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2025年10月 4日 (土曜日)

ブランフォードの『Belonging』

タイトルが『Belonging』。冒頭の曲が「Spiral Dance」。あれ、これって、キース・ジャレットの『Belonging』と同じじゃないか、と思って全曲見たら、キースの『Belonging』そのもの。そう、このアルバムは、キース・ジャレットの『Belonging』を再解釈した、ユニークな企画盤である。

Branford Marsalis Quartet『Belonging』(写真左)。2024年3月25–29日の録音。ちなみにパーソネルは、Branford Marsalis (sax), Joey Calderazzo (p), Eric Revis (b), Justin Faulkner (ds)。今年3月リリースのブランフォード・マルサリスの新作。ブランフォードのサックスがフロント1管の、いわゆる「ワンホーン・カルテット」編成。

ブランフォード・マルサリスのブルーノート・レコード移籍第一弾は、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』を丸ごと再解釈に取り組んだアルバムになる。収録曲、曲順も同じ、演奏スル編成も、サックスがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」も同じ。キースの『Belonging』は、フロント1管のサックスが、ヤン・ガルバレクと、バリバリ欧州ジャズの透明度の高い、思い切り個性的なサックスだったので、その対比がどうなるか、興味津々である。
 

Branford-marsalis-quartetbelonging  

 
ブランフォードのサックスは、コルトレーン・スタイルとロリンズ・スタイルを足して2で割った様な、サックスの吹奏スタイルとしては、コルトレーン以前のオールド・スタイル寄りのサックス。この盤でも、ブランフォードのサックスを聴くと、途中のフレーズはテクニカルでコルトレーンの吹奏スタイルを踏襲しているが、吹き終える部分の音の伸びは、揺らぎのあるオールド・スタイル。つまり、ブラフォードのサックスの吹奏スタイルは「21世紀のネオ・オールド・スタイル」と言ってよい、モダンなもの。

キースのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』の音世界を、ブランフォード・カルテットの個性で再構築していく。物真似、カヴァーの部分は全く無い。『Belonging』に収録された曲をベースに、ブランフォード・カルテットなりに解釈して、オリジナルな演奏を展開する。これが見事。ブランフォードの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが実に効果的で、キースのヨーロピアン・カルテットの『Belonging』の音世界を想起することは無い。

実はかなり久し振りにブランフォードのサックスを聴いたのだが、やっぱり、ブランフォードのサックスは良いなあ、と彼のサックスの良さを再認識した。特にこの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが、唯一無二で個性的で実に良い。ちょっとブランフォードの最近の諸作を聴き直さなければ....。この『Belonging』、好盤です。
 
 

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