クロスオーバーなビッグバンド
ジャケットの左上の小さな文字を見ると「Tosiyuki MIyama & New Hard Plays Chikara Ueda」とある。つまり、このアルバムは、日本を代表するビッグバンドである宮間利之&ニューハードが、作・編曲に 上田力氏を迎え、フュージョン・サウンドに挑戦した作品なのだ。僕としては、ジャズを本格的に聴き始めた頃の、懐かしいアルバムの1枚である。
宮間利之とニュー・ハード・オーケストラ『Big Stuff』(写真左)。1980年の作品。Electric Birdレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、ビッグバンドである「宮間利之とニューハード」に、清水靖晃(ts), 直居隆雄 (g), 山木秀夫 (ds), 神村英男 (cor), 納見義徳 (per) 等が参加。
ビッグバンド・サウンドのフュージョン化、などと、当時は評価されたが、今の耳で聴くと、クロスオーバー・ジャズ志向のコンテンポラリーなビッグバンド・サウンドだろうと思う。8ビートがメイン、電気楽器を前面に押し出した、エレ・ジャズ志向だが、ポップなロック風のグルーヴも見え隠れして、これ「クロスオーバー・ビッグバンドでしょ」と、聴いていて直感的に感じた。
冒頭「Samboogie」から、格好良く切れ味の良いギター・カッティングがカッ飛ぶ。熱気溢れるラテンなパーカッションが盛り上げるグルーヴ感の中、ニューハードのビッグバンド・サウンドが炸裂する。清水のテナーソロも躍動感溢れ、ダンディズム溢れる音色で魅了する。この冒頭の1曲だけで、この盤の雰囲気が決定付けられる。
続くタイトル曲「Big Stuff」は、エレクトリックなビッグバンド・ブルース。小粋で映えるブレイクを重ねながら、ブルージーなベースラインが練り歩く。3曲目の「Sunset Vally」は、これぞ、ソフト&メロウな「フュージョン・ビッグバンド」な音世界。ダイナミックでパンチの効いたクロスオーバー・ビッグバンドなサウンドが魅力の「Mystery Cat」。
正統派ビッグバンドな響きの中、電気楽器が効果的に絡む「Walking Stone」。エレクトリックなビッグバンド・サウンドが効果的に響く、秀逸なサンバ・フュージョンな「Mas Quero Dancar (But Dancing)」。そして、魅力的な重厚ファンキー・ベースに、カッティング・ギターが絡む、バックにビッグバンド・サウンドが格好良く漂う「So Fine」。
ニューハードが放つ分厚く圧巻のビッグバンド・サウンドと、洗練されたクロスオーバー&フュージョン・サウンドの融合がバッチリ「はまった」、独特の、唯一無二の「クロスオーバー&フュージョン・ビッグバンド」の目眩く音世界。
DJ/クラブカルチャー・シーンで高く再評価されているアルバムの1枚で、当時の日本のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのレベルの高さが窺い知れる好盤です。
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