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2025年9月27日 (土曜日)

1968年のシルヴァーの好盤です

パーソネルの違いはあるが、2セッションを通じて、しっかりとした統一感があるのは、さすがにホレス・シルヴァー御大。素晴らしいリーダー・シップを発揮している。この盤の音世界は、ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ。時代は「ソウル・ジャズ全盛」なのだが、シルヴァーは「ブレない」。シルヴァーはあくまで「ファンキー・ジャズ」。

Horace Silver『Serenade to a Soul Sister』(写真左)。1968年2月23日、3月29日の録音。ブルーノートの4277番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Charles Tolliver (tp) は、2月23日と3月29日と共通。残りの3人が録音日によって変わる。2月23日が、Stanley Turrentine (ts), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。3月29日が、Bennie Maupin (ts), John Williams (b), Billy Cobham (ds)。

8ビートのエレクトリックなファンキー・ジャズあり、ノリの良い正統派ファンキー・ジャズあり、新主流派モーダルなファンキー・ジャズあり、ソウル・ジャズっぽくなるところもあるが、収録されたどの演奏も根っこは「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」。言い換えると、1968年の「シルヴァーが考えるファンキー・ジャズ」が、ぎっしり詰まっている。
 

Horace-silverserenade-to-a-soul-sister

 
しかし、パーソネルを見渡すと、モーダルなトランペッターのチャールズ・トリヴァー、漆黒な「どファンキー」テナーのスタンリー・タレンタイン、そして、ドラムに、モーダルなドラミングが得意なミッキー・ローカー、後のマシンガン・ファンキー・ドラミングのビリー・コブハム等々、おおよそ、ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズをやるメンバーでは無い。しかし、このメンバーが、1968年の「シルヴァーが考えるファンキー・ジャズ」を完璧にやるのだから堪らない。

「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」とは言っても、1950年代を振り返った「懐古趣味」なファンキー・ジャズでは無い。1968年時点の最先端のモダン・ジャズの音を踏まえて反映した、その時代の最先端の「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」をパーフォーマンスしていることろが素晴らしい。さすが、レジェンド級のジャズマンが違う。

ラストの「Next Time I Fall in Love」は、シルヴァーにしては珍しいピアノ・トリオによる小粋なバラード。底に流れるファンクネスに、シルヴァーの矜持を感じる。「Mr.ファンキー・ジャズ」なホレス・シルヴァーの好盤。ジャズ紹介本やジャズのアルバム紹介などは、そのタイトルが上がらない、しかも、ホレス・シルヴァーの代表盤にも、まず、上がらない盤だが、僕は、この盤の内容については一目置いている。いつの時代にも「ブレない」シルヴァーは頼もしい。
 
 

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