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2025年12月10日 (水曜日)

”Seven Steps to Heaven” 再聴

もうかれこれ半年くらい前のことになるが、ジャズ盤のサブスク・サイトを徘徊していて、をMiles Davis『Seven Steps to Heaven』の2023年リマスター盤が出ているのに気が付いた。そう言えば、このマイルス盤、しばらく聴いてないぞ、ということで、良い機会なので、さっそく拝聴する。

Miles Davis『Seven Steps to Heaven』(写真左)。1963年4月19日と1963年5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、1963年4月19日の録音が、Miles Davis (tp), Victor Feldman (p), Ron Carter (b), Frank Butler (ds) のワンホーン・カルテット。1963年5月14日の録音が、Miles Davis (tp), George Coleman (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。マイルス=コールマンの2管フロントのクインテット編成。

この盤は、マイルス当人と、ピアノのハンコックとベースのロン、ドラムのトニーが初めて揃って録音した音源を収録している、ということで、1963年5月14日の録音ばかりが「もてはやされて」はいる。が、それはパーソネル上のことであって、演奏内容が、その後の「1960年代マイルスの黄金のクインテット」の演奏に比肩するレベルの演奏が既にここで行われている訳では無い。これは、はっきりしておきたい。

演奏全体のトーンは、初期の穏やかなモード・ジャズ。マイルスをはじめ、ピアノのフェルドマンとハンコックもモード・ジャズに馴染んでいる。コールマンは、コルトレーンの忠実なフォロワーという感じで、ちょっと「浮いている」。ロンについては、この2つのセッションで、フロントがモードの時のベース・ラインの付け方を会得したのはないだろうか。

フェルドマンもハンコックもモードへの対応については甲乙付けがたい。年季が入っていて、堂々と弾き進めているフェルドマンの方が、ハンコックを一歩リードというところだろうか。ドラムについても、西海岸のバスターと若干17歳5ヶ月のトニー、どちらもマイルス・ジャズに対する適応は甲乙付けがたい。年季が入っていて、堂々と叩きまくるバスターの方が、トニーを一歩リードというところか。
 

Seven_steps_to_heaven_2

 
1963年4月19日と1963年5月14日、どちらのセッションも甲乙付けがたい。まず、どちらのセッションでも、マイルスのトランペットは「素晴らしい」の一言。テクニック、個性、どこから聴いても「マイルス」。

話題になるリズム・セクションは、1963年4月19日の「ウエストコースト」隊の方が年季が入っている分、一日の長がある。ハービー=ロン=トニーの、後の「黄金のリズム・セクション」については、初顔合わせ、初セッションということでちょっと固い。とはいえ、アルバム全演奏を通じて、とても内容の良いマイルス盤。その演奏内容のレベルは相当に高い。

マイルスはフェルドマンを自身のバンドに勧誘している。それだけ、マイルスが、フェルドマンのピアノを買っていたことが判る。が、フェルドマンは米国西海岸に留まることを選択する。しかしながら、マイルスは、一期一会とばかりに、フェルドマンとの録音を残す。それが、この盤の1963年4月19日の録音。

旧来のジャズ本、マイルス本では、必ず評価の低い1963年4月19日のセッションではあるが、僕はそんなにレベルの低い演奏とは思わない。米国西海岸ジャズ独特の爽やかさという点で、そして、マイルスのトランペットのワンホーンのカルテットで、マイルスのトランペットをとことん愛でることが出来る、という点では、1963年4月19日のセッションの方が、僕には好みだ。

ちなみに、タイトル曲の「Seven Steps To Heaven」はフェルドマンの作曲。テーマ部の「たった、たった、たーたーたっ」。確かに「7音」=「Seven Steps」、これ秀曲、名曲です。僕は大好き。やはり、この盤、マイルス盤として優秀盤の一枚でしょう。
 
 

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