サル・サルバドールの代表的好盤
映画「真夏の夜のジャズ」でもお馴染み、チャーリー・クリスチャン直系のギタリスト、サル・サルバドール、と言うが、我が国では、かなりマイナーな存在。
リーダー作も、1953年から1963年までの10年で9枚。1978年から1989年の間に5枚。計14枚のリーダー作しかリリースしていないのと、半数はマイナーなレーベルからのリリースなので、マイナーな存在なのも仕方の無いことかもしれない。
Sal Salvador『Frivolous Sal』(写真左)。1956年2月の録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Sal Salvador (g), Eddie Costa (p, vib), George Roumanis (b), Jimmy Campbell (ds)。映画「真夏の夜のジャズ」でもお馴染み、チャーリークリスチャン直系のギタリスト、サル・サルバドールがリーダーのカルテット編成。
さて、サル・サルバドールは、チャーリー・クリスチャン直系の、ウェストコースト派白人ギタリスト。サルバドールのギターの音の雰囲気は、アーバンでミッドナイトな雰囲気の、漆黒ジャジーでブルージーなギター。当時のジャズ・ギターとして、かなり個性的な音色。この個性的な音色のサルバドールのギターは、十分にフロントを張れるもの。
まだギタリストがリーダー作を出すことが珍しかった時代に、フロントを張ることのできる、力感溢れる、ソリッドで音の芯が太いギターでリーダーを務めるサルバドールは、現代に通じる、モダン・ジャズ・ギターの先駆的存在。
このアルバムでも、そんなクリスチャンの「アーバンでミッドナイトな雰囲気の、漆黒ジャジーでブルージーな」ギターが大活躍。聴き応え満点のパフォーマンスを披露している。
スタンダード曲「All The Things You Are」「I'll Remember April」では、そんなチャーリークリスチャン直系のバップ・ギターがダイナミックに展開される。テクニックは確か、爽快感抜群。ウエストコースト・ジャズのほど良くアレンジされた端正なリズム隊をバックに、漆黒ジャジーでブルージーなギターが疾走する。
バックはエディ・コスタがピアノを担当する、端正でバップなリズム・セクション。このリズム・セクションの安定したパフォーマンスが、サルバドールの上質なバップ・ギターの弾き回しを引き出している。コスタの硬質なピアノが、サルバドールの漆黒ジャジーでブルージーなギターに合う。相性抜群である。
ベツレヘム・レーベルには、こういった米国ウエストコースト・ジャズのアルバムも多数リリースされていて、加えて、個性的なのは、西海岸ジャズ志向の演奏の中に、このサルバドールのギター盤の様に、まるで東海岸ジャズの様な「漆黒ジャジーでブルージーな」音作りがされている点。
米国の東西を股に掛け、東海岸ジャズ、西海岸ジャズ双方に対して、拘り無い音作りが個性のベツレヘム・レーベル。このサルバドールのアルバムはそんなベツレヘムの個性が反映された好盤です。どっちつかず、というなかれ。これが、ベツレヘム・レーベルの個性の一つです。
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