野田ユカ『カリブの夢』を聴く
和フュージョンは、米国とは全く異なる、独特の深化を遂げていく。リズム&ビートは、ファンクネス希薄なロック寄りのオフビート。楽器はシンセサイザーを始めとする鍵盤楽器が活躍する。米国では、フュージョンはスムースへと進化するが、我が国では、フュージョンは、ばりばり硬派な正統派フュージョンを突き進むか、イージーリスニング&ヒーリング志向のライトでポップなフュージョンに枝分かれするか、のどちらかだった。
野田ユカ『カリブの夢』(写真左)。1989年の作品。ちなみにパーソネルは、野田ユカ (key), 塚山エリコ (produce, key), 土岐英史 (sax), 萩谷清 (g), 加瀬達 (b), 渡辺直樹 (b), 市原康 (ds), 岡本郭男 (ds), 鳴島英治 (perc), 木村 "キムチ" 誠 (perc)。副題が「ライト・フュージョン・ファンタジー」の、和フュージョン志向のインスト盤。
リーダーの野田ユカは、現在はピアニスト・鍵盤ハーモニカ奏者。しかし、彼女は、エレクトーンフェスティバル'81全日本大会入賞の実績を持つ。このアルバムは、野田ユカが、ヤマハ音楽振興会のエレクトーンプレイヤーだった89年に発表したソロアルバム。副題からも判る様に、あっけらかんと明るい、ファンタジーな、イージーリスニング&ヒーリング志向のライトでポップな和フュージョン。
和フュージョンの深化の特徴として、鍵盤楽器の積極的活用がある。この盤でも、当然、主役はエレクトーンからシンセサイザーをはじめとする鍵盤楽器が大活躍。ギターとサックスは、その鍵盤楽器が活躍する中での「口直し」というか「耳直し」的な役割を果たしている。このイージーリスニング&ヒーリング志向のライトでポップなフュージョンのメインは「鍵盤楽器」。テクニックは極上、歌心もあって、演奏のレベルは高い。舐めてはいけない。
ベタな潮騒の音から始まる、ライトでポップなフュージョン・チューン、タイトル曲の「カリブの夢」。隠し味に、カリビアンなリズム&ビートが見え隠れするところが、良いアクセントになっている。キャッチーなエレクトーンの調べがキュートで印象的な「Manhattan Blue」。チャイニーズ&テクノポップなアレンジが和フュージョンらしい「Clip My Heart」。全体的にカリビアン、ラテン、テクノの音要素を融合しつつ、海辺のアーバンな雰囲気を醸し出したソフト&メロウな音作り。
とにかく、あっけらかんとして、翳りのない、海の香りがする、アーバンな、イージーリスニング&ヒーリング志向のライトでポップな和フュージョン。じっくりとスピーカーに対峙して聴き込む系の硬派なフュージョンでは無いが、ながら聴きとして、イージーリスニングとして、BGMとして、リラックスして聴くには最適な和フュージョン盤。硬派なフュージョン者の方々からすると「ありえない」盤かもしれないが、イージーリスニング&ヒーリング志向の和フュージョンとしては良い内容の盤だと思います。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.01.07 更新
・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
記事をアップ。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
の記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ”ヴァンガードのロリンズ” の再発 | トップページ | ハレルの現代の ”ポストバップ” »




コメント