« ジャック・ウィルキンスを愛でる | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 114 »

2025年9月16日 (火曜日)

E. アレキサンダーは疾走する

2000年以降の比較的新しい時代のジャズも好んで聴いている。新しくその才能を開花させた新人のアルバムもあれば、20世紀にデビューして、21世紀になっても、なお活躍しているベテランのアルバムもある。ジャズ先進国の21世紀のジャズもあれば、ジャズ新興国のオリジナリティー溢れるジャズもある。

僕が感心するのは、それらのアルバムは、決して、20世紀を振り返って、懐古趣味に走るのではなく、21世紀のその録音時点での「新しい何か」を反映させていること。ジャズは進化の頂点を迎えて久しいが、まだまだ「深化の」のりしろはあるということで、今更ながら、ジャズの懐の深さを感じて感心することしきりである。

Eric Alexander『Chicago To New York』(写真左)。2025年の作品。ちなみにパーソネルは、Eric Alexander (sax), Mike LeDonne (p), Dennis Carroll (b), George Fludas (ds)。今年57歳になる、ベテラン人気サックス奏者、エリック・アレキサンダーの新作になる。編成は、アレキサンダーのテナー1管の、いわゆる「ワンホーン・カルテット」。
 

Eric-alexanderchicago-to-new-york  

 
冒頭、「Afro Blue」や「Wise One」などコルトレーンゆかりのナンバーでスタートする。アレキサンダーのテナーは「シーツ・オブ・サウンド」で疾走する。しかし、ここで「何だ、コルトレーンの物真似か」と思ってはならない。アレキサンダーの「シーツ・オブ・サウンド」は、コルトレーンのそれを深化させ、テクニックはさらに高度に、そして、フレーズの音は、アレキサンダーのオリジナル。

つまり、コルトレーンの編み出した「シーツ・オブ・サウンド」を、普遍的なテナー・サックスの奏法として捉え、自らのオリジナリティーを添加した、そんな内容の演奏なのだ。これが素晴らしい。このアレキサンダー・オリジナルな「シーツ・オブ・サウンド」がこの盤にてんこ盛り。疾走感と爽快感が印象的。モーダルなネオ・ハードバップである。

我が国のポニーキャニオンやアルファ、ヴィーナスといったレーベルからリーダー作をリリースしているんで、日本のレコード会社が金をかけて祭り上げた、平凡なテナー・サックス奏者と誤解して敬遠するジャズ者ベテランの方もいるみたいだが、どうして、まず、この2005年の新作を聴いて欲しい。コルトレーンから始まり、コルトレーンを深化させ、自らのオリジナティーを添加した見事な吹奏がここにある。好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« ジャック・ウィルキンスを愛でる | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 114 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジャック・ウィルキンスを愛でる | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤 114 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー