ブランフォードの『Belonging』
タイトルが『Belonging』。冒頭の曲が「Spiral Dance」。あれ、これって、キース・ジャレットの『Belonging』と同じじゃないか、と思って全曲見たら、キースの『Belonging』そのもの。そう、このアルバムは、キース・ジャレットの『Belonging』を再解釈した、ユニークな企画盤である。
Branford Marsalis Quartet『Belonging』(写真左)。2024年3月25–29日の録音。ちなみにパーソネルは、Branford Marsalis (sax), Joey Calderazzo (p), Eric Revis (b), Justin Faulkner (ds)。今年3月リリースのブランフォード・マルサリスの新作。ブランフォードのサックスがフロント1管の、いわゆる「ワンホーン・カルテット」編成。
ブランフォード・マルサリスのブルーノート・レコード移籍第一弾は、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』を丸ごと再解釈に取り組んだアルバムになる。収録曲、曲順も同じ、演奏スル編成も、サックスがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」も同じ。キースの『Belonging』は、フロント1管のサックスが、ヤン・ガルバレクと、バリバリ欧州ジャズの透明度の高い、思い切り個性的なサックスだったので、その対比がどうなるか、興味津々である。
ブランフォードのサックスは、コルトレーン・スタイルとロリンズ・スタイルを足して2で割った様な、サックスの吹奏スタイルとしては、コルトレーン以前のオールド・スタイル寄りのサックス。この盤でも、ブランフォードのサックスを聴くと、途中のフレーズはテクニカルでコルトレーンの吹奏スタイルを踏襲しているが、吹き終える部分の音の伸びは、揺らぎのあるオールド・スタイル。つまり、ブラフォードのサックスの吹奏スタイルは「21世紀のネオ・オールド・スタイル」と言ってよい、モダンなもの。
キースのヨーロピアン・カルテットの名作『Belonging』の音世界を、ブランフォード・カルテットの個性で再構築していく。物真似、カヴァーの部分は全く無い。『Belonging』に収録された曲をベースに、ブランフォード・カルテットなりに解釈して、オリジナルな演奏を展開する。これが見事。ブランフォードの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが実に効果的で、キースのヨーロピアン・カルテットの『Belonging』の音世界を想起することは無い。
実はかなり久し振りにブランフォードのサックスを聴いたのだが、やっぱり、ブランフォードのサックスは良いなあ、と彼のサックスの良さを再認識した。特にこの「21世紀のネオ・オールド・スタイル」なサックスが、唯一無二で個性的で実に良い。ちょっとブランフォードの最近の諸作を聴き直さなければ....。この『Belonging』、好盤です。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.01.07 更新
・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
記事をアップ。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
の記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ジャズ喫茶で流したい・300 | トップページ | ユッコとH ZETTRIOのコラボ »




コメント