清水靖晃『案山子』を再聴する
1980年代の和フュージョンは聴いていて面白い。1970年代は、米国フュージョンのフォロー的音作りからスタートしたが、1980年を迎える頃には、米国フュージョンとは違う、明らかな、和フュージョン独特の個性を発揮し始める。シンセサイザーの多用、テクノ&ニューウェーヴとの融合、希薄なファンクネス。今一度、再聴に値する、個性的なアルバムが多くリリースされている。
清水靖晃『案山子』(写真左)。1982年10月の録音。ちなみにパーソネルは、清水靖晃 (sax, cl, ds, perc, vo), 笹路正徳 (key), 土方隆行 (g), 渡辺モリオ (b), 山木秀夫 (ds), 以上、マライア・メンバー。ゲストとして、スペクトラムの兼崎順一 (tp) 等が参加。1980年代、独特の深化を遂げた「和フュージョン」の傑作の一枚。
2ヶ月後に完成するマライアの傑作『うたたかの日々』(ここをクリック)のプロトタイプ的な内容。ジャズ、フュージョン、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、テクノ、ニューウェーヴといった要素を融合した、我が国独特の「和フュージョン・ジャズ」志向な傑作。マライアの音世界に比べて、ニューウェーヴ&テクノ志向が強く出ている。
最初、聴いた時は、テクノ・ポップか、YMOか、と思った。聴き進めて行くと、高橋ユキヒロ的な音世界が広がり、続いて、細野晴臣流人力ループ風ミニマルな音世界が出てきて、即興演奏風のパートでは、欧州のニュー・ジャズ志向のスピリチュアルな音世界が広がる。縦ノリ均一ビートは、やはり、テクノの影響が大。
6曲目「夢では」の、ニュー・ジャズ風の縦ノリ均一ビートに乗った、スピリチュアルでフリーな展開はジャジー&エレクトロ。途中、ボーカルが入ってくると、たちまち、その音世界は「ジャジーなニューウェーヴ&テクノ志向」に変換していく。それでも、管楽器のユニゾン&ハーモニーはジャジー。テープ操作によるギミックも小気味良く、和フュージョンならではの「融合音楽」の成果がこの1曲に詰まっている。
全くもって、摩訶不思議な音世界である。恐らく、和フュージョンだけかもしれない。ジャズ、フュージョン、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、テクノ、ニューウェーヴといった要素を融合した音世界。和フュージョンならではの音楽成果。音楽ジャンルを全く気にせず、「良い音楽」として、再評価したい、清水靖晃『案山子』である。
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