アーヴィンの初ブルーノート盤
ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は、早逝のコルトレーン・スタイルのテキサス・テナーマン。モーダルでアグレッシブで自由度の高いテナーで、時々、フリーに走り、アヴァンギャルドに傾倒する。このフリー&アヴァンギャルドな展開も趣味が良く、耳触りでないので、意外とアーヴィンは、フリー&アヴァンギャルドなテナーマンとされることも多い。
Booker Ervin『The In Between』(写真左)。1968年1月12日の録音。ブルーノートの4283番。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts, fl), Richard Williams (tp), Bobby Few Jr. (p), Cevera Jeffries Jr. (b), Lenny McBrowne (ds)。1970年、39歳で急逝してしまう、幻の「ポスト・コルトレーン」最右翼のテナーマンの1人、ブッカー・アーヴィン生前のラスト作である。
ブッカー・アーヴィンは、フリー&アヴァンギャルド系のテナーマンという印象が強い。が、完全にフリー&アヴァンギャルドという訳では無く、伝統的なハードバップとモード・ジャズを基本にしつつ、アドリブ展開において、いきなりフリー&アヴァンギャルドに傾く、といった、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズが真骨頂。ダンディズム溢れる豪快な吹きっぷりが爽快である。
アーヴィンのテナー・サックスは、テキサス・テナーをベースとした「コルトレーン・スタイル」。そんなスタイルで、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズをやる。コルトレーンのフォロワーと思いきや、出てくる音は、すっと伸びたブロウはコルトレーンっぽいが、モーダルな吹き回し、アヴァンギャルドへの傾倒については、あまりコルトレーンっぽくは無い。
このブルーノート第一作で最終作となったアルバムでは、オーソドックスなブロウが魅力的。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、ここでは、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウ。コルトレーンのそれよりもスッキリ見通しが良くて、整ったモーダルな吹奏は、当時、意外とアーヴィン以外、見当たらない。そういう音世界がこの盤の魅力である。
アーヴィンの個性とセンスが上手くまとまった、「ポスト・コルトレーン」的テナー、アーヴィン独特のモード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズ。アーヴィンは、この盤の録音後、1970年8月末、腎臓病のため39歳で急逝する。この盤を聴く限り、アーヴィンの「ポスト・コルトレーン」なテナーは発展途上。まことに急逝が惜しまれるテナーマンであった。
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