大衆受け狙いのウィルソン盤
大手リバティーの傘下に入って以降、当時のブルーノートとして、純ジャズ度、モダン・ジャズ度は落とすこと無く、大衆受けする「売れる」ジャズ盤をリリースする、という範疇に入るアルバムではあるが、このアルバムは、徹底して、音志向からアレンジまで、大衆受け狙いのファンキー&ソウル・ジャズを追求している。
Jack Wilson『Easterly Winds』(写真左)。1967年9月22日の録音。ブルーノートの4270番。ちなみにパーソネルは、Jack Wilson (p), Lee Morgan (tp), Garnett Brown (tb), Jackie McLean (as), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。全6曲中、3曲目「A Time for Love」のみトリオ演奏。他5曲は、フロント3管、ピアノ・トリオがリズム隊のセクステット編成の演奏。
ジャック・ウィルソンのブルーノートでの最初のアルバムである『Something Personal』とは対照的。彼のレーベルデビューが「西海岸の明るい光の中、アーバンで爽快なジャズ」だった。
それに対し、この『Easterly Winds』は、聴けばすぐに魅力を感じる、ファンクネスを湛えたフロント管の響きが芳しい、ファンキー&ソウル・ジャズで埋め尽くされている。どうして、こんなにも変わるの、とも思うし、音志向に対して、柔軟性が高い、とも思う。
クラブ・ジャズ好きの皆さんの愛聴盤で、確かに判り易い「恰好良い」ジャズがこれでもか、と展開される。ソウルフルでダンサフル。演奏志向は明らかに「ソウル・ジャズ」。アート志向よりもポップ志向が大きく勝る音作り。
ただ、単に俗っぽいイージーリスニング・ジャズに陥らなかったのは、モーガンのトランペット、マクリーンのアルト・サックス、ガーネット・ブラウンのトロンボーンの響きが、しっかりとハードバップしていて、ファンキー&ソウル・ジャズな演奏全体をしっかりと引き締めている。
そして、ウィルソンのピアノが、俗っぽい、イージーな受け狙いのソウルフルな展開に陥らないよう、しっかりコントロールされていたからだろう。アルバム全編に渡って、しっかりセルフ・コントロールされたソウルフルな響きのピアノが聴ける。
ウィルソンのピアノの個性は、3曲目の「A Time for Love」、フロント管がお休み+ピアノ・トリオのみ演奏で、このトリオ演奏で、良く判る。演奏の音志向としては、基本はファンキー・ジャズ・ピアノ。そんなファンキーなジャズ・ピアノで、上品にソウルフルに唄い上げていく様はソウルジャズ志向のピアノ。
5曲目「Nirvanna」は、らしくないアヴァンギャルドな雰囲気の演奏ではあるが、フレーズの展開は聴きやすいレベルの穏やかさ。圧倒的にアバンギャルドに展開することは無い。どこまでも、聴き手にダイレクトに訴求することを主眼としているのが良く判る。
ジャズロック調から、ソウル・ジャズ志向、ファンキー・ジャズ志向、アバンギャルド・ジャズ志向など、かなりバラエティーに富んだ内容のアルバムだが、充実した好調フロント3管の「賜物」で、しっかりとした統一感が維持されているところはプロデュースのお陰か.。
そう言えば、このアルバムのプロデュースは、デューク・ピアソン。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは既に引退している。このウィルソンのアルバム、プロデューサーがライオンだったら、どんなアルバムに仕上がっていただろうか。
それほどまでに、このアルバムは、徹底して大衆受け狙いなアルバム作りをしている、それまでのブルーノートには無かったアルバム内容である。
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