ジャック・ウィルキンスを愛でる
ウィルキンスは、1970年代から2000年代まで、息の長い活躍をしたジャズ・ギタリスト。過小評価されている(特に我が国で)ジャズマンの一人で、1970年代のアルバム2枚は、一時的に彼を「一流ジャズマン」の位置に押し上げたが、それ以降は無名に近い存在になってしまう。
しかし、豊かな才能は他のプレイヤーからは尊敬された「幻のハイテクニックなジャズ・ギタリスト」、つまり、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、かろうじてその名を留めている。
Jack Wilkins『Windows』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Jack Wilkins (g), Bill Goodwin (ds, perc), Mike Moore (b)。ブルックリン出身の幻のハイテクニック・ギタリスト、ジャック・ウィルキンスのシンプルなギター・トリオ盤。初リーダー作になる。ギターが完全に主役なので、ウィルキンスのギターの個性がとても良く判る。
クロスオーバー&フュージョン・ジャズが全盛だった1970年代、頑なに、純ジャズ志向の、ストレート・アヘッドなアコ&エレ・ギターを弾き続けたジャック・ウィルキンス。活躍した当時は、ジャズ界きっての速弾きギタリストの一人だった。ウィルキンスは15歳でギターを始め、バーニー・ケッセルやジョニー・スミス、ジャンゴ・ラインハルト等 に影響を受けているので、純ジャズ志向+ストレート・アヘッドなウィルキンスのギターというのは、とても説得力がある。
ムーディーな、アーバンな雰囲気を醸し出す、洗練されたジャズ・ギター盤。ギターに豊かで絶妙なエコーがかかって、臨場感が豊かなギター・トリオ盤である。ジョージ・ベンソンやパット・マルティーノに引けを取らない鬼ピッキング。1970年代の純ジャズ志向の「本物のギター」で、ウィルキンス自体は、ほぼ無名ではあるが、そのギター・テクニックは特筆に値するレベルの優れたもの。
選曲がふるっていて、チック・コリアのタイトル曲「Windows」、ジョン・コルトレーンの「Naima」、ウェイン・ショーターの「Pinocchio」、ジャズロックなフレディ・ハバードの「Red Clay」等、1960年代後半から1970年代半ばくらいまでの人気曲を選んで、弾きまくっているところが、このアルバムの一番、興味を引くところ。バンド・メンバーのマイク・ムーアのペンになるラテンタッチの「Canzona」、ウィルキンスがクラシック・ギターの技巧を存分に披露する「Song for the Last Act」も好曲、好演奏。
ジャズマンの中には、1〜2枚程度、優れた内容のアルバムをリリースし、その内容が評論家筋からの評価されたジャズマンが、忽然とシーンから遠ざかってしまうケースが多くある。
いわゆる「幻のジャズマン」達で、あの人は今何処、なのだが、大体が行方不明のジャズマンが多い。逆に日本では何故か知られていない、特殊事情の「幻のジャズマン」も結構いる。今回のジャック・ウィルキンスもそんな中の一人。しかし、アルバムの音源は残っている。まずはこのJack Wilkins『Windows』を愛でることで、ウィルキンスのギターの優秀性を体感されたい。
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