ジャズ喫茶で流したい・300
『Alligator Bogaloo』(1967年4月録音)、『Mr. Shing-A-Ling』(1967年10月録音)と、ブガルー、シンガリンの力を借りて展開した「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」。この『Midnight Creeper』は、そんなブガルーや新がリンの音要素を取り込み、融合し、ルーさんオリジナルのソウル・ジャズの創造の「ほぼ完成形」が記録されている。
Lou Donaldson『Midnight Creeper』(写真左)。1968年3月15日の録音。ブルーノートの4280番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as) Blue Mitchell (tp), George Benson (g), Lonnie Smith (org), Leo Morris (ds)。ルー・ドナルドソン(以降 ”ルーさん”)の、ブルーノートへのカムバック〜ソウル・ジャズ転身の第3弾。
ファンクネスをソウルフルに転換し、R&Bな雰囲気をそこはかと無く取り入れた独自のグルーヴ感を自家薬籠のものとし、アレンジを含めて、ルーさんのグループ・サウンドとして昇華した、ルーさん独特のソウル・ジャズのテイストが、この盤に充満している。従来のルーさん独特の「アルト・サックスのファンクネス」はしっかり残っていて、アドリブ・フレーズを聴くと、直ぐに「ルーさんだ」と判る。
スローな曲、ちょっと速いテンポの曲が1曲ずつあるが、残りは同じテンポ、ミッド・テンポの曲が並ぶ。これが、アルバムとして連続して流れてくると、不思議とソウルフルなグルーヴ感が「だだ漏れて」くるのだから、この盤は、ソウル・ジャズ盤として、意外と「ヤバい」。思わず、どっぷりと、独特な「ユルユルなグルーヴ感」に浸かってしまう。
ロニー・スミスのオルガンの存在が効いている。アルト・サックスとトランペットのフロント2管だけだと、ちょっとエッジが立って、ゆるゆるのグルーブ感が、ちょっとトゲトゲしくなりそうなところを、ロニー・スミスの丸くて力感のあるオルガンが、そのトゲトゲ感を全く緩和して、ルーさん独特のグルーヴ感を支え、増幅する。ルーさん独特のグルーヴ感とロニー・スミスのオルガンの音色との相性が抜群である。
ジャズらしからぬジャケに惑わされてはならない。ルーさん独特の「ユルユルでソウルフルなグルーヴ感」が心地良く漂う、由緒正しき「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」がこの盤に詰まっている。決して、イージーリスニング志向では無い、ガッツリと純ジャズしている、ルーさんのソウル・ジャズに、ルーさんのジャズマンとしての「矜持」感じる。極上のソウル・ジャズ。好盤です。
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