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2025年9月28日 (日曜日)

フォスターの初ブルーノート盤

フランク・フォスター(Frank Foster)は、カウント・ベイシーのビッグバンドのテナー奏者。1953年の加入になる。1970年から1972年にかけて、エルヴィン・ジョーンズと共演。1975年には、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ビッグバンドに加入。1972年から1976年まで、フォスターはニューヨーク州立大学バッファロー校の黒人研究プログラムの常勤助教授。1986年6月には、カウント・ベイシー・オーケストラのリーダーに就任。フランク・フォスターは、ビッグバンド畑のテナー奏者であった。

Frank Foster『Manhattan Fever』(写真左)。1968年3月21日の録音。ブルーノートの4278番。ちなみにパーソネルは、Frank Foster (ts, alto-cl), Marvin Stamm (tp), Garnett Brown (tb), Kenny Rogers (bs), Richard Wyands (p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。リーダーのフォスターのテナー、スタムのトランペット、ブラウンのトロンボーンがフロント3管のセクステット編成。

この盤も、CDリイシュー時、ボートラを5曲追加して、全11曲になっている。オリジナルLP盤は全6曲、録音日は1968年3月21日。ボートラ追加の5曲、1969年1月31日の録音で、当然、オリジナルLPには入っていない。よって、この記事では、オリジナルLPの6曲(CDの1〜6曲目)で、内容をまとめていきたい。

冒頭の「Little Miss No Nose」は、こってこてファンキーでソウルフルなジャズロック。リズム&ビートはR&B志向。どこかモータウンに通じるビートに乗って、フォスターがノリノリのテナーを聴かせる。ここでも、ミッキー・ローカーのドラムが効いている。R&B志向の8ビートを、ノリノリで叩きまくる。フロント3管がこのローカーのドラムに煽られて、こってこてファンキーでソウルフルなジャズロックなフレーズを吹きまくっている。
 

Frank-fostermanhattan-fever

 
2曲目「Manhattan Fever」が面白い。最初は、ファンキーなソウルフルなハードバップって感じなのだが、演奏が進むにつれ、特にフォスターのテナーが「コルトレーン化」していく。シーツ・オブ・サウンド風のモーダルな吹き回しから、ちょっとフリーキーに展開するとことは「コルトレーン・シンパ」な吹奏である。3曲目のバラード「Loneliness」は、温和でハードバップなコルトレーン・ライクな吹奏に終始する。

4曲目「Stammpede」になると、モード・ジャズな演奏に変化。ただ、フレーズは端正でポップ。とても聴き易いモード。ここでもフォスターのテナーは、コルトレーンの影を追いかける。続く5曲目の「You Gotta Be Kiddin」は、R&B志向のソウル・ジャズ。モータウン・ライクなリズム&ビートに乗って、ソウルフルな3管ユニゾン&ハーモニーもご機嫌な、R&B志向のソウル・ジャズが展開される。ブレイクも恰好良い、素敵なソウル・ジャズ。

ラストの「Seventh Avenue Bill」は、硬派でメインストリーム志向でストイックなモード・ジャズ。4曲目「Stammpede」と同様に、フレーズは端正でポップ。とても聴き易いモード。ここでもフォスターのテナーは、コルトレーンの影を追いかけているが、トランペットのスタムまでが「コルトレーン化」している。トランペットで、シーツ・オブ・サインドを吹きまくる。

フランク・フォスターのブルーノートでの初登場盤。ジャズロック、モード・ジャズ、ソウル・ジャズな要素を効果的に配置した、当時のジャズのトレンドを聴く様な、バラエティーに富んだ内容になっている。ただ、アレンジが優秀なので、アルバム全体に統一感があって、その辺りはさすがブルーノートという感じにまとまっている。佳作です。
 
 

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