マイルスらしくて恰好良いアコースティック・マイルスが記録されている様に思う。この後、マイルスは、音楽監督にウェイン・ショーターを迎え、マイルス流モードとはまた違った、ユニークなショーター流のモードに乗って、バップ・トランペットを楽しむことになる。マイルス流のモードに乗った、マイルスのバップ・トランペットは、この『Four & More』あたりが一番の聴きどころなんだと思う。
 
 

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2026年1月 5日 (月曜日)

”Jazz At Massey Hall”を再聴

初心者向けのジャズ盤紹介の中で、この盤がなぜ、初心者向けの、ジャズ入門者向けのアルバムとして紹介されているのか、理解に苦しむアルバムが何枚かある。どう考えたって、そのアルバムの演奏内容って、ジャズ者中級者レベルでも、ちょっと難しいものが、初心者向けのジャズ盤紹介に上がったりしている。その代表格がこの盤、かな。

『The Quintet: Jazz At Massey Hall』(写真左)。1953年5月15日、カナダ・トロントの「マッセイ・ホール」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp, vo), Charlie Parker (as), Bud Powell (p), Charles Mingus (b), Max Roach (ds)。 メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したクインテット編成。

このライヴ録音では、ハプニング続きで、資料を見る限り、通常であれば、ライヴ・パフォーマンスをするような状態ではなかった。そもそも、このライヴが行われた時間帯に、ロッキー・マルシアーノとジャージー・ジョー・ウォルコットのボクシングの試合が同時開催されていたのが元凶で、コンサートを見に来る観客が激減。演奏メンバーへのギャラがまともに払え無い状態。

加えて、パーカーは、質屋に入れてしまった自分の楽器の代わりに、借りてきた白いプラステック製のアルト・サックスで演奏、加えて、契約の関係で、アルバムには「チャーリー・チャン」の変名でクレジットされている。ガレスピーは、ボクシングの試合が気になって、自分のソロが終わると、楽屋に引っ込んでテレビを見ていた。真面目実直なミンガスは、そんなガレスピーに切れて食ってかかったとか。とまあ、まともな演奏ができる状態では無い(笑)。
 

The-quintet-jazz-at-massey-hall
 

しかし、このライヴ音源を聴けば、それぞれが水準以上の演奏をくり広げているのだから、ジャズというのは「良く判らない」(笑)。ボクシングが見たくて、気もそぞろだったガレスピーは溌剌とトランペット・ソロをくり広げ、パーカーは、プラスチック製のアルト・サックスとは思えない、エモーショナルなバップ・フレーズを吹き上げる。問題児2人のフロントは、意外とまずまずのパフォーマンスをくり広げている。が、ベストに近いとは思えないけど。

パウエルのピアノは、彼として水準レベルの演奏に留まる。体調が優れなかったのだろう。覇気が不足している様に感じる。ドラムのマックス・ローチが一番安定していて、ビ・バップ時代で活躍していたと同じレベルのドラミングを披露していて立派。一番、実直真面目だったミンガスのベースは、実際の録音では、録音レベルが低すぎたので、後日、オーヴァーダビングしている。なので、ミンガスのベースのパフォーマンスは割り引いて聴くしかない。

2002年にジャズファクトリーレーベルからリリースされた『 Complete Jazz at Massey Hall』(写真右)には、オーヴァーダビングなしのコンサート全曲が収録されている。これは「ジャズの歴史の記録」としては有用だが、ミンガスのベースが聴き取り難く、ライヴ音源としては、明らかにレベルは落ちる。

メンバーそれぞれが「ビ・バップ」の立役者、ビッグ・ネームばかり5人が集結したライヴ音源なので、ジャズ初心者の方々が「ビ・バップ」時代のビッグネームの演奏を、まとめて手軽に聴けるお徳用盤、という評価もあるが、それは逆だろう。ビッグネームそれぞれのベスト・パフォーマンスを体験・理解してから、このユニークなライヴ盤を聴くべきで、ビ・バップを理解しているからこそ、エピソードも含めて楽しめる、ユニークなライヴ盤である、と僕は解釈している。
 
 

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2026年1月 4日 (日曜日)

デューク・エリントンの極東組曲

新年明けましておめでとうございます。さて、今年最初のジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの記事は「デューク・エリントン」。エリントンは生涯を通じて「組曲」という形式で多くの傑作を世に送り出している。代表的な作品だけで20作以上の組曲があり、どれもが傑作である。ということで、そろそろ、このエリントンの「組曲」をおさらいする時期にきたかな、ということで、まずはこの一枚である。

Duke Ellington『Far East Suite』(写真左)。邦題は「極東組曲」。1966年12月19–21日の録音。ちなみにパーソネルは、以下の通り。いわゆる「デューク・エリントン楽団」である。

Duke Ellington (p), Mercer Ellington, Herbie Jones (tp, flh), William "Cat" Anderson, Cootie Williams (tp), Lawrence Brown, Buster Cooper (tb), Chuck Connors (b-tb), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Jimmy Hamilton (ts, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), John Lamb (b), Rufus Jones (ds)。

この「極東組曲」というタイトルと、収録曲「Ad Lib on Nippon」に惹かれて、まだジャズ者初心者3年生くらいの頃に、この盤を聴いている。商魂丸出しのオリエンタル・ムードは皆無、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していないので、まず、どこが「極東組曲」なのか、と訳が判らなくなったのを覚えている。

そもそも「Far East Suite(極東組曲)」というタイトルがおかしくて、極東の国を対象とした曲は、我が国が対象の「Ad Lib on Nippon」だけ。収録曲の対象国を見ていくと、タイトルは「近東組曲」とした方が座りが良い。そもそもこの組曲、1963年に行った世界ツアーに触発されたもので、ダマスカス、アンマン、ラマラ、カブールなどを訪問し、その国々の印象を曲のイメージに落とし込んだもの。だから、曲の対象にした国独特の音階やその国固有の楽器の音色を借りたりは一切していない。
 

Duke-ellingtonfar-east-suite

 
どの曲も、エリントン・ミュージックの粋を集めた、素晴らしい演奏ばかり。彼が「楽器」と考えている彼のオーケストうの能力や個性、ソロイストたちのもつ力量を最大限に活かし、エリントン・カラー、エリントン・サウンズで染め上げている。エリントンの組曲の中でも、トップクラスの内容を誇る。そして、この組曲の特徴は、それぞれの曲に、ソリスト、オーケストラの特定のメンバーのパフォーマンスがフィーチャーされている。

「Tourist Point of View」は、ゴンサルヴェスのテナー、
「Bluebird of Delhi (Mynah)」は、ハミルトンのクラリネット、
「Isfahan」は、ホッジスのアルト、
「Mount Harissa」は、ゴンサルヴェスのテナーとエリントンのピアノ、
「Blue Pepper」 は、 ホッジスのアルトとアンダーソンのトランペット、
「Agra」は、カーニーのバリサク、
「Amad」は、ブラウンのトロンボーン
「Ad Lib on Nippon」は、エリントンのピアノとハミルトンのクラリネット

日本を訪れた印象をまとめた曲「Ad Lib on Nippon」は、1964年来日時の日本の印象をエリントン・ミュージックに落とし込んだ名曲。4つのパートからなっており、11分を超える1つの組曲のような構成となっている。じっくり聴いていると、どうも、古き日本と現代の日本との交錯をエリントン・ミュージックで表現しているのかな、と解釈している。

ともあれ、僕はこの『Far East Suite(極東組曲)』で、エリントン・ミュージックの凄さを初めて理解した。今でも、エリントン・ミュージックの印象をリセットしたい時は、このアルバムを聴く。聴く度に、新しい発見があり、新しい驚きがある、僕にとって「化け物」みたいなアルバムである。
 
 

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