« チックの ”モントルー・ライヴ集” | トップページ | ブランフォードの『Belonging』 »

2025年10月 3日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・300

『Alligator Bogaloo』(1967年4月録音)、『Mr. Shing-A-Ling』(1967年10月録音)と、ブガルー、シンガリンの力を借りて展開した「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」。この『Midnight Creeper』は、そんなブガルーや新がリンの音要素を取り込み、融合し、ルーさんオリジナルのソウル・ジャズの創造の「ほぼ完成形」が記録されている。

Lou Donaldson『Midnight Creeper』(写真左)。1968年3月15日の録音。ブルーノートの4280番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as) Blue Mitchell (tp), George Benson (g), Lonnie Smith (org), Leo Morris (ds)。ルー・ドナルドソン(以降 ”ルーさん”)の、ブルーノートへのカムバック〜ソウル・ジャズ転身の第3弾。

ファンクネスをソウルフルに転換し、R&Bな雰囲気をそこはかと無く取り入れた独自のグルーヴ感を自家薬籠のものとし、アレンジを含めて、ルーさんのグループ・サウンドとして昇華した、ルーさん独特のソウル・ジャズのテイストが、この盤に充満している。従来のルーさん独特の「アルト・サックスのファンクネス」はしっかり残っていて、アドリブ・フレーズを聴くと、直ぐに「ルーさんだ」と判る。
 

Lou-donaldsonmidnight-creeper

 
スローな曲、ちょっと速いテンポの曲が1曲ずつあるが、残りは同じテンポ、ミッド・テンポの曲が並ぶ。これが、アルバムとして連続して流れてくると、不思議とソウルフルなグルーヴ感が「だだ漏れて」くるのだから、この盤は、ソウル・ジャズ盤として、意外と「ヤバい」。思わず、どっぷりと、独特な「ユルユルなグルーヴ感」に浸かってしまう。

ロニー・スミスのオルガンの存在が効いている。アルト・サックスとトランペットのフロント2管だけだと、ちょっとエッジが立って、ゆるゆるのグルーブ感が、ちょっとトゲトゲしくなりそうなところを、ロニー・スミスの丸くて力感のあるオルガンが、そのトゲトゲ感を全く緩和して、ルーさん独特のグルーヴ感を支え、増幅する。ルーさん独特のグルーヴ感とロニー・スミスのオルガンの音色との相性が抜群である。

ジャズらしからぬジャケに惑わされてはならない。ルーさん独特の「ユルユルでソウルフルなグルーヴ感」が心地良く漂う、由緒正しき「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」がこの盤に詰まっている。決して、イージーリスニング志向では無い、ガッツリと純ジャズしている、ルーさんのソウル・ジャズに、ルーさんのジャズマンとしての「矜持」感じる。極上のソウル・ジャズ。好盤です。
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« チックの ”モントルー・ライヴ集” | トップページ | ブランフォードの『Belonging』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« チックの ”モントルー・ライヴ集” | トップページ | ブランフォードの『Belonging』 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー