« ウェブスター・ミーツ・西海岸 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 118 »

2025年12月 7日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 117

ジョアン・ブラッキーン(Joanne Brackeen)。米国出身。「ジャズ・ピアノのピカソ」と呼ばれ、ビー・バップからラテン、アバンギャルドなど、あらゆるジャンルに適応した、バリエーション豊かなピアノが個性。一風、チック・コリアの通じるところがあると僕は睨んでいる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「唯一の女性メンバー」としても有名。

Joanne Brackeen『Snooze』(写真左)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Joanne Brackeen (p), Cecil McBee (b), Billy Hart (ds)。米国の女性ジャズ・ピアニスト、ジョアン・ブラッキーンの初リーダー作。セシル・マクビーノベース、ビリー・ハートのドラムと組んだ、ピアノ・トリオでのパフォーマンス。

冒頭のマイルス=ショーターの大名曲「Nefertiti」から度肝を抜かれる。もともと、この「Nefertiti」は、アドリブ部の無い、テーマのみを様々なニュアンスを演奏仕分けていく、違った意味での「フリー」な演奏なんだが、その大問題作に、アドリブ部を大胆につけ、モーダルで自由度の高い、自由自在、硬軟自在、変幻自在なトリオ・インタープレイを繰り広げる。この1曲のパフォーマンスだけでもこのアルバムは「買い」だ。
 

Joanne-brackeensnooze

 
続く、これまたマイルスの「Circles」では、今度は耽美的にリリカルに、ジョアン独特のモード奏法で弾き上げていく。タッチは明確、左手の低音は心地良く腹の底に響き、右手の速いフレーズは正確。その弾きっぷりはまるでピアノで唄うが如く、である。そこに、マクビーのベースが柔軟にしなやかに絡み、ハードのドラムが、トリオ演奏の要所要所でリズム&ビートをしっかりと引き締め、ジョアンとマクビーの自由度溢れるアドリブ・パフォーマンスをガッチリ支える。

3曲目のジョアンの自作曲「C-Sri」は、一転、高速モードな、疾走感溢れる演奏。ジョアンの右手は正確無比にアドリブ・フレーズを叩き出し、マクビーは高速ウォーキング・ベースで、ジョアンの疾走に追従する。そして、ハードの変幻自在でポリリズミックなドラミングが、ジョアンとマクビーのパフォーマンスを煽りに煽る。そして、ここでのマクビーとハートのアドリブ・ソロは絶品。当然、ジョアンのピアノのアドリブは「翔ぶ」が如くである。

冒頭の3曲だけでも、このジョアンの初リーダー作でのトリオ演奏は秀逸であることが判る。このトリオ・パフォーマンス、2025年の現代でも、なかなか聴くことの出来ないレベルの高いもの。メインストリーム系の純ジャズ・トリオのパフォーマンスとして、この盤は名盤の類だろう。知名度は低いが、この盤はピアノ・トリオ者には必須アイテム。謹んで、「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« ウェブスター・ミーツ・西海岸 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 118 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ウェブスター・ミーツ・西海岸 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 118 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー