聴いて楽しいオルガン・ジャズ
このジョン・パットン盤については、一言で言うと「ポップで明るく聴き易い」オルガン・ジャズ。ラウンジ志向とまではいかないが、とにかく聴き易い。アーティスティックな刺激が少ない、と言っても良いか。そして、当時のトレンドだった、R&B志向のソウル・ジャズな「音の味付け」がなされている。
Big John Patton『That Certain Feeling』(写真左)。1968年3月8日の録音。ブルーノートの4281番。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Junior Cook (ts), Jimmy Ponder (g), Clifford Jarvis (ds)。フロントがジュニア・クックの1管、ギター入りのオルガン・カルテットである。ベースはジョン・パットンのオルガンが代行している。
この盤から、プロデューサーが、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンから、フランシス・ウルフに代わっている。ジャズをアートとして捉え、硬派でメインストリーム志向のモダン・ジャズを標榜していたライオンから、その時代のトレンドを踏まえ、大衆受けする、判り易いモダン・ジャズを目指すウルフへの交代。
フロント1管、ギター入りのオルガン・カルテットだが、ギターが、これまでのグラント・グリーンからジミー・ポンダーに代わっている。パキパキ硬派なファンキー・ギターから、ポップでソウルフルな親し易いギターへの変更。これが、暖かく優しく判り易いポップなジョン・パットンのオルガンに、ばっちりフィットしているのだ。
演奏の基本は、ファンキー・ジャズ。ファンクネスが優しく、時にR&B志向のソウル・ジャズな「音の味付け」が効果的になされたファンキー・ジャズ。なので、どっぷりソウル・ジャズなオルガンと比べると、ジョン・パットンのオルガンは、ポップで軽快で暖かくてクール。そして、これがジョン・パットンのオルガンの個性であることに、このアルバムを全編、聴き終えて納得する。
大衆に訴求し、大衆にウケるオルガン・ジャズ。ジョン・パットンと新プロデューサーのウルフは、がっちり組んで、そんなオルガン・ジャズを目指した。その最初の成果がこのアルバムだろう。決して、ジャズ史に一石を投じるような、アーティスティックばりばりなアルバムでは無いが、聴き易く判り易い、聴いて楽しい、ファンキー&ソウルフルなオルガン・ジャズ盤として、気軽に聴くに適した好盤だと思う。
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