タレンタインのショーケース『The Spoiler』
1964年2月、ビートルズが米国の地に上陸。ビートルズは米国ポップスの頂点に立ち、ビートルズに刺激されたロックが台頭。米国ポップス音楽の代表の1つだったジャズ人気は徐々に斜陽となる。その始まりが、1965年から66年辺り。フリーやスピリチュアルを追求するハードなジャズと、聴き手のニーズに合わせたポップなジャズと、二極分化が進んだ時代であった。
Stanley Turrentine『The Spoiler』(写真左)。1966年9月22日の録音。ブルーノートの4256番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), James Spaulding (as, fl), Pepper Adams (bs), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds), Joseph Rivera (perc), )Duke Pearson (arr)。
漆黒ブルージーなテナー奏者、スタンリー・タレンタインがリーダーの、コンガ入りノネット編成(9人編成)。大所帯である。メンバーを見渡すと、当時のブルーノート・オールスターズと呼んで良いような、ブルーノートで活躍していたジャズマンがずらり。一流のジャズマン達の演奏なので、9人編成とは言え、しっかりと締まった演奏をしている。
内容的には、当時の流行のジャズの演奏トレンドを詰め込んだ「ごった煮」な内容。大人のロックあり、大人のファンキー・ジャズあり、ソウル・ジャズあり、当時の米国ポップスのジャズ・カヴァー(4曲目「Sunny」)、いわゆる、米国ポップスの人気曲のカヴァーありで、演奏自体は前述の様にしっかりしているのだが、曲の収録イメージは「ごった煮」。
しかし、そんな「ごった煮」のアルバムを、タレンタインの個性的で漆黒ブルージーなテナーが、曲毎に一本筋を通している。このアルバム、当時のタレンタインのショーケースの様な感じに仕立て上げられていて、曲毎にジャズの演奏トレンドがコロコロ変わるのだが、違和感が伴わないのは、タレンタインのブレない漆黒ブルージーなテナーのお陰といって良いだろう。
ブルーノート・オールスターズと呼んで良いような豪華なバックではあるが、このアルバムでは、あくまで、タレンタインのテナーを引き立てる役に回っている。
が、このオールスターズのバッキングが見事。ピアソンのアレンジが優れているのだろう、様々なジャズの演奏トレンドに合わせたアレンジに乗って、オースルターズは伸び伸び演奏し、それぞれの個性を出しつつ、タレンタインのテナーを引き立てる。
全体にポップなジャズの味付けがされているので、俗っぽいと敬遠する向きもあるが、僕はそんなことは無いと思う。聴いて楽しいタレンタインのショーケース。ブルーノートの企画する「ショーケース」盤はいつも「一味違う」。
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