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2025年10月23日 (木曜日)

シンセサイザーのフュージョン

日本のフュージョン・ジャズは、米国とも欧州とも違う、全く、独自の独特の深化を遂げたと思っている。まず、ビートが独特で、ファンクネスはほぼ皆無。ジャズ・ファンクをやっても、ビートは乾いていて粘りは無い。テクニックは優秀。特にキーボードの使い方が秀逸で、シンセサイザーの使い方は世界的に見ても群を抜いていると思う。

Logic System『Venus』(写真左)。1981年の作品。YMOの4人目のメンバーとも言えるシンセサイザーのプログラマー、松武秀樹によるユニットの2作目。フュージョン・ジャズを想起させる様な「縦ノリ・スインギー」な音世界が特徴。これをアナログ・シンセサイザーで演奏しまくる。圧巻のシンセサイザー・フュージョンである。

ロジック・システム(Logic System)とは、当時、イエロー・マジック・オーケストラのマニピュレーター、松武秀樹が結成した音楽ユニット。一般的には「テクノ・ポップ」のジャンルになっているが、演奏を聴いてみると、冬至のフュージョン・ジャズ・インストルメンタルとテクノ・ポップの融合の様な音世界。どこか、欧州のシンセサイザー・ミュージックを彷彿とさせる、幽玄で神秘的で、どこかクラシックの香りがする、端正な音世界。
 

Logic-systemvenus

 
元来ジャズ好きだった松武秀樹である。作曲者に、トッド・ラングレンズ・ユートピアの一員だったロジャー・パウエルや、米国フュージョン畑のドン・グルージンなどを迎えて、シンセサイザーで演奏表現するフュージョン・ジャズ〜AOR演奏集。ユニークなところでは、当時のニューミュージックの人気グループだったオフコースの「I Love You」のカヴァーまでやっている。

当時は、シンセサイザーで作ったフュージョン〜AORな演奏、ということだけが話題になって、シンセサイザーはここまで出来る、とか、ビートに人間味が無い、とか、音に歌心が無い、とか、そんなシンセサイザーを使った演奏に対しての評価に終始していた。演奏自体の音楽性とか、音作りに対する深掘りとか、本質的な評価は無かったが、今の耳で聴くと、これは、シンセサイザーで作ったフュージョン〜AORな演奏として、十分「アリ」。

シンセサイザーの特性を全面的に活かした、恐らく、我が国でないと為し得なかった、シンセサイザーによるフュージョン・ジャズであり、テクノ・ポップとジャズの融合の音世界なんだと、この盤を聴き直して、改めて感動した。ペーター佐藤によるイラストがジャケット含めアートワークの全面にフィーチャーされているのもグッド。我が国独特のフュージョンとして再評価したい。
 
 

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