ピアノ・トリオの代表的名盤 119
ふと、ジョージ・ケイブルスが聴きたくなった。ジョージ・ケイブルス(George Cables)。1944年11月生まれ。今年で81歳になるベテラン・ピアニスト。ブレイキーやロリンズ、デックスなどのサイドメンを務める。僕は、復帰後のアート・ペッパーとの共演で、彼の名とプレイを知った。
George Cables『Icons & Influences』(写真左)。2013年9月16日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Dezron Douglas (b), Victor Lewis (ds)。深化する醸熟ブルージーなピアニスト、ジョージ・ケイブルス、79歳でのパフォーマンス。デズロン・ダグラスのベース、ビクター・ルイスのドラムをバックのリズム隊に擁した、ピアノ・トリオ編成。
彼のピアノは、しなやかな硬質さを持ったタッチ、適度に多弁なインプロビゼーション。聴いていて、実に端正であり、実に「雅」であり「粋」である。とにかく、聴いていて楽しい、「メインストリーム・ジャズ」をバッチリ感じさせてくれるピアノである。この盤でも、そんなケイブルスの個性的なピアノがてんこ盛り。
良く唄うピアノである。スタンダード曲はもとより、ミュージシャンズ・チューン、そして自作曲と、テーマの旋律が流麗な曲を選んでいるのか、ケイブルスの良く唄うピアノが、更に映えに映える。
しなやかな硬質さを持ったタッチが軽快に、爽快感を撒き散らしながら、シーツ・オブ・サウンド風の速くてモーダルなアドリブを展開する。ほんの少しだけ、指がもつれるところはあるが、全く気にならない。
ブルージーな展開がとりわけ絶品。適度に多弁だが、端正で典雅で粋な弾きっぷりで、決して俗っぽくならず、上質の「聴かせる」ブルース志向のピアノ・インプロビゼーションに仕立て上げられていて見事。ケイブルス流のモーダルな展開が、これまた唄うが如くの雅さで、とてもお洒落でクール。当時、79歳とは思えない溌剌さと明快さ。
そして、ケイブルスの「ケイブルス流」のモーダルな展開は「古くない」。過去の”どこかで聴いた様な」モーダルなフレーズはどこにも聴かれない。ケイブルスの79歳になっても、さらに深化する、ケイブルスのモード解釈が実に頼もしく響く。この盤は、ハードバップの焼き直しでもなければ、20世紀のモード奏法へのオマージュでも無い。
この盤のトリオ演奏は、現代の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」。現代の若手中堅の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」なイマージネーションに比肩する、ケイブルス流のモード・パフォーマンス。そして、ブルージーで適度に多弁なところが、ケイブルス独特の響きを醸し出して、現代のジャズ・シーンにおいても、唯一無二の個性を保持していて立派。この盤も謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
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