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2025年9月29日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・299

「予定調和」とは全く無縁の、全く先の読めない展開。音はショーター・ミュージックの音。しかし、出てくるフレーズは全く予測不能な未知の音世界。そんな予測不能な未知の音世界を、このワンホーン・カルテットは確信を持って突き進む。即興演奏、インタープレイの極致。聴き馴れたショーター・ミュージックの音なのに、出てくる音は初出のフレーズがてんこ盛り。

Wayne Shorter『Celebration, Volume 1』(写真左)。2014年10月18日、ストックホルム・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts, ss), Danilo Perez (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)。モダン・ジャズ・テナー奏者のレジェンドの一人、ジャズ・ジャイアント、ウェイン・ショーターの81歳の時のライヴ・パフォーマンスの記録。

素晴らしいパーソネルである。ダニロ・ペレスは、パナマ出身のピアニスト。ワールド・ミュージック志向の独特なピアノは変幻自在。ジョン・パティトゥッチは、エレ・アコの両刀使い、技巧派ベーシストの第一人者。ブライアンド・ブレイドは、現代ジャズ・ドラマーのリーダー格。そんな三人をリズム・セクションを従えての、ウェイン・ショーターのテナー&ソプラノ1管の「ワンホーン・カルテット」である。
 

Wayne-shortercelebration-volume-1

 
そんな凄腕のリズム・セクションを従えてのパフォーマンスである。このライヴでは、ショーターも絶好調、心ゆくまで、ショーター・ミュージックの音世界をこれでもか、と言わんばかりに展開している。絞り出すようなテンション、妖しい黒魔術的雰囲気漂う浮遊感、ワールド・ミュージック志向トーンの野趣溢れる流麗なフレーズ。

冒頭の「Zero Gravity To The 15th Dimension」から、そんなショーター・ミュージックが大々的に展開される。リズム・セクションの出だしのワンフレーズから、ショーター・ミュージックの音がする。どう聴いたって、ショーターの音世界。そして、そんな前奏に、ショーターのテナーが滑り込んでくる。濃厚な「ショーター・ミュージックの世界へようこそ」である。

このライヴ音源は、ショーターが生前、自らが監修したと聞く。この音源は、生前、ショーターが残した「新作」。こんな素晴らしいライヴ音源が、しかも、ショーター自ら監修した音源が残っていたなんて。この音源は「Vol.1」。情報によると、このライヴ音源、全部で4枚リリースされる予定らしいので、あと3枚、これはとても楽しみだ。
 
 

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