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2025年12月の記事

2025年12月31日 (水曜日)

今年もありがとうございました。

いよいよ今年も今日で終わり。コロナ禍も過去のものになり、まだコロナの感染は続いているが、大きな社会問題になるレベルでは無くなった。それより、インフルエンザなどの流行があったりで、何とか、コロナ禍以前に、環境は戻りつつあるのかな、というのが最近の実感。

ジャズ界では逝去するミュージシャンが続々出て、主だっただけでも以下の通り。ジャズを聴き始めて、馴染みのあるジャズマンが鬼籍に入るのは、見ていて辛いですね。特に、今年は馴染みの、リアルタイムで楽しませて貰ったジャズマンが、どんどん鬼籍に入るので、辛くて仕方なかったです。でも、これも運命ですからね。ご冥福を祈りたいと思います。

2月24日:ロバータ・フラック(ソウル・シンガー)享年88
3月 4日:ロイ・エアーズ(R&B/ジャズ・ミュージシャン)享年84
5月28日:アル・フォスター(米ジャズ・ドラマー)享年82
6月26日:ラロ・シフリン(作曲家/編曲家)享年93
7月22日:チャック・マンジョーネ(ジャズ・トランペッター)享年84
8月11日:シーラ・ジョーダン(ジャズ・ヴォーカリスト)享年96
10月19日:アンソニー・ジャクソン(ジャズ・ベーシスト)享年73
10月26日:ジャック・ディジョネット(ジャズ・ドラマー)享年83
11月23日:フィル・アップチャーチ(R&B/ジャズ・ギタリスト)享年84

個人的には、アル・フォスター、チャック・マンジョーネ、アンソニー・ジャクソン、フィル・アップチャーチの逝去がショックで、そして、最大のショックが、ジャック・デジョネット。これらのジャズマンは、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、リアルタイムで活躍していたジャズマンばかりで、さすがに疲れました。

2025年のジャズについては、中堅〜ベテランのジャズマンの好盤が次々とリリースされ、充実した一年ではなかったかと思います。しかし、相変わらず、招待有望な新人がなかなか出てこない。このままだと、ジャズ自体がどんどん先細っていく様な、そんな危機感をちょっぴり感じたりしています。

さて、この「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」については、明日1月1日〜1月3日までお休みします。記事のアップの再開は1月4日を予定しています。よろしくお願いします。

それでは皆さん、よいお年をお迎えください。
 
Oomisoka1_2024_20251231225701
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
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2025年12月30日 (火曜日)

インド音楽+ジャズロックの融合

シャクティ(Shakti)は1970年代後半に活動した伝説のバンド。ジャズ・ロックとインドの伝統音楽を融合しているとてもユニークなバンドで、クロスオーバー・ギターの第一人者、ジョン・マクラフリンとインドのヴァイオリニスト、L. シャンカールが結成したバンド。

Shakti『Shakti with John McLaughlin』(写真左)。1975年7月5日、ロングアイランドの「Southampton College」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), L. Shankar (vln), Ramnad Raghavan (mridangam), T. H. Vinayakram (ghatam, mridangam), Zakir Hussain (tabla)。

ジョン・マクラフリン率いるユニット「シャクティ(Shakti)」名義の1975年7月の、サウス・ハンプトン大学でのライヴ録音作品。インド音楽のリズム&ビートに乗せて演奏する、その独特の個性溢れるクロスオーバー・ジャズは、唯一無二である。これぞ「クロスオーバー」であり、インド音楽とエレ・ジャズ、ジャズ・ロックとの融合が怪しくも美しい。

ムリダンガム(Mridangam)は、南インドの古典音楽(カルナータカ音楽)で使われる、両面を叩く木製の太鼓。ガタム(Ghatam)は、主にインド南部のカルナータカ音楽で使われる打楽器。鉄分を含む赤土で作られた素焼きの壺を、素手で叩くことによって音を出す。タブラ(Tabla)は、インド亜大陸発祥の二つ一組で演奏される伝統的な打楽器。
 
Shaktishakti-with-john-mclaughlin  
 
このムリダンガム、ガタム、タブラのインドの伝統的な打楽器群で、インド音楽の独特のリズム&ビートを叩きだしている。まず、これが癖になる。妖艶でかつアジアンな雰囲気が色濃いグルーヴが醸し出される。そのインド音楽独特のグルーヴの上を、マクラフリンのエレギと、L. シャンカールのヴァイオリンが、インド音楽独特の旋律をベースにインタープレイが繰り広げる。

このシャクティは、マハヴィシュヌ・オーケストラの初代解散後に結成され、1975年から1977年にかけて広範囲にツアーを行っている。僕はこのライブ盤を、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせてもらった。

初めて聴いた時は衝撃だった。インド音楽がジャズ・ロックとが融合している。ジャズの懐ろの深さと広さを思い知った、最初の体験であった。この、インド=ジャズ・フュージョンのリズム&ビートは癖になる。そして、その上を飛翔するマクラフリンのギターと、L. シャンカールのヴァイオリン。今の耳で聴いても「衝撃」。そして、これも「ジャズ」である。

そして、マクラフリンのギター・テクニックの凄さに「驚愕」。インド音楽のリズム&ビートに乗って、唄うが如く、話が如く、流麗にエレギを弾きまくる。そのテクニックたるや、凄まじい限り。クラシックとの融合、ロックとの融合、そしてインド音楽との融合など、挑戦的ギタリストの最右翼、マクラフリンの面目躍如。ジャズの「融合の成果」の一つとして傾聴に値する好盤である。
 
 

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2025年12月29日 (月曜日)

ナット極上ファンキー・ジャズ

兄キャノンボール・アダレイのバンドにトランペット担当として所属していた、弟ナット・アダレイ。兄の影に隠れた様なイメージで、彼のトランペットはなかなか正当に評価されていない。しかし、である。ナットは、ソウル・ジャズの立役者の1人。ファンキー・ジャズについても、兄のキャノンボールと共に、ファンキー・ジャズの普及に貢献している。

Nat Adderley『Naturally!』(写真左)。1961年6月20日、7月19日の録音。ちなみにパーソネルは、1961年6月20日の録音が、Nat Adderley (cor), Joe Zawinul (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。1961年7月19日の録音が、Nat Adderley (cor), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。

ナット・アダレイがリーダーの素敵なファンキー・ジャズ盤である。2つのセッションに分かれて、パーソネルも異なるのだが、不思議なことに、違和感は無く、統一感がある。東海岸のメンバーで固められてはいるが、まるで、ウエストコースト・ジャズの様な、聴かせるアレンジで、流麗で聴き応え十分、味のあるファンキー・ジャズが展開されている。

まず、ナットのコルネットが良い。コルネットの音のエッジがラウンドした、ちょっとくすんだ様な音が、そこはかとなくファンキー&ブルージーな雰囲気を漂わせ、全体的にゆったり大らかな吹奏が、洒落たファンキー・ジャズ志向のサウンドの中で映えに映える。ワンホーン・カルテットなので、そんなナットのコルネットのサウンドが良く判る。
 
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2つのセッションはどちらも良い演奏。6月20日のセッションの方が、ナットの馴染みのメンバーでの演奏でオリジナル志向。カルテット全体が伸び伸びとポジティヴに演奏を重ねている雰囲気。やや荒削りの様に感じるが、それは勢いという言葉に代えて、バンド独特のファンキーなグルーヴを醸し出している。

7月19日の録音は、マイルス・バンドにも所属したハードバッパーの一流どころがリズム・セクションを務めている分、予定調和なファンキー・ジャズが展開されていて、流麗で洒落た演奏で安心感はあるが、スタンダード志向の演奏ということもあって、ちょっと手練感漂う演奏。良く出来た演奏ではあり、聴き心地は抜群。

ただ、ナットのコルネットが、2つのセッションを束ね、統一感を醸し出していて、2つのセッションのカップリングだからという違和感は無い。流麗で聴き応え十分、味のあるファンキー・ジャズがアルバム全体に展開されている。

この盤、聴けば聴くほど、極上のファンキー・ジャズ、ファンキー・ジャズの完成形のひとつと言っても良い位の内容だと僕は思うんだが、この盤は今まで地味な位置に甘んじている。

恐らく、兄キャノンボールの影に隠れた存在という印象と、ジャズ盤紹介本にあがらない、そして、なかなか、CDリイシューがされなかった、という負の要素が重なったのが原因なんだろう。しかし、聴けば聴くほど思う。この盤、ファンキー・ジャズの秀作として良いのではないか、と。
 
 

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2025年12月28日 (日曜日)

ナットの極上のソウル・ジャズ

ナット・アダレイはトランペッター。コルネットも得意とする。アルト・サックスの雄、キャノンボール・アダレイの実弟。その音楽性は、兄のキャノンボールとのバンドの音楽性を踏襲、ファンキー・ジャズ〜ソウル・ジャズを得意とする。その中で、ソウル・ジャズに手を染めることから、コルネット使用の度合いが増え、コルネットが、ジャズに適応することを証明した、ジャズ・コルネットの第一人者でもある。

Nat Adderley『Sayin' Somethin'』(写真左)。1966年2月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Nat Adderley (cor), Joe Henderson (ts), Ernie Royal (tp), Artie Kaplan, Seldon Powell (sax), J.J. Johnson (tb), Al Gorgoni, Billy Suyker (g), Herbie Hancock, John Asbury, Paul Griffin (p), Bob Cranshaw, George Duvivier (b), Herb Lovelle, Roy McCurdy (ds), George Devens (perc)。

ナット・アダレイのコルネットに、テナー、トランペット、サックス、トロンボーン、の5管のフロントに、ギター入りのピアノ・トリオのリズム隊の4人が加わった、最大ノネット編成の、バリバリの「ソウル・ジャズ」。リズム&ビート、そして、フレーズの展開が、モータウンを始めとしたR&Bを志向していて、演奏全体の雰囲気は、完璧な「ソウル・ジャズ」。
 

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ナット・アダレイは、1960年代のソウル・ジャズの発展と確立に大きく貢献したジャズマンのひとり。その成果の一つがこの『Sayin' Somethin'』。この盤では、コルネットが、豊かで土臭い音色を奏でることができ、それが彼の特徴的な音色の個性となっているが、その一端をこの盤で明確に確認することが出来る。

バックの演奏も、完璧にソウル・ジャズしている。その中で、モーダルなうねうねテナーのジョーヘンが、モーダルうねうねなソウル・ジャズなフレーズを吹いていてるのが実にユニーク。逆に、ハンコックのピアノは、完璧にナットのファンキー〜ソウル・ジャズを理解して、彼のソウル・ジャズがさらに映えるピアノを展開している。バックの楽器のユニゾン&ハーモニーもしっかりソウル・ジャズしている。アレンジが優れているのだろう。

ソウル・ジャズの発展と確立に大きく貢献したナット・アダレイが、当時、ブルーノートから、若手売出し中の、ジョー・ヘン、 ハンコックを含むスペシャルなパーソネルで録音した、ソウル・ジャズの秀作。聴いていて、知らず知らずのうちに、足踏みでリズムを取り、ソウルフル濃厚な演奏では、思わず腰が動く。お手本の様なソウル・ジャズが展開されるナットの好盤。ポジティヴに明るくジャズを聴くに適したアルバムです。
 
 

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2025年12月27日 (土曜日)

モンク・グループのラウズの実力

1964年1月29日〜3月9日の録音の『It's Monk's Time』の次のリーダー作である。この『It's Monk's Time』は、グループ・サウンドとしてのモンク・ミュージックと、モンクの特異であまりに個性的なパフォーマンスとが楽しめる、モンクのピアノを愛でる為の好盤だった。コロンビア時代のモンクは「グループ・サウンズのモンク」として、この『It's Monk's Time』では、自らのピアノを最大限に映えさせた好盤だった。

Thelonious Monk『Monk.』(写真左)。1964年3月9日、10月6–8日の録音。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), Larry Gales (b), Ben Riley (ds)。コロンビア・レコード時代のモンクのリーダー作の4枚目。プロデューサーはテオ・マセロ。

で、今回の『Monk.』である。この盤も、紛れも無い、コロンビア時代の「グループ・サウンズのモンク」の一枚である。グループ・サウンドとしてのモンク・ミュージックと、モンクの特異であまりに個性的なパフォーマンスとが楽しめるのだが、それにも増して、この盤では、チャーリー・ラウズのテナー・サックスがフューチャーされている様に感じる。
 

Thelonious-monkmonk

 
普段のラウズのテナー・サックスは、モンクのピアノの引き立て役に徹している。モンクのピアノの個性と確信に満ちた弾きっぷりを引き立てる様に、強調する様に、モンクのピアノのフレーズに絡んで、モンクのピアノを引き立てる。あの特異であまりに個性的なモンクのピアノに、効果的に絡んで、モンクのピアノを引き立てる。これは、誰にでも出来ることではない。モダン・ジャズの大物ジャズマン達はそれが出来ない。しかし、ラウズは出来る。

そんなラウズのテナー・サックスが、この盤では全面に押し出ている。モンクのピアノのフレーズに絡むラウズのテナー・サックスをそのままに、あの特異であまりに個性的なモンクのピアノが、逆にラウズのテナー・サックスに効果的に絡み返して、ラウズのテナー・サックスを引き立てる。そんな展開の、そんなアレンジの演奏がこの盤にズラリと詰まっている。

この盤では、ラウズのテナー・サックスの実力、力量がとても良く判る。モンク・グループのラウズは地味でイマイチなんて評価もあったが、とんでもない。モンクのピアノの引き立て役に徹している時は、もともとモンクが目立って「地味」。モンクのピアノの個性と確信に満ちた弾きっぷりを引き立てる様に、強調する様に、モンクのピアノのフレーズに絡んで、モンクのピアノを引き立てることが出来るテナーはラウズだけだと、この盤を聴いて確信する。
 
 

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2025年12月26日 (金曜日)

モンクの ”It’s Monk’s Time”再聴

久々にセロニアス・モンクである。バップの開拓者の一人、そして、バップを超えて、唯一無二のオリジナリティを確立した「孤高のジャズ・ピアニスト」。出てくるハーモニー、タッチのタイミング、間の取り方、どれをとっても、それまでの西洋音楽の「音」では全く無い。究極の「即興演奏」を旨としたピアノ。ジャズの中で「一番ジャズらしい」ピアノとも言える。

そんなモンクのリーダー作。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、勉強の為に読み込んだジャズ盤紹介本には、モンクのリーダー作はリヴァーサイド・レーベルの諸作にとどめを刺す。活動後期のコロンビア・レコードの諸作は、モンクの個性は、聴き心地を重視し俗に落ち、モンクの特異な個性は柔和になり、聴く価値はほとんどない。なんて評論を読んだものだから、長きの間、モンクのコロンビア時代のリーダー作はしっかり敬遠してきた。

Thelonious Monk『It's Monk's Time』(写真左)。1964年1月29日〜3月9日の録音。コロンビア・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), Butch Warren (b), Ben Riley (ds)。チャーリー・ラウズのテナー・サックスがフロント一管のカルテット編成。ラウズは長年のフロント・パートナー。呼吸の合ったインタープレイが素晴らしい。
 

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まず、モンクのピアノが流麗で美しい。モンクの特異なピアノの個性は全く薄れていない。得意な個性を、確信を持って淀みなく弾き進めている。フレーズのアクセントは確実に「バップ・ピアノ」であり、モンクの個性も薄れていない。確信を持って淀み無く弾き進めている分、モンクのフレーズに迷いやふらつきがない。だからこそ、モンクの本来の個性がしっかりと前面に押し出されている。

この盤では、そんなモンクのピアノが映えに映える様なアレンジと展開を採用している。そんなモンクのピアノの個性と確信に満ちた弾きっぷりを引き立てる様に、強調する様に、モンクのピアノのフレーズに絡んでいる。そう、ここでのラウズのテナーは、いつにも増して、モンクのピアノの引き立て役に徹している。そして、それが効果的に作用している。

リヴァーサイド時代の様に、モダン・ジャズの大物が入った、熱気溢れるインタープレイが展開される訳では無い、グループ・サウンドとしてのモンク・ミュージックと、モンクの特異であまりに個性的なパフォーマンスとが楽しめる、モンクのピアノを愛でる為の好盤だと僕は解釈している。コロンビア時代のモンクは「グループ・サウンズのモンク」として十分に楽しめる。
 
 

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2025年12月25日 (木曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・7

クリスマスである。今年もあと一週間。甘々なラウンジ・ジャズ志向のクリスマス・ソング集は「ノー・サンキュー」なのだが、しっかり探せばあるもので、今回、過去に聴いてはいるが、当ブログに記事として上がっていない、フュージョン・ジャズ系のクリスマス・ソング集も、なかなかの内容のものが出てきたのだから、楽しいことこの上ない。

Grover Washington Jr.『Breath Of Heaven - A Holiday Collection』(写真左)。1997年の作品。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (sax), Hiram Bullock (g), Billy Childs (p, key), Joe Locke (key, chimes, vib, marimba), Donald Robinson (p, key,), Adam Holzman (syn), Will Lee, Gerald Veasley (b), Steven Wolf,Victor Lewis (ds), Pablo Batista, Bashiri Johnson (perc), Dawn Andrews (cello, vo), Lisa Fischer (vo)。

グローヴァー・ワシントンJr.の逝去する2年前のクリスマス・ソング集。ジャケットの印象通り、端正で誠実なキッチリとまとまったクリスマス・ソング盤の好盤の一枚。パーソネルを見渡せば、フュージョン・ジャズ畑で活躍する名うてのミュージシャンばかりで、出てくる音は、明快に極上のクロスオーバー&フュージョンの音世界。浮ついたところの無い、誠実で真摯で温かい、極上のクリスマス・ソング集に仕上がっている。
 

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もともと、フュージョン・ジャズにおけるサックスの第一人者、グローヴァー・ワシントンJr.のクリスマス・ソング集である。フュージョン界の「ミスター・ソフト&メロウ」と僕は呼んでいる、フュージョンなサックスを吹かせたら屈指のグローヴァー・ワシントンJr.が奏でるクリスマス・ソングの数々。悪かろうはずが無い。ソフト&メロウ、そしてジェントリーで力強いサックスは聴き応え十分。数々の有名なクリスマス・ソングの美しい旋律が映えに映える。

適度にファンキーで適度にソウルフル。角にならないソウルな雰囲気が実に上品。アレンジが優れていて、グローヴァー・ワシントンJr.のサックスが映えに映え、クリスマス・ソングの旋律の美しさが映えに映える。アルバム全体の熱気は「クール」。このしっかり抑制された中で、ミュージシャンそれぞれ、モテるテクニックの粋を尽くして、有名クリスマス・ソングに相対している。決して退屈しない。派手さは無いが、じっくり聴き込むに値する、クリスマス・ソング集の中でも優秀な部類の秀作アルバム。

派手さがないので、地味&退屈とする向きもあるが、とんでもない。派手さはないが、クリスマスもの特有の敬虔な雰囲気と静謐な落ち着いた雰囲気がこの盤の個性。賑やかでリズミカルで派手な内容のクリスマス・ソング集は他に沢山ある。それより、こういう落ち着いた雰囲気の、ゆったりとリラックスして聴き込めるフュージョン志向のクリスマス・ソング集はそうそうあるものではない。一聴に値するクリスマス・ソング集の秀作である。
 
 

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2025年12月24日 (水曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・6

クリスマス・イヴである。今年は珍しく雨のイヴである。もともと12月24日は「晴れの特異日」の一つで、確かに、クリスマス・イヴに雨が降った記憶が無い。なので、南関東地方では、滅多に「雨は夜更け過ぎに、雪に変わるだろう」とはいかない日なのだが(笑)。今年は雨、しかも、雨は明日の朝には霧の朝になるらしい。

Larry Carlton『Christmas at My House』(写真左)。1989年の作品。ハリウッドの「Room 335」スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。クロスオーバー&フュージョン・ジャズ畑の名うてのミュージシャンが大集合である。

Larry Carlton (g, b tracks: 6), Clare Fischer (key, tracks: 1 to 4, 9), Robbie Buchanan (key, tracks: 6), Terry Trotter (key, tracks: 1 to 5, 7, 8, 10, 11), Abraham Laboriel (el-b, tracks: 1 to 4, 7, 9 to 11), Jeff Porcaro (ds, tracks: 3, 10, 11), John Ferraro (ds, tracks: 1, 2, 4, 7, 8), Michael Fisher (perc, tracks: 2 to 4, 11)。

ゲストに、Backing Vocals – Christopher Cross (tracks: 6), David Pack (tracks: 6), Karen Blake (tracks: 6), Michele Pillar (tracks: 6), Lead Vocals – Michele Pillar (tracks: 3, 6, 11), Saxophone – Kirk Whalum (tracks: 11)。

カールトンのフュージョン・ギターの最高峰パフォーマンスで奏でられるクリスマス・ソング集。クリスマス・ソング集なので、楽しく聴ければよい、という様な、安易な内容では無い。
 

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カールトンのフュージョン・ギターのテクニックの粋を集めた、高度なテクニックと唄うが如くの歌心を最大限に駆使して、フュージョン・ジャズとして、硬派で上質なパフォーマンスで、定番クリスマス・ソングをカヴァーしていく。

とにかく、カールトンのギターが素晴らしい。これぞ、アーバン&メロウな、フュージョン・ジャズを代表するギター表現の最高峰のパフォーマンス。美しく力強く流れるが如くリリカル。カールトンのギターの良さの全てが、このクリスマス・ソング盤に結集している。聴き応え抜群。ながら聴きには惜しい、じっくり腰を据えて聴き込みたいレベルのカールトンのギターである。

アルバム『On Solid Ground』制作中の1988年4月、ラリーは自宅兼スタジオで、面識のない10代の少年に至近距離から銃撃された。明確な動機はなく、無差別な凶行だった。

弾丸は彼の喉を貫通、左腕の神経も損傷して麻痺が残った。ギタリストしての再起が危ぶまれた。しかし、懸命のリハビリの結果、復活を遂げ、1989年『On Solid Ground』をリリース。同年、この『Christmas at My House』をリリースしている。

そんな背景もあってか、このカールトンのクリスマス・ソング集は、どこか敬虔な雰囲気が漂う。厳かで神に感謝を捧げるが如くの敬虔な雰囲気。カールトンの「祈り」がこの盤に宿っている気がしてならない。クリスマス・ソング集の名盤の一枚。
 
 

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2025年12月23日 (火曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・5

明日はクリスマス・イヴ。関東地方は明日、明後日と天気は良く無いみたいで、久し振りに雨のクリスマス・イヴになりそう。天気予報では、昼間の雨はそのまま。夜更け過ぎに雪には変わらないらしい。残念である(笑)。

純ジャズの世界では、今まで、オールド・スタイルのボーカル中心に、クリスマス・ソング盤が多く出ている。特に米国では、クリスマス・ソング盤をリリースすることは、そのリーダーのジャズマンが、一人前の仲間入りを果たした、というステータスになるみたいで、現代のネオ・ハードバップの世界でも、クリスマス・ソング盤は適度にリリースされている。

Fourplay『Snowbound』。1999年の作品。ちなみにパーソネルは、Fourplay = Bob James (key), Lee Ritenour (g), Nathan East (b), Harvey Mason (ds)。大人で小粋な「フュージョン職人のおじさまバンド」フォープレイの完璧フュージョン・ジャズ志向のクリスマス・ソング盤。

フュージョン・ジャズの世界には、優れたクリスマス特集のアルバムは意外と少ない。ただ、その気になって探してみればあるもので、このフォープレイのものから、有名どころは、ラリー・カールトンが2作、グローヴァー・ワシントンJr.が1作、クリスマス・ソング盤をリリースしているが、その全体数は少ない。
 

Snowbound

 
さて、この『Snowbound』である。フュージョン畑では大ベテランの部類に入る4人ゆえ、この顔ぶれが紡ぎ出す、クリスマス・ソングのサウンドは、手練感満載、テクニックよろしく手慣れたフレーズの連発、上手いけれども緊張感と迫力に欠ける、所謂、ぬるま湯的な演奏を想像しがちだが、この盤はそうでは無い。これぞ、真のフュージョン・ジャズ、本物のフュージョン・ジャズと言って良い、実にハイレベルで歌心溢れる演奏が繰り広げられている。

冒頭の「Angels We Have Heard On High(あらののはてに)」の出だしから心にグッとくる。趣味良く抑制された、品格のある小粋な演奏。決して派手でなく、かと言って過度にソフト&メロウでもない。しっかり芯の入った、大人のフュージョン・ジャズな演奏が繰り広げられて、見事である。

また、タイトル曲「Snowbound」は、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンの曲で、1993年発表された『カマキリアド(KAMAKIRIAD)』に収録されていたものを実に上手くカヴァーしているところなどは、意外と硬派な仕業である。安易に従来からの手垢の付いた感のあるクリスマス・ソングに依存しない。そんな「フュージョン職人のおじさまバンド」の矜持を感じる。

フュージョン・ジャズのレジェンド達が演奏するクリスマス・ジャズなんて、手練感満載でしょ、などと侮ることなかれ。このアルバムは内容充実、優れたフュージョン・ジャズのクリスマス企画アルバムとして内容は秀逸。フュージョン者の皆さんへの推薦盤です。
 
 

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2025年12月22日 (月曜日)

キャノンボールとウィルソンと...

クリスマス・イヴまであと2日。といって、クリスマス・ジャズのアルバムばかりかけていると、そもそも、クリスマス・ソングって、数が限られているから、アルバム毎に重複する曲も結構出てきて、段々飽きてくる。なので、このクリスマス・シーズンには、クリスマス・ジャズ盤の合間合間に、ジャズ・ボーカル盤を効果的に挟んで、その「飽き」を回避している(笑)。

『Nancy Wilson / Cannonball Adderley』(写真左)。1961年7, 8月の録音。ちなみにパーソネルは、Nancy Wilson (vo, tracks: 1 to 7, CD 1993), Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Joe Zawinul (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。

キャノンボールのバンドにウィルソンのボーカルがゲスト参加した「ボーカルもの」と、キャノンボールの「クインテット演奏」のハイブリッド構成。LP時代の曲の構成は「ボーカルもの」と「クインテット演奏」が互い互いに収録されていたのだが、CDになって「ボーカルもの」が7曲全部、前半に寄せられ、後半に「クインテット演奏」の収録になった。

これが解せない。LP時代の編成の方が、「ボーカルもの」と「クインテット演奏」を互い互いに楽しめたものを、CDの構成では、キャノンボールのバンドにウィルソンのボーカルがゲスト参加した「ボーカルもの」と、キャノンボールの「クインテット演奏」、それぞれのアルバムをカップリングした感じで、「ボーカルもの」と「クインテット演奏」それぞれにおける、キャノンボール・クインテットの演奏の妙が楽しみ難くなっている。
 

Nancy-wilson-cannonball-adderley

 
さて、ナンシー・ウィルソンの歌唱が素晴らしい。ナンシー・ウィルソンは、単なるジャズ歌手という枠に収まることなく、ジャズ、R&B、ポップスを自在に歌いこなす「ソング・スタイリスト」として知られた偉大な歌手である。「どんな曲も自分のものにする」という自負から自らを「ソング・スタイリスト」呼び、端正な唄いっぷりと囁く様な透明感溢れる歌声。大胆にて細心、とにかく聴き応え満点のボーカルである。

そんなウィルソンの迫力あるボーカルを、キャノンボールのクインテットがガッチリと受け止め、ガッチリとサポートし、ガッチリと鼓舞する。キャノンボールのクインテット演奏が迫力満点、ウィルソンの迫力満点のボーカルに負けること無く、さりとて、ウィルソンのボーカルを凌駕すること無く、とてもバランスの良い歌伴をしているところに、この頃のキャノンボール・クインテットの力量、懐の深さを感じる。

その、この頃のキャノンボール・クインテットの力量、懐の深さは、クインテット単体の演奏で十分に感じ取ることが出来る。迫力満点、ハイテクニックで歌心満点のキャノンボールのアルト・サックス、ばりばりバップなナットのトランペット、ファンクネスを撒き散らすザヴィヌルのピアノ、ブンブン唸るジョーンズのペース、端正で柔軟なヘイズのドラム。このキャノンボール・クインテットは無敵である。

キャノンボール・アダレイがナンシー・ウィルソンと出会った時、キャノンボールはウィルソンにキャリア・アップのためにニューヨークへ行くよう勧めている。そして、1959年、ウィルソンはニューヨークへ移り住み、メジャーな存在になっていく。そんな間柄のキャノンボールとウィルソンだからこそ成立した、この魅力的なクインテットとボーカルのコラボレーション。キャピトル・レコードのスマッシュ・ヒットであった。
 
 

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2025年12月21日 (日曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・4

クリスマス・イヴまで、あと3日。今年もあと10日。知らないうちに今年も「暮れ」である。一週間前から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』における「クリスマス・ジャズの定盤」をご紹介している。ここ『松和』では、イージーリスニング志向の、ラウンジ・ジャズ志向のクリスマス曲集は避けて、基本、純ジャズ志向、クロスオーバー&フュージョン志向の優れた「クリスマス・ジャズの定盤」を選んでいるつもり。今日はその4枚目。

Oscar Peterson『An Oscar Peterson Christmas』(写真左)。1995年1, 5, 6, 7月の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Dave Samuels (vib, trk: 3, 4, 7, 10, 12), Jack Schantz (flh, trk: 5, 6, 13), Lorne Lofsky (g), David Young (b), Jerry Fuller (ds), String orchestra conducted and arranged by Rick Wilkins。

ギター入りカルテットをメインに、要所要所、効果的にヴァイブとフリューゲルホーンが入る編成。そして、バックにストリングス・オーケストラが入るゴージャズな布陣。ただ、カルテットのメンバーはマイナーなメンバーばかり。リーダーのモダン・ジャズ・ピアノのレジェンド、ピーターソン以外は、あくまで、ピーターソンのピアノを前面に押し出し、映えさせる役割に徹している。
 

Oscar-petersonan-oscar-peterson-christma

 
端正で雄弁でスイング感抜群のピーターソンのピアノが、有名クリスマス・ソングをひとつひとつ、秀逸なアレンジの下、印象的に唄い上げていく。ここでのピーターソンは、弾き過ぎない、オーバースイングせず、適度な心地良いスイング感で、それぞれのクリスマス・ソングをカヴァーしていく。それでも、ピーターソン節は健在で、実に聴き応えのある、ピアノがメインのクリスマス・ジャズの名演である。

とにかく、アレンジが優秀。バックの伴奏は、ピーターソンのピアノを引き立てる。ストリングスのアレンジも控えめで良し。原曲のイメージをしっかり残しつつ、アドリブ部はしっかりとジャジーなハードバップな展開をしていて、このクリスマス曲のカヴァーは、しっかり純ジャズの範疇でのパフォーマンスで、モダン・ジャズとしての聴き応え十分である。

ジャズ・スタンダード曲集、イージーリスニング志向のラウンジ・ジャズ盤を制作したり、聴き心地優先のアルバムを作ってきた割に、これが、ピーターソン唯一のクリスマス曲集というのは意外だが、安易なクリスマス曲集を作りたくは無かったんだろう。これも、ピーターソンの矜持の表れといえるか、と。その矜持ゆえ、この唯一のクリスマス曲集、好盤です。
 
 

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2025年12月20日 (土曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・3

あと4日でクリスマス・イヴである。コロナ禍以降、クリスマス・シーズンになっても、世間が過剰にクリスマス、クリスマスと騒がなくなったので、うっかりしていると「気がつけば、クリスマス・イヴ」状態になることがしばしば。今年も、気がつけば、あと4日でクリスマス・イヴ。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、やっと10日前から、クリスマス・ジャズを流し始めた次第。

クリスマス・ソングと言えば、僕の発想は「オルガン」になる。幼稚園と大学がミッション系だったこともあって、クリスマス・シーズンの賛美歌には馴染みが深い。特に、伴奏オルガン、曲調としてはゴスペル、というのが、自分としては最高の組みあわせで、この組みあわせで、クリスマス・ソングをジャズ化してくれると、それだけで至福の時となる。そんなアルバム、あるのか、と思って探せば、これが「ある」んですね。

Jimmy Smith『Christmas Cookin'』(写真左)。1964年4月20日、9月29日の録音。1966年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell, Quentin Warren (g), Art Davis (b), Grady Tate, Billy Hart (ds), George Devens (perc) がメインのバンド編成で、ここに、ジャズ・オーケストラが入る(パーソネルは割愛)。

ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスのクリスマス・アルバムである。大手レーベルのヴァーヴからのリリースで、一流のメンバーをこれでもかと投入、ゴージャズなジャズ・オケもバックにつけている。音のイメージとしては、ジミーの名盤『The Cat』のジャズ・オーケストラをバックにつけたゴージャズな演奏の雰囲気で、クリスマス・ソングを、良いアレンジでやっちゃいました、って感じの音世界。
 

Christmas_cookin_3

 
加えて、アレンジが秀逸なのと、演奏するメンバーが一流どころで、ダレたりよれたりところが皆無で、しっかりと端正な演奏で、クリスマス・ソングをカバッてるんで、聴き応えが実に良い。ジャズ・オーケストラをバックにつけたゴージャズな演奏と最小構成単位のトリオでの演奏と、ほぼ半々で「1粒で2度美味しい」てな感じの、聴いて楽しい、オルガン・ジャズのクリスマス・ソング集。

超一流のジャズ・オルガンが唸りを上げるだけで、数々の有名なクリスマス・ソングは、どっぷりとゴスペルっぽくなるからたまらない。教会でクリスマスの賛美歌を聴いている様な、そんな敬虔でファンキーな、思わず腰が動くような雰囲気は、とにかく「たまらない」。そこに、ゴージャズなジャズ・オケの伴奏がガッツリ入ったりして、敬虔な雰囲気をより増幅して、極上のクリスマス・ソング集になっていくのだから、このアルバム、聴き甲斐、満載である。

実は、この『Christmas Cookin'』というアルバム、1964年に『Christmas '64』(写真右)として、先行リリースされている。大手ヴァーヴ・レコードとしては安易な対応だったが、当時、クリスマス商戦期にクリスマス・アルバムをリリースするのが
定番だった時代だったことを考えると、まあ仕方が無いところですかね。聴く方としては紛らわしいですけどね。良い内容のクリスマス・アルバムなんで再発したくなったんでしょうね。でも、ジャケット、タイトルまで変えなくて良いのに(笑)。

また、CD化に際して、CDの録音可能時間の長さに合わせてか、アルバム『ダイナミック・デュオ』から「外は寒いよ」、アルバム『オルガン・グラインダー・スゥイング』から「グリーンスリーブス」という、クリスマスにゆかりのある曲を追加収録していて、これまた、紛らわしい(笑)。クリスマス・ソングを、ジャズ・オルガンの神様であるジミー・スミスの演奏で聴けることを考えると、これも仕方の無いところですかね。
 
 

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2025年12月19日 (金曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・2

気がつけば、早、12月も半ばを過ぎ、なんと、クリスマスまで、あと一週間を切っていることに驚いている。いつの間に(笑)で、今年もあと2週間を切っているという事実にもビックリ。最近は、テレビやネットで、あんまり、クリスマス、クリスマスと騒がなくなった感がするので、あんまり気分として盛り上がらないのも原因なんだろうな。

Duke Pearson『Merry Ole Soul』(写真左)。1969年2月と8月の録音。ブルーノートの4323番。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p, celeste) Bob Cranshaw (b) Mickey Roker (ds) 。シンプル・ピアノの達人、デューク・ピアソン率いる、お洒落なピアノ・トリオのXmas盤。ブルーノート・レーベル唯一の、LPフルサイズのXmas盤である。

このピアノ・トリオ演奏のXmas盤は内容が充実している。ジャズのXmas盤って、ややもすれば、ジャズ・フォーマットに乗っただけの「Xmasソングのイージーリスニング」盤になってしまうことが多いのだが、この盤は違う。

さすが、ジャズ老舗レーベルからのXmas盤、硬派に誠実にハードバップしているのに感心する。有名なテーマ部があって、そのコード進行を借用して、アドリブ展開をしっかりする。正統派純ジャズのXmas盤。
 

Duke_pearson_merry_ole_soul_1

 
シンプル&軽ファンキーが魅力のピアソンのピアノが、有名Xmasソングの印象的な旋律を紡ぎ上げていく。Xmasソングそれぞれの原曲の良さをしっかりと残しながら、しっかりと純ジャズする。それどころか恐らく、Xmasソングのジャズ化の中で、最高の部類に入る素晴らしいアレンジの数々。イージーリスニングの様に、軽音楽の様に甘きに易きに流れない、正統派で、ハードバップに軸足をしっかり降ろした名演の数々。

原曲を変にデフォルメせず、かといってベタにならず、洒落たアレンジでサラッと聴かせて、後はバリバリにインプロビゼーションへ、というドライブ感が最高。Xmasソングとして耳タコの4曲目「Jingle Bells」、5曲目の「Santa Claus Is Coming to Town」、そして8曲目の「Silent Night」。それぞれ、ピアノ・トリオものとして秀逸。

そして、ラストの2曲「O Little Town of Bethlehem」のリリカルで厳粛なピアノ・ソロから、ラストの「Old Fashioned Christmas」の落ち着いた雰囲気に、思わず厳粛な雰囲気に包まれ、至福の時を迎える。

この盤は、かれこれ、25年間、ずっとXmasシーズンに、我がバーチャル音楽喫茶「松和」でかけ続けている、ジャズのXmas盤として「定盤」の優れものアルバム。当然、録音は「ルディ・ヴァン・ゲルダー」。音の響きは明らかにブルーノート。ブルーノートらしいXmas盤。好盤です。
 
 

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2025年12月15日 (月曜日)

エリック・ミヤシロを認識する

エリック・ミヤシロは、1963年7月13日、米国のハワイ州生まれのトランペット(フリューゲルホルン)奏者。ミヤシロのトランペットの個性の一つ「ハイノート・ヒッター」としても知られる。また、ビッグバンドのEMバンドのリーダーでもある。2000年から2010年まで、リーダー作は5作。

Eric Miyashiro『Blue Horizon』(写真左)。2025年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、エリック・ミヤシロ (tp), 本田雅人 (as), 中川英二郎 (tb), 川村竜 (b), 山本真央樹, 川口千里 (ds), 中川就登 (p) 等。スペシャル・ゲストも数多く参加。エリック・ミヤシロの15年ぶり通算6作目となる作品。

エリック・ミヤシロの名は、ほとんど覚えがない。なんせ、聞けば15年ぶりのリーダー作。その前作「Skydance」についても、どうにも耳にした覚えが無い。バークリー音楽大学出身にて、ミヤシロのトランペットの素性は確かなもののはず。冒頭のタイトル曲「Blue Horizon」を聴いて、そのミヤシロのトランペットの素性は、やはり、確かなものと確信する。

基本はしっかりとしたビッグバンド・アレンジの演奏の数々。ホーン・セクションがエネルギッシュで迫力抜群、整然としたユニゾン&ハーモニー。規律が取れ、それぞれの参加メンバーの高い演奏レベルで、切れ味の良いパフォーマンス。
 

Eric-miyashiroblue-horizon

 
ほど良いテンションが、演奏全体を引き締め、爽快感を醸し出している。とにかく、迫力がある割に、聴き易いバンド・サウンド。冒頭「Blue Horizon」から、7曲目「Back Stage Pass」まで、全曲、エリック・ミヤシロの自作曲。ラストの「Spain」だけ、チック・コリアの名曲のカヴァー。

自作曲の曲&アレンジが良好なので、ビッグバンド志向のバンド・パフォーマンスが映えに映える。チックの「Spain」のカヴァーも、ホーン・セクションを前面に押し出したアレンジが良好で、ダイナミックな曲想にしっかりと応えている。

ホーン・セクションのダイナミズムとスピード感がメインの、ビッグバンド志向の音作りは、他にありそうで無いユニークな内容。演奏全体の印象は、コンテンポラリーな「フュージョン・ビッグバンド」な音作り。エリック・ヤシロ本人は「ジャズ・オーケストラ」という表現をしているらしい。

ホーン・セクションが主役の「フュージョン・ビッグバンド」な音世界は、聴いていて流麗、聴いていてダイナミック、適度に耳に刺激が心地良く、意外と「ながら聴き」に適した佳作である。気軽に聴いて良き「フュージョン・ビッグバンド」な音である。
 
 

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2025年12月14日 (日曜日)

クリスマス・ジャズの定盤・1

今年もあと10日でクリスマス・イヴ。しかし、コロナ禍の影響か、コロナが流行した2020年のクリスマスから、テレビとかでクリスマス、クリスマスと騒がないようになって、コロナ禍が明けた後も、例えば今年もテレビやネットで、あまりクリスマス、クリスマスと言わなくなった様な気がしている。まあ、我が国は、基本的に仏教の国。クリスマスを祝うのはキリスト教。今の状態が相応しい、と言えば相応しい、かな(笑)。

Ray Brown Trio 『Christmas Songs With the Ray Brown Trio』(写真左)。1997年12月15-17日、1998年4月27-29日の録音。1999年のリリース。ちなみにパーソネルは、パーソネルは、Ray Brown (b), Geoff Keezer (p), Gregory Hutchinson (ds), ゲストに、Russell Malone (g, track: 4, 6), Ralph Moore (ts, track: 7, 11)。当時のレイ・ブラウン・トリオが伴奏に回ったクリスマス・ソング集。ギターのラッセル・マローン、テナー・サックスのラルフ・ムーアがゲスト参加している。

久々に聴いたんだが良いねえ〜。このクリスマス・ソング集は、僕の大のお気に入りで、購入したのが1999年。以降、クリスマス・シーズンには欠かさず聴いている「クリスマス好盤」。とにかく、レイ・ブラウンのトリオが大活躍。このピアノ・トリオの演奏、伴奏が絶品。そんなピアノ・トリオをバックに、ジャズ・ボーカルの実力者がズラリ、クリスマス・ソングを唄い上げていく。とても、ゴージャズなクリスマス・ソング集。
 
Ray_brown_christmas_songs_2  
 
ディー・ディー・ブリッジウォーターによるシンコペーションとゴスペル調の「Away in a Manger」から始まり、続く、ダイアナ・クラールは「Santa Claus Is Coming to Town」でブルースを奏で、4曲目、エタ・ジョーンズは「It Came Upon a Midnight Clear」をダウンホーム風にアレンジし、そして、6曲目、ケヴィン・マホガニーによる温かくクラシックな「The Christmas Song」を唄い上げる。

ジャズ・ベースのレジェンド、レイ・ブラウンのベースワークが素晴らしいのは当たり前として、とりわけ、ピアノのジェフ・キーザーが素晴らしい。ドラムのグレゴリー・ハッチンソンも確実で柔軟でとても良いドラム。実はこのトリオだけでの演奏もあるのだが、これがまた絶品につぐ絶品揃い。3曲目「God Rest Ye Merry, Gentlemen」、5曲目「Little Drummer Boy」、9曲目「We Wish You A Merry Christmas」、10曲目「O Tannenbaum」の4曲だが、どれも甲乙付けがたい名演の数々。

ラストは、ドラムのハッチンソンがボーカルを担当したラップ・ジャズ「The Christmas Rap」。この盤を初めて聴いた時は、このラップ・ジャズ、ふざけているんとちゃうか、これは蛇足、なんて感じたものだが、今の耳で聴くと、意外と面白くて、これはこれで「ご愛嬌」として楽しく聴ける。歳を取ったのだろうか、音に対する許容量が増えたのだろうか(笑)。これはこれでアリかな(笑)。
 
 

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2025年12月13日 (土曜日)

マルの秀作『The Quest』です。

フロントに、ドルフィーのアルト・サックスと、アーヴィンのテナー・サックスの2管。リズム・リズム・セクションは、リーダーでピアノ担当のマルに、ベースにチェロのロン、ウッドベースにベンジャミンの「ダブル・ベース」、そして、ドラムにパーシップというセクステット編成。

Mal Waldron『The Quest』(写真左)。1961年6月27日の録音。New Jazz (Prestige)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Eric Dolphy (as, b-cl), Booker Ervin (ts), Ron Carter (cello), Joe Benjamin (b), Charlie Persip (ds)。ハードバップとアヴァンギャルドの中間に位置するユニークなパフォーマンスが個性際立つ好盤である。

マルのリーダー作という扱いではあるが、まず耳がいくのはドルフィーのアルト・サックス&クラリネット。この人のアルト・サックスは嫌が応にも、アドリブを2〜3フレーズ聴けば、もう「ドルフィー」と直ぐに判るくらい、個性的で特徴的な吹奏。この盤、ドルフィーのリーダー作扱いでリイシューされたことだってあるくらい(写真右)。

ただ、この人の吹奏ではフリーでは無い。他のジャズマンと同じフレーズを絶対に吹かない、他のジャズマンと全く異なるフレーズを吹くことを旨として、アドリブ対応している様に僕には感じる。

当然、そのフレーズはアブストラクトに傾くが、ちゃんと聴くと、必ず、ドルフィーなりの法則というか、マナーというか、吹き回しの理屈がある様に感じる。ただ、ドルフィーはモードではない。モーダルな吹奏もあるが、彼はモードだけを彼のパフォーマンスの拠り所としている訳では無い様なのだ。これが彼のユニークなところであり、唯一無二なところ。
 

Mal-waldronthe-quest

 
ドルフィーのフロントの相棒、アーヴィンのテナーも検討している。ドルフィー独特の吹き回しに、アーヴィンは堂々モードで対抗している様で、これが、ドルフィーを際立たせ、逆に、アーヴィンを際立たせる。アーヴィンのモードに照らし併せてドルフィーはモード・オンリーでは無いということが判り、ドルフィーの個性的な吹奏と比較すると、アーヴィンのテナーの吹奏がモードに準拠していることに、しっかりと気が付くのだ。

そんなフロント管の2人を支え鼓舞するマルの「黒い情感と適度なラフさ」が個性のピアノが、フロント2管の吹奏イメージに相性バッチリなのだ。硬質なややパルシヴなタッチでフロント2管を鼓舞し、ややアフストラクトに傾くが、決してフリーに走らない、伝統の範囲にギリギリ留まる「適度なラフさ」が、ドルフィーの唯一無二はアドリブ・フレーズに合致する。アーヴィンのモーダルなフレーズに合致する。これが、この盤の「キモ」の一つ。

ベース担当の二人、ロンはチェロでソロ・パートに対応し、ベンジャミンはアコベで演奏全体のリズム&ビートを支える。パーシップのドラムの大健闘。フロント2管のモードとアヴァンギャルド、マルのピアノの「適度なラフさ」によく対応し、的確に追従し、リズム&ビートの正しき方向をフロント2管とマルのピアノに指し示すような、示唆に富むドラミングに感心する。

マルのリーダーとしての「サウンド・コーディネート」力に感心する。やはり、このアルバムはマルのリーダー作が相応しい。この盤のそれぞれの演奏を追っていると、マルのピアノが演奏全体をリードし、サポートする雰囲気がそこはかとなく漂って来る。このマルのピアノのリーダーシップがあったからこそ、ドルフィーとアーヴィンは心おきなく、自らのアドリブ・波フォーマンスに集中出来たのだろう。秀作です。
 
 

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2025年12月12日 (金曜日)

『Miles Davis In Europe』再聴

一昨日、マイルスの『Seven Steps to Heaven』再聴の記事を書いた訳だが、『Seven Steps to Heaven』を3回、繰り返し聴く中で、アコースティック・マイルスの時代で、マイルス自身のトランペットって、この時期が一番だったなあ、と思い返していた。

マイルスのバンドに、ハービー=ロン=トニーの「黄金のリズム隊」が入って来て、ショーターが遅れて入ってくるまでの約2年間。マイルス単独で想像した、マイルス印のモード・ジャズ。この時のマイルスのトランペットが一番輝いていたのではないか。そんなことをぼんやり思いながら、ついつい次のアルバムに手が伸びる。

『Miles Davis In Europe』(写真左)。1963年7月27日、フランス、ジュアン=レ=パン、ラ・ピネード、アンティーブ国際ジャズ・フェスティバルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)。マイルスの「黄金のクインテット」からショーターを引いて、代わりにコールマンがテナーで参加している。

フランスの著名なジャズ評論家・アンドレ・フランシス(André Francis)の、フランス訛りの英語でメンバー紹介から始まる、なかなかお洒落なライヴ盤。冒頭1曲目は「Autumn Leaves」、有名なシャンソンの名曲だが、立派なジャズ・スタンダード曲でもある。

これが、まあ、テーマ部はそれと判るが、アドリブ部に展開する時には、原曲が何だったか、判らない位、自由度の高い、柔軟どの高い、モーダルなアドリブ展開が素晴らしい。とりわけ、マイルスのトランペットは「火を噴くが如く」な、熱気溢れる、迫力あるアドリブを繰り広げる。マイルス流のモーダルなトランペットが輝く様である。
 

Miles_in_europe_2

 
今の耳で聴いても、このマイルスのモーダルなトランペットは、他の追従を許さない、マイルスだけが吹くことの出来る、マイルス・オリジナルなモード・トランペットである。しかも、トランペットが良く鳴っている。テクニックも上々。どこの誰だ、昔、マイルスのトランペットは下手だ、と言い切った輩は・・・(笑)。

逆に、テナーのコールマンは、コルトレーンのフォロワーの域を出ていない。シーツ・オブ・サウンドな吹きっぷりで、モーダルな雰囲気を醸し出しているが、そのモーダルな展開も、コルトレーンのカヴァーの雰囲気。コールマン独自の創造的なフレーズでは無い。まるで、コルトレーンの「影武者」が吹いているよう。でも、彼の名誉の為に言っておくと、決して下手ではない。ハードバップなテナーとしては一流である。

マイルスの創造的な、マイルス独自の「マイルス・オリジナルなモード展開」と、コールマンの旧来の「コルトレーン・カヴァーのモード展開」の対比が、マイルスのトランペットの先進性、創造性、独自性を前面に推し出し、マイルスのトランペットのモーダルな吹奏を映えに映えさせる効果を醸し出している。コールマンのテナーは、マイルスの無くてはならない引き立て役だった感が強い。

ハービー=ロン=トニーの「黄金のリズム隊」は、マイルス・オリジナルのモード・ジャズを効果的にサポートし、引き立てる為のリズム&ビートを繰り出す。いわゆる、マイルス好みの「モード対応リズム隊」である。『Seven Steps to Heaven』セッションで出会った3人。あれから3ヶ月。マイルスの指導よろしく、「黄金のリズム隊」は、堂々とそれぞれの個性を活かした、モーダルなリズム&ビートをバンドに供給している。

このフランスでのライヴ盤では、マイルス・オリジナルのモード・ジャズの充実を感じ取ることができる。手垢のついた感のあるスタンダード曲「Autumn Leaves」「All Of You」「Walkin'」や十八番の「Milestones」が、 モード奏法をベースにした、自由度の高いインプロビゼーションによって、まるで新しく作曲された曲の様に響き渡る。アコ・マイルスの名盤の一枚である。
 
 

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2025年12月11日 (木曜日)

お気に入りの「拳銃の報酬」

MJQのアルバムの中では地味な存在のアルバムだが、これがなかなかの内容の佳作なのだ。基本、サウンド・トラックなので、昭和のジャズ者の方々から「コマーシャルだ」と敬遠されていたのかもしれない。だが、実際に聴いてみると、サウンド・トラックという雰囲気が全くしない。MJQのオリジナル・アルバムだ、と言われても、自然と納得してしまう、なかなかの内容。

Modern Jazz Quartet『Music from Odds Against Tomorrow』(写真左)。1959年10月9–10日の録音。邦題「拳銃の報酬」。ちなみにパーソネルは、Modern Jazz Quartet(MJQ)= Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。MJQが、ストーリーに沿って作曲した初めてのサウンド・トラック盤。

まず、冒頭一曲目の「Skating in Central Park」が絶品。もともと、曲自体が絶品。以前、ニューヨークのセントラルパークのスケート場に行ったことがあるが、その時の、目の前に広がる風景、雰囲気が、まさにこの曲の曲想、雰囲気にピッタリ。穏やかな冬の午後の陽射しの中、家族で、恋人同士で、スケートを楽しむ。そんな光景が浮かんでくるような、典雅で流麗で暖かい曲。
 

Modern-jazz-quartetmusic-from-odds-again

 
この曲をミルト・ジャクソンのヴァイブと、ジョン・ルイスのピアノが、典雅に流麗に暖かく弾き進めて行く。そして、パーシー・ヒースのベースが、この佳曲のベース・ラインをしっかり押さえ、落ち着かせ、コニー・ケイのドラムが、ヴァイブとピアノのインプロに、リズム&ビートのアクセントを小粋に付けていく。絶品の6分7秒である。

この冒頭の「Skating in Central Park」のMJQの演奏のトーンが、以降の5曲に反映されて、サウンド・トラック盤らしからぬ、アルバムとしての音の統一感があって良い感じ。この盤のMJQの演奏のトーンは「クラシックの室内楽的なジャズ・カルテットの演奏」。どこかクラシックの流麗さを宿しつつ、ビートはオフ、アドリブ・フレーズの展開は明らかにジャジー。この盤には「MJQらしい」演奏がてんこ盛りである。

録音については、ちょっと硬質でドンシャリ。オーディオ的にジャズを聴く方々にとっては「駄盤」かもしれないが、演奏内容は豊かで良好、録音状態もあまり気にならない。僕にとっては、この盤、冒頭の「Skating in Central Park」にとどめを刺す。この1曲だけでも僕は満足。2曲目以降もMJQらしさ満載なので、僕にとっては愛聴盤。
 
 

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2025年12月10日 (水曜日)

”Seven Steps to Heaven” 再聴

もうかれこれ半年くらい前のことになるが、ジャズ盤のサブスク・サイトを徘徊していて、をMiles Davis『Seven Steps to Heaven』の2023年リマスター盤が出ているのに気が付いた。そう言えば、このマイルス盤、しばらく聴いてないぞ、ということで、良い機会なので、さっそく拝聴する。

Miles Davis『Seven Steps to Heaven』(写真左)。1963年4月19日と1963年5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、1963年4月19日の録音が、Miles Davis (tp), Victor Feldman (p), Ron Carter (b), Frank Butler (ds) のワンホーン・カルテット。1963年5月14日の録音が、Miles Davis (tp), George Coleman (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。マイルス=コールマンの2管フロントのクインテット編成。

この盤は、マイルス当人と、ピアノのハンコックとベースのロン、ドラムのトニーが初めて揃って録音した音源を収録している、ということで、1963年5月14日の録音ばかりが「もてはやされて」はいる。が、それはパーソネル上のことであって、演奏内容が、その後の「1960年代マイルスの黄金のクインテット」の演奏に比肩するレベルの演奏が既にここで行われている訳では無い。これは、はっきりしておきたい。

演奏全体のトーンは、初期の穏やかなモード・ジャズ。マイルスをはじめ、ピアノのフェルドマンとハンコックもモード・ジャズに馴染んでいる。コールマンは、コルトレーンの忠実なフォロワーという感じで、ちょっと「浮いている」。ロンについては、この2つのセッションで、フロントがモードの時のベース・ラインの付け方を会得したのはないだろうか。

フェルドマンもハンコックもモードへの対応については甲乙付けがたい。年季が入っていて、堂々と弾き進めているフェルドマンの方が、ハンコックを一歩リードというところだろうか。ドラムについても、西海岸のバスターと若干17歳5ヶ月のトニー、どちらもマイルス・ジャズに対する適応は甲乙付けがたい。年季が入っていて、堂々と叩きまくるバスターの方が、トニーを一歩リードというところか。
 

Seven_steps_to_heaven_2

 
1963年4月19日と1963年5月14日、どちらのセッションも甲乙付けがたい。まず、どちらのセッションでも、マイルスのトランペットは「素晴らしい」の一言。テクニック、個性、どこから聴いても「マイルス」。

話題になるリズム・セクションは、1963年4月19日の「ウエストコースト」隊の方が年季が入っている分、一日の長がある。ハービー=ロン=トニーの、後の「黄金のリズム・セクション」については、初顔合わせ、初セッションということでちょっと固い。とはいえ、アルバム全演奏を通じて、とても内容の良いマイルス盤。その演奏内容のレベルは相当に高い。

マイルスはフェルドマンを自身のバンドに勧誘している。それだけ、マイルスが、フェルドマンのピアノを買っていたことが判る。が、フェルドマンは米国西海岸に留まることを選択する。しかしながら、マイルスは、一期一会とばかりに、フェルドマンとの録音を残す。それが、この盤の1963年4月19日の録音。

旧来のジャズ本、マイルス本では、必ず評価の低い1963年4月19日のセッションではあるが、僕はそんなにレベルの低い演奏とは思わない。米国西海岸ジャズ独特の爽やかさという点で、そして、マイルスのトランペットのワンホーンのカルテットで、マイルスのトランペットをとことん愛でることが出来る、という点では、1963年4月19日のセッションの方が、僕には好みだ。

ちなみに、タイトル曲の「Seven Steps To Heaven」はフェルドマンの作曲。テーマ部の「たった、たった、たーたーたっ」。確かに「7音」=「Seven Steps」、これ秀曲、名曲です。僕は大好き。やはり、この盤、マイルス盤として優秀盤の一枚でしょう。
 
 

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2025年12月 9日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 119

ふと、ジョージ・ケイブルスが聴きたくなった。ジョージ・ケイブルス(George Cables)。1944年11月生まれ。今年で81歳になるベテラン・ピアニスト。ブレイキーやロリンズ、デックスなどのサイドメンを務める。僕は、復帰後のアート・ペッパーとの共演で、彼の名とプレイを知った。

George Cables『Icons & Influences』(写真左)。2013年9月16日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Dezron Douglas (b), Victor Lewis (ds)。深化する醸熟ブルージーなピアニスト、ジョージ・ケイブルス、79歳でのパフォーマンス。デズロン・ダグラスのベース、ビクター・ルイスのドラムをバックのリズム隊に擁した、ピアノ・トリオ編成。

彼のピアノは、しなやかな硬質さを持ったタッチ、適度に多弁なインプロビゼーション。聴いていて、実に端正であり、実に「雅」であり「粋」である。とにかく、聴いていて楽しい、「メインストリーム・ジャズ」をバッチリ感じさせてくれるピアノである。この盤でも、そんなケイブルスの個性的なピアノがてんこ盛り。

良く唄うピアノである。スタンダード曲はもとより、ミュージシャンズ・チューン、そして自作曲と、テーマの旋律が流麗な曲を選んでいるのか、ケイブルスの良く唄うピアノが、更に映えに映える。
 

George-cablesicons-influences

 
しなやかな硬質さを持ったタッチが軽快に、爽快感を撒き散らしながら、シーツ・オブ・サウンド風の速くてモーダルなアドリブを展開する。ほんの少しだけ、指がもつれるところはあるが、全く気にならない。

ブルージーな展開がとりわけ絶品。適度に多弁だが、端正で典雅で粋な弾きっぷりで、決して俗っぽくならず、上質の「聴かせる」ブルース志向のピアノ・インプロビゼーションに仕立て上げられていて見事。ケイブルス流のモーダルな展開が、これまた唄うが如くの雅さで、とてもお洒落でクール。当時、79歳とは思えない溌剌さと明快さ。

そして、ケイブルスの「ケイブルス流」のモーダルな展開は「古くない」。過去の”どこかで聴いた様な」モーダルなフレーズはどこにも聴かれない。ケイブルスの79歳になっても、さらに深化する、ケイブルスのモード解釈が実に頼もしく響く。この盤は、ハードバップの焼き直しでもなければ、20世紀のモード奏法へのオマージュでも無い。

この盤のトリオ演奏は、現代の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」。現代の若手中堅の「ネオ・ハードバップ&ネオ・モード」なイマージネーションに比肩する、ケイブルス流のモード・パフォーマンス。そして、ブルージーで適度に多弁なところが、ケイブルス独特の響きを醸し出して、現代のジャズ・シーンにおいても、唯一無二の個性を保持していて立派。この盤も謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
 
 

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2025年12月 8日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 118

ジャズの好盤は、なにも、ジャズの歴史に名を残した、一流ジャズマンだけが創り出したのでは無い。意外と無名に近いジャズマンが、ある日突然、一瞬の輝きの様に、素晴らしい好盤を残すことがある。その好盤がジャズ評論家の誰かが見出して、その当時は好盤として評価されるが、時が経つにつれ、その評価の印象が、忘却の彼方に埋もれてしまった好盤は沢山ある。

Albert Dailey Trio『That Old Feeling』(写真左)。1978年7月13日の録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Albert Dailey (p), Buster Williams (b), Billy Hart (ds)。優れたピアニストでありながら、生涯を通して完全に無視され評価されることの無かった不遇のピアニストの1人、アルバート・デイリーのトリオ盤。

アルバート・デイリーは1939年、ボルチモア生まれ。1968年から1969年にかけてはアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズにも断続的に参加、1970年代、デイリーはソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツ、エルヴィン・ジョーンズ、アーチー・シェップらと共演。しかし、特に注目されることも無く、1984年、45歳で死去してしまう。リーダー作はたった5枚。しかも、今でもサブスク等で聴くことの出来るリーダー作は、1970年代の3枚のみ。

その3枚の中でも、このスティープルチェイスから『That Old Feeling』は、ピアノ・トリオの演奏ということもあって、アルバート・デイリーのピアノの個性と、その優れた実力が、とても良く判る内容になっている。
 

Albert-dailey-triothat-old-feeling

 
というか、これ1枚だけがデイリーのジャズ・ピアニストとしての実力を推し量れる好盤と言える。バックのリズム隊のバスター・ウイリアムスのベース、ビリー・ハートのドラムが、そのデイリーの実力を前面に推し出している。

熱のこもったトリオ演奏。タイム感覚とハーモニー感覚、そして、フレーズ展開において、オリジナリティ溢れる多様性と独創性を発揮、バリバリ、モーダルに弾きまくるポスト・バップな展開。このデイリーのピアノの弾き回しは唯一無二。速いフレーズは疾走感に溢れ、左手のコードは演奏全体の推進力。そんな個性的なピアノが冒頭の「Music That Makes Me Dance」から全開。

続く「Lover Man」のバラード演奏での表現も個性的。繊細なタッチでバラードなフレーズを弾き始め、演奏が進むにつれ、硬質で美しいピアノの響きで、徐々にテンポが上がり、独特のハーモニーとタイム感覚で、この有名スタンダード曲「Lover Man」を、デイリー独特の解釈で弾き上げていく。見事という他ないパフォーマンス。

3曲目の有名スタンダード曲「Yesterdays」、4曲目のレノン=マッカートニーの「Michelle」そして、続く「That Old Feeling」「Body and Soul」「Night and Day」など、ハードバップ時代に「手垢の付いた」スタンダード曲でのテンポを上げた弾き回しも見事。デイリーの個性が満載。デイリーの唯一無二はフレーズの弾き回しがてんこ盛り。

聴き終えれば、スタンダード曲を中心に、デイリーの個性的なピアノが確認出来、堪能出来る。非常に優れたトリオ盤であることに気が付く。デイリーのトリオ演奏の秀作はこの盤だけだが、この盤も謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
 
 

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2025年12月 7日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 117

ジョアン・ブラッキーン(Joanne Brackeen)。米国出身。「ジャズ・ピアノのピカソ」と呼ばれ、ビー・バップからラテン、アバンギャルドなど、あらゆるジャンルに適応した、バリエーション豊かなピアノが個性。一風、チック・コリアの通じるところがあると僕は睨んでいる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「唯一の女性メンバー」としても有名。

Joanne Brackeen『Snooze』(写真左)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Joanne Brackeen (p), Cecil McBee (b), Billy Hart (ds)。米国の女性ジャズ・ピアニスト、ジョアン・ブラッキーンの初リーダー作。セシル・マクビーノベース、ビリー・ハートのドラムと組んだ、ピアノ・トリオでのパフォーマンス。

冒頭のマイルス=ショーターの大名曲「Nefertiti」から度肝を抜かれる。もともと、この「Nefertiti」は、アドリブ部の無い、テーマのみを様々なニュアンスを演奏仕分けていく、違った意味での「フリー」な演奏なんだが、その大問題作に、アドリブ部を大胆につけ、モーダルで自由度の高い、自由自在、硬軟自在、変幻自在なトリオ・インタープレイを繰り広げる。この1曲のパフォーマンスだけでもこのアルバムは「買い」だ。
 

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続く、これまたマイルスの「Circles」では、今度は耽美的にリリカルに、ジョアン独特のモード奏法で弾き上げていく。タッチは明確、左手の低音は心地良く腹の底に響き、右手の速いフレーズは正確。その弾きっぷりはまるでピアノで唄うが如く、である。そこに、マクビーのベースが柔軟にしなやかに絡み、ハードのドラムが、トリオ演奏の要所要所でリズム&ビートをしっかりと引き締め、ジョアンとマクビーの自由度溢れるアドリブ・パフォーマンスをガッチリ支える。

3曲目のジョアンの自作曲「C-Sri」は、一転、高速モードな、疾走感溢れる演奏。ジョアンの右手は正確無比にアドリブ・フレーズを叩き出し、マクビーは高速ウォーキング・ベースで、ジョアンの疾走に追従する。そして、ハードの変幻自在でポリリズミックなドラミングが、ジョアンとマクビーのパフォーマンスを煽りに煽る。そして、ここでのマクビーとハートのアドリブ・ソロは絶品。当然、ジョアンのピアノのアドリブは「翔ぶ」が如くである。

冒頭の3曲だけでも、このジョアンの初リーダー作でのトリオ演奏は秀逸であることが判る。このトリオ・パフォーマンス、2025年の現代でも、なかなか聴くことの出来ないレベルの高いもの。メインストリーム系の純ジャズ・トリオのパフォーマンスとして、この盤は名盤の類だろう。知名度は低いが、この盤はピアノ・トリオ者には必須アイテム。謹んで、「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
 
 

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2025年12月 6日 (土曜日)

ウェブスター・ミーツ・西海岸

ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。ウエストコースト・ジャズの、ほど良くアレンジされた、聴き手に訴求する、小粋なアレンジに乗ったリズム・セクションをバックに、ベン・ウェブスターのオールド・スタイルの、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが練り歩く。

Ben Webster『At The Renaissance』(写真左)。1960年10月14日、ハリウッド「The Renaissance」でのライヴ録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Jim Hall (g), Jimmy Rowles (p), Red Mitchell (b), Frank Butler (ds)。ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターの、1960年のライヴ盤。

冒頭の「Gone with the Wind」は、最初は、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーと、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションが、どこかギクシャクしている様な、なんかアンマッチの様な雰囲気が漂うので、これはミスマッチなのか、と思うんだが、そこは、ジャズ・テナーのオールド・スタイルのレジェンド、ベン・ウェブスターである。

演奏が進むにつれて、ウェブスターのテナーが、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションの特徴を掴んで、野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ウエスコトーストの洗練されたリズム・セクションに寄り添うように、小粋で小洒落たテナーになって練り歩く。
 

Ben-websterat-the-renaissance

 
そうなれば、もう、このメンバーでのセッションは無敵である。ウエストコースト・ジャズの特徴を色濃く反映したリズム・セクションをバックに、ウエストコースト・ジャズ仕様にマイナー・チェンジしたウェブスターが、オールド・スタイルのテナーを吹きまくる。そもそも、ウエストコースト・ジャズに、ウェブスターの様な、こってこてオールド・スタイルのテナーは存在しない。そういう点からも、このライヴ盤の内容は貴重だろう。

ジム・ホールのギターも、ウェブスターのオールド・スタイルのテナーとの相性は良い。ウエストコースト仕様の、洒落てアーバンで流麗な「聴かせるギター」のホールに対して、ウェブスターの野太くて大らかでダンディズム溢れるテナーが、どこかジェントルに温和にクールになって、ホールのギターと協調する様にフロントを仕切る。繊細で流麗なホール、野太くて大らかでダンディズム溢れるウェブスター。良い意味での「好対照」。これが良いフロント・パフォーマンスを実現している。

ジミー・ロウルズのピアノ、レッド。ミッチェルのベース、フランク・バトラーのドラム、いわゆる「ウエストコースト・ジャズ」仕様のリズム・セクション、これが、また好パフォーマンスで、ウェブスター&ホールのフロントをガッチリ支え、聴き応えのあるリズム&ビートを叩き出す。特に、ミッチェルのベースが、演奏全体の「底」をガッチリ掴んで、バンドのパフォーマンス全体の「底」をコントロールしている。

1960年というハードバップの成熟期に、ベン・ウェブスターとウエストコースト・ジャズとの邂逅。一期一会の邂逅セッション「東海岸ミーツ西海岸」の成果。ジャズに境界は無い。良き邂逅は良き「化学反応」を醸し出す。その好例の様な好盤です。
 
 

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2025年12月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・311

最近、僕はこの人のギターがお気に入り。Pasquale Grasso(パスクァーレ・グラッソ)。イタリア出身で現在はニューヨークを拠点に活躍中。アート・テイタムやバド・パウエルの表現をギターで表現することに挑み、そのうえで、バップな即興演奏を深化させている。

Pasquale Grasso『Fervency』(写真左)。2025年3月リリース。ちなみにパーソネルは、Pasquale Grasso (g), Ari Roland (b), Keith Balla (ds)。グラッソのレギュラートリオともいえる編成でのリーダー作の第7作目。タイトルは「情熱」を意味する言葉。自作曲が2曲、残りは、ジャズ・スタンダード曲。

ジャズの先人たちをリスペクトしつつ、グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法で、先人達の名曲に新しい魅力を付加している。とにかく、グラッソのギター・テクニックには聴くたびに驚愕する。ギターの表現力を広げ、圧倒的なテクニックとイマジネーション豊かなフレージングで、グイグイと聴き手に迫る、グラッソの「バップ・ギター」。
 

Pasquale-grassofervency

 
硬軟自在、緩急自在、変幻自在な疾走感溢れるグラッソのギターが圧倒的。バド・パウエルの1958年のアルバム『Time Waits』収録の「Sub City」にはじまり、「Milestones」「Cherokee」「Lady Bird」「Bag's Groove」など、有名ジャズ・スタンダード曲がずらり。しかし、手垢の付いた、ありきたりの、「今までに良く聴いた」みたいな、有名ジャズ・スタンダード曲の演奏になっていない。

グラッソ独自の解釈と圧倒的にハイ・テクニックな奏法がそうさせるのだろ、落ち着いてしっかりスピーカーの前で対峙していないと、何の曲なのか判らない位、ユニークなアレンジと弾きっぷり。その弾きっぷりは、ハードバップな、ビ・バップなギターである。速弾きによる疾走感と爽快感は筆舌に尽くしがたい。

彼のギターテクニックには「辣腕」という文字が相応しい。自作曲2曲の出来も良好。彼のギターには、まだまだ伸びしろがあり、表現の余白は広大。まるでピアノを弾いているか、の様に、ギターを弾きまくるグラッソ。リーダー作が通算7作もあるのに、我が国での認知度は低い。しかし、このグラッソのギターは聴きもの。ジャズ者の皆さんに、是非一度は聴いて貰いたい。そんな気持ちにさせる秀作である。
 
 

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2025年12月 4日 (木曜日)

1970年代西海岸ジャズの名演

ボサノヴァ・ギタリストの第一人者のアルメイダと、西海岸ジャズを代表するサックス奏者のシャンクが中心になって結成された「L.A.フォア」。バックのリズム&ビートを司るリズム隊に、ジャズ・ベースのレジェンド職人、レイ・ブラウン、西海岸ジャズを代表するドラマー、シェリー・マンが控える。テクニック優秀、歌心満載、極上のカルテット演奏を聴くことが出来る。

『The L.A. Four Scores!』(写真左)。1974年7月27日、カルフォルニアの「Concord Boulevard Park」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (sax, fl), Lurindo Almeida (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。西海岸ジャズを代表するサックス奏者、バド・シャンクと、ボサノヴァ・ギタリストの第一人者、ローリンド・アルメイダが中心になって結成されたジャズ・グループ ”L.A.フォア”の、The Concord Summer Festival で行ったライヴ音源。

演奏の雰囲気は、ウエストコースト・ジャズ。アルメイダのギターが入っているので、ブラジリアン・ジャズへの展開もあるので、演奏のアレンジがふるっている。聴き手を十分に意識した「聴かせるジャズ」、いわゆる、ウエストコースト・ジャズの十八番。1970年代の純ジャズ演奏なので、ジャズ・ファンクの演奏もあって、これはこれで、また見事にアレンジされている。
 

The-la-four-scores

 
フロントのアルメイダとシャンクが見事なパフォーマンスを披露するなら、リズム隊のレイ・ブラウンのベースと、シェリー・マンのパフォーマンスもこれまた見事。特級のリズム隊。ベース音がブンブン響き、ドラムがタイトなビートを叩き出す。変幻自在、硬軟自在、緩急自在のリズム&ビートをフロントに供給し、フロントを支え、フロントを鼓舞する。フロントと対等の立場のリズム隊。これが、”L.A.フォア”の最大の魅力。

ドラム・ブレイクではじまるファンキーな冒頭の「Sundancers」、メロウなアルメイダのギターと、シャンクのフルートがクール。2曲目は、お洒落なサンバ・ジャズが小粋な「Carioca Hills」。5曲目は、ボッサ・ビートに見事に乗った、ソフト&メロウなシャンクのフルートが魅力の「Cielo」。そして、ラストは、究極のボサノヴァ・ジャズ「 Manha De Carnaval」(黒いオルフェ ”カーニヴァルの朝”)。

1950年代のウエストコースト・ジャズの良いところをそのままに、1970年代に実現している小粋なカルテット。ダイナミックで繊細、ファンキーでボサノヴァチック、クールで耽美的。ウエストコースト・ジャズの切れ味の良い、聴き応えのあるグルーヴをそのまま、1970年代に連れてきた、そんな ”L.A.フォア”の躍動感溢れるパフォーマンスが、余すところなく記録されているライヴ盤である。
 
 

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2025年12月 3日 (水曜日)

スムースなステップス・アヘッド

後期のステップス・アヘッドって、マイク・マイニエリがリーダー兼プロデュースで、音の雰囲気、バンド・パフォーマンスは、マイニエリが決定しリードし、優れたアレンジの下、メンバーがプロフェッショナルなテクニックを駆使して、マイニエリの標榜する音志向を実現する。そんなセッション・バンドに変化していったと思っている。

Steps Ahead『Yin-Yang』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib, syn, perc), Bendik (sax), Rachel Z (p, syn), Jeff Andrews (b), Victor Bailey (b :3 only), Steve Smith (ds), Guest= Dean Brown (g: 2), Jimi Tunnell (g: 1, 2, 4), Steve Khan (g: 1, 3, 6, 8, 10), Wayne Krantz (g; : 5, 8), Bruce Martin (programming: 1 to 3), Chuck Loeb (rhythm guitar: 3), George Whitty (syn: 1), Rick Margitza (ts: 1, 10)。

マイク・マイニエリがリーダーは変わらないが、ピアノ&シンセサイザー担当が専任となって、レイチェルZが入り、ベースがジェフ・アンドリュースに交代している。で、音はどう変わったのか。前作は、ロック・ビートの効いたクロスオーバー&フュージョン・ジャズだったのだが、今作は、ファンク・ビートを積極導入、音作りは「アーバン&スムース」な音世界にアレンジされていて、さしずめ、ファンキーでスムースなスタップス・アヘッドに変身している。
 
Steps-aheadyinyang  
 
ファンクネスを纏ったスムース・ジャズ志向の音作りであるが、そんな中でも、ピアノ&シンセサイザーの専任担当のレイチェルZの切れ味の良いアコピと雰囲気良好なシンセサイザーが、アーバンでスムースな音作りに大きく貢献している。便ディックのサックスは、伸びの良い耽美的で印象的。サックスの洗練されたアーバンな雰囲気のする音色は、このステップスアヘッド盤をスムース・ジャズへと誘う。

マイク・マイニエリのプロデュースが効いていて、メンバーそれぞれの楽器の音のバランスが良く、マイニエリのヴァイブをはじめとして、ベンドリックのサックス、レイチェルZのピアノ&シンセサイザーが、それぞれ、存在感をしっかり主張するだけの演奏スペースを与えられていて、聴き応えがある。少なくとも、平凡な内容のスムース・ジャズでは無い。

クールでファンキーでメロディアス。クロスオーバー&フュージョン・ジャズな音世界の残像を残しつつ、演奏メンバーそれぞれの力量の中で、アーバンでファンキーなスムース・ジャズが展開される。内容的には、テクニックのレベルは高く、硬軟自在の音作りは「耳を飽きさせない」。1990年代のスムース・ジャズの好盤として記憶されても良い内容。ながら聴きにも最適です。
 
 

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2025年12月 2日 (火曜日)

ステップス・アヘッドの後期第1作

「ステップス(Steps)」。リーダー格、ヴァイブのマイク・マイニエリ(写真右)が「思いついた」グループとのこと。Wikiにその経緯が粋な言葉で綴られている。「7番街の南、ニュー・ヨーク市のナイトクラブで、1979年にアルバイトたちによる冒険的な企てとして、ステップスは始まった」。

1982年に「ステップス(Steps)」という名称がノース・カロライナ州のあるバンドによって商標登録されていることがわかり、それゆえバンドの名前を「ステップス・アヘッド(Steps Ahead)」に変えた。その新しい名前を冠したアルバムを1983年にリリースする。そんなステップス・アヘッドの、大幅にメンバー・チェンジした後期作。

Steps Ahead『N.Y.C.』(写真左)。1989年の作品。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib, syn, p, perc), Bendik (sax, key), Steve Kahn (g), Tony Levin (el-b, chapman stick), Steve Smith (ds)。ロック・ビートの導入とデジタル機器の活用による、フュージョン・ジャズの成熟形。

リーダー格でヴァイブ担当のマイク・マイニエリ以外、メンバー総取っ替え。マイケル・ブレッカーは、ヴィクター・ベイリーは、ピーター・アースキンは、ハイラム・ブロックは、ウォーレン・バーンハートは、みんなどこへいった状態。音的にも、ロック・ビートの大々的導入で、クロスオーバー・ジャズ志向が強化され、デジタル機器の活用によって、音のエッジが鋭く、切れ味の良い音世界が広がる様になった。
 

Steps-aheadnyc

 
しかし、出てくる音は、成熟したクロスオーバー&フュージョン・ジャズの音世界。フロント楽器の奏でるフレーズから、バックのリズム・セクションの叩き出すリズム&ビートまで、洗練された、充実したデジタルの音で演奏される、米国東海岸クロスオーバー&フュージョン・ジャズの音世界。ロック・ビートを優先的に導入したお陰で、ファンクネスが中和され、リズム&ビートの洗練度が上がっている。

マイク・マイニエリが、ミディ仕様のビブラフォンを使用。エレクトリックなヴァイブの音がユニークに響く。ベンデックのキュイーンとねじり上げる様なサックスが印象的。元ジャーニーのスティーブ・スミスのロックなドラムが、ステップス・アヘッドにロック・ビートを供給する。スティーヴ・カーンが、クリエイティヴでインテリジェンス溢れるエレギを披露する。トニー・レビンのエレベが、スミス同様、ロック・ビートなベースラインを供給する。

この大幅メンバー・チェンジ前の、ビッグネームなジャズマン達による、クロスオーバー&フュージョン・フォーマットでのセッション的演奏を、カッチリとプロデュースした、しっかりと作り込んだ感のあるクロスオーバー&フュージョン・ジャズのパフォーマンスに置き換えたかの如くの、ステップス・アヘッド後期、第一作。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの傑作の1枚として再評価したい。
 
 

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2025年12月 1日 (月曜日)

好盤・レイチェルZ『Sensual』

Rachel Z(レイチェルZ)。本名は「レイチェル・C・ニコラッソ」。アメリカはNYの生まれ。バークリー音楽大学、ニュー・イングランド音楽院を経て、プロデビュー。1980年代末に、マイク・マクニエリに認められて、人気フュージョンバンド、ステップス・アヘッドのメンバーとなって、認知度が飛躍的にアップした。

続いて1995年、ウェイン・ショーターの7年ぶりの新作となった「ハイ・ライフ」に全面参加。このアルバムの中でのレイチェルZは、キーボードとオーケストレーションを担当、高い評価を受けている。

Rachel Z『Sensual』(写真左)。2024年の作品。ちなみにパーソネルは、Rachel Z (p, electronica), Tony Levin, Matt Penman, Jonathan Toscano (b), Omar Hakim (ds), Mino Cinelu (perc)。レイチェルZの通算13枚目のリーダー作。

レイチェルZのピアノは、ピアノの幅、いわゆるスケールで聴かせるピアノ。演奏の幅の広さと奥行きと響きで聴かせる、実に味のあるピアノ。この盤では、そんな個性に、耽美的でリリカル、印象派的なピアノという個性が加わって、ピアノの表現の幅が更に広がっている。耽美的でリリカルなメロディーとハーモニー。ありそうで無い、意外と個性の強いピアノの響き。
 

Rachel-zsensual  

 
アレンジも秀逸。全9曲中、共作も含むRachel Zのオリジナルが8曲。ジャズ、ロック、フォーク、ワールドミュージックの音要素を融合させた、コンテンポラリーな純ジャズ志向にがっちりアレンジ、ポスト・バップなパフォーマンスが前面に押し出てくる工夫を凝らしたアレンジは、聴いていて、とても楽しい。

ベーシスト3人が交代で対応しているが、ジョナサン・トスカーノのベースが、レイチェルZとの相性という点で、頭一つ抜きん出ている。そして、オマー・ハキムの、ダイナミックで多彩なドラミングスタイルによる、魅惑的なリズム&ビートが、演奏全体を引き締め、鼓舞し、レイチェルZのピアノに寄り添う。

三者が生み出すグルーヴは、仄かに「新しい」。現代のポスト・バップな雰囲気。レイチェルZなりのアレンジが生み出す、レイチェルZ独特のグルーヴ。

レイチェルZは、1962年12月28日生まれ。今年で63歳。ジャズ・ミュージシャンとしては、大ベテランの域に入りつつある。しかし、日本盤としてのアルバムリリースがほとんど無いこと、彼女を積極的に推すネットショップも無いことが影響して、日本での認知度は今も低いまま。どうしてかなあ。このアルバムの内容、なかなかのものだと思うのだが。とにかく好盤です。
 
 

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